コクド
株式会社コクドは、かつて存在した西武鉄道グループのデベロッパーである。西武鉄道の元親会社。旧社名は国土計画株式会社[1]。本社は東京都渋谷区神宮前(原宿駅前)にあった。
概説
西武グループを築きあげた堤康次郎が設立した開発業者で、大正から昭和初期に国立市(国立駅)や小平市(一橋学園)の学園都市開発、箱根(仙石原など)・軽井沢(千ヶ滝・南軽井沢・レイクニュータウンなど)の別荘地開発を手掛け成長する。不動産開発業者であるとともに、事実上の西武鉄道グループの持株会社であり、西武鉄道やプリンスホテル等の株式を多く保有していた。
コクド自体は、非公開企業で株主は堤家であるため、株主であり代表取締役会長でもあった堤義明が実質的なオーナーとして、実態を公開する必要なく西武グループ全体に強い影響力を有していた。ゴルフ場やスキー場を有し、日本最大の索道(リフト・ゴンドラ・ロープウェイ)事業者でもあった。
堤は政財界との繋がりが強い一方でウィンタースポーツを中心としたスポーツ振興に積極的でもあり、日本オリンピック委員会会長に就任して長野オリンピックの誘致に携わっている。プロ野球・西武ライオンズの元親会社(吸収によって2008年までプリンスホテルが親会社。2009年以降西武鉄道へ経営権が移動)であり、アイスホッケーチームを保有。いずれも強豪チームとして一時代を築き上げていた。
旧称が国土計画株式会社であることから中堅ゼネコンの日本国土開発株式会社と間違えられることがあるが、関連は一切ない(関連会社としては西武建設がある)。
西武グループへの再編
- 参照: 西武ホールディングス
しかし、2004年に発覚した西武鉄道の証券取引法違反事件の影響によるみずほ銀行主導の経営再建策により、2005年11月にコクドは新設したNWコーポレーションと株式交換を実施し、それまでのコクド株主(堤家)はNW社株主へ移行されコクドは同社の完全子会社となった。2006年2月1日に旧プリンスホテル(西武鉄道子会社)に吸収合併され、コクドは解散した。神宮前の本社屋も売却された。
同年3月に実施された旧プリンスホテルから(機関投資家を相手とする第三者割当増資を実施した)西武ホールディングスへの株式移転段階で、NW社の出資比率が大幅に低下した。
沿革
- 1920年3月25日 - 堤康次郎により箱根土地株式会社を設立。
- 1944年2月 - 国土計画興業株式会社に社名変更[1]。
- 1965年6月 - 国土計画株式会社に社名変更[1]。
- 1978年10月 - プロ野球・パシフィックリーグ:クラウンライターライオンズを買収、堤義明がオーナーに就任。
- 1992年3月 - 株式会社コクドに社名変更[1]。
- 2004年10月 - 堤義明が西武鉄道の有価証券報告書虚偽報告の責任を取る形で、会長及び西武ライオンズオーナーを辞任することを発表した。
- 2005年1月 - 西武グループの経営改革委員会で、コクドを堤家の資産管理会社とその他の事業の2社に分割したうえで、後者を西武鉄道(株式上場廃止)ならびにプリンスホテルと合併させる方向で検討される。
- 2005年3月 - 堤義明、証券取引法違反容疑で逮捕される。
- 2005年8月 - 西武鉄道・プリンスホテルと共同で持株会社方式によるグループ再編計画を発表する。
- 2005年11月 - 堤義明、並びに法人としてのコクド・西武鉄道の有罪が確定(コクドは罰金1億5000万円、西武鉄道は罰金2億円)。
- 2005年11月 - 株式会社コクドの100%持株会社「NWコーポレーション」が設立される。
- 2006年2月1日 - グループ再編でプリンスホテルに吸収合併され解散[1]。本社があった原宿のコクドビルは同年に解体。
当時の子会社
脚注
関連項目
- 西武ホールディングス - 合併直後の2006年2月3日に西武鉄道とともに株式交換で設立された持株会社。
- 株式会社横浜八景島
- 西武鉄道アイスホッケー部・コクドアイスホッケーチーム→SEIBUプリンス ラビッツ
- 大洋球団 - かつて株式を45%保有していたが、クラウンライターライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)買収時にニッポン放送(現・フジ・メディア・ホールディングス、30%)と東京放送(現・東京放送ホールディングス、15%)へ売却している。
- 横浜スタジアム
外部リンク
- 原宿駅前、旧コクド本社ビルの建築計画が明らかに - シブヤ経済新聞(2006年12月11日)