佐波川
佐波川(さばがわ)は、山口県中部を流れる佐波川水系の本流で、一級河川である。鯖川とも呼ばれる。
概要
佐波川は、山口県の中央部をほぼ南流する川。島根県境に位置する周防山地の三ヶ峰に発して、大原湖(佐波川ダム)を経てさらに南流し、中国自動車道と交差してからは南西流に転じ、防府市街北西部をよぎったのち周防灘(大海湾)に注いでいる。流域の地方公共団体は、防府市、山口市、周南市。
名前の由来
佐波川の名の由来は諸説あるが、国土交通省の紹介(外部リンク参照)では、12世紀末に東大寺再建のための材木を伐採するため佐波川上流(現在の滑山国有林[1]など)に来ていた重源が、魚を欲しがった職人や人夫たちのために、鯖という文字を書いた木片を加持祈祷して川に投げ込むと、木片がサバとなったことから、さば川(鯖川)と呼ばれるようになったという伝説を由来としている。
また、佐波川に隣接する天神山(防府市)の北西にある白坂公園の説明板では、前述の説に加えて、神功皇后が桑山(防府市)に登って四方を眺めていた時に発した言葉に由来するという伝説が仁井令八幡宮(現・桑山八幡宮)縁起に書かれている[2]ことや、この川では多く獲れる鯖が周防国の特産品になっていたことなども由来のひとつとして紹介されている。
自然
毎年3月頃はアマゴ釣りが、6月頃にアユ釣りが解禁され、大勢の釣り人で賑わう。また、ヤマメ、オイカワ、ムギツク、スナヤツメ、アカザ、オヤニラミなどの生息も確認されているほか、河口付近では4月頃からはアサリやハマグリなどの潮干狩りも行える。
初夏にはゲンジボタル[3]の姿を見ることもでき、毎年6月前後に防府市内の河川敷にあるホタル広場で「佐波川ホタルの夕べ」というイベントが催される[4](このイベントでは合唱組曲佐波川を歌う会[5]によって組曲「佐波川」が合唱される)。
洪水
古来より佐波川は何度も洪水を起こしており、重源が木材運搬のために118箇所築いたとされる関水(堰)も、殆どが洪水被害により失われている。近代で特に大きな被害を出した洪水としては、国土交通省の佐波川水系河川整備基本方針が、1918年(大正7年)7月の台風により各地で堤防が決壊して3,451戸が浸水した洪水と、1951年(昭和26年)7月に梅雨前線により堤防17ヶ所が決壊して浸水家屋3,397戸に及んだ洪水を挙げている[7][8]。ただし、1972年(昭和47年)昭和47年7月豪雨災害以降は、河川氾濫による浸水被害は出ていない[9]。
主な支流
並行する交通
鉄道
かつて防石鉄道が防府駅 - 堀駅で並行していたが、1964年(昭和39年)に廃止された。
道路
- 国道489号(山口市徳地堀以北)
- 山口県道24号防府徳地線(山口市徳地堀以南の右岸)
- 山口県道184号三田尻港徳地線(山口市徳地堀以南の左岸・元防石鉄道跡)
- 山口県道503号佐波川自転車道線(山口市徳地堀以南の左岸・自転車道)
- 国道2号防府バイパス(防府市右田以南の右岸)
その他、佐波川と交差している山陽自動車道には、佐波川サービスエリアが建設されている。
CM
佐波川はテレビコマーシャルのロケ地として使われることがある。
いずれも過去に放送されたもので現在は放送されていない。
脚注
- ↑ 滑山風景林(山口市徳地) - 近畿中国森林管理局
- ↑ 防長風土注進案(江戸時代に長州藩の命により周防国・長門国2ヶ国の記録や伝承をとりまとめたもの)からの出典
- ↑ 地元中学校(防府市立右田中学校)による幼虫の放流も行われ続けている。
- ↑ ホタルの夕べ実行委員会
- ↑ 「合唱組曲佐波川」を歌う会
- ↑ 幅3m・延長46mの石畳水路を作り直径1.6mに及ぶ巨木を流したと言われる。近世までは「舟通し」と呼ばれて佐波川通船に利用された。「佐波川関水」の名称で国の史跡に指定。
- ↑ 佐波川水系河川整備基本計画
- ↑ 佐波川水系河川整備基本方針 平成18年9月21日(PDF)
- ↑ 防府/防災ネットワーク推進会議 概要(PDF) - NPO法人ぼうぼうネット[1]
外部リンク
- 佐波川 - 国土交通省
- 県中央部の発展をささえる 佐波川 - 中国地方整備局
- 佐波川概要・改修事業 - 中国地方整備局山口河川国道事務所
- 佐波川源流の山「三ガ峰(969.6m)」へ
- 佐波川漁業協同組合