東京都交通局上野懸垂線
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上野懸垂線(うえの けんすいせん)は、東京都台東区上野にある上野動物園内の西園駅と東園駅を結ぶ東京都が経営するモノレール(東京都懸垂電車)路線である。単に上野モノレールとしたり、上野動物園モノレールとも呼ばれる。
常設のものとしては日本初のモノレール(懸垂式鉄道)である。東京都懸垂電車条例(1964年3月31日東京都条例第107号)[1]という路面電車(東京都電車条例)や地下鉄(東京都地下高速電車条例)とは別個の条例に拠る、東京都懸垂電車唯一の路線である。営業距離は300メートルと、日本最短のモノレール路線[2]であり、鉄道全体でも日本で二番目に短い[3]。同条例で路線名は公営企業管理者の一種である東京都鉄道事業管理者が定めるとしている。本路線は、有料の施設である上野動物園の園内にある2駅間を結んでおり、車体にはカラフルな動物の絵が描かれている。アトラクション気分で利用する親子連れらも多い[2]が、園内を横切る公道を路線が跨ぐため路線全てが園内に収まっておらず、遊戯施設ではなく、鉄道事業法に基づく交通機関となっている[4]。
Contents
歴史
地方鉄道法(鉄道事業法の前身法)に基づく交通機関「懸垂式鉄道」として開業した。東山公園モノレール(1964年 - 1974年)などと同様に「新しい都市交通機関の試行」という要素も持っていた。
東京都交通局は、道路上を通る路面電車や路線バスは渋滞の影響を受けやすいとして、それに代わる都市内交通手段を摸索していた。メインは地下鉄を採用することとし、それほど需要を見込めない地域や短い区間を結ぶ鉄道にはモノレールが有効であるという結論になった(都市モノレール構想)。当時モノレールは研究途上であり、東京都交通局は日本車輌と共同で独自に研究を開始した。
ドイツのヴッパータール空中鉄道として1901年から運行されていたランゲン式を参考にし、車輪をゴムタイヤに代える改良を加えた。そのため、「東京都交通局式」とも呼ばれる。その後、東京都交通局はモノレール路線を開業しておらず、上野懸垂線の方式も他では採用されていない。2008年に開業した日暮里・舎人ライナーはモノレールではなく、案内軌条式のAGTを採用している。
その後、都の財政難と施設の老朽化により、1980年11月26日に策定された交通局の財政再建計画でモノレール事業の廃止が計画されたものの、存続の要望が強かったため、1983年に安全性についての調査を行った上で、同年10月31日に存続が決定した[5]。
- 1957年(昭和32年)12月17日 - 全線開業。初代車両(H形)運行開始。
- 1966年(昭和41年)11月30日 - 車両・設備更新のため運転休止。
- 1967年(昭和42年)1月1日 - 運行再開。2代目車両(M形)運行開始。
- 1984年(昭和59年)9月1日 - 車両・設備更新のため運転休止。
- 1985年(昭和60年)4月2日 - 運行再開。3代目車両(30形)運行開始。
- 1999年(平成11年)12月19日 - 車両・設備更新のため運転休止。
- 2001年(平成13年)
- 2002年(平成14年)3月12日 - パンタグラフを改良し運行再開。
- 2011年(平成23年)
運行形態
2両編成1本の車両が西園駅と東園駅の間を往復している。所要時分は1分30秒で、7分間隔で運行されている。上野動物園内にあるため、休園日は全面運休。運行時間も開園時間に合わせて9時40分始発・16時30分最終[6]となっている。
PASMO、SuicaといったIC乗車カードは利用できない。また、東京都交通局の路線が対象の特別企画乗車券である「東京フリーきっぷ」や「都営まるごときっぷ」などでも当路線は利用できない。
地下鉄の免許で運転できるため、都営地下鉄の運転経験者が研修を経て運行を担っている[2]。
利用状況
輸送実績
2008年度は年間300日営業し、利用者数は83万9千人、1日当たりの利用者数は2796人[7]。
2016年度は約102万人で、来園者の4分の1が利用した。乗客数は上野動物園全体の人気に左右され、最高記録はジャイアントパンダの「カンカン」「ランラン」が中国から渡来・公開された翌年の1973年度の約153万人であった[2]。
営業成績
2008年度は、収入1億1400万円、支出9800万円で、差し引き1600万円の黒字であった[8]。
企画乗車券の発売
40形が運行を開始してから、何度か企画乗車券が発売されている。2007年12月には、開業50周年を記念して上野動物園の入園券とモノレールの乗車券がセットになった「Go!Zooきっぷ」を発売している。
イベントの実施
40形が運行を開始してから、何度かイベントが実施されている。2007年12月の開業50周年記念イベントにはシナモンが一日駅長を務めた。
車両
現在の車両
過去の車両
駅一覧
かつては、東園駅を「本園駅」、西園駅を「分園駅」と称していた。
今後の計画
40形の導入から15年以上が経過しており、車両の更新が課題となっている[9]。
脚注・出典
- ↑ 東京都懸垂電車条例
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 「還暦モノレール 人気健在/上野動物園 年間100万人が利用/シャンシャン公開追い風」『日本経済新聞』夕刊2018年4月3日(社会面)
- ↑ 最短は鞍馬山鋼索鉄道。
- ↑ 鉄道トリビア89 マイナビニュース、2011年9月4日閲覧
- ↑ 「東京都交通局100年史」(東京都交通局、2012年)p.257
- ↑ 上野動物園モノレール・時刻表東京都交通局(2018年4月5日閲覧)
- ↑ 東京都交通局 平成20年度 運輸成績総表
- ↑ 東京都交通局 平成20年度 決算総括表
- ↑ “東京都交通局経営計画2016 (PDF)”. 東京都交通局. p. 28 (2016年2月12日). . 2017閲覧.
関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
- ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線 - 東京都出資の中量輸送機関