周防灘
周防灘(すおうなだ)は、瀬戸内海南西端に位置する海域で、瀬戸内海に数ある灘の中で最も範囲が広い。北は山口県南岸、東は熊毛半島南端から屋代島、西は関門海峡に至る線で区切られる。南は大分県の姫島と山口県の祝島を結ぶ線を境界として伊予灘に接する。東部ほど深度が深く、西へ向かうに連れて浅くなる。また福岡県北東部と大分県北部の旧豊前国に属す地域では豊前海と呼ばれる。
気候は瀬戸内海式気候に属している。晴天の日が多く、降水量は比較的少ない。冬は関門海峡からの北西の季節風の影響を受け、雲が広がりやすく雨・雪を降らせる事があるなど、日本海側気候の特徴も見せる。しかし、季節風は山地で抑えられるため、沿岸の波は穏やかで海が荒れることは少ない。九州北部から中国地方西部を強い台風が通過する際には、沿岸部が顕著な高潮に見舞われることがある[1]。
また宇部市の沖には30年以内に地震の引き起こす恐れの高い(Sランク)周防灘断層帯の存在が明らかとなっており[2]、主要活断層に指定されている。
環境
北九州市の曽根干潟、大分県中津市の中津干潟、宇佐市の和間海岸などの広大な干潟が存在し、良好な環境が保たれていることが知られている。これらの干潟には絶滅が危惧されるカブトガニなどの生物が生息しており、貴重な野鳥が数多く飛来することでも有名である。
漁業
漁業が盛んで、沿岸ではカレイ、ブリ、マアジ、マダイやサバなどの漁獲量が多い。また、西部ではカキ、海苔の養殖も盛んに行われている。有明海など日本の暖温帯域の、広大な浅海や干潟を擁した内海のほとんどは、今日開発や汚染などで生態系が著しく破壊された状態にあるが、周防灘は例外的に良好な環境が多く残存していることも知られる。日本のほとんどの産地が壊滅状態にある、在来の真のハマグリの個体群が生き残っている干潟も、周防灘で発見されている。
工業
沿岸の一部は太平洋ベルト地帯に含まれ、山口県東部の石油コンビナートは瀬戸内工業地域の一郭を成す。関門都市圏(山口県西部、福岡県東部、大分県北部)周辺地域は北九州工業地帯を成し、セメントや化学工業のほか、近年は自動車産業の集積も見られる。
主な沿岸都市
- 山口県
- 福岡県
- 大分県
脚注
関連項目
- 響灘
- 多用途支援艦すおう - 艦名が周防灘に由来する海上自衛隊のひうち型多用途支援艦。