肥満税
肥満税(fat tax)とは、肥満を増加させ健康に影響を与える可能性のある飲食品に対しての課税である。
一般に、飽和脂肪酸や砂糖の加えられた飲料への課税が検討、施行されている。加工食品に課税するのではなく、その原材料である甘味料に課税する方法も提案されている[1]。
Contents
世界保健機関
2016年に世界保健機関(WHO)は、砂糖が添加された清涼飲料水に20%以上の課税を行えば、肥満、糖尿病、虫歯を抑制するような消費の削減が可能であると提言した[2][3]。
各国の状況
ルーマニア
2010年に、ルーマニア政府は「ジャンクフード税」の導入を発表した。
デンマーク
デンマークでは2011年10月1日から、飽和脂肪酸が2.3%以上含まれる食品に対して、飽和脂肪酸1キログラムあたり16クローネを課税し、施行前には飽和脂肪酸の多い食品であるバターやピザ、肉、牛乳といった食品に買い込み需要が高まった[4]。 日本の独立行政法人(農畜産業振興機構)では脂肪税(しぼうぜい)と表現している[5]。
2012年11月に撤廃を発表、12月末を持って廃止。食品価格の高騰を招いたうえ、近隣国のドイツで国民が買い物をするようになってしまい、何の効果もなかった為であるという[6]。
ハンガリー
ハンガリーでは、2011年9月1日、砂糖や塩分の多い飲食品に課税する通称ポテトチップス税が施行された[7]。
フランス
フランスでは、2011年12月28日より砂糖の添加された炭酸飲料に課税する通称ソーダ税(フランス語)が承認された[8]。
アメリカ合衆国
カリフォルニア州バークレー市では、住民投票により2015年1月1日からソーダ税を開始することとした。課税額は1オンス1セント[9]。2017年からペンシルベニア州フィラデルフィア市で砂糖が添加された飲料へのソーダ税を課税する[10]。
ポルトガル
2017年から砂糖の添加された飲料に課税する[11]。
イギリス
2018年4月より導入する子供の肥満防止のための砂糖の添加された飲料への課税案があり、メディアは砂糖税と評した[12]。
東南アジア
タイが2017年に甘味料を加えた清涼飲料水に課税を開始。フィリピンも2018年より同様に清涼飲料水に対して課税を始めた[13]。
脚注
- ↑ M Zhen, B John, J Helen "Taxing Sweets: Sweetener Input Tax or Final Consumption Tax?" Contemporary Economic Policy Article first published online: 23 SEP 2011 DOI 10.1111/j.1465-7287.2011.00278.x
- ↑ “Fiscal policies for diet and the prevention of noncommunicable diseases”. World Health Organization. . 2017閲覧.
- ↑ “WHO 「砂糖を多く含む」清涼飲料水に課税を”. 毎日新聞. (2016年10月12日) . 2017閲覧.
- ↑ Julian Isherwood デンマークで世界初の「肥満税」、牛乳にも課税(AFPBB、2011年10月03日)
- ↑ デンマーク脂肪税を導入(独立行政法人・農畜産業振興機構ホームページ)
- ↑ 産経 世界初の「脂肪税」失敗 食品の価格上昇、デンマークが撤廃へ
- ↑ ハンガリーで「ポテチ税」施行、脱メタボリズムと税収アップに期待(AFPBB、2011年09月02日)
- ↑ 仏憲法会議、ソーダ税を承認 肥満防止と税収拡大狙う(AFPBB、2011年12月29日)
- ↑ “肥満防止にソーダ税、米バークリー市の「快挙」…「罪の税」は“アリの一穴”となるか”. 産経新聞社. (2014年12月19日) . 2014閲覧.
- ↑ “米フィラデルフィア市、ソーダ税導入へ 業界から反発も”. CNN. (2016年6月19日) . 2017閲覧.
- ↑ “ポルトガル、ソフトドリンクに「砂糖税」導入へ 約91億円増収”. 共同通信. (2016年10月15日) . 2017閲覧.
- ↑ “"砂糖税"、2018年にイギリスで導入へ 「手ぬるい」「仕事がなくなる」議論に”. ハフポスト日本版. (2016年8月19日) . 2017閲覧.
- ↑ “甘い清涼飲料に「砂糖税」 アジアで広がる”. 日本経済新聞 (2018年4月3日). . 2018閲覧.