スカンディナヴィア
スカンディナヴィア(英語: Scandinavia)は、ヨーロッパ北部のスカンディナヴィア半島周辺の地域。日本語ではスカンディナビア、スカンジナビア、スカンジナヴィアとも表記される。英語での発音はスキャンダネイヴィアに近い。
語源
スカンディナヴィアの語源は詳らかではないが、大プリニウスが『博物誌』にラテン語でスカディナヴィア(スカーディナウィア[1](Scadinavia[1])とも)と記述したのが文献に見える最古のものとされている。その名はスコーネ(Skaane)に由来していると考えられている[2]。 「Scandi-」が「Skåne」(スコーネ)を意味し、「-avia」はラテン語表記された言葉で「島」を意味する。古ノルド語ではScaneyであり、「-ey」が「島」を指す[3]。 またゲルマン人の故地として知られており、東ゴート王国の研究家ヨルダネスが「ゴート人は海の向こうのスカンザ(Scandza)から来た」と伝えている[4]。
古ノルド語で「暗い島」とも言われる。「暗い」はskad, 「島」はaujo(da:ø, sv:ö, no:øy)[注釈 1]。。
範囲
ここに位置する国々をスカンディナヴィア諸国というが、歴史的な理由により次の三国を指す。
域外ではしばしばフィンランド、そしてしばしばアイスランドをも含むことがある。ドイツ語圏ではフィンランドを含み、英語圏ではそれに加えてアイスランドを含む。日本では英語圏の影響により、北欧諸国と同一視される。
歴史
スカンディナヴィア半島は、プトレマイオスの世界地図では当初、小さな島として描かれていた[3]。
長い間、前述の三国の領域が北欧の領域と同じであったが、ナポレオン戦争によりフィンランドがスウェーデン領からロシア領になった後、「北欧」に代わってこの三国を現す新しい呼び名が必要になり、「スカンディナヴィア」という単語がこの役割を担うこととなった。従ってフィンランドは本来は含まれない。今日、この三国はいずれも立憲君主制国家である。
19世紀には、北欧諸国を中心に汎スカンディナヴィア主義が高揚し、北欧の一体化を望む運動が、スウェーデンを中心に行われたが、すでに国民国家を築いていた北欧三国は、ドイツの様に統一する事はなく現在に至っている。
特徴
スカンディナヴィアの気象は東西でまったく異なる。半島を二分するスカンディナヴィア山脈を隔てて西部が温暖な地域である。一方、バルト海に面する東部は、冷涼とした気候である。このため、地政学上でもまったく東西で二分されている。スカンディナヴィア西部、ノルウェーとデンマークは古代より海洋国家であり、海との繋がりが深い。一方東部のスウェーデンは、陸との繋がりが深く、大陸国家を築いてきた。スウェーデンと繋がりが深いフィンランドでも同様である。地政学では、デンマークを海洋=帝国型、ノルウェーを海洋=属国型、スウェーデンを大陸=帝国型、フィンランドを大陸=属国型と分類する。
言語
サーミ人地域
スカンディナヴィア半島北部には、少数民族としてサーミ人がいる。フィンランドなどを含めて北欧中心に半国家を形成している。これらの地域は、一般的に「ラップランド」と呼称される。
- スウェーデン
- ノルウェー
脚注
注釈
- ↑ 『ゲルマーニア』(岩波文庫、1979年改訳)26頁の注釈によれば、「-avi-a」は北欧語で「湿地、島」を意味する語の古形「awio-」に関連するという。ドイツ語では「Aue」。
出典
参考文献
- 百瀬宏、熊野聰、村井誠人共同執筆 「序章 一つの世界としての『北欧』」『北欧史』 百瀬宏、熊野聰、村井誠人編、山川出版社〈新版 世界各国史 21〉、1998-08。ISBN 978-4-634-41510-2。
- 梅田修 『地名で読むヨーロッパ』 講談社〈講談社現代新書 1592〉、2002-02。ISBN 978-4-06-149592-0。