ハーフインターチェンジ
ハーフインターチェンジ (Half-interchange) は、構成道路間相互の出入りが部分的に限定されたインターチェンジ。省略してハーフインターともいう(なお、この限定がないものはフルインターチェンジ、またはフルインターと呼ばれる)[1][2]。
概要
一般道との連絡のために高速道路の途中に建設されるインターチェンジは、一般的には上り線出口・入口、下り線出口・入口の4つの出入口が考えられ、これらを全て満たすとフルインターチェンジとなるが、これらに対していずれかの出入口または複数の出入口を欠く場合にハーフインターチェンジ(ハーフIC)と呼ばれることになる。主に建設費用や立地条件等によりいずれかの通行のための施設が建設できない場合(主に市街地や地形の急峻な場所)や、特定の方面へ出入りする需要が見込まれない場合(主に末端部付近から末端部方面など)に設置される。
特に首都高速道路等の都市高速道路ではその多くがハーフICとなっている。さらに特異な例としては、首都高速2号目黒線は、そのICのすべてが都心方向のみ連絡のハーフICである。
複数のハーフICをセットとして、それらが互いに補い合って全体でひとつのフルICとして機能するように造られたハーフICも多い。並行道路が長距離にわたって存在する東京外環自動車道(国道298号が並行)・名古屋第二環状自動車道(国道302号が並行)・近畿自動車道(大阪府道2号大阪中央環状線が並行)では、複数のハーフICをセットとしている例がほとんどである。札樽自動車道の札幌北ICのように、近接したハーフICを組み合わせて名目上のフルICとする形態をなしているものもある。
山陽自動車道の山口南IC、大分自動車道の大分光吉IC等のように、建設した当初はハーフICでありながら、後にフルICとなった例も幾つかある。また九州自動車道の人吉IC等のように、建設した当初からフルICでありながら、既開通区間に通じる出入口の一部を塞いでハーフICとして運用していた例もある[注 1]。またICの工事により一時的にハーフICとして運用する場合もある。
厳密にいえば、起終点となるICもハーフICといえるが、これらがハーフICと扱われることは稀である。
クォーターインターチェンジ
ハーフICの内、一般道からの入口、または出口だけを持つICをクォーターインターチェンジという。この場合、入口だけを持つICを「○○入口」、出口だけを持つICを「○○出口」のように、「インターチェンジ」を省いて呼ぶことがある。西湘バイパスの酒匂IC、鹿児島東西幹線道路の建部IC(上り線入口のみ)などがある。一部では一方面のみの入口または出口のみの場合もある。(首都高速5号池袋線の早稲田出口など)
主なハーフインターチェンジ
- 小坂北IC(秋田自動車道/大館方面)
- 大船渡北IC(三陸自動車道/釜石方面)
- 山田IC(仙台南部道路/仙台東部道路方面/事実上近隣の東北自動車道仙台南ICとセット)
- 関沢IC(山形自動車道/笹谷トンネル・東北自動車道方面)
- 川原子IC(尾花沢新庄道路/新庄方面)
- 戸田西IC(東京外環自動車道/戸田東ICとセット/大泉方面)
- 戸田東IC(東京外環自動車道/戸田西ICとセット/三郷方面)
- 外環浦和IC(東京外環自動車道/三郷方面)
- 川口西IC(東京外環自動車道/川口中央ICとセット/大泉方面)
- 川口中央IC(東京外環自動車道/川口西ICとセット/三郷方面)
- 川口東IC(東京外環自動車道/三郷方面)
- 外環三郷西IC(東京外環自動車道/大泉方面)
- 船橋IC(京葉道路/千葉方面からの出口を欠く(スリークォーターインターチェンジ))
- 谷津船橋IC(東関東自動車道/東京方面)
- 湾岸習志野IC(東関東自動車道/湾岸千葉ICとセット/東京方面)
- 湾岸千葉IC(東関東自動車道/湾岸習志野ICとセット/成田方面)
- 高井戸IC(中央自動車道・首都高速4号新宿線/一般道から中央自動車道方面への入口を欠く(スリークォーターインターチェンジ))
- 稲城IC(中央自動車道/府中スマートICとセット/高井戸方面)
- 府中スマートIC(中央自動車道/稲城ICとセット/甲府方面)
- 相模湖東出口(中央自動車道/下り線出口のみ)
- 園原IC(中央自動車道/名古屋方面)
- 寒川南IC(首都圏中央連絡自動車道/茅ヶ崎中央ICとセット[注 2]/東名高速道路方面)
- 七尾城山IC(能越自動車道/氷見・高岡方面)
- 河口湖IC(中央自動車道富士吉田線/富士吉田ICとセット/大月方面)
- 富士吉田IC(中央自動車道富士吉田線・東富士五湖道路/河口湖ICとセット/東富士五湖道路方面)
- 函南塚本IC(伊豆縦貫自動車道/新東名沼津長泉IC方面)
- 常滑IC(知多横断道路/半田中央方面)
- 古布IC(南知多道路/名古屋方面)
- 一宮西IC(東海北陸自動車道/尾西ICとセット/一宮方面)
- 尾西IC(東海北陸自動車道/一宮西ICとセット/小矢部砺波方面)
- 名古屋南IC(伊勢湾岸自動車道/四日市方面)
- 湾岸弥富IC(伊勢湾岸自動車道/弥富木曽岬ICとセット/豊田方面)
- 弥富木曽岬IC(伊勢湾岸自動車道/湾岸弥富ICとセット/四日市方面)
- 栗東湖南IC(名神高速道路/大阪方面)
- 瀬田東IC(名神高速道路/瀬田西ICとセット/名古屋方面)
- 瀬田西IC(名神高速道路/瀬田東ICとセット/大阪方面)
- 上社南IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋南方面)
- 本郷IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋西方面)
- 上社IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋西方面)
- 引山IC(名古屋第二自動車道/名古屋南方面)
- 大森IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋西方面)
- 小幡IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋南方面)
- 松河戸IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋西方面)
- 楠IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋南方面)
- 山田東IC(名古屋第二環状自動車道/山田西ICとセット/両方面出口のみ)
- 山田西IC(名古屋第二環状自動車道/山田東ICとセット/両方面入口のみ)
- 平田IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋西方面)
- 清洲西IC(名古屋第二環状自動車道/名古屋南方面)
- 甚目寺北IC(名古屋第二環状自動車道/甚目寺南ICとセット/名古屋西方面)
- 甚目寺南IC(名古屋第二環状自動車道/甚目寺北ICとセット/名古屋南方面)
- 大治北IC(名古屋第二環状自動車道/大治南ICとセット/名古屋西方面)
- 大治南IC(名古屋第二環状自動車道/大治北ICとセット/名古屋南方面)
- 名古屋西IC(東名阪自動車道/亀山方面)
- 亀山IC(東名阪自動車道/伊勢関ICとセット/名古屋方面)
- 伊勢関IC(東名阪自動車道・伊勢自動車道/亀山ICとセット/伊勢自動車道方面)
- 柏原IC(西名阪自動車道/松原方面)
- 中国吹田IC(中国自動車道/吹田ICとセット[注 3]/広島方面)
- 中国池田IC(中国自動車道/中国豊中ICとセット/広島方面)
- 中国豊中IC(中国自動車道/中国池田ICとセット/吹田方面)
- 泉南IC(阪和自動車道/阪南ICとセット/松原方面)
- 阪南IC(阪和自動車道/泉南ICとセット/南紀田辺方面)
- 和歌山北IC(阪和自動車道/松原方面)
- 海南東IC(阪和自動車道/松原方面)
- 下津IC(阪和自動車道/松原方面)
- 有田IC(阪和自動車道/有田南ICとセット/松原方面)
- 有田南IC(湯浅御坊道路/阪和自動車道有田ICとセット/南紀田辺方面)
- 御坊IC(湯浅御坊道路/御坊南ICとセット/松原方面)
- 御坊南IC(阪和自動車道/御坊ICとセット/南紀田辺方面)
- 垂水IC(神戸淡路鳴門自動車道/淡路島・四国方面)
- 佐用平福IC(鳥取自動車道/鳥取方面)
- 智頭南IC(鳥取自動車道/佐用方面)
- 中山IC(山陰自動車道/出雲方面)
- 米子中IC(山陰自動車道/鳥取方面)
- 原井IC(山陰自動車道/浜田・江津方面)
- 大多田IC(東広島呉自動車道/高屋JCT方面)
- 防府東IC(山陽自動車道/防府西ICとセット/広島方面)
- 防府西IC(山陽自動車道/防府東ICとセット/下関方面)
- 坂出北IC(瀬戸中央自動車道/岡山方面)
- 高松檀紙IC(高松自動車道/高松西ICとセット/鳴門方面)
- 高松西IC(高松自動車道/高松檀紙ICとセット/川之江方面)
- 三豊鳥坂IC(高松自動車道/鳴門方面)
- 門司港IC(関門橋/下関方面)
- 新門司IC(九州自動車道/鹿児島方面)
- 椎田南IC(東九州自動車道・椎田道路/北九州方面)
- 武雄南IC(西九州自動車道/佐世保方面)
- 長崎芒塚IC(長崎自動車道/鳥栖方面)
- 須美江IC(東九州自動車道/延岡方面)
- 門川IC(東九州自動車道・延岡南道路/門川南スマートICとセット/延岡方面)
- 門川南スマートIC(東九州自動車道/宮崎方面)
- 舞野IC(九州中央自動車道北方延岡道路/延岡方面)
- 屋嘉IC(沖縄自動車道/那覇方面)
ハーフジャンクション
ジャンクション(JCT)においても、一般的には接続するすべての高速道路を相互連絡する「フルジャンクション(フルJCT)」構造が理想であるが、連絡需要・土地条件・建設費用などの理由により、一部のランプウェイが省略される場合がある。これをハーフICになぞらえてハーフジャンクション(ハーフJCT)と呼ぶことがある。
主なハーフジャンクション
- 本別JCT (道東自動車道/釧路方面と北見方面の連絡は不可)
- 青森JCT(東北自動車道・青森自動車道/青森ICと青森道の連絡は不可)
- 八戸JCT(八戸自動車道・八戸久慈自動車道/八戸ICと八戸北IC・八戸久慈道方面の連絡は不可)
- 富谷JCT(東北自動車道・仙台北部道路/富谷ICと東北道の連絡は不可)
- 鶴岡JCT(日本海東北自動車道・山形自動車道/日本海東北道新潟方面と山形道の連絡は不可)
- 宮野木JCT (東関東自動車道・京葉道路/東関道東京方面と京葉道東京方面への連絡は不可)
- 京葉JCT(東京外環自動車道・京葉道路)(京葉道路宮野木JCT方面と東京外環道高谷JCT方面への連絡は2022年度まで不可[3]。)
- 御殿場JCT(東名高速道路・新東名高速道路/東名名古屋方面と新東名名古屋方面の連絡は不可)
- 瀬田東JCT(名神高速道路・京滋バイパス/名神京都方面と京滋バイパスの連絡は不可)
- 堺JCT(阪和自動車道・堺泉北有料道路/阪和道和歌山方面と堺泉北有料道路の連絡は不可)
- 西宮山口JCT(中国自動車道・阪神高速7号北神戸線/中国道広島方面と阪神高速の連絡は不可)
- 米子JCT(山陰自動車道・米子自動車道/山陰道鳥取方面と米子道の連絡は不可)
- 八代JCT(九州自動車道・南九州自動車道/九州道えびの方面と南九州道の連絡は不可)
- 西原JCT(沖縄自動車道・那覇空港自動車道/沖縄道那覇ICと那覇空港道の連絡は不可)
- ※山口県の山口JCT(2008年に山陽自動車道⇔中国自動車道山口IC方面が接続)や、宮城県の利府JCT(2010年に仙台北部道路⇔三陸自動車道利府塩釜IC方面が接続)など、一旦ハーフJCTとして建設され、後にフルJCT化された例もある。
- ※2018年度に供用開始予定の北海道小樽市の小樽JCT(当初、札樽道小樽IC方面と北海道横断道余市IC方面とは接続しない予定)や、京葉JCTなど、ハーフJCTとして建設される予定だったが地元自治体などの要望によりフルJCTに計画変更された例もある[4]。
- ※2019年度に供用開始予定の東京都江戸川区の小松川JCTはクォーターJCT形式で整備中(首都高速中央環状線・首都高速7号小松川線/中央環状線堀切JCT方面と小松川線一之江出入口方面との連絡以外は不可)
脚注
注釈
出典
- ↑ ハーフインターとは、どんなICですか? お問い合わせ > よくあるご質問 > 交通 > 高速道路の『?』 NEXCO中日本
- ↑ ハーフインターチェンジ(ハーフインター)とは何ですか?どうやって、普通のインターチェンジと見分ければいいのですか? NEXCO西日本
- ↑ “京葉JCTフルジャンクション化へ 国交省が整備事業許可”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年3月2日)
- ↑ “小樽「フルJCT化」 東日本高速道路 要望受け計画変更”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2017年4月1日)