秩父鉄道

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ファイル:2006 05040004.JPG
C58 363牽引「パレオエクスプレス」

秩父鉄道株式会社(ちちぶてつどう)は、埼玉県北部に路線を有する鉄道事業、不動産業、観光事業を行う日本の会社である。本社は埼玉県熊谷市に所在する。

概要

埼玉県北部を東西に横断する秩父本線(秩父線)と、貨物線である三ヶ尻線の2路線を保有・運営している。長瀞渓谷宝登山を中心とする長瀞の観光開発を行ってきた会社でもあり、直営の「長瀞ライン下り」は大正時代からの歴史を有する[1]

過去には、乗合バス貸切バス事業、索道事業(三峰ロープウェイ)も行っていた。バス部門は秩父鉄道観光バスに分社している。三峰ロープウェイは廃止になっているが、子会社の宝登興業では現在も索道事業(宝登山ロープウェイ)を行っている。

太平洋セメント筆頭株主であり、同社の前身である秩父セメント時代から行っている武甲山から産出される石灰石を運ぶ貨物輸送が盛んである(「諸井恒平」を参照)。

鉄道事業者では唯一のJASDAQ上場企業(証券コード : 9012)である。

会社の略称として「秩父[2][3]」「秩鉄」「ちちてつ[4]」「CTK[5]」(C.T.K.[6])が用いられることがある。しかし、駅での案内表示では「秩父線」や「秩父鉄道」が使われており、略称はあまり使われていない。また、「秩父電鉄」という愛称を使用していたため、現在も「秩父電鉄」と呼ばれることがある。

社紋は「上」の文字6つを円形に並べたものであり、「上武」を意味するとされる。上武鉄道として設立された時に作られたもので、秩父鉄道に改称した後も引き続き使われている。[7]

歴史

鉄道事業

ファイル:Chichibu Railway Linemap.svg
路線図(クリックで拡大)
ファイル:秩父鉄道 貨物列車.JPG
寄居駅構内を三峰口方に向かって走行中の貨物列車

鉄道2路線を有し、旅客・貨物輸送を行っている。PASMOは非加盟。現在、埼玉県内の鉄道会社でSuicaやPASMOなどのICカードが使えないのは秩父鉄道だけである。現在の秩父本線終点・三峰口駅から秩父市大滝地区(旧大滝村)へ路線を延長する計画であったが中止となっている。三峰口駅の引き上げ線はその名残であり、かつては鉱山ホッパーまでつながっていた。また、大滝村方面にケーブルカーを建設する計画もあったという。

営業中の路線

廃止路線・区間

  • 秩父本線 : 宝登山駅(現・長瀞駅) - 荒川駅(旧・秩父駅) … 1915年12月29日廃止、国神駅 - 荒川駅間に付け替え
  • 秩父本線 : 国神駅(現・上長瀞駅) - 荒川駅(旧・秩父駅) … 1926年6月18日廃止
  • 武甲線 : 影森駅 - 武甲駅 1.4km … 1984年2月1日廃止

未成路線

以下の路線の免許を得ていたが失効している[8]白川村・大滝村とも現在は秩父市。

  • 普通鉄道 白川村三峰口 - 大滝村 2.4km 1927年12月5日取得[9]、1936年2月19日失効[10](秩父本線の延長)
  • 鋼索鉄道(ケーブルカー) 秩父郡大滝村地内 1.8km 1927年12月5日取得[9]、1930年12月26日失効[11]

運賃

参照: 秩父鉄道秩父本線#運賃

車両

ファイル:Chichibu Railway.jpg
熊谷駅の留置線に並ぶ車両

地方私鉄にも斬新な高性能車が多数登場した1960年代までは、自社オリジナルの車両も製造していたが、近年は他社からの譲渡車両のみとなっている。譲渡元は複数の鉄道会社に及び、廃車後も三峰口駅構内で保存している車両があるなど、保存鉄道的な色あいを帯びている。

塗装

電車は1960年代は茶色に白帯、1970年代は茶色のツートンカラーで、1980年代に入ると黄色を基調に窓下に茶(急行用車は紺)のラインを配したオリジナルデザインをタクシー・バス車両など、グループ全般にわたり導入したが、1990年代に入ると電車は白地に青を基調とした塗装が主流となっている。ただし、2007年の鉄道博物館開館記念イベントから2009年の設立110周年にかけ、1000系のうち5編成を国鉄101系を模したカラーリング(オレンジバーミリオン [1011F(2010年廃車)・1003F(2011年より)]、スカイブルー [1001F]、カナリアイエロー [1012F]、ウグイス関西線バージョン [1009F])に、2編成を旧塗装(茶色ツートン[1002F]、黄色に茶帯[1007F])にそれぞれ変更している。

電気機関車はデキ103、デキ201、デキ505以外は青を基調に正面と車体裾に白帯を配する。この塗装はデキ107・108が松尾鉱業鉄道から持ち込んだもので、それ以前は茶色に車体裾に白帯を配するものであった。

現有形式

消滅形式

ファイル:Chichibu-300.jpg
300系電車・急行「秩父路」

なお、かつて「パレオエクスプレス」で使用されていた旧形客車はJR東日本から借り入れたものであり、秩父鉄道の車両ではない。

車両数の変遷

年度 \ 形式名 100形 300系 500系 800系 1000系 2000系 3000系 5000系 6000系 7000系 7500系 7800系 12系客車
(冷房車)
ヲキ・ヲキフ
100形
1982年(昭和57年)
-1985年(昭和60年)
20 6 18 20 64 180
1986年(昭和61年) 20 6 18 20 6 70 180
1987年(昭和62年) 10 6 18 20 21 75 180
1988年(昭和63年) 6 6 18 20 21 71 162
1989年(平成元年) 6 18 16 24 64 162
1990年(平成2年) 6 18 36 60 162
1991年(平成3年) 6 18 36 60 162
1992年(平成4年) 6 36 16 3 61(3) 162
1993年(平成5年) 6 36 16 9 67(9) 162
1994年(平成6年) 6 36 16 9 67(9) 162
1995年(平成7年) 6 36 16 9 67(13) 162
1996年(平成8年) 6 36 16 9 67(19) 162
平成9年(1997年 36 16 9 61(27) 162
1998年(平成10年) 36 16 9 61(31) 162
1999年(平成11年) 36 16 9 61(33) 162
2000年(平成12年)
-2005年(平成17年)
36 9 12 4 61(49) 138
2006年(平成18年) 36 6 12 3 4 61(49) 138
2007年(平成19年) 36 12 9 4 61(49) 138
2008年(平成20年) 36 12 9 4 61(49) 138
2009年(平成21年) 30 12 9 6 4 61(51) 138
2010年(平成22年) 27 12 9 6 3 4 61(52) 128
2011年(平成23年) 21 12 9 6 9 4 61(54) 128
2013年(平成25年) 9 9 9 6 21 2 4 60(57) 128
  • 1982・83年は1月1日現在、1984年以降は4月1日現在
  • 『私鉄車両編成表』各年版、ジェー・アール・アール

保存車両

三峰口駅構内にある秩父鉄道車両公園で保存されているほか、同公園外でも以下の車両が保存されている。

他にも貨車が多数売却されており、その数は把握できない。 各形式の項目も参照。

ロケ撮影など

鉄道線は、映画テレビドラマCM撮影などで使用されることが多い。広瀬川原車両基地構内や熊谷駅構内、三峰口駅のプラットホームなどが撮影に使用されている。

索道事業(廃止)

関連会社

  • 宝登興業 - 宝登山ロープウェイ運営
  • 秩父鉄道観光バス - 観光バス(以前は路線バスも営業していた)
  • 秩鉄タクシー - タクシー
    • 秩鉄ハイヤーが、(旧)秩鉄タクシーを吸収合併し、商号変更
  • 秩鉄商事 - 卸・販売
  • 秩父建設 - 建設・電気工事
  • 秩父観光興業 - 旅行代理
  • 長瀞不動寺奉賛会(非連結子会社)
  • 秩父観光(非連結子会社)

脚注

  1. 秩父鉄道・長瀞ライン下り - 皆野町観光協会
  2. ヲキ・ヲキフ100形貨車では、社紋の下に「秩父」である。
  3. 秩父鉄道が発行している沿線情報誌「秩父鉄道ニュース」は、以前は「秩父沿線ニュース」という名前であった。現在もパンフレット等で「秩父沿線」という表現が使われている。
  4. 例として、公式通販サイト名が「ちちてつe-shop」である
  5. 急行用の6000系電車には、乗務員室近くの車両側面に「CTK」と描かれている。
  6. 100形電車には車両側面に「C.T.K.」と描かれており、保存車両を三峰口駅の鉄道車両公園で見ることができる。
  7. 秩父鉄道110年の軌跡(秩父鉄道)
  8. 森口正之著『鉄道未成線を歩く』 2001年 JTB p.187 の「大正・昭和期」における未成鉄道の失効路線一覧4
  9. 9.0 9.1 「鉄道免許状下付」『官報』1927年12月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. 「鉄道免許失効」『官報』1936年2月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. 「鉄道免許失効」『官報』1930年12月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)

関連項目

外部リンク

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