国道352号
国道352号(こくどう352ごう)は、新潟県柏崎市から栃木県河内郡上三川町に至る一般国道である。
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概要
新潟県中部から福島県南会津地方を横断し、栃木県へと抜けるルートを採るが、新潟・福島県境を除くと相当部分が他の国道との重複区間となっている。新潟県長岡市内には未開通区間が残る。また新潟・福島県境前後は豪雪地帯であるため、冬期交通不能区間である。
新潟県魚沼市から福島県檜枝岐村までは枝折峠や奥只見湖沿い、そして県境付近で急カーブの連続した1 - 1.5車線程度の断崖絶壁に沿った狭隘な道が続き、俗に言う「酷道」の1つに挙げられている[1]。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[2][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点 : 柏崎市(柏崎市柳橋町 : 柳橋町交差点 = 国道8号交点)
- 終点 : 栃木県河内郡上三川町(栃木県河内郡上三川町大字上三川 : 上三川交差点 = 新4号国道、栃木県道47号真岡上三川線交点)
- 重要な経過地:新潟県三島郡出雲崎町、同郡三島町[注釈 2]長岡市、同県北魚沼郡広神村[注釈 3]、同郡小出町[注釈 3]、同郡湯之谷村[注釈 3]、福島県南会津郡檜枝岐村、同郡伊南村[注釈 4]、同郡田島町[注釈 4]、栃木県塩谷郡藤原町[注釈 5]、今市市[注釈 5]、鹿沼市、同県下都賀郡石橋町[注釈 6]
- 総延長 : 331.3 km(福島県 82.0 km、栃木県 96.9 km、新潟県 152.4 km)[3][注釈 7]
- 重用延長 : 90.3 km(福島県 6.8 km、栃木県 77.6 km、新潟県 5.9 km)[3][注釈 7]
- 実延長 : 241.0 km(福島県 75.3 km、栃木県 19.3 km、新潟県 146.5 km)[3][注釈 7]
- 指定区間[4] : なし[注釈 8]
歴史
奥只見湖前後の区間は、中世から徒歩通行可能な峠道は存在したものの、自動車が通行可能な水準の道路整備進展は遅く、大湯温泉から銀山平までの車道開通は太平洋戦争中、さらに県境を越えて檜枝岐までの自動車道路が全通したのは、国道昇格直前の1972年(昭和47年)であった。
国道指定当初は、長岡市から今市市までの国道であったが、1982年(昭和57年)、1993年(平成5年)と国道指定区間が延長された。 1990年代に入る頃まで、枝折峠周辺に未舗装(ダート)区間が残っていたが、現在はすべてが舗装路となった[5]。
年表
- 1975年(昭和50年)4月1日 - 一般国道352号(栃木県今市市(現・日光市) - 新潟県長岡市)
- 1982年(昭和57年)4月1日 - 一般国道352号(新潟県柏崎市 - 栃木県下都賀郡石橋町(現・下野市))
- 1993年(平成5年)4月1日 - 一般国道352号(新潟県柏崎市 - 栃木県河内郡上三川町)
路線状況
奥只見湖畔の屈曲区間は、沢の水が橋もなく道路上を流れる洗い越しが多数存在し[6]、雨量が多くなると通行止めになる。極端に狭くなるところはないが、谷を挟んで湖の対岸に続く同じ国道が見えていながらそこにたどり着くためには、谷に架かる橋もないため、同じような風景が延々続く単調な道を大回りしてゆく他にない[6]。また、新潟県長岡市の萱峠に不通区間を残している[6]。
かつては未舗装のダート国道として知られ、難攻不落と言わせしめるほどの難路であった時期もあった[7]。枝折峠 - 魚沼市(旧湯之谷村)区間の峠道は、狭隘路対策と路線バスの通行を目的に、午前中は新潟県→福島県の東行き、午後は福島県→新潟県の西行きの一方通行という時間帯変動型の交通規制が敷かれていたうえ、新潟県側から福島県境までの区間において、二輪車は全面通行止めとする二重の交通規制も取られていた[7]。これらの規制は2006年(平成18年)に解除された[7]。
通行不能区間
新潟県長岡市の中心市街地から同市山古志地域を結ぶ区間は、長岡市最高峰の鋸山によって阻まれ、豪雪地帯の通行不能区間を抱えた開かずの国道となっている。この区間のうち、萱峠を越える萱峠バイパス萱峠工区が建設中であり、通行不能区間のうち一部が解消される見込み。
- 長岡市栖吉町 - 花立峠 - 萱峠 - 長岡市山古志種苧原
バイパス
- 椎谷岬トンネル
- 萱峠バイパス(かやとうげバイパス・長岡市御山町 - 魚沼市滝ノ又)[9]
- 栖吉・鉢伏工区 - 延長2600 m、全体の幅員12.0 m、車道の幅員6.0 mで供用済み。
- 萱峠工区 - 長岡市竹之高地町を起点とし、長岡市山古志種苧原を終点とする延長3910 m、全体の幅員8.5 m、車道の幅員6.0 mで施行中。
- 城山工区 - 延長4244 m、全体の幅員8.5 m、車道の幅員6.0 mで供用済み。
- 東雲バイパス
- 八総バイパス(やそうバイパス)
この他、新潟県道50号小出奥只見線奥只見シルバーラインは国道ではないが、実質的に枝折峠区間のバイパス機能を果たしている。
通称
- 銀山街道(新潟県魚沼市・本町付近 - 銀山平地区)
- 会津西街道(福島県南会津町 - 栃木県日光市今市)
- 日光例幣使街道(栃木県日光市今市 - 鹿沼市付近)
- 壬生通り(栃木県鹿沼市楡木 - 壬生町壬生)
重複区間
他の国道路線との重複区間は約90 kmほどあり、路線全長の約4分の1を占める[7]。福島県と栃木県の県境をまたぐ区間は、国道121号・352号・400号の3連重複区間で、この区間の道路わきには国内でも珍しく、3路線分だけ縦に3つ連なる国道標識が立ち並ぶ[10]。同様に、鹿沼市内においても国道121号・293号・352号の3重複区間があり、同市中心市街でも3つ連なる国道標識が設置されている[10]。
- 新潟県
- 福島県
- 栃木県
主な峠
道路施設
主なトンネルと橋
- 新潟県
- 福島県
- 中山トンネル(南会津郡南会津町)
道の駅
地理
樹海ライン(魚沼 - 桧枝岐間)は、只見川最上流部に建設された奥只見ダムで堰き止められて出来た日本一の貯水量を誇る人造湖・奥只見湖の脇を通る山岳道路[12]。沿道には、国立公園の尾瀬や、日本百名山のひとつでもある越後駒ヶ岳など観光名所が多く点在する[7]。
新潟県側の大湯温泉から檜枝岐村の国道401号分岐点との間は、枝折峠越えと複雑に入り組む奥只見湖岸線をなぞるよう走っており、湖の谷を越えるために道路は屈曲し、著しい迂回を重ねている[6]。ゆえにこの区間のみで道路延長は70 kmを超えるが、銀山平付近の観光施設以外、途中に集落の類は存在しない[6]。
奥只見湖沿いでは湖畔を走るのではでなく、断崖を高度を上げながら難所とされる枝折峠に向かうため、高い位置から奥只見湖を見下ろすこともできる[13]。この一帯の地域は、山と深い森の中に閉ざされているため秘境とも評され[6]、春は新緑と残雪、秋は紅葉が特に良いと言われている[13]。新潟県側の銀山平付近で、長大なトンネルを抜け奥只見ダムへ向かう奥只見シルバーラインに、市道を介して行くことができる。
- Road352 003.JPG
奥只見湖岸の断崖沿い(2010年8月)
- Road352 002.JPG
新潟・福島県境付近(2010年8月)
- Japan National road No.352 on Kaminokawa town.jpg
上三川町多功付近(2009年10月)
通過する自治体
- 新潟県
- 福島県
- 栃木県
交差する道路
- 新潟県
- 国道8号(柏崎市・柳橋町交差点)
- 国道402号(柏崎市・柳橋町交差点 - (重複) - 三島郡出雲崎町大字住吉町)
- 国道116号(三島郡出雲崎町・川西交差点)
- 国道403号(長岡市・大野交差点 - (重複) - 長岡市・大手通り交差点)
- 国道8号(長岡市・新町一丁目交差点)
- 国道351号(長岡市・新町一丁目交差点 - (重複) - 長岡市・大手通り交差点)
- 国道404号(長岡市・大手通り交差点) - (重複) - 長岡市・学校町交差点)
- 国道17号(長岡市・長倉IC)
- 国道252号(魚沼市・和田交差点 - (重複) - 魚沼市四日町)
- 国道291号(魚沼市・並柳東交差点 - (重複) - 魚沼市四日町)
- 国道17号(魚沼市・井口新田交差点)
- 福島県
- 栃木県
- 国道121号(日塩有料道路龍王峡ライン)(日光市藤原)
- 栃木県道19号藤原塩原線(日塩有料道路もみじライン)(日光市藤原)
- 国道121号(鬼怒川有料道路)(日光市鬼怒川温泉滝)
- 国道461号(日光市今市 - (重複) - 日光市・大谷向交差点)
- 国道119号(日光市・春日町交差点 - (重複) - 日光市今市)
- 国道293号(鹿沼市・市役所前交差点 - (重複) - 鹿沼市・追分交差点)
- 鹿沼南バイパス(鹿沼市磯町)
- 国道4号(下野市・下石橋北交差点)
- 国道4号(新4号国道)(河内郡上三川町・上三川交差点)
脚注
注釈
出典
- ↑ 佐藤健太郎 2014, pp. 73-74.
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2014閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 19. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2014閲覧.
- ↑ 佐藤健太郎 2014, p. 28.
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 佐藤健太郎 2014, p. 74.
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 松波成行 2008, p. 62.
- ↑ 中越沖地震 幹線道が復旧(読売新聞)
- ↑ “一般国道352号 萱峠バイパス”. 新潟県. . 2017閲覧.
- ↑ 10.0 10.1 佐藤健太郎 2014, pp. 176-177.
- ↑ せせらぎ かわら版 No.6 -魚沼と尾瀬を結ぶ 国道352号金泉橋 (PDF) - 新潟県. (2013年11月)、2018年7月7日閲覧。
- ↑ 須藤英一 2013, p. 88.
- ↑ 13.0 13.1 須藤英一 2013, pp. 88-89.
参考文献
- 佐藤健太郎 『ふしぎな国道』 講談社〈講談社現代新書〉、2014年。ISBN 978-4-06-288282-8。
- 須藤英一 『新・日本百名道』 大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2。
- 松波成行「国道352号」、『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 68頁、 ISBN 978-4-86320-025-8。