千葉ニュータウン
千葉ニュータウン(ちばニュータウン)は、千葉県白井市・印西市・船橋市にまたがるニュータウンである。
Contents
概要
千葉県北西部の3市(西から順に白井市、船橋市、印西市)にまたがり、首都圏においては多摩ニュータウンや港北ニュータウンに次ぐ大規模ニュータウンである。東西約18km・南北2~3kmに広がり、総面積は約1,930ヘクタール[1]。1966年に千葉県が単独で事業を開始し、1978年に宅地開発公団(現、UR都市機構)が参画した。
全域を新住宅市街地開発事業による全面買収の計画で進めていたが、2014年(平成26年)3月31日をもって新住宅市街地開発法による事業は完了し、現在は2018年度まで事業清算期間として土地売却を行っている[2]。住宅用約90ha[3]を含めて約286ヘクタールの未処分地が事業完了時点で残ることになった[4]。総事業費は約1兆1,903億円にのぼる[5]。
計画当初は2,912ヘクタールを開発して、計画人口34万人を見込んでいたが、1970年代のオイルショックや1990年代のバブル崩壊などで、事業縮小を余儀なくされ、2015年(平成27年)11月時点の開発面積は約1,930ヘクタールで、計画人口は45,600戸/143,300人となっている[6]。実際の人口は、2016年(平成28年)5月末時点で95,511人に留まっている[6]。このため、千葉県企業庁の平成25年(2013年)度決算では、千葉ニュータウン事業は1150億円の赤字となっている(ニュータウン事業費収入は2809億円、支出は3959億円)[7]。
ニュータウン地区の町並みは計画的にデザインされ、豊富な商業施設と住居、職場が有機的に配置され、また都心と成田国際空港へのアクセスの利便性を備えた、極めて住みやすい街並みとなっている。一方、ニュータウンの事業区域の周囲には幅広く自然の里山風景が広がっており、動植物とのふれあいやサイクリングなど各種スポーツで自然との共生を楽しむことができる。
多摩ニュータウンが丘陵を切り崩して開発したため、坂が多い地形であるのに対し、千葉ニュータウンは平坦な北総台地であることから坂が少なく、高齢者にとって歩きやすい街になっている。『週刊東洋経済』の「住みよさランキング2017」では、千葉ニュータウンの中核となる市域である印西市が、総合評価で全国1位に6年連続(2012~2017年)でランクインし[8]、住みやすさについて極めて高い評価がなされている。
区分 | 面積(ha) | 比率(%) | ||
---|---|---|---|---|
宅地 | 住宅用地 | 585 | 30 | |
公益的施設用地 | 教育施設用地 | 86 | 4 | |
購買施設用地 | 80 | 4 | ||
その他の公益的施設用地 | 181 | 10 | ||
小計 | 347 | 18 | ||
特定業務施設用地 | 78 | 4 | ||
複合的土地利用(住宅系) | 34 | 2 | ||
複合的土地利用(施設系) | 184 | 10 | ||
宅地計 | 1,228 | 64 | ||
公共用地 | 道路用地 | 447 | 23 | |
公園・緑地用地 | 184 | 9 | ||
その他の公共施設用地 | 71 | 4 | ||
公共用地計 | 702 | 36 | ||
合計 | 1,930 | 100 |
開発地区
千葉ニュータウンは大きく分けて6つの地区がある。また千葉ニュータウン内には北総鉄道北総線6つ(うち2駅に成田スカイアクセス線の「アクセス特急」が停車)の駅が存在し、各地区に一駅ずつ位置している。駅は都心(品川・新橋方面)寄りから順に以下のとおりである。
4線が乗り入れ、同じくUR都市機構千葉事業部により開発されている新鎌ケ谷地区については千葉ニュータウンには含まれないが、千葉ニュータウンおよび新鎌ケ谷地区を含めたエリアの総称として「東京⇔成田 SKYGATEシティ」という名称のもと企業誘致が行われたことがある[10]。
- 西白井地区
- 西白井駅付近、白井市。1979年(昭和54年)3月13日に街開きが行われ、3月8日に駅が開業[11]。計画面積199ha、計画戸数6,250戸、計画人口、19,000人。3つの住区で構成されている。小室地区と共に、千葉ニュータウンで最初に入居が始まった地区である[11]。街開きの3年後より日本中央競馬会競馬学校が隣接する場所に立地する。駅前にはマルエツ西白井店がある[12]。
- 白井地区
- 白井駅付近、白井市。1979年(昭和54年)、西白井エリア街開きから5か月後、街開きが行われた。計画面積197ha、計画戸数5,500戸、計画人口16,300人。2つの住区で構成されている。白井エリアには、白井市役所や運動公園、文化センターなど、白井市の行政が集中するエリアでもある。駅周辺にはマルエツ白井店が[12]南側に、ホームセンターなどが北側に立地している。駅前には集合住宅が林立する。
- 小室地区
- 小室駅付近、船橋市。1979年(昭和54年)3月13日に街開きが行われ、3月8日に駅が開業[11]。計画面積90ha、計画戸数2,190戸、計画人口8,500人。1つの住区で構成されている。西白井地区と共に、千葉ニュータウンで最初に入居が始まった地区である[11]。
- 千葉ニュータウン中央地区
- 千葉ニュータウン中央駅付近、白井市・印西市。1984年(昭和59年)に街開きが行われた。計画面積764ha、計画戸数20,250戸、計画人口61,900人。8つの住区で構成される。千葉ニュータウン最大のエリアで、都市景観100選に選定されている。
- 駅北側には、北総地区最大級のショッピングセンター「イオンモール千葉ニュータウン」や社会保険大学校(現・日本年金機構研修センター)、竹中技術研究所や三井住友海上などのオフィスビル群が林立し、ゴミ焼却処理施設の余熱を利用した温水センターなどがある。また、中央駅周辺では、ゴミ空気輸送システムが導入された。空気の力でゴミを輸送し、常時捨てられゴミ収集前のカラスや猫によるゴミのまき散らしや臭いなども発生しないのが利点のインフラ施設で、国と住宅・都市整備公団(現・UR都市機構)が約100億円を投じて建設した。しかし、収集量が当初予想を大幅に下回り、赤字改善は難しいとの判断から主要設備の耐用年数を迎える2010年3月31日をもって事業を中止した。
- 駅南側には、計画面積50haの県立北総花の丘公園などがあり、自然豊かな住環境が整備されている。
また、東京電機大学千葉ニュータウンキャンパスや、東京基督教大学などの文教施設も駅南側に整備されたが、東京電機大は2018年に千葉ニュータウンから大幅撤退の予定である。
- 印西牧の原地区
- 印西牧の原駅付近、印西市。1995年(平成7年)に街開きが行われた。計画面積579ha、計画戸数13,110戸、計画人口40,700人。5つの住区から構成されている。千葉ニュータウンで1990年代に入って街開きが行われたエリア。
- 「ビッグホップガーデンモール印西」をはじめとする大型商業施設の進出している。また、ヒュンダイモータージャパンR&Dセンターや、マブチモーターの研究所なども立地する。
- 2011年(平成23年)に駅北側のエリア(21住区)の街びらきが行われ、開発が進行中である。なお、街の開発にあたっては国土交通省や環境省と連携し、低炭素推進事業のモデル地区として街づくりが行われている。
- 2013年(平成25年)、草深原に残された貴重な自然を開発で失われないように取り組みが行われる。
- 印旛日本医大地区
- 印旛日本医大駅付近、印西市。2000年(平成12年)に街開きが行われた。旧・印旛村にあたる地域であり「いには野(イニワノ)地区」と呼ばれている。計画面積104ha、計画戸数2,190戸、計画人口6,600人。1つの住区で構成されている。千葉ニュータウンで最後に街開きが行われたエリアである。駅の名の由来でもある日本医科大学千葉北総病院が立地する。この病院は北総エリア最大の基幹病院であり、ドクターヘリの基地病院でもある。また、千葉ニュータウン周辺の国道464号、国道296号、千葉県道65号佐倉印西線において、信号機制御で交差点を優先的に通過させるFAST(現場急行支援システム)と、救急車の救急走行時の通過地点を医療機関に伝えるMOCS(車両通行管理システム)を統合したM-MOCS(救急搬送支援システム)が導入されている。また、2010年7月17日には京成成田スカイアクセス線が開業した。2017年2月19日には並行する北千葉道路も開通した。2011年に当地区で唯一のスーパーマーケットが閉店し、買い物難民が発生したことによりテレビで取り上げられたが[13]、2013年4月に別のスーパーマーケットが開店し、当該問題は終息した。
市町村合併
2003年(平成15年)には、関連する印西市・白井市・印旛村・本埜村の2市2村による合併協議会が設立され、住民公募に基づいて新市名を「北総市」と決めたが、翌年に行われた白井市の住民投票の結果、反対票が賛成票の2倍以上の数となり、解散した。
その後、印西市・印旛村・本埜村の1市2村の枠組みで、市町村の合併の特例等に関する法律(新合併特例法)の期限である2010年3月末までの合併に関する話合いを行うために、2008年10月に合併問題懇談会が、2009年1月には合併協議会が設置された。なお、合併方式は印西市に印旛村、本埜村を編入する編入合併となり、2010年(平成22年)3月23日に「新・印西市」が誕生した。
沿革
- 1966年(昭和41年) - 事業計画制定。当初の計画人口は34万人。当時の計画面積は約2,912ヘクタール。
- 1967年(昭和42年)2月 - 用地買収開始[11]。
- 1969年(昭和44年)(昭和41年)5月 - 事業認可[11]。
- 1970年(昭和45年)3月 - 造成開始[11]。
- 1978年(昭和53年)3月 - 事業に宅地開発公団(現在のUR都市機構)が加わる[11]。
- 1979年(昭和54年)
- 1984年(昭和59年)3月 - 千葉ニュータウン中央駅開業[11]。ニュータウン中央エリア入居開始[11]。
- 1982年(昭和57年)3月23日 - 西白井エリアに日本中央競馬会競馬学校が開設。
- 1986年(昭和61年)12月 - 事業計画変更。計画人口17万6,000人。計画面積約1,933ヘクタール。
- 1991年(平成3年)3月 - 北総線都心乗り入れ開始。
- 1994年(平成6年)3月 - 印西牧の原(原・西の原)エリア入居開始[11]。
- 1995年(平成7年)4月 - 印西牧の原駅開業。
- 1996年(平成8年)4月 - 印西市制施行。
- 1997年(平成9年)3月 - 印西牧の原(滝野)エリア入居開始。
- 2000年(平成12年)
- 2001年4月 - 白井市制施行。
- 2005年(平成17年)10月6日 - 印西牧の原駅前にショッピングセンター「牧の原モア」が開業[15]。
- 2006年(平成18年)4月21日 - 「イオンモール千葉ニュータウンショッピングセンター」が開業[16]。
- 2007年(平成19年)9月 - 「ビッグホップガーデンモール印西」が開業[17]。
- 2009年(平成21年)4月 - 千葉県立「北総花の丘公園」が全面開園。
- 2010年(平成22年)
- 3月 - 印旛村および本埜村が印西市に編入合併。
- 7月 ‐ 成田スカイアクセス線開通[11]。
- 2013年(平成25年)
- 3月 - 新住宅市街地開発事業終了
地域の施設
行政施設
- 白井市役所
- 船橋市役所小室連絡所
- 印西市中央駅前出張所
- 印西市中央駅前センター
- 印西市牧の原出張所
- 印西市滝野出張所
- 印西市印旛支所
業務地区
千葉ニュータウン中央駅北東側には「都心東地区」と命名された業務地区があり、電気・通信・冷暖房などを統合した共同溝を地区内に張り巡らせると共に、地盤が堅固で都心に近いことなどを生かして、金融機関や情報通信関連の企業の招致を進めた[4]。
その結果、銀行や保険会社などの金融機関や独立系システムインテグレータの電算システム(勘定系システム・ホストコンピュータやバックアップシステム、ウェブサイトのサーバなど)を配置したデータセンター・インターネットデータセンターや、メーカーの研究開発拠点などが進出し、2014年(平成26年)3月時点で約7,000人が働いている[4]。
情報システム系統
- 三菱東京UFJ銀行千葉ニュータウンセンター(旧三和銀行・UFJ銀行メインセンター)
- 三菱総研DCS千葉情報センター
- みずほ銀行(旧:第一勧業銀行)千葉事務センター
- さくら情報システム千葉事業所
- フコク情報システム(富国生命内)
- 東京海上日動火災保険(旧:日新火災)千葉ニュータウンセンター
- 三井住友海上火災保険千葉ニュータウンセンター(旧:三井海上)
- 労働金庫連合会東日本情報センター
- ゆうちょ銀行東日本貯金事務計算センター(旧:郵便貯金)
- NTTデータ千葉ニュータウンビル
- CSKeサービスデータセンター(東洋信託銀行のシステムセンター建物を買収し、インターネットデータセンターとして転用)
- ソフトバンクテレコム(旧:日本国際通信)千葉ビル
事務系施設
研究開発系施設
- マブチモーター技術センター
- 竹中工務店技術研究所
- ヒュンダイモータージャパンR&Dセンター
- 起亜ジャパン研究所
- 神田通信工業千葉事業所
主な商業施設
- イオンモール千葉ニュータウン - 2006年(平成18年)4月21日に「イオンモール千葉ニュータウンショッピングセンター」として開業[16]。
- トライアル
- アルカサール(ALCAZAR)
- ビッグホップガーデンモール印西 - 2007年(平成19年)9月に開業[17]。
- 牧の原モア - 2005年(平成17年)10月6日に開業[15]。
- USシネマ千葉ニュータウン(シネコン)
- ジョイフル本田 - 2002年(平成14年)12月17日に開業[18]。
- アクロスプラザ千葉ニュータウン中央
- アクロスプラザ千葉ニュータウン南
- ホーマックスーパーデポ白井店
- ニトリ[19]
- メガマックス千葉ニュータウン店
- 東京インテリア家具[20]
- コストコ - 2013年7月開業
- カインズモール千葉ニュータウン - 2013年(平成25年)11月7日に開業で、カインズとベイシアが出店[21]。
- マルエツ - 西白井店(西白井駅前センタービル)[12]、白井店(白井駅前センタービル)[12]
- ランドロームジャパン - 西白井店(1988年(昭和63年)開業[22])、ニュータウン南店(千葉ニュータウン店として、1998年(平成10年)11月開業[23])
- ナリタヤ
- 島忠 - 「島忠ホームズ千葉ニュータウン店」として2015年3月開業
- しまむら - 傘下のシャンブル・バースデイが出店
- アルペン (企業) - 傘下のスポーツDEPO、GOLF5が出店
医療機関
宿泊施設
- ビジネスホテルMARK1
観光名所
その他の施設
教育施設
西白井エリア
中学校
小学校
白井エリア
高等学校
中学校
小学校
小室エリア
大学
中学校
小学校
千葉ニュータウン中央エリア
大学
※他に、社会保険大学校(現・日本年金機構研修センター)が存在した。
中学校
小学校
印西牧の原エリア
高等学校
- 千葉県立印旛明誠高等学校(ニュータウン事業区域外)
中学校
小学校
印旛日本医大エリア
専門学校
- 日本医科大学千葉看護専門学校
中学校
小学校
※千葉ニュータウン地区には、長らく高等学校が県立白井高等学校の1校だけだったが、高校配置の適正化として「千葉ニュータウン地区高校整備事業」が進められ、印西市木下地区にある県立印旛高等学校が印西牧の原エリア隣接地区へ移転し、2010年(平成22年)4月より県立印旛明誠高校として開校し、千葉ニュータウン地区内の高等学校は実質的に2校となった。
交通
鉄道
- 北総鉄道北総線 - 小室駅 - 印旛日本医大駅間の施設は千葉ニュータウン鉄道が保有
- 京成電鉄成田空港線(成田スカイアクセス) - 上記と同じ線路を使用する(施設は北総鉄道、千葉ニュータウン鉄道が保有)
- 当初の計画
- 本来の計画では、北総線は京成高砂 - 小室のみで、北総線に並行して都営新宿線の延長となる千葉県営鉄道北千葉線(本八幡 - 新鎌ヶ谷 - 小室 - 印旛松虫)も建設が予定され、新鎌ケ谷 - 小室間は北総線の南側に沿う形で用地も確保されていたが、その後のニュータウンの計画縮小もあり建設中止(未成線)となっている。
- 県営北千葉線の当初の計画では、谷田(小室‐千葉ニュータウン中央間)、印西天王前(千葉ニュータウン中央‐印西牧の原間)の2駅も予定されていた。
- 1970年代には、当時の国鉄により成田新幹線(東京 - 千葉ニュータウン - 成田空港)が計画されるも、沿線住民の反対運動により建設中止となっている[24]。千葉ニュータウン中央駅西方 - 印旛日本医大間においては、北総線の線路の北側に並行して、この新幹線用に確保された用地を、太陽光発電用のソーラーパネルに転用し設置されている。
バス
路線バス
コミュニティーバス
道路
国道
- 国道464号(通称100m道路)
- 千葉ニュータウンを東西に横断する道路。片側2車線である。かつては週末の午後などに、一部区間で渋滞が発生していたが、バイパス北千葉道路の一部開通により、現在では以前より緩和されている。
- 国道16号
- 千葉ニュータウンを南北に縦断する道路。
- 北千葉道路
県道
主要地方道
一般県道
成田・千葉ニュータウン業務核都市基本構想
千葉県では、多極分散型国土形成促進法に基づく、成田・千葉ニュータウン業務核都市基本構想[25]を作成し、2004年3月23日主務大臣(国土交通省、総務省、経済産業省、厚生労働省)の同意を得て、同年4月6日県報に告示した。今後は、本基本構想に基づき、成田地域(成田市、富里市(一部))と千葉ニュータウンの中央部・東部の地域(印西市(一部)、白井市(一部))を一体の業務核都市として国、県、地元市町村等と連携を図りながら、積極的に育成整備を推進していくことになる。
千葉ニュータウンの問題と課題
北総鉄道の運賃の高さ、近年の郊外型大型店舗の進出による交通渋滞など、街の拡大と時代の変化による問題が発生している。千葉ニュータウンの東部では未完成街区があり、さらには開発区域内に希少生物が見つかるなど、開発と自然環境保護の問題にも直面している。
千葉県企業庁と都市再生機構は、2014年(平成26年)3月31日をもって新住宅市街地開発事業である千葉ニュータウン事業を完了し、清算基本協定を締結しており[26]、現在は、2018年度(平成30年度)まで事業清算の期間中となっており、残余の土地処分を引き続き行っている。
- 千葉県企業庁は、2016年(平成28年)3月31日に組織が廃止となった[27]。また、都市再生機構は、独立行政法人改革に伴い開発事業からの撤退を表明しており、全国のニュータウン整備事業、特定土地区画整理事業については、2018年度(平成30年度)までに土地の供給・処分を完了するとしている[28]。
- 2018年度(平成30年度)の完全撤退については、独立行政法人の整理合理化計画に基づくもので、ニュータウン事業からの撤退にあたり、都市再生機構は全国のニュータウンについて、完成宅地化、現況処分、素地処分の、処理区分のランク付けを行っており、千葉ニュータウンもこの処理区分が適用されている。しかし、駅から遠く買い進まれなかった処分困難地が残り、さらには未整備の土地も抱えたうえで、2018年度(平成30年度)の事業完了に向けた取組が計画的かつ的確に行われるのかどうか、会計検査院からも実現可能性等について指摘を受けている[29]。
- 300ヘクタールを超える未処分土地を抱えている現状では、2018年度(平成30年度)までに土地の供給・処分を完了させるという都市再生機構の目標は、これまでの販売ペースから推測して、実現の可能性がかなり低いと言わざるをえない状況であるが、都市再生機構は、第三期中期目標において「残る土地については、中期目標期間中の供給・処分完了に向けた取組を促進する。」とのみ言明している[30]。
- 一方、千葉県企業庁(地方公営企業)の事業については、独立採算制で行われているが、多摩ニュータウンでは、最終的に事業の債務超過部分について、一般会計(税金)から穴埋めが行われた[31]。千葉ニュータウンの最終赤字額は、これまで包括外部監査や議会答弁で1,200億円台となる見込みであり、未回収資金については保有資金(剰余金)で対応する方針と表明されている。そうなると、東京湾の浅瀬を埋め立てた(臨海開発)利益が、山(千葉ニュータウン)の赤字の埋め合わせに使われる可能性が高い。また、最終赤字は、平成26年4月に、千葉県と都市再生機構で計3千億円近くになる[32]と報道されている(事業用地も含む残り約300ヘクタールを、平均平米単価10万円以上で売り切らなければ赤字という計算になる)。平成25年3月末の県企業庁資金残高は、531億円と公表されているが、この資金残で済むのか、税金での穴埋めが行われるのか、今後の土地売却の状況次第で大きく左右されることになる。
- 印西牧の原駅北側において工事が進行中の21住区は、40年近く前に粗造成された後に工事が中断されていたため、その一部に自然を残しているが、希少生物が見つかったことから、自然環境保護の問題が生じている[33]。
- 北総鉄道北総線の高額な運賃問題は、1999年 - 2000年に国会で審議された。当時の運輸省は「これ以上の値上げは長期間しない」との約束をし、「仮に値上げの申請があっても十分慎重に対応したい」との答弁をした。
- 2009年に、沿線自治体が北総鉄道に補助金を出して値下げを図る枠組みが、千葉県知事と沿線各市長の間で合意されたが、白井市で補助金の支出を巡り、白井市議会で否決され、市長の不信任決議が可決されるなど、市政が混乱した。
- 国道464号線沿道に、ロードサイド型の大型ショッピングセンターが相次いでオープンしていることもあり、土曜・休日になると慢性的な渋滞が発生している。なお、これら渋滞緩和を目的とし、464号線で北千葉道路がバイパス道路として2012年5月25日に一部供用開始されたが、合流車線の確保目的で側道が一部1車線化されたことで、新たな渋滞が発生し混乱が生じた。その後、緊急対策として側道が合流部を除き2車線に戻されたほか、草深ランプが上下線とも当面の間閉鎖とされたが、下り線は印旛日本医大延伸と同時に使用が再開されている。
- 国道464号線(100m道路)の掘割部には、中止となった成田新幹線用地がそのまま残されているが、千葉県は、太陽光発電の事業に転用し、民間事業者を公募して賃借契約を結ぶと、平成26年6月に議会答弁した[34]。旧成田新幹線用地などの造成宅地は、造成費用に見合った価格で賃貸しなければ、その価値分の回収ができなくなることから、低廉な発電事業用地の賃料と価格面で一致しないが、地方公営企業会計制度の見直し[35]により、平成26年度から減損会計が千葉県企業庁で導入されることから、減損後の用地価格に見合った賃料の適用が可能になり、発電事業の公募も可能となっていた(県企業庁事業は、独立採算制で行われており、税金の投入は行われていない)。
千葉ニュータウンでロケーション撮影された主な作品
- 映画 「電車男」(2005年公開)
- ドラマ 「野ブタ。をプロデュース」(2005年日本テレビ)[36]
- ドラマ 「ブラックジャックによろしく」(2003年TBS)
- ドラマ 「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(2008年 - 2017年フジテレビ)
- 映画 「僕だけがいない街」(2016年公開)
- また北総鉄道がロケ誘致に積極的であり、駅構内でのロケ・撮影も行われている。印西牧の原駅#当駅が登場する主な作品の項も参照のこと。
関連項目
参照
- ↑ “UR都市機構|千葉業務部 - まちづくりの取り組み - 千葉ニュータウン”. 独立行政法人都市再生機構. . 2014閲覧.
- ↑ “URと土地処分継続 企業庁、千葉NTで5年間 千葉県議会”. 千葉日報. (2014年3月15日) . 2014閲覧.
- ↑ 橋本利昭(2014年4月5日). “未完のニュータウン:事業期間終了/4 消費意欲 商業施設で「格差」”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ 4.0 4.1 4.2 橋本利昭(2014年4月3日). “未完のニュータウン:事業期間終了/3 広大な未処分地 社会情勢に左右され”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
- ↑ “UR都市機構|千葉業務部 - まちづくりの取り組み - 千葉ニュータウン”. 独立行政法人都市再生機構首都圏ニュータウン本部. . 2015閲覧.
- ↑ 6.0 6.1 “千葉ニュータウン事業”. 千葉県企業庁地域整備部ニュータウン整備課. . 2015閲覧.
- ↑ “県企業庁:来春歴史に幕 開発担い半世紀 臨海部、幕張整備 課題は未売却地 /千葉”. 毎日新聞 (2015年10月10日). . 2015閲覧.
- ↑ “「住みよさランキング2017」トップ50”. 東洋経済. (2017年6月20日) . 2017閲覧.
- ↑ “千葉ニュータウン土地利用計画図 (PDF)”. 千葉県企業庁地域整備部ニュータウン整備課. . 2015閲覧.
- ↑ “都市再生機構、現地見学会-千葉ニュータウンをビジネス用地にPR”. 日刊工業新聞. (2010年11月19日) . 2015閲覧.
- ↑ 11.00 11.01 11.02 11.03 11.04 11.05 11.06 11.07 11.08 11.09 11.10 11.11 11.12 11.13 11.14 橋本利昭(2014年3月31日). “未完のニュータウン:事業期間終了/2 高度成長期の象徴 世代交代が進まず”. 毎日新聞 (毎日新聞社)
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- ↑ “ランドロームジャパン・千葉ニュータウン店順調推移”. 日本食糧新聞 (日本食糧新聞社). (1999年4月5日)
- ↑ 『ちばの鉄道一世紀』白土貞夫、崙書房出版、1996年 ISBN 4-8455-1027-8
- ↑ 成田・千葉ニュータウン業務核都市基本構想(千葉県総合企画部企画調整課)
- ↑ 千葉日報ウェブサイト「URと土地処分継続 企業庁、千葉NTで5年間 千葉県議会」
- ↑ 千葉県ウェブサイト「企業庁新経営戦略プラン(改定版)の概要(PDF)」
- ↑ 国土交通省ウェブサイト「都市再生機構の現状と課題(PDF)」
- ↑ 会計検査院ウェブサイト「平成23年度決算検査報告」
- ↑ 都市再生機構ウェブサイト「独立行政法人都市再生機構 第三期中期目標 - UR都市機構(PDF)」
- ↑ 日経新聞・ウェブサイト「多摩ニュータウン事業、赤字1430億円穴埋め 独立採算断念」
- ↑ 朝日新聞デジタル・ウェブサイト「事業認可から45年、千葉ニュータウン事業が終息」
- ↑ 朝日新聞デジタル・ウェブサイト「奇跡の原っぱ」迫る造成工事 絶滅危惧109種が生息
- ↑ 千葉日報・ウェブサイト 北総沿線鉄道用地 太陽光発電を検討 千葉県企業庁
- ↑ 太陽ASG有限責任監査法人ウェブサイト 地方公営企業会計基準の見直しについて
- ↑ 千葉フィルムツーリズム:ロケ地一覧