ジャンクション (道路)

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ダラスのインターチェンジのジャンクション。

ジャンクション(junction)は、道路において、異なる方向に進もうとする複数の車両を中心とした交通を制御し、交通事故を最小限にするために設けられた施設である。

広義の交差点ともいえるが、平面交差 (intersection) のみならず立体交差 (Flying junction) の概念を含み、さらには交通結節点としての位置づけをも含む広い意味を持つ。ただし、日本の道路交通関係の著述において単に「ジャンクション」と記した場合、インターチェンジと同様の構造を持ち複数の高規格道路(高速道路自動車専用道路等)それぞれを接続させるための施設のことを指している。

起源

道路は元々、都市同士、あるいは都市と要塞などの軍事施設を直線的に、あるいは洗い越しのように地理的な制約を容易に越えられる場所を経由しながら結ぶものとして成り立っていった。その結果として、それらの道路が交わる場所が複数生じ、これがジャンクション(交通結節点、交点)として起こったものである。このような場所では古くからの都市の外側であっても、複数の交通(流通)が交わることにより新たな交易が生じ、結果として新たな拠点として成り立っていった。イングランドのスコッチコーナー (Scotch Corner) はそういった古くからの拠点の一つである。

名称の由来

ジャンクション(交点)の名称は、多くの場合で所在地名を元に名付けられる。その交点から到る場所の名称や交わる方向から名付けられることも多い。

特徴的なものとして、イギリスでは交点の角にあったパブの名前をそのまま交点の名称としているケースが見受けられる。これはパブが交易の盛んな場所に立地していたことに由来するもので、パブがなくなった後もその名前が残っているものである。

現代のジャンクション

20世紀の到来と共に車両交通はその往来量を増し、町中に設けられるジャンクション(交点)もかつてのような交易点としての位置づけは薄れ、大量の交通を制御するための機能が増していった。加えて、中心市街地の多量の交通を捌くために中心市街地の周囲にバイパス道路環状道路が設けられるようになっている。

近年では、多量の交通を捌くために常時左折(右折)可などの特徴的な制御方法が用いられるようになっている。

平面交差点とインターチェンジ

道路を結節させる方法としては、大きく分けて交差点による制御(平面交差)と、インターチェンジによる制御(立体交差)に分けられる。

  • 立体交差(インターチェンジ)は、多量の交通が一点で交わることを防ぐために、異なる高さで交わらせた複数の道路を、勾配をつけた連絡路(ランプ)で接続させた構造となっている。
  • 平面交差(交差点)は、立体交差とは逆に複数方向の交通を平面上の一点で交わらせ、交通を制御するものである。信号制御によるものや、交差構造で制御するもの(ロータリー交差点ラウンドアバウトなど)、交差する交通量の差で制御するもの(優先道路)が存在する。

日本のジャンクション

日本の道路においてジャンクションと称する場合、主として高速道路に於いて、別の路線同士を連結し、路線間での接続をするための施設の呼称として使われる。JCTもしくはJCと略記されることもある。

施設の定義としては、道路法(昭和二十七年六月十日法律第百八十号)第四十八条の三に定義された「自動車専用道路の部分を道路、軌道、一般自動車道又は交通の用に供する通路その他の施設と交差させようとする場合の当該交差の方式」に規定された立体交差となる施設であり、その構造は道路構造令などの法令によって定められている。

道路立体交差の内、「ランプが複数ある構造の施設」が「インターチェンジ構造の施設」であり、その「インターチェンジ構造の施設」の一部が「ジャンクション」であるので、構造面等では「ジャンクション」と「インターチェンジ」との間で違いはほとんど無い[1]。両者の使い分けとしては、「インターチェンジ」が一般道路と高速道路の結節点に用いられているのに対し、「ジャンクション」は複数の高速道路同士の結節点に用いられている[2]。但し、法令などで呼称の付け方に対しての縛りは特に無く、高速道路同士の結節点であっても(料金所があるなどの理由で)「インターチェンジ」と称している事例も複数ある。かつての首都高速道路はジャンクションをインターチェンジと呼称していたが、現在は全てジャンクションに統一している。

なお大竹JCTなど、ランプを持たない本線上の道路境界を管理上の正式名称として「ジャンクション」と呼称する例もある。このような場合、案内標識では特にジャンクションとして案内されないことが多い。


脚注

  1. 美女木ジャンクションのように連絡部が平面交差により結節されている(本線同士は立体交差)ものもあるので例外はある。
  2. 武部健一 2015, p. 196.

参考文献

  • 武部健一 『道路の日本史』 中央公論新社〈中公新書〉、2015-05-25。ISBN 978-4-12-102321-6。

関連項目