「花相撲」の版間の差分
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花相撲(はなずもう)とは、相撲、特に大相撲における勝敗が番付や給金に反映されない興行のことであり、巡業、トーナメント相撲、親善相撲、奉納相撲、引退相撲などのことを言う。取り組みのほか初切、相撲甚句、横綱の綱締め、歌謡ショーなどのアトラクションが開催される。また、これから転じて他競技の類似のもの(プロ野球のオールスター戦など)を、通常の公式戦などより真剣度が薄い・優勝争いに関係しないという意味で花相撲ということもある。
Contents
花相撲の由来
奈良・平安時代にかけて行われた宮中行事の一つである相撲節会(すまひのせちえ)では、東方力士が勝つと朝日を受けて咲く葵(あおい)の花、西方力士が勝つと夕日を受けて咲く夕顔(ひょうたん)の花を自分の髪に差して退場した。力士は、その花を食料品や衣類に交換して褒美として受け取った。花相撲の由来は、この時代にさかのぼる。
江戸時代に入ると相撲興行が組織化され、客は贔屓力士や郷土力士が勝つと、土俵に自分の羽織や煙草盆を投げ入れた。力士は、これらを支度部屋に持ち帰り、客は帰りに支度部屋の力士を訪ねて引き換えに祝儀を与えた。いわゆる纏頭(はな)で、祝儀=花だけで興行していたため花相撲とも呼ばれた。
トーナメント相撲
- 日本大相撲トーナメント(通称:大相撲トーナメント)
- 2月開催。主催はフジテレビ。かつては土曜・日曜の2日間開催で1日目の優勝者と2日目の優勝者が優勝決定戦を行い、総合優勝を決定していた。2011年は中止された。
- 明治神宮例祭奉祝全日本力士選士権大会(通称:明治神宮相撲大会)
- 10月開催。主催は日本相撲協会。身体障害者、知的障害者、高齢者などを招待して開催される。大会は選抜戦で行われ力士が参加して行われるため、選士権と名付けられている[1]。
現在行われていないトーナメント相撲
- 大相撲最強決定戦(第14回までは「大相撲勝抜優勝戦」)
- 4月または6月開催。主催は日本テレビ、報知新聞社、読売新聞社、讀賣テレビ放送。3月場所または5月場所の番付にもとづく幕内全力士が出場し、トーナメント方式で優勝力士を決定する。また、十両力士による出身地別の十両東西対抗戦も同時に行われる。2007年は10月開催だった。2009年から休止となっている。
- 大相撲王座決定戦
- 10月開催。主催はCBCで、TBS系列で放映された。3つのブロックに分けてトーナメント戦を行い巴戦で優勝者を決定していた。2005年から休止となっている。
慈善相撲
- NHK福祉大相撲
- 2月開催。主催はNHKとNHK厚生文化事業団。イベントとして力士と女性歌手による「お楽しみ歌くらべ」などが行われる。大会の純益で福祉自動車を購入し、全国の福祉施設や福祉団体に寄付される。2011年は開催を取り止めた。
現在行われていない慈善相撲
- 社会福祉大相撲
- 10月開催。主催はテレビ朝日とテレビ朝日福祉文化事業団。イベントとして関取と歌手のバラエティーショーなどが行われる。交通事故防止キャンペーンの一環として始まり、大会の純益は交通事故防止諸団体へ寄付される。2009年から休止となっている。
引退相撲
引退相撲は1月場所、5月場所、9月場所後の巡業のない期間に両国国技館で開催される。主催は引退する力士本人または後援会で、力士会が協力する。引退する力士が所属する一門の取り組み、引退力士の大銀杏を切り落とす断髪式などが行われる。
天覧相撲
戦前までは天皇の相撲観戦は本場所に天皇が行幸する現在の形式ではなく、本場所とは別に基本的に宮中で天覧相撲が開催された。これは番付に影響しないという点では花相撲に属するが、天皇が観戦するということで力士の気合いの入りようは本場所並みであったという。なお、当時は天覧相撲開催時には通常の番付であれば中央の蒙御免と書かれる部分に賜天覧と記した専用番付が作られていた。
上覧相撲
明治から昭和戦前にかけての天覧相撲のように、江戸時代には徳川本家が観覧する上覧相撲が開催されていた。戦前の天覧相撲と同様、本場所の番付に直接の影響が無いという意味では花相撲に属するが、当時の力士にとっては上覧での成績次第では俸禄の増減や、場合によっては大名からの抱えの可否にまで影響したことから、本場所よりも上位の存在であった。
九州場所前夜祭
九州場所では、本場所として開催されるようになった当初から、相撲協会とNHK福岡放送局の共催により本場所会場で「大相撲九州場所前夜祭」が行われている[2]。これも若干定義からは外れるものの、事実上花相撲に該当する。
初っ切りや力士のど自慢に加え、九州・沖縄と山口県下関市[3]出身力士による天覧相撲における御前掛り形式の土俵入り、九州の相撲スポーツ少年団に属する子どもたちどうしによる対戦・その子どもたちと現役力士の対戦などが行われる。
内容は収録の上で放送枠に合わせて編集し、本場所初日直前に九州・沖縄へ向けて放送する。進行役は基本的に福岡局で相撲中継統括を担当するアナウンサーが務めるほか、九州内で相撲中継に関わるアナウンサーがヘルプとなる。
地域芸能としての花相撲
この他、地域芸能のひとつとして「花相撲」と称して伝統を守っているところがある。赤ちゃん同士を、泣き声や笑い顔で勝負させるような珍事を「花相撲」と称して実施したり、女性が化粧廻しをつけて相撲甚句を披露するような芸能を「花相撲」と呼ぶ地域がある。