幕内
幕内(まくのうち、まくうち)は、大相撲の番付の階級。十両の上。
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概要
大相撲で6つある階級・リーグ(幕内・十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口)の最高級で、相撲界の最高位を構成し、番付でも最上段に記載されている。本場所では15日間毎日取組が組まれ、NHKによって全世界に生中継される。幕内の取組は中入後に行われる。現在の定員は42人(2004年1月場所以降)。
本場所の取組は原則幕内同士であるが、休場などにより幕内の出場者が奇数になった場合や、場所終盤の入れ替え戦などの場合は、幕内下位の力士が十両力士と対戦することがある。
十両力士が本場所の控の席で共用の座布団を使うのに対して、幕内力士は私物の座布団を使うことができる。また、幕内力士は自分の四股名の入った浴衣を作ることができる。さらに、夏場は染め抜きの着物を着用することができる。
幕内最高優勝を果たした力士は、千秋楽の全取組終了後に行われる表彰式にて天皇賜杯と優勝旗を授与される。加えて優勝額が贈呈され、5年余りにわたって国技館に掲額される。賞金は1000万円。また、横綱・大関以外の成績優秀者には三賞が贈られる。
幕内の中でも特に上位の力士は、上から横綱・大関・関脇・小結と呼ばれる特別な地位を与えられており、大半を占める前頭と比べて待遇面でさらに優遇される。なお、大関・関脇・小結を総称して三役と呼ばれ、また前頭の力士を三役力士と区別する際には平幕と呼ぶ。前述の定員が42人というのは横綱や三役も含めた幕内力士全体の定員なので、横綱や三役の人数が増えればその分前頭が減ることになる。番付には横綱を欠くことがあっても、三役(大関・関脇・小結)は番付上必ず最低2人ずつ置かねばならず、(純粋な)大関が1人または不在の場合は、横綱が番付上大関を兼ねることになっていて、この場合は横綱大関の名称を用いる。
十両力士が幕内に昇進することを入幕(にゅうまく)と呼ぶ。このうち初めて入幕することを新入幕、二度目以降の入幕を返り入幕(かえりにゅうまく)あるいは再入幕と呼び区別することもある。入幕・十両への陥落についての基準は各々の成績や幕内力士の引退者数に左右されるため一定していない。
幕内を通算20場所務めた力士、幕内と十両を通算して30場所以上務めた力士、および1場所以上三役を経験した力士は年寄襲名の資格を得る。
幕内上位
正式な区分ではないが、概ね前頭四枚目、五枚目以上(横綱・大関の人数にもよる)を幕内上位と呼ぶ場合がある。これは取組編成上、この番付を境にして互いに対戦することが少なく、同じ幕内でも事実上、二部リーグ制のようになることからである。理論上は、上から16番目の力士は15番すべて番付上位の力士と対戦、17番目の力士は全て番付下位の力士との対戦となる。1960年代までは、番付編成上の内規として、〈前頭5枚目以上、もしくは横綱・大関と対戦した力士は、全敗でも十両には落とさない〉というものがあったが、1971年に廃止が明言された[1]。
そのため、力をつけていく途上の力士は幕内(下位)に定着した後、初めて幕内上位に昇進した場所では、10敗以上などの大負けをして跳ね返される例が多い。それと比較すると、新小結では既に、前頭上位の地位で上位総当り戦で勝ち越せる実力を身につけているため、そこまで極端な大負けをする例は多くない。見方によっては幕内上位と下位では、三役と平幕の間以上の差があるとも言える。
記録
幕内連続在位記録
四股名 | 連続在位場所数 | 期間 | 内訳 |
---|---|---|---|
魁皇博之 | 106場所 | 1993年11月場所-2011年7月場所 | 大関65場所・関脇21場所・小結11場所・平幕9場所 |
高見山大五郎 | 97場所 | 1968年1月場所-1984年1月場所↓ | 関脇8場所・小結19場所・平幕70場所 |
寺尾常史 | 90場所 | 1985年7月場所-2000年5月場所↓ | 関脇7場所・小結6場所・平幕77場所 |
安芸乃島勝巳 | 1988年7月場所-2003年5月場所 | 関脇12場所・小結15場所・平幕63場所 | |
琴ノ若晴將 | 89場所 | 1991年3月場所-2005年11月場所 | 関脇2場所・小結7場所・平幕80場所 |
- ↓は十両に陥落、無印は引退。
- 四股名は幕内で最後に名乗ったもの。
- 魁皇の在位期間中には大相撲八百長問題による本場所中止1場所がある。
スピード入幕記録
前相撲からの記録
四股名 | 所要場所数 | 前相撲 | 序ノ口 | 序二段 | 三段目 | 幕下 | 十両 | 初土俵 | 新入幕 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
常幸龍貴之 | 9場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 3場所 | 2011年5月場所 | 2012年11月場所 |
大砂嵐金太郎 | 10場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 3場所 | 2場所 | 2012年3月場所 | 2013年11月場所 |
北勝富士大輝 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 4場所 | 2場所 | 2015年3月場所 | 2016年11月場所 | |
琴欧州勝紀 | 11場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 4場所 | 2場所 | 2002年11月場所 | 2004年9月場所 |
阿覧欧虎 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 4場所 | 2場所 | 2007年1月場所 | 2008年11月場所 | |
正代直也 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 5場所 | 2場所 | 2014年3月場所 | 2016年1月場所 | |
高鐵山圭介 | 12場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 6場所 | 1978年9月場所 | 1980年9月場所 |
小錦八十吉 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 3場所 | 4場所 | 1982年7月場所 | 1984年7月場所 | |
栃東大裕 | 1場所 | 2場所 | 1場所 | 1場所 | 4場所 | 3場所 | 1994年11月場所 | 1996年11月場所 | |
朝青龍明徳 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 6場所 | 2場所 | 1999年1月場所 | 2001年1月場所 | |
時天空慶晃 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 6場所 | 2場所 | 2002年7月場所 | 2004年7月場所 | |
嘉風雅継 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 4場所 | 3場所 | 2004年1月場所 | 2006年1月場所 | |
把瑠都凱斗 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 4場所 | 3場所 | 2004年5月場所 | 2006年5月場所 | |
境澤賢一 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 4場所 | 4場所 | 2006年3月場所 | 2008年3月場所 | |
山本山龍太 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 2場所 | 5場所 | 2場所 | 2007年1月場所 | 2009年1月場所 | |
宇良和輝 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 1場所 | 3場所 | 5場所 | 2015年3月場所 | 2017年3月場所 |
- 年6場所制以降。
- 四股名は新入幕時のもの。
- 把瑠都は十両2場所目を全休、1場所幕下に陥落している。
幕下60枚目格付け出しからの記録
四股名 | 所要場所数 | 幕下 | 十両 | 初土俵 | 新入幕 |
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長岡末弘 | 4場所 | 2場所 | 2場所 | 1978年3月場所 | 1978年11月場所 |
武双山正士 | 2場所 | 2場所 | 1993年1月場所 | 1993年9月場所 | |
雅山哲士 | 2場所 | 2場所 | 1998年7月場所 | 1999年3月場所 | |
大輝煌正人 | 5場所 | 4場所 | 1場所 | 1990年3月場所 | 1991年1月場所 |
輪島博 | 6場所 | 2場所 | 4場所 | 1970年1月場所 | 1971年1月場所 |
出島武春 | 3場所 | 3場所 | 1996年3月場所 | 1997年3月場所 |
- 四股名は新入幕時のもの。
スロー入幕記録
四股名 | 所要場所数 | 前相撲 | 序ノ口 | 序二段 | 三段目 | 幕下 | 十両 | 初土俵 | 新入幕 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
星岩涛祐二 | 115場所 | 1場所 | 1場所 | 17場所 | 25場所 | 50場所 | 21場所 | 1970年5月場所 | 1989年7月場所 |
旭南海丈一郎 | 105場所 | 1場所 | 3場所 | 17場所 | 19場所 | 35場所 | 30場所 | 1993年3月場所 | 2010年9月場所 |
芳東洋 | 93場所 | 1場所 | 1場所 | 3場所 | 15場所 | 69場所 | 4場所 | 1996年1月場所 | 2011年9月場所 |
琴春日桂吾 | 91場所 | 1場所 | 1場所 | 14場所 | 24場所 | 42場所 | 9場所 | 1993年3月場所 | 2008年5月場所 |
琴椿克之 | 89場所 | 1場所 | 1場所 | 15場所 | 15場所 | 48場所 | 9場所 | 1976年3月場所 | 1991年1月場所 |
- 四股名は新入幕時のもの。
- 芳東には十両時代に大相撲八百長問題による本場所の中止1場所がある。