終電
終電(しゅうでん)とは終電車の略で[1]、ある鉄道路線の営業時間帯において、最後に運転される電車(列車)を指す。最終電車(最終列車、終列車)、終発[2]、終車[3]とも呼ばれる。また、利用者個人の降車駅に対する最終電車の意味で用いられることも多い。
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終電の意義
終電は、都市部などに鉄道で来ている人が、そのまま夜を明かさずに帰宅することの出来る最終便となるため、その注目度は高い。「終電案内」などといった時刻表示が、初電の案内とともに駅入り口に掲示されていたり、自他を含めた「最終接続時刻」(接続路線の終電に乗り継げる最後の電車)を掲載している事業者があったり、終電の時刻を調べることができるウェブサイトが存在することなどからも、注目度が推し量れる。
都市部の終電の実態
終電の混雑度合い
都市部における終電は混雑することが多い。これは、終電間近は日中や夕方ラッシュ時よりも運転本数が少なくなることによる。特に金曜日・土曜日・祝日の前日・忘年会シーズンの終電は朝ラッシュ時以上の混雑となり、電車の発車時刻が大幅に遅れることが多い。このため、休前日限定の臨時列車が設定されることもある。
終電時間帯でのアナウンスなどについて
終電が発車する際に、普段は流れない発車ベルや発車メロディが流れることがある。例として、阪急電鉄梅田駅では終電間際になると、終電間際であることを乗客に知らせるため映画『第三の男』のメロディが流れ、発車メロディーの余韻も通常よりも長くなる。また、各線で終電時刻が異なることから東京・山手線のE231系電車、中央線や京浜東北線・根岸線などのE233系電車の各ドア右側の液晶ディスプレイ(乗り換え案内など)には、22時30分以降になると「お乗り換えのお客様は、終電の時間にご注意ください」という文字が表示される。また東急電鉄など、乗り換え案内の液晶ディスプレイの使用自体を停止するところもある。名古屋市営地下鉄の場合、終電のみ発車の際の自動放送が「○○行き、最終電車、扉にご注意ください」と、終電であることを強調する内容になる。
終電時間帯の接続
鉄道で移動している人は、自宅・目的地の駅に到着する終電に乗り損ねた場合、深夜ということもあり、その日の内に帰宅することや目的地に到達することが著しく困難になるため、各事業者などで連携しあい、接続も考慮されている。そのため、接続待ちで終電が遅れることは珍しくない。ただし、事業者間によっては終電の接続を行っていない場合もあり、駅にその旨が掲示されていることもある。また、接続元の路線が大幅に遅れている場合なども、本来接続する路線であってもその電車の到着を待たず接続しないで発車することがある。このケースでは、特に後続列車への影響が大きくなることも一因となるため、場合によっては当該列車を先に進めて後続列車から接続を取れるように図ることもある。また、線区によっては途中駅で長時間停車し後発の列車から乗り継げるようなダイヤを予め設定している場合もある。
日本の東京通勤圏は、都心の山手線を中心として外側に放射状に各路線が延び、山手線の接続待ちでほぼすべての放射路線の終電を遅らせることもある。それによって、その路線からさらに接続する路線の終電も遅れることになる。ただし、山手線が30分以上など大幅に遅れている場合、本来接続するべきだが接続しないこともある(所定接続の解除)。新幹線に大幅な遅延が生じた場合には、終電後の時間帯であっても東京の電車特定区間などに臨時列車を運転して乗客の帰宅の便を図ることがある。
乗車券の有効期限となる日をまたぐ列車や翌日の0時以降発の列車に乗車する場合であっても、青春18きっぷなどの一部の例外を除き、基本的に前日の乗車券でも有効である。また、有効区間が残った状態で先に行く列車がない場合には、普通乗車券の有効期限が切れていても翌日の列車に乗車することも出来る。この場合、途中下車不可の乗車券の場合でも、営業終了後の改札閉鎖などの事情により一時出場などの取り扱いとなる場合がある。ただし、現在では自動券売機の高機能化に伴い、終電までにたどり着ける範囲に対応する形で発売する運賃の範囲を段階的に狭める設定を行い、この様な事態の発生を回避する事業者も少なくない。
各地の終電時刻
地域により差はあるものの、都心部では終着時刻が0時30分から1時前後、郊外で23時から24時前後となる場合が多い。
深夜に都心に向かう列車については、利用者も少ないため逆方向ほど綿密な体勢は取られていないことが多い。区間ごとに終電を設けず、長距離を走行する列車を終電としてしまう場合もある(これは、下りを含めた郊外の路線にもいえる)。この場合、運行距離が長いほどターミナル駅に近い駅の終電時刻も早くなる。また、郊外では上下で終電の時間が大幅に異なる場合も少なくない(極端な例では、上り終電として運転した列車がそのまま下り終電として折り返すものもある)ので、うっかり乗り過ごしてしまうと朝までUターン出来なくなるということも起こりやすい。これは、終電の終着駅を乗務員が営業運転終了後に仮眠を取るための拠点がある駅などに設定していることによる。
静岡鉄道や高松琴平電鉄など、金曜日(路線によっては土曜日も)に限り終電後に臨時列車を設定している路線もある。東海道本線では毎週金曜日と特定日に沼津駅を23時59分に発車する快速列車が設定されている。
一部の路線(特に私鉄)では、土曜日・日曜日・休日は平日よりも終電が早いので、注意が必要である。
関東地方
関東地方の通勤路線では、私鉄各線は終電が早く、JR各線は(国鉄時代から)遅い傾向がある。山手線の駅を最も遅い時刻に発車する放射路線は、新宿駅を1時01分に発車するJR中央線各駅停車の三鷹行(三鷹駅1時21分着)であり、山手線の駅を深夜1時台に発車する唯一の放射路線でもある(参考として、2分早い0時59分に品川駅を発車する京浜東北線蒲田行の列車がある)。始発駅の時刻として遅いものは、山手線内では常磐線快速電車の上野駅0時51分発松戸行で、山手線内に限らなければ、埼京線(赤羽線)赤羽駅1時03分発池袋行(これはJRの上り列車の発車時刻としては最も遅い)、東京地下鉄千代田線(実質的に常磐線各駅停車)北千住駅1時04分発松戸行などがある。私鉄の場合は、新線新宿駅を0時55分に発車する京王新線の桜上水行が最も遅く山手線のターミナルを発車する列車である。
上りでは、JRの近距離電車でも下りに比べるとやや早く、都心に至る終電の始発駅時刻はほぼ0時前に設定されている。始発駅時刻が0時台に設定されているのは、ある程度距離を運転するものでは中央線各駅停車の高尾0時13分発中野行き、常磐線快速電車の取手駅0時08分発快速上野行き、京葉線の蘇我駅0時00分発各駅停車東京行きが挙げられる程度である。大手私鉄では上り(毎日)が比較的早いほか、上下とも土曜・休日の終電が平日より早い場合がある。
JRの中距離列車は、遅いところでも下りの都心側始発駅の時刻が23時台(おおむね100km前後のエリア)、上りの都心終着は24時前後と、全般的に早い。ただし上り、下りともに電車特定区間内においては中距離列車と並行して走る近距離電車が実質的な終電としての役割を担うことがあり、一例として高崎線の上野駅23時42分発高崎行の発車後、京浜東北線の同駅24時31分発大宮行が川口~大宮間、24時48分発赤羽行が赤羽駅への実質的な終電となっている。
終着駅到着時刻で最も遅いのは高尾(中央線各駅停車)・高崎(高崎線)着の1時37分である。JRの東京近郊路線では1時10 - 20分に設定されている。私鉄では平日で0時50分 - 1時00分前後が多い。休日では0時40分前後に設定されている路線が多い。私鉄の終着駅到着時刻で遅い例としては、西武新宿線新所沢着の1時28分などがある。私鉄の中には、工事時間の確保や従事する係員の勤務条件(線路閉鎖・停電)の関係などで予め営業時間が決められており、その枠の中で終電が終着駅に到着するようにダイヤが組まれている路線もある。京成電鉄、京浜急行電鉄は全列車が1時00分までに終着駅(または車庫・留置線)に到着するダイヤになっている。
関西・中部地方
関西地方・中部地方の通勤路線では、関東に比べてJR・私鉄ともにやや早い傾向がある。ただし、私鉄や地下鉄の中でも神戸電鉄や神戸市営地下鉄は、JR線との接続の関係上、終着駅到着が午前1時を過ぎる列車がある。
西日本旅客鉄道(JR西日本)では、遠距離通勤者に配慮し都市部に限らず終電の終着駅の到着時刻が遅い。新幹線などを除き、先述の保線作業の制約がない場合が多いが、福知山線脱線事故をきっかけに2009年(平成21年)3月14日のダイヤ改正で終電を繰り上げた。(高槻駅1時05分着 → 0時54分着、京都駅0時20分ごろ着の湖西線・奈良線は0時前後など)2010年(平成22年)3月13日のダイヤ改正までは、新大阪発の快速紀伊田辺行きが、紀勢本線紀伊田辺駅に1時47分に到着しており(昔の夜行列車の流れを汲んだ列車。紀勢本線#夜行列車参照)、日本一遅い時間に到着する終電であった。この日の改正で行き先が御坊行き(1時11分着)に短縮されたため、日本一遅い終電ではなくなった。そのため、関西地方ではJR神戸線の普通西明石行き(西明石駅1時36分着)が最も遅くなった。また、この改正までは野洲駅も1時30分に終電が到着していたが、当該列車は廃止されて1時08分になっている。なお、西明石行きの下り最終列車は2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正において西明石駅到着が1時38分着に繰り下げられ、日本一遅い時間に到着する終電となった。
大阪市内へ向かう列車については、JR・私鉄とも都心駅(梅田・難波など)への最終到着時刻[4]が0時30分前後に設定されていることが一般的であるが、遅い例としては、JRでは神戸線西明石発の各駅停車大阪行き最終が同駅着1時11分であり、大手私鉄では関西国際空港を抱える南海本線・空港線において、夜間の到着便利用者に配慮し、関西空港23時55分発の空港急行難波行き最終から泉佐野で接続を受ける普通車難波行き最終が難波に0時57分に到着する。一方、大阪市内方面行きの始発駅の発車時刻は、関東地方と同様に0時前が最終になっていることが一般的であるが、始発時刻が午前0時を過ぎるものは、ある程度距離を運転するものでは先述の西明石発大阪行き(0時02分発)のほか、JR京都線の京都発各駅停車大阪行き最終(0時14分発。大阪着も1時00分と遅い)、私鉄では阪神なんば線の尼崎発近鉄奈良線東花園行き最終(0時00分発)があげられる。
阪急電鉄梅田駅は、京都本線・宝塚本線・神戸本線の最終電車が0時25分に(京都本線正雀行き(0時42分着)、宝塚本線雲雀丘花屋敷行き(0時54分着)、神戸本線西宮北口行き(0時43分着))発車する。[5]同様に近畿日本鉄道鶴橋駅は奈良線・大阪線の最終電車が0時31分に(奈良線東花園行き・大阪線高安行き)、南海電気鉄道難波駅は南海本線・高野線の最終電車が0時25分に(南海本線住ノ江行き・高野線堺東行き)発車する。京阪電気鉄道は0時50分、南海電気鉄道は全列車が1時00分までに終着駅(または車庫・留置線)に到着するダイヤになっている。
なお、第二次世界大戦前の京阪電気鉄道京阪本線や新京阪線(現在の阪急京都本線)では、午前2時30分頃まで列車が運行されていたケースもあった[6]。
その他の地域
北海道旅客鉄道(JR北海道)管内は、札幌駅を発車するすべての最終列車が23時59分に発車する。最終列車の到着時刻が最も遅いのは函館本線岩見沢駅の0時43分着、次いで千歳線千歳駅の0時39分着である。もともと北海道の鉄道は札幌都市圏を除いて運行本数が少なく、最終列車が早い路線が多い。
仙台エリアでは、2015年3月13日までは東北新幹線の臨時列車運転(原則として金曜日)に伴い、仙台駅を発車する東北本線・仙山線・仙石線の終電を繰り下げており、最終列車の到着が遅いのは白石駅の0時48分であった(2012年3月16日までは0時55分だった)。また仙台市地下鉄では上記の臨時列車運転日には、本来の終電後に上下とも1本増発している。翌14日のダイヤ改正で、東北新幹線と常磐線を除くすべての最終列車が0時02分に発車するダイヤとなった。
四国旅客鉄道(JR四国)管内で最も遅くまで運行する最終列車は、岡山駅に到着する山陽新幹線の最終列車(23時56分着)からの接続を受けて0時12分に発車する快速「マリンライナー」であり、高松駅1時21分着である。予讃線の特急「ミッドナイトEXP高松」は伊予西条駅1時17分着で、四国の特急列車では到着時刻が最も遅い。
広島エリアでは、広島駅着の山陽新幹線最終列車(23時53分着)の接続にあわせて0時05~11分に発車する最終列車(芸備線を除く)が設定されている。最終列車の到着が最も遅いのは呉線広駅の1時01分着であり、山陽本線岩国駅も0時59分着である。可部線あき亀山駅が0時43分、山陽本線西条駅が0時44分である(2017年3月4日改正現在。2010年3月12日までは岩国駅は1時02分着、志和口駅は0時50分着だった)。芸備線最終列車は、広島駅23時46分発、下深川駅0時08分着となっている。
九州旅客鉄道(JR九州)管内では鹿児島本線南福岡駅に1時22分に到着する列車(博多駅1時13分発)[7]があったが、これは山陽新幹線の博多行き最終列車が、博多駅の前の小倉駅に停車後、鹿児島本線小倉駅 - 博多駅間の途中駅に乗り継げるようにする目的で運行されており、それが回送も兼ねて車両基地のある南福岡駅まで営業運転を継続しているものであった。この列車は2018年3月17日のダイヤ改正で海老津駅までの運転に短縮された。2014年3月14日までは「有明」の最終列車が熊本駅に到着する時刻が1時48分で、夜行特急以外の列車ではもっとも到着が遅かった。これも九州新幹線部分開業時まで博多駅 - 西鹿児島駅間に設定されていた夜行特急「ドリームつばめ」の名残でもあった。翌15日のダイヤ改正で行き先が長洲行きに短縮され(1時20分)、九州島内でもっとも到着が遅い特急列車は大分駅1時21分着の「ソニック61号」となった。これらの列車は前述のダイヤ改正にて有明号は運転取り止め、ソニック号は運転区間の短縮で消滅した。現在最も遅い終着時刻は門司港駅の1時9分となった。また、大分駅を発車するすべての最終列車が23時40分に、鹿児島中央駅を発車する九州新幹線を除くすべての最終列車が23時50分に発車する。
非電化路線のJR線で最終列車が遅いのは、2009年(平成21年)3月14日のダイヤ改正当時は津山線津山駅1時01分着、高徳線高松駅0時59分着、引田駅0時57分着などであったが、すべて2010年(平成22年)3月13日のダイヤ改正で繰り上げ(津山線はダイヤ自体の繰り上げ、高徳線高松駅と引田駅は運行区間の短縮による)られた。2018年現在は津山線津山駅0時43分着が最も遅い。
地方の私鉄では終電は早い路線が多い。首都圏郊外にある関東鉄道常総線では、取手駅0時19分発の下り最終列車が水海道駅0時47分着であり、非電化路線では最も到着時刻が遅い。活性化の一環として最終を繰り下げた例として、えちぜん鉄道福井駅の終電が23時8分(勝山行き)と13分(三国港行き)、福井鉄道田原町駅の22時53分(福井駅前発23時04分:平日のみ)などがある。
過去に存在した特殊な例としては、製鉄所の高炉が24時間操業をおこなっていた時期に、夜勤者のために地方でも深夜の列車が運行されたケースがある。1979年当時、室蘭製鉄所近くの室蘭本線には室蘭駅0時35分発東室蘭駅0時49分着という列車が存在した[8][9]。また釜石製鉄所を抱えていた釜石線と山田線には、それぞれ釜石駅1時20分発と1時25分発の時刻表非掲載の列車が運行されていた(釜石線は遠野駅2時34分着、山田線は陸中山田駅2時22分着)[8][10]。さらに1971年1月時点では、下関駅23時32分発長門市駅2時11分着という列車が運行されていた[11]。
また、夜間に実施される祭りや花火大会、コンサート等の際には通常の最終列車後に臨時列車が運行されることがあり、規模の大きいものは終着駅到着が午前2時を過ぎる場合がある。特に三重県熊野市の熊野大花火大会の場合は午前4時を超える列車も設定されている[12]。
地下鉄
地下鉄の終電は、終電から始発までの間にトンネルや設備の保守点検・修繕をしている都合上、一般的な路線と比較すると比較的早い傾向があるが、2013年3月に大阪市営地下鉄(現・大阪市高速電気軌道(Osaka Metro))が堺筋線をのぞく8路線で終電を10 - 30分繰り下げたことを皮切りに[13]、東京[14]や名古屋[15]など、各地で終電を繰り下げる動きが高まっている。
東京の地下鉄で最も遅くまで運行されている路線は大江戸線であり、光が丘駅1時10分着である。同路線は都営地下鉄で唯一1時台まで運行されている路線である。東京地下鉄で最も遅くまで運行されている路線は、前述した千代田線の例をのぞくと平日は東西線であり、妙典駅0時47分着である。当該列車は2013年12月のダイヤ改正で東陽町行きの終電を区間延長したものである。土休日は南北線であり、目黒駅0時41分着である。
始発時刻が最も遅いのは千代田線をのぞくと、大江戸線光が丘駅の0時35分発都庁前行き、次いで同路線の都庁前駅0時32分発上野御徒町経由清澄白河行きである。
次いで副都心線新宿三丁目駅の0時30分発(平日のみ)、日比谷線北千住駅と中目黒駅がそれぞれ0時28分発(土休日は中目黒駅が0時28分発、北千住駅が0時27分発)、丸ノ内線中野坂上駅の0時26分発となるが、これらはいずれも1 - 3駅で終点、もしくは他路線へ直通する区間列車である。通し運転の始発時刻が最も遅い路線は、平日は半蔵門線で、渋谷駅0時08分発である。土休日は浅草線で、押上駅0時05分発である。
Osaka Metroで最も遅くまで運行されている路線は御堂筋線である。新大阪駅で東海道新幹線の最終電車から接続を受けるダイヤであり、中百舌鳥駅0時39分着である。設定当初は回送列車を旅客化して設定されたため、新大阪駅以外は降車のみ扱い、時刻表にも記載されていなかった。他の地下鉄路線にも接続していなかったが、2018年3月のダイヤ改正で中央線のコスモスクエア方面の終電が29分遅くなり、中央線の終電に接続するダイヤになった。通し運転の始発時刻が最も遅いのは、2013年12月のダイヤ改正で終電を最大42分繰り下げた堺筋線であり、天下茶屋駅0時18分発天神橋筋六丁目駅0時33分着である。
名古屋市営地下鉄では、全路線の終電が0時30分までに終着駅に到着するダイヤが組まれている。東山線栄駅では、両方向の通し運転の終電が0時02分に、区間運転の終電が0時16分に発車する。2014年7月4日からは金曜日と休日の前日に限り東山線の終電を延長し、同駅では両方向の通し運転の終電が0時39分に、区間運転の終電が1時1分に発車する。高畑方面の最終列車は岩塚駅1時14分着、藤が丘方面の最終列車は星ヶ丘駅1時15分着となり、日本で最も遅くまで運転する地下鉄路線となった。
札幌市営地下鉄では、全路線の終電が通し運転であり、全ての終電が始発駅を0時00分に発車する。全路線が乗り入れる大通駅では、東西線宮の沢行きの終電が最も発車時刻が遅く、0時19分発である。続いて南北線麻生行きが0時16分発、東西線新さっぽろ行きが0時15分発、東豊線福住行きが0時12分発と続き、南北線真駒内行きと東豊線栄町行きが0時11分発となっている。
京都市営地下鉄では、2010年3月19日のダイヤ改正から烏丸線と東西線が乗り入れる烏丸御池駅に、全ての終電が23時52分に到着して23時55分に発車するダイヤが組まれている。これを京都市交通局ではシンデレラの魔法が切れることにちなみ、「シンデレラクロス」と命名している。2015年10月2日からの金曜日に運転されている「コトキン・ライナー」も、同駅に0時22分に到着して0時25分に発車するダイヤが組まれている。
新幹線
新幹線の終電は「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年7月29日付け環境庁告示第46号)により、ダイヤの乱れや災害などの特殊な場合を除き騒音対策や保線作業のため、午前0時を過ぎて運行してはならないとの規制がある[16]。そのため東京発の終電で最も遅いのは23時00分発の上越新幹線「Maxたにがわ475号」で、終着の高崎駅には23時58分に到着する。到着では北陸新幹線の「つるぎ734号」で終着の富山駅には23時59分に到着する。なお、始発についても午前6時以降とこちらも規制されている。
ただし、山形新幹線福島駅 - 新庄駅間・秋田新幹線盛岡駅 - 大曲駅 - 秋田駅間(いわゆるミニ新幹線区間)は在来線扱いのために適用されず、秋田県大仙市で実施される全国花火競技大会では「こまち」が0時以降も在来線区間の秋田駅・盛岡駅 - 大曲駅間で臨時運行される。
夜行列車
夜行列車は、起点付近では終電(終列車)、終点付近では初電(始発列車)を兼ねている例がある。初終電として機能させる場合、寝台列車ではなく座席車中心で運行されることが多い。
かつての国鉄・JRでは普通列車・快速列車の夜行列車も少なくなく、通しの客だけでなく、途中駅への深夜の終電(終列車)・途中駅からの早朝の初電(初列車)としても機能していた(#関西・中部地方で新宮・名古屋まで運転していた時代、あるいは定期列車時代のムーンライトながらなど)。こうした列車は、大都市圏のみならず地方路線でも早朝・深夜の移動を可能にしていたが、2009年3月13日運転のムーンライトながらを最後に、定期列車での運用は姿を消した。また、1980年頃まで宇高連絡船には3 - 4時台に運航する便があり、これに接続して宇野線宇野駅や予讃本線(現・予讃線)高松駅にも3 - 4時台に終着・始発となる列車が設定されていた[17]が、これも夜行列車の一種に含めることができる。
特急列車の夜行では、「サンライズ出雲・瀬戸」が、座席指定席と同額の「ノビノビ座席」を用意し、終・初電としても利用できるようになっている[18]。また国鉄時代には、寝台が長時間使えない列車が数多く設定されていたため、寝台の利用は出発時にセットされていない場合「21時から翌6時まで」、出発時にセットされている場合には「出発時から翌6時まで」とされていた。このような列車では寝台を使用しない時間帯で昼行列車の補完を行うために寝台券を有さずとも寝台車に乗車することが出来る制度(通称:ヒルネ)があった。
終電の列車種別
終電は、行き先駅までのすべての駅への足を確保する観点から、普通列車(各駅停車)であるのが一般的である(ただし、JR北海道の一部路線など通過駅がある場合もある)。特急列車・急行列車・快速列車などの速達列車である場合は、途中駅から各駅停車になるか、または緩急接続を行い、普通列車に乗り換えられる場合が多い。
山手線内では、並走する通過運転を行う系統は上野東京ライン・湘南新宿ラインで23時頃、その他の系統でも0時頃までには運転を終了し、以降の運転は山手線・京浜東北線・中央線各駅停車のみとなる。JRの各放射路線についても、中距離各線の下り列車は23時台には最終列車が発車し、総武快速線・中央線快速も東京駅0時頃発が最終の快速で、それ以降は各駅停車のみとなる(総武線各駅停車は御茶ノ水駅発着のため、新日本橋駅・馬喰町駅の終発がやや早い[19])。埼京線は池袋駅 - 赤羽駅間の赤羽線区間内でのシャトル運転となる。いずれの各線も到着が0時を過ぎる上りの快速や中距離列車は少数である。例外として、常磐快速線は両端で各駅停車の運転を行っていないため、上下すべての電車が最後まで快速を運転する(快速通過駅へは途中駅から各駅停車に接続する)。
遠方の利用者のために遅い時間に速達列車を運転するケースもある(JR神戸線・京都線の大阪発新快速、学研都市線木津行き・京田辺行きの区間快速、JR宝塚線篠山口行き快速、阪和線日根野行き区間快速など)。また、肥薩線の人吉行き快速(2016年3月26日改正前は特急のくまがわであった)、京浜急行電鉄の下り最終金沢文庫行き特急、京阪電気鉄道の上り最終樟葉行き深夜急行など、発車時刻を極限まで繰り下げる代わりに通過駅への接続を行わない終電が設定される場合もある。これらの中には、各駅停車が遠方への快速系統に接続しておらず、途中の通過駅の利用者が快速系統の停車駅まで移動できない場合もある。
地方ローカル線においても、需要が少ない上り(中心駅方面)方面で速達列車を設定している場合がある。例えば、樽見鉄道の樽見発最終の本巣行きは途中神海駅のみ停車する。
名古屋鉄道では、伝統的に多くの路線で優等列車が終電・始発となるようなダイヤが組まれていて、特に名古屋本線の上下線(東岡崎駅までと名鉄岐阜駅まで)と常滑・空港線の上り方面は2011年3月26日のダイヤ改正時より、特急(ともに全車一般車)として運転されている。
終電間際でも速達列車の運転がある場合、通常の乗車方法では終電が過ぎていても、速達列車で先行してUターンしたり、反対方向の速達系停車駅まで行ってUターンすることで間に合う場合もある。この場合はいずれも「複乗」扱いとなり、重複する区間の往復運賃が別途必要となる。
終電の行先
終電の行き先は、車両基地のある駅が一般的であるが、日中などには見られない珍しい行き先の電車(列車)が運転される例も多数あり、鉄道ファンからも注目されることがある。
乗り過ごした場合の足(自線での折り返し、他の鉄道線の利用のほか、タクシーなども含む)を確保するためそれらの設備の整った駅や、降車確認を行えるだけの駅員が配備されている駅まで営業し、以後は回送とする例もある。たとえば、大阪市営地下鉄御堂筋線のなかもず方面から運転される、終電近くの2本は梅田行きであったが、実際は中津駅および新大阪駅に回送していた。2013年3月23日の改正で当該列車は中津駅および新大阪駅まで営業運転されるようになった。
また、ダイヤの見直しで区間が変更された場合も、回送として対応する場合がある(山陰本線香住駅・高徳線オレンジタウン駅・予土線近永駅など)。
非常にまれではあるが、(利用はできるが)ほぼ意味のない終電もある。2008年当時存在した南海鋼索線の高野山22時42分発極楽橋行き最終列車がその一例であり、時刻表には掲載されているが極楽橋駅での接続列車はなかった。当駅周辺は宿泊施設・民家がないどころかタクシーも入って来られない山奥であり、当駅から歩くか野宿するしか術がないので利用客がいない。これは高野山住民への高野山駅行きの最終列車(高野線からの最終列車に接続する)を運転するためのケーブルカーのシステムが交走式である故に発生する列車である(実際の当時の最終列車については路線記事へ)。その後、高野線電車への接続のない列車は回送扱いに変更されたため、現在ではこの最終列車は(営業列車としては)存在しなくなっている。
「赤電車」と「赤バス」
かつて東京など一部の大都市の路面電車(都電など)においては、識別を容易にするため、終電車の方向幕に赤い電球を点灯して運行し、これを「赤電車」と呼んだ。終発から1本前の電車は同じく方向幕に青い(実際は緑色)電球を点灯したため「青電車」と呼ぶ[20]。
都電荒川線では方向幕にその目的専用の赤地・緑地のコマが残されていたが、車両の更新に伴い、現在は終電にのみ最終電車である旨の文字表記がなされている。春日八郎の歌「赤いランプの終列車」は赤電車が庶民にとって馴染み深いころに作られ、往時の状況を今に伝えている。
これらの後身である公営バスや、その周辺地域の民営バスでも、「赤バス」「青バス」など同様の慣習がある事業者も存在している。ただし、方向幕のLED表示器化が進んでいるため、終バスの表示については点灯カラーの変更のほか、「終バス」「最終」と文字表示したり、文字を反転表示にする、枠で囲むなど、色分けに代わるものもある。またこの慣習を実施していないバス事業者も多くある[20]。
日本の鉄道のLED表示では、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス線)で、終電の行先表示に「最終」の文字が入るなどの例もある。
脚注
- ↑ 日本国語大辞典(小学館)・大辞泉(小学館)・大辞林(三省堂)・新明解国語辞典(三省堂)による。対義語は「初電」新明解国語辞典による。
- ↑ 「終発」表記例…『東山線~地下鉄始発・終発時刻』(名古屋市交通局Webサイトより)
- ↑ 「終車」表記例…『大晦日の終夜運転、終車延長について』(東京都交通局Webサイトより)
- ↑ ただし、阪神なんば線は大阪難波駅を終着とする列車はなく、最終の大阪難波方面行き(同駅0時24分着)もそのまま直通先の近鉄奈良線東花園駅(0時46分着)まで営業運転を行う。
- ↑ 阪急で最も遅い到着は京都本線の河原町0時47分発の桂行きで0時57分に到着する列車である。
- ↑ 中村卓之「列車運行の変遷からみた京阪電車」、『関西の鉄道』第8号、関西鉄道研究会、1983年1月、 25頁。
- ↑ 『JR時刻表』2015年8月号(交通新聞社)
- ↑ 8.0 8.1 石野哲『時刻表名探偵』日本交通公社、pp.77、79
- ↑ 2012年現在の同区間(同一方面)の終列車は室蘭駅21時22分発で、3時間以上も繰り上がっている。
- ↑ 釜石地区の列車のダイヤは当時の盛岡鉄道管理局の運転時刻表が出典と記されている。
- ↑ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1971年1月号、日本交通公社、125ページ - 当時は長門市駅からの下関駅行の始発列車の時刻も早く、2時54分発であった。
- ↑ 『JR時刻表』2018年8月号、交通新聞社、JRニュース12 - 44頁
- ↑ 大阪市営地下鉄、23日から終電延長 期待と不満も - 日本経済新聞
- ↑ 東京都交通局&東京メトロ、4路線で終電時刻繰下げ - 3/15ダイヤ改正で実施 - マイナビニュース
- ↑ 名古屋市、地下鉄終電の延長検討 河村市長、値上げ考慮 - 朝日新聞デジタル
- ↑ 「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年7月29日付け環境庁告示第46号)では、「第1」の「3」において、「1の環境基準は、午前6時から午後12時までの間の新幹線鉄道騒音に適用するものとする。」と規定している。http://www.env.go.jp/kijun/oto3.html
- ↑ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1971年1月号、日本交通公社、134・181・183ページによると、京都駅発の普通623列車、新大阪駅発の急行「鷲羽11号」の宇野駅到着はそれぞれ3時00分、3時09分であった。また宇和島駅発の急行「うわじま9号」、中村駅発の快速756Dの高松駅到着はそれぞれ3時25分、3時34分であった。
- ↑ 2016年3月に廃止された急行「はまなす」には座席車が装備され、同様の利用が可能であった。
- ↑ ただし、上りの最終は錦糸町駅0時21分発であるので、それまでに各駅停車で迂回できれば到達することはできる
- ↑ 20.0 20.1 ルーツは都電? 都内を走る「赤バス」「青バス」、ルールないのに各社で見られるワケ 乗りものニュース、2017年6月16日、2018年7月19日閲覧。