西武鉄道
西武鉄道株式会社(せいぶてつどう、英称:SEIBU RAILWAY Co.,Ltd.[1])は、埼玉県所沢市に本社を置く鉄道事業者である。登記上の本店所在地は東京都豊島区南池袋。
東京都北西部から埼玉県南西部に路線を有する鉄道・沿線・不動産事業を行う西武グループの主要企業で、大手私鉄の一つである。また、プロ野球・埼玉西武ライオンズの親会社(2009年から)である。
「西武」の名称は武蔵国の西部に由来する。また、利用客は西武鉄道の路線のことを「西武線」と呼ぶことが多く、車内放送などでも「西武線」と呼称している。
特色
西武鉄道は東京急行電鉄と同じように、企業の多角化が他社よりも早く行われ、また自社の不動産が大きな利益を上げている。他社に比べ土地の買収が早く、西武沿線は勿論のこと、神奈川県の京浜急行電鉄沿線、千葉県の房総や伊豆箱根地方や、遠く滋賀県にまで及んでいる。七里ヶ浜海岸を私有地として保有していて、海岸を持つ数少ない鉄道会社となっている。
昭和中期には箱根の不動産開発をめぐり小田急グループ(当時の東急系)と「箱根山戦争」と称される縄張り争いが繰り広げられた。現代では、2003年から小田急電鉄と観光地や鉄道沿線事業での提携や、共通商品の開発に乗り出して功を奏している。
鉄道事業での収入より不動産部門の方が主となっているが、2006年のグループ再編により、日本国内のリゾート関係の不動産は兄弟会社のプリンスホテルや西武プロパティーズ(旧西武不動産販売)へ段階的に譲渡されている。都心や駅前の超一等地や箱根、軽井沢、湘南などの人気リゾート地に広大な土地を所有しており、企業の土地資産価値で日本一の時代もあった。その恵まれた土地資産を活用して、石神井公園、大泉学園、小手指などの沿線の再開発の他、赤坂プリンスホテル跡地に大規模な再開発であるガーデンテラス紀尾井町を開業した。また、池袋、所沢、品川、高輪でも再開発が進行中や計画中である。
また、大手私鉄では唯一自社所属グループ内に百貨店などの流通系商業店を持っていない。これは、創業者である堤康次郎死後、西武鉄道グループ(現、西武グループ)と西武流通グループ(セゾングループ、2000年代に実質解体)の2グループに分かれたため。ただし、2003年のミレニアムリテイリング第三社割当増資時に和田繁明社長(当時)が堤義明会長(当時)へ打診し、西武鉄道が出資を引き受けた。2006年の西武ホールディングス設立に伴うコクドの第三者割当増資時にはミレニアムが10億円出資を引き受け、セブン&アイ・ホールディングスがミレニアム株式を現金で買上げるまでの数か月間は株式の持ち合い状態であった。
西武百貨店の小店舗として登場した西友が西武沿線に多いのは、グループ分裂前に発展過程で店舗と土地を賃貸しているのが、現在まで継続しているからである。しかし、西友が米ウォルマートの子会社になってからも西友との繋がりは未だに深く、西武鉄道の開発するニュータウンや駅改良工事後に、西友の新店舗が開店することが多い。また、西友の小売事業として発足したファミリーマートとは、駅ナカコンビニTOMONYの展開で提携している。
一方で西武鉄道グループとしても、西武プロパティーズ(旧西武商事)を介して、PePeやEmioなどの駅ビルやBIG BOX・アウトレットモールといった大型商業施設の運営を行っている。また、「西武観光」と称する旅行代理業部門を擁しており、一般客向けには西武線のターミナル駅構内に窓口が置かれている。
近年は東京移住者が増加傾向にある。西武鉄道の利用者の数は減ってはいないものの隣の京王電鉄などと比較すると増加の割合は2009年度現在、約3%も西武鉄道の方が少ない。他社、特に小田急電鉄や東京急行電鉄では利用客の増加に対応し線路の複々線化が活発であるが、少子高齢化が進行すれば利用客の減少が近いうちに問題となることを予想し、西武鉄道では複々線化について歯止めをかけている。
一方、老朽化した駅施設などのリニューアルは活発に行われており、平成11年(1999年)の田無を皮切りに、野方、花小金井、狭山市、東長崎、江古田、東久留米、所沢の各駅で駅舎の全面改築が行われている。
2007年からはファミリーマートと協業した駅売店「TOMONY」や駅ビル型の中小規模な駅ナカ商業施設として「Emio(エミオ)」を開業させ、駅の改築に合わせて順次展開していく見通しである。
脚注
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