不法投棄
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不法投棄(ふほうとうき)とは、法令や条約に違反した処分方法で廃棄物を投棄すること。
日本
日本では廃棄物の処理及び清掃に関する法律(主に、廃棄物処理法、廃掃法と略される)に違反して、同法に定めた処分場以外(主に山中や海、廃墟など人目につかない場所)に廃棄物を投棄することをいう。
概説
近年、最終処分場などの逼迫により処理費用が高騰していること、合法的な経済活動では生成されない物質(硫酸ピッチ等)を秘密裏に処理する必要などから行われる。また、近年では、事業ごみを家庭ごみとして投棄する行為もある。なお、既設の中間処理施設や最終処分場に、許可要件を超えて搬入・保管している状態は、不適正保管などと呼ばれ、不法投棄ではない。
なお、日本における2007年度の不法投棄全体量の約78.8%が、建設系廃棄物である[1]。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、不法投棄した者の責任ばかりではなく、適正な監督を怠った排出者(事業者)に対しても撤去などの措置命令が可能となっている。不法投棄に対する罰金刑の最高額は1億円である。
対策
法令等
各地で見られた不法投棄に対応するため、廃棄物処理法の改正が行われた。
- 平成3年改正
- 廃棄物処理体系の抜本的見直し(規制強化、特別管理廃棄物区分の制定)
- 平成9年改正
- 廃棄物処理管理票(マニフェスト制度)の適用範囲の拡大、産業廃棄物の投棄禁止違反等に対する罰則の強化、生活環境の保全上の支障の除去(不法投棄地の原状回復)
- 平成12年改正
- 廃棄物の適正処理のための規制強化(産業廃棄物管理票制度の見直しによる排出事業者責任の徹底、不適正処分に関する支障の除去等の措置命令の強化)
- 平成15年改正
- 不法投棄の未然防止等の措置の強化
- 都道府県の調査権限の拡充
- 不法投棄に係る罰則の強化
- 国の責務の明確化
- 廃棄物処理業の許可手続きの適正化
- 事業者が一般廃棄物の処理を委託する場合の基準等の策定
- 不法投棄の未然防止等の措置の強化
加えて、平成15年に新法(特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法)が制定された。この法律の内容は以下の通り。
- 同法の施行前に産業廃棄物処理基準あるいは特別管理産業廃棄物処理基準に適合しない処分が行われた廃棄物を特定産業廃棄物と定めた。
- 平成9年の廃棄物処理法改正前に不法投棄された廃棄物について、都道府県等が行う対策費用に対して、国庫補助および地方債の起債特例などの特別措置による財政支援を行うことを制定。香川県豊島への対応でこの法律が適用されている。
- 2003年度から10年間の時限法である。
その他
- 看板・監視カメラの設置
- 車両通行止め
- 道路の舗装、街灯の設置などの環境整備
- 放置場所への立ち入り制限
大規模不法投棄事案
- 豊島(香川県“豊島事件”): 産廃特措法適用。
- 朝霞市上内間木・新河岸川河川敷PCBドラム缶[2](埼玉県): 排出事業者・投棄行為者ともに不明。逮捕者ゼロ。
- 青森・岩手県境(青森県・岩手県): 産廃特措法適用。
- 岐阜市椿洞(岐阜県): 産廃特措法適用。
- 延暦寺(滋賀県): 同寺が運営する霊園の隣接地に大量の建設残土が不法投棄され、滋賀県警が業者を書類送検[3][4]。
- 大阪府豊能町:2014年2月25日に、同町内の府道沿いに大量に投棄されていた建設残土が崩落して道路や田畑を埋めた上、電柱をなぎ倒したことで周辺が一時停電となった[5]。
関連項目
- ごみ問題
- ポイ捨て
- 不正軽油
- 汚染者負担原則
- ECOエリート
- 新河岸川産業廃棄物処理対策(朝霞市上内間木・新河岸川河川敷PCBドラム缶)
- 三栄化学工業(青森・岩手県境不法投棄事件の実行犯)
- 縣南衛生(同上)
- 西日本開発(延暦寺付近での土砂不法投棄事件の実行犯)
- 小倉山トンネル
脚注
- ↑ 山梨日日新聞WEB版,2008年12月25日(木)19時23分 8万343トン÷10万2000トン
- ↑ 新河岸川産業廃棄物処理対策-埼玉県
- ↑ 大量残土:延暦寺霊園隣に 崩落でけが 住民ら公害調停へ 毎日新聞 2013年6月5日
- ↑ 残土処分場:大量土砂搬入の建設会社社長ら送検 大津 毎日新聞 2013年7月23日
- ↑ 建設残土:大阪・豊能で土砂崩れ 停電、通行止めも 毎日新聞 2014年2月26日