国道389号
国道389号(こくどう389ごう)は、福岡県大牟田市から熊本県荒尾市・長洲町、長崎県島原半島、熊本県天草下島を通って鹿児島県阿久根市に至る一般国道である。
Contents
概要
九州の有明海に面する福岡県大牟田市から有明海を渡って、長崎県の島原半島の雲仙の山岳地帯を通り、さらに熊本県の天草諸島を巡って鹿児島県北西部に位置する阿久根市とを結ぶ延長約190 kmの一般国道の路線で、大牟田 - 阿久根間の九州を走る国道3号とは海上区間を交えて西側で並行する。雲仙天草国立公園の中を走る経路をとり、主な通過地は熊本県荒尾市、玉名郡長洲町、長崎県雲仙市、南島原市、熊本県天草市五和町鬼池、天草郡苓北町、天草市河浦町白木河内、同市牛深町、鹿児島県出水郡長島町である。海上区間は、最多の国道58号に次いで3区間を有する。島原半島の中心に位置する雲仙温泉付近で国道57号と交差・重複するほか、天草下島の鬼池港 - 苓北町富岡間で国道324号と重複し、天草市河浦町白木河内 - 牛深港間で国道266号と重複する。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[1][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点 : 大牟田市(有明町交差点=国道208号交点)
- 終点 : 阿久根市(多田交差点=国道3号交点)
- 重要な経過地 : 荒尾市・熊本県玉名郡長洲町・長崎県南高来郡国見町[注釈 2]・同郡小浜町[注釈 2]・同郡口之津町[注釈 3]・熊本県天草郡五和町[注釈 4]・同郡苓北町・同郡河浦町[注釈 4]・牛深市[注釈 4]・鹿児島県出水郡長島町
- 総延長 : 190.2 km(福岡県 3.9 km、長崎県 65.4 km、熊本県 92.2 km、鹿児島県 28.6 km)重用延長、未供用延長(海上区間)を含む。[2][注釈 5]
- 重用延長 : 32.5 km(福岡県 - km、長崎県 0.4 km、熊本県 32.1 km、鹿児島県 - km)[2][注釈 5]
- 未供用延長 : 36.5 km(福岡県 - km、長崎県 19.5 km、熊本県 13.5 km、鹿児島県 3.5 km)[2][注釈 5]
- 実延長 : 121.2 km(福岡県 3.9 km、長崎県 45.6 km、熊本県 46.6 km、鹿児島県 25.1 km)[2][注釈 5]
- 指定区間 : 国道57号と重複する区間[3]
歴史
- 1975年(昭和50年)4月1日 一般国道389号(鹿児島県阿久根市 - 熊本県天草郡苓北町 - 長崎県長崎市)として指定。実質的には鹿児島県道阿久根牛深線と熊本県道苓北河浦線の2路線が国道となった。
- 「阿久根牛深線」は、路線名だけをみると海上区間を経て熊本県にまたがっているように思えるが、実際には鹿児島県のみが認定しており、終点も鹿児島県出水郡長島町であった。
- 1993年(平成5年)4月1日 熊本県天草郡苓北町 - 長崎県長崎市の区間を、福岡県大牟田市から島原半島を経て熊本県天草郡苓北町に至る区間に変更し、あわせて起点だった鹿児島県阿久根市を終点とした。実質的には福岡県道7号・熊本県道7号大牟田熊本宇土線の一部、長崎県道35号国見雲仙線及び長崎県道36号口之津雲仙線の3路線が国道となった(なお、大牟田熊本宇土線は同日に一般国道501号にも指定された)。
路線状況
国道501号との重複区間のうち、国道208号との交点である起点から熊本県荒尾市北部にかけては4車線が確保され、道路環境は比較的良好であるが、荒尾市中部から玉名郡長洲町にかけては狭隘な区間が多い。なお、大牟田市白金町2交差点 - 荒尾市四ツ山交差点においては福岡県道・熊本県道126号大牟田荒尾線とも重複しているが、これは路線区域の変更によるものである。
玉名郡長洲町の長洲交差点より単独区間となり、長洲港より有明フェリー経由で長崎県雲仙市にある多比良港に横断した後に島原半島を縦断する。雲仙岳に程近い場所を通過するために標高が非常に高く、狭隘区間もある。南島原市にある口之津港より、2箇所目の海上区間である島鉄フェリーを経由して熊本県天草市の天草下島にある鬼池港へ。天草郡苓北町の中心街までは国道324号と重複するが、かつては苓北町から長崎市茂木地区へ向かうコースが国道389号(国道324号に重複する形)として路線認定されていた。
苓北町で再び単独路線になった後は天草灘に並行する形で天草市牛深町へ向けて海岸沿いを通過する。時折狭い区間やカーブが連続する区間も多々ある。鹿児島県阿久根市から長崎市までを結んでいた時代、沿線自治体がこの路線に「サンセットライン」という愛称をつけ、観光キャンペーンを行っていた。
天草市南部で国道266号と合流すると、そこから牛深港までは同国道と重複。牛深港で再び単独路線になると同時に、3箇所目の海上区間である三和商船経由で蔵之元港へ。鹿児島県出水郡長島町より長島地区の南側を通過し、途中で道の駅長島やかつては有料道路であった黒之瀬戸大橋を経由、阿久根市の国道3号との交点が終点となる。
経路変更
- 大牟田 - 荒尾(通称:十三間道路)
- 2009年(平成21年)4月1日、大牟田市白金町2交差点 - 荒尾市四ツ山交差点において、当国道の旧道(2車線)と福岡県道・熊本県道126号大牟田荒尾線(4車線)との間で道路の区域変更(交換)が行われた[4]。さらに、2010年3月31日には旧道の県道指定が解除され、十三間道路が国道389号と県道126号の重複となった[5]。
- 大江バイパス - 崎津バイパス
- 天草市下島の天草町高浜南 - 天草町大江 - 河浦町崎津の区間。天草下島大江バイパスとも呼ばれる。2車線、総延長8.6 km。天草灘に近い山地を通り、旧道は急カーブや幅の狭い個所が多かったが、2004年(平成16年)に橋やトンネルも用いて線形を改良したバイパスが完成した。
重複区間
- 国道501号(福岡県大牟田市有明町 - 熊本県玉名郡長洲町長洲)
- 国道251号(長崎県雲仙市国見町土黒甲 - 雲仙市国見町多比良乙)
- 国道57号(長崎県雲仙市小浜町雲仙)
- 国道324号(熊本県天草市五和町鬼池 - 天草郡苓北町富岡)
- 国道266号(熊本県天草市河浦町白木河内 - 天草市牛深町)
海上区間
九州の大牟田から有明海を挟んで対岸の島原半島へ、島原半島から天草諸島の下島と長島を巡り再び九州の阿久根へと結ぶため3ケ所の海上区間があり、海上区間の数では国道58号(鹿児島 - 那覇)に次ぐ多さである[6]。
- 長洲町・長洲港 - 雲仙市・多比良港(有明フェリー)
- 南島原市・口之津港 - 天草市・鬼池港(島鉄フェリー)
- 天草市・牛深港 - 長島町・蔵之元港(三和商船)
- 長崎市を終点としていたころは、苓北町富岡港 - 長崎市茂木港が国道389号の海上区間(国道324号と重複)となっていた。
道路施設
道の駅
- 長島(長島町)
地理
通過する自治体
交差する道路
- 国道208号(大牟田市)
- 国道501号(長洲町)
- 国道251号(雲仙市、南島原市)
- 国道57号(雲仙市)
- 国道324号(天草市、苓北町)
- 国道266号(天草市)
- 国道3号(阿久根市)
- 南九州西回り自動車道(阿久根市、阿久根北IC)
脚注
注釈
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ↑ 2.0 2.1 2005年10月11日、南高来郡国見町・瑞穂町・吾妻町・愛野町・千々石町・小浜町・南串山町が合併して、雲仙市発足。
- ↑ 南高来郡加津佐町・口之津町・南有馬町・北有馬町・西有家町・有家町・布津町・深江町の8町が合併して南島原市発足。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 2006年3月27日、本渡市、牛深市、天草郡有明町、御所浦町、倉岳町、栖本町、新和町、天草町、河浦町と合併し、天草市発足。
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 2015年4月1日現在
出典
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2014閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 22. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2014閲覧.
- ↑ 福岡県公報(福岡県告示第631号)
- ↑ 福岡県公報第3092号(福岡県告示第616号)
- ↑ 松波成行 2008, p. 88.
参考文献
- 松波成行「国道389号」、『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 88頁、 ISBN 978-4-86320-025-8。