山口宇部空港
山口宇部空港(やまぐちうべくうこう Yamaguchi-Ube Airport)は、山口県宇部市に所在する特定地方管理空港である。本州の空港としては最西端に位置する。
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概要
空港法では拠点空港に分類されるが、国ではなく地方自治体である山口県が管理する特定地方管理空港である。旧空港整備法の規定では第2種(B)空港に分類された。
山口宇部空港に近接する空港としては、直線距離が近い順に北九州空港(北九州市)、福岡空港(福岡市)、岩国飛行場(山口県岩国市)、石見空港(島根県益田市)等がある。
かつて、空域が重なる北九州空港とは、同じ時間帯に出発機・到着機がある場合、両空港の発着便は同時に進入することができず、一方を待機させる必要があった。このため、双方の空港で遅延が発生していたが、2008年3月13日、両空港に航空自衛隊築城基地からのターミナルレーダー管制が導入されたことで、出発機・到着機を同時に取り扱うことが可能となり、この問題は解消している。
歴史
- 1966年(昭和41年)7月1日 - 県営宇部空港として開港(滑走路L=1200m、W=30m)。運用時間8型(8:00 - 16:00)。全日本空輸の東京/羽田便(1日1往復)と日本国内航空の大阪/伊丹便(1日1往復)が就航。
- 12月1日 - 北九州便(1日1往復)が就航。
- 1968年(昭和43年)6月 - 空港照明電気施設(飛行場灯台、滑走路灯、エプロン灯など)供用開始。
- 1969年(昭和44年)4月 - 大阪/伊丹便が1日2往復に増便。
- 1970年(昭和45年)4月 - 東京/羽田便が1日2往復に増便。
- 1972年(昭和47年)4月 - 大阪/伊丹便が1日3往復に増便。
- 1977年(昭和52年)9月 - 大阪/伊丹便廃止。前々年の山陽新幹線開通による乗客の流出が原因とされる。
- 1979年(昭和54年)11月 - 沖合側の新滑走路(L=2,000m、W=45m)供用開始に伴い、旧滑走路運用休止。
- 1980年(昭和55年)
- 1981年(昭和56年)7月 - 東京/羽田便が週4日3往復に増便(7月から全日3往復)。
- 1983年(昭和58年)11月 - 旧滑走路廃止。
- 1984年(昭和59年)7月 - 運用時間11.5時間(8:00 - 19:30)に延長。東京/羽田便が週2日4往復に増便(1985年2月から週4日4往復、1986年7月から全日4往復)。
- 1987年(昭和62年)7月 - 運用時間13時間(7:30 - 20:30)に延長。
- 1989年(平成元年)9月 - 東京/羽田便が暫定5往復に増便(1990年12月から全日5往復)。
- 1993年(平成5年)5月 - 札幌/新千歳便就航(週3往復)。
- 1995年(平成7年)4月 - 東京/羽田便の夜間駐機開始。
- 1997年(平成9年)
- 4月 - 札幌/新千歳便が週4往復に増便。
- 7月 - 那覇便就航(週3往復)。
- 1998年(平成10年)12月 - 那覇便運休。
- 1999年(平成11年)
- 2000年(平成12年)3月 - 3代目・現行旅客ターミナルビル(国内線ターミナルビル)供用開始。2代目旅客ターミナルビルは国際線ターミナルビルに転用。
- 2001年(平成13年)3月24日 - 滑走路延伸(L=2,500m、W=45m)。
- 2002年(平成14年)
- 2005年(平成17年)7月 - 運用時間14時間(7:30 - 21:30)に延長。
- 2009年(平成21年)3月 - 済南遥墻国際空港と友好協定を締結[1]。
- 2011年(平成23年)3月27日 - 日本航空の東京/羽田便が増便(1日4往復)[2]。
- 2013年4月1日 - 福岡航空測候所山口宇部空港出張所閉鎖。また、航空管制技術官の配属がなくなる。
- 2014年10月26日 - スターフライヤーの東京/羽田便が就航(1日3往復)[3]し、トリプルトラック化。全日本空輸の東京/羽田便が減便(1日3往復)[4]。ただし、スターフライヤーが運行する全便が全日本空輸とのコードシェア便であるため、実質的に全日本空輸の東京/羽田便は1日6往復に増便した[4]。
- 2016年11月28日 - エアソウルによるソウル/仁川線が2017年3月25日までの冬ダイヤ期間限定で就航(週3便/月、水、土)[5][6]。
利用状況
2017年3月現在、定期便は東京(羽田)線が就航しており、その他は国内線(主に北海道・沖縄方面)と国際線(主に東アジア方面)のチャーター便が年数回設定されている。
当空港の利用客数は増加を遂げていたが、2003年度(平成15年度)の約96万人をピークに減少に転じ、2009年度(平成21年)には70万人台まで落ち込んだ[7][8]。その後2012年度に80万人台まで回復し、2014年度は約87万人となった[8][9]。
山口県と東京を結ぶ交通機関のシェアは、当空港の利用者数がピークであった2003年度には航空機が約71%を占めていた[10]。しかし、2003年10月1日に山陽新幹線の新山口駅と徳山駅に当時の最速達列車であった「のぞみ」が停車を開始して以降は一貫して新幹線への流出が続き、2012年度には航空機シェアは約59%に低下した[10]。2013年度以降は再び航空機シェアが上がっており、2015年度は約70%に回復した。
定期便およびチャーター便を含む利用客数の推移は次のとおり。
年度 | 利用者数(増減) | 出典 |
---|---|---|
2001年度 | 740,114 | [7] |
2002年度 | 923,157(△183,043) | [7] |
2003年度 | 961,819(△ | 38,662)[7] |
2004年度 | 920,401(▼ | 41,418)[7] |
2005年度 | 921,916(△ | 1,515)[7] |
2006年度 | 903,133(▼ | 18,783)[7] |
2007年度 | 886,817(▼ | 16,316)[7] |
2008年度 | 850,052(▼ | 36,765)[8] |
2009年度 | 768,916(▼ | 81,136)[8] |
2010年度 | 776,050(△ | 7,134)[8] |
2011年度 | 762,509(▼ | 13,541)[8] |
2012年度 | 834,422(△ | 71,913)[8] |
2013年度 | 848,700(△ | 14,278)[9] |
2014年度 | 873,581(△ | 24,881)[9] |
2015年度 | 905,453(△ | 31,872)[11] |
2016年度 | 930,029(△ | 24,576)[11] |
施設
空港施設としては、国内線旅客ターミナルビル(3代目ターミナルビル)の他に、国際線旅客ターミナルビル(2代目ターミナルビルを転用)等があり、いずれも山口宇部空港ビル株式会社が管理・運営を行っている。
国内線旅客ターミナルビル
2000年(平成12年)3月に、3代目の旅客ターミナルビルとして供用が開始された。国際線旅客ターミナルビルとは2階および3階の連絡通路で接続しており、3階の一部は送迎デッキとなっている。ビルの2階には、やまぐち特産品プラザ、ANA FESTA、ココス、あす花亭等が入居しており、商業施設としての機能も併せ持つ。
- 建築概要
国際線旅客ターミナルビル
1980年(昭和55年)7月に、2代目旅客ターミナルビル(延床面積3,636m2)として供用が開始され、その後3代目旅客ターミナルビルの供用開始に伴い、「国際線旅客ターミナルビル」に転用された。国際線のチャーター便に利用されていたが、2016年11月28日から2017年3月25日まで定期便が就航した[5][6]。
ビルの1階には、山口県の観光案内施設「おいでませ山口観光情報プラザ」や宇部警察署山口宇部空港警備派出所が入居している。2階の出国待合室(スカイホール)および出発ロビー(スカイギャラリー)は、国際チャーター便の運航時以外は地域活動や市民活動等でイベントや集会・展示等を行うイベントホール「山口宇部空港会館」として活用されている。国内線旅客ターミナルビルとは2階および3階の連絡通路で接続しており、3階の一部は送迎デッキとなっている。
空港内に施設をもつ行政機関・企業
- 行政機関
-
- 気象庁福岡航空測候所山口宇部空港出張所
- 国土交通省大阪航空局山口宇部空港出張所
- 山口県宇部港湾管理事務所分庁舎
- 山口県消防防災航空センター(県消防防災ヘリコプター)
- 山口県警察航空隊
その他
- 空港ビルアネックス
- 2013年、国内線旅客ターミナルビルの東側に完成。レンタカーターミナルや山口宇部空港ビル本社、山口宇部空港ビルサービス本社等が入居している[13]。旧空港ビルアネックスは初代旅客ターミナルビルの一部として供用が開始され、2代目旅客ターミナルビルの完成に伴い事務所ビルへと転用された。新ビルへの移転に伴い解体され、跡地には貨物ビルが整備された。
- ふれあい公園
- 国内線旅客ターミナルビルの東側には空港の拡張と並行して整備が行われた「ふれあい公園」があり、彫刻や風力発電機、ミニ滑走路、あずま屋等が設置されている。また、園内の遊歩道からは滑走路に発着する飛行機を間近に見ることが出来る。入園料は無料。
- 滑走路を離着陸する飛行機を間近で見学する事が出来る。そのため、家族連れや航空ファンが訪れ、スポッティングや撮影が行われる。
就航路線
航空会社名が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便。
かつての定期就航路線
行き先 | 旅客数 | 国内線順位 |
---|---|---|
東京国際空港 | 約79万人 | 上位33位 |
アクセス
道路
- 山口県道220号宇部空港線 - 大沢西交差点を経て国道190号、山口宇部道路(宇部南IC)に接続。
鉄道
リムジンバス
乗合タクシー
以下の地域へ乗合タクシーが運行されている。
「宇部方式」を用いた問題解決
空港建設やジェット化にあたっては、宇部市の煤塵問題の解決等に用いられた「宇部方式」と呼ばれる科学的なデータを用いて自治体・学識経験者・住民らが相互に話し合いをする手法を用いて、成田空港問題のような流血の事態を起こすことなく騒音問題等を解消した[17][18]。
関連項目
脚注
- ↑ “山口宇部空港と済南(さいなん)国際空港との友好協定締結” (日本語) (プレスリリース), 山口県交通運輸対策室, (2009年3月2日) . 2012閲覧.
- ↑ “JALグループ、2011年度の路線便数計画を決定” (日本語) (プレスリリース), JALグループ, (2011年1月20日) . 2012閲覧.
- ↑ “山口宇部‐羽田線 新規就航のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), スターフライヤー, (2014年6月18日) . 2014閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 “ANAとSFJの提携がさらに広がります! 〜2014年10月26日より、羽田-山口宇部線のコードシェアを開始〜” (プレスリリース), 全日本空輸・スターフライヤー, (2014年7月23日) . 2014閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 山口宇部-ソウル定期便就航 3月まで週3往復 - 山口新聞 2016年11月29日
- ↑ 6.0 6.1 6.2 「山口宇部―ソウル仁川線」今期最終便の運航について - 山口県 2017年3月23日
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 7.6 7.7 平成20年刊 山口県統計年鑑
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 8.5 8.6 平成25年刊 山口県統計年鑑
- ↑ 9.0 9.1 9.2 2015年4月3日付け山口県報道発表
- ↑ 10.0 10.1 山陽新幹線・航空機との競合 JR西日本
- ↑ 11.0 11.1 “平成28年度における県内2空港の利用状況について” (プレスリリース), 山口県交通政策課, (2017年4月17日) . 2018閲覧.
- ↑ 山口宇部空港給油施設株式会社(ANAグループ一覧)
- ↑ ターミナルマップ|山口宇部空港ビル株式会社
- ↑ https://www.ana.co.jp/group/company/ana/chronology/1960.html 年表詳細 - ANAグループ企業情報
- ↑ “平成25年度の航空輸送統計の概況について” (PDF) (プレスリリース), 国土交通省, (2014年6月3日)上位50位までを記載
- ↑ 山口宇部空港の利用に関する企業アンケート結果 山口県
- ↑ 原口和久『成田空港365日』崙書房、2000年、58-59頁。
- ↑ “宇部方式の歩み”. 宇部市 (2014年3月25日). . 2017閲覧.
外部リンク