興行
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興行(こうぎょう)
各種の芸能やスポーツを,入場料を取って観客の観覧に供すること,またはその準備一切を含む事業。古代や中世では,演劇は国家やギルドによって主催され,あるいは旅芸人や貴族のおかかえ芸人による私的芸能であって,厳密な意味での興行は存在しなかった。しかし,ルネサンス期になると劇場経営者が現れ,興行の形態をとりはじめた。
19世紀までは,多くは主演俳優が演出と興行の両面で主導権を握ったが,20世紀になると,舞台上の責任者である演出家と興行の実務を担当する製作者の2つに機能が分れ,さらに興行は個人企業のみでなく,劇場シンジケートや興行会社のような組織体によっても行われるようになった。日本では,古くは勧進興行として寺社の建築や修復の資金調達の目的に芸能を供する形をとったのが始り。室町時代後期には寺社修復は名目だけになる。江戸時代には興行権は世襲の特権となり,特定の名義人に免許された。その名義人を名代といい,座元,太夫元,小屋主,お仕打 (金主 ) などと重なる場合もあった。この興行権の免許は劇場の制限官許制度でもあり,許された劇場は入口屋上に櫓 (やぐら) を上げ,櫓幕に座元の紋を染め抜いて官許の印とした。歌舞伎にあっては,江戸時代中期から幕末にかけて,ほぼ季節によって興行形態を定め,顔見世興行 (11月) ,初春興行 (正月) ,弥生興行 (3月) ,皐月興行 (5月) ,夏興行 (8月) ,盆興行または秋興行 (8月か9月) と,庶民の生活に欠かせない年中行事となっていた。