伊吹山ドライブウェイ
伊吹山ドライブウェイ(いぶきやまドライブウェイ)は、岐阜県不破郡関ケ原町から滋賀県米原市大久保(伊吹山頂)に至る全長17キロメートル (km) の一般自動車道事業による有料道路である。1965年(昭和40年)7月に全線開業し、現在に至っている。
Contents
概要
西に琵琶湖、東に関ヶ原を見下ろす滋賀県下最高峰の日本百名山の一つである伊吹山(標高1377 m)の9合目までを登る観光有料道路[1]。名神高速道路の関ヶ原ICから国道365号を長浜方面に向かって約3 kmのところ(伊吹山口交差点)に入り口がある[2][3][4]。ここから伊吹山9合目付近にあるスカイテラス駐車場(標高1260 m)まで駆け上がる。全長は約17 kmで[5]、通り抜けはできない[2]。最終地点の約600台の駐車場には2013年(平成25年)4月にリニューアルオープンしたレストハウスの「スカイテラス伊吹山」[6]や恋慕観音像、トイレ(協力金制、トイレットペーパー販売制。車椅子用あり)がある[7]。
伊吹山ドライブウェイでは、開業以来、高山植物や紅葉等の四季折々の草花を鑑賞するほか、滋賀県・岐阜県を一望に見下ろす大パノラマを見るために、大勢の利用者が訪れ、2005年度は約8万4000台の車両、約30万人に達している。
2006年(平成18年)3月28日からは、オーストラリアの投資銀行・マッコーリー銀行が設立した日本自動車道株式会社が、近畿日本鉄道株式会社及び名阪近鉄バス株式会社より資産・営業譲渡を受け、本ドライブウェイの運営を行っている。
路線データ
- 起点:岐阜県不破郡関ケ原町大字関ケ原字寺谷1586(伊吹山口交差点)[5]
- 終点:滋賀県米原市大久保字野田山1632(伊吹山9合目付近)[5]
- 総延長:17 km[5]
- 幅員:6.5 m (2車線)[5]
- 勾配:平均 6.4%、最大 10%[5]
- 制限速度:30 km/h(一部 20 km/h)[5]
歴史
- :陸運局による路線許可
- 1961年(昭和36年):工事着工[5]
- 1964年(昭和39年)6月16日:一部開通(12キロ地点・上平寺越駐車場まで)
- 1965年(昭和40年):道路完成[5]
- 1965年(昭和40年)7月1日:全線開通
- 2011年(平成23年)7月:台風6号により、一部道路崩壊などの被害を受ける[5]。
- 2011年(平成23年)8月:被災した道路を完全復旧し、通常営業を再開[5]。
路線状況
急カーブが連続することから[3][4]、全線で制限速度30 km/hであり所々(全体の40%近く)は20 km/hである。 自動車専用道路に相当する道路という形で、道路交通法による一部車両通行規制が行われており、当初は二輪車の二人乗りは禁止とされていたが、平成23年7月より条件付き(運転者の年齢が満20歳以上、かつ自動二輪車の免許を受けていた期間が通算3年以上であること)で解除されている。 また、平成24年(2012年)までは、夏期期間(7月後半から8月末)での夜間滞在(スカイテラス駐車場においての車中泊)が認められていたが、平成25年(2013年)からは認められていない。紅葉スポットとして知られるところから、秋の紅葉シーズン中は行楽の車両が多い[3][4]。積雪期の11月下旬から4月下旬にかけて冬季閉鎖されるため、この期間は通行することはできない[3][4]。通行は自動車や、125cc以上のオートバイに限られ、自転車などの軽車両や歩行者は通行することはできない[3][4]。
営業時間
営業時間は季節によって異なり、最終入場は、終業時間の2時間前となっている。冬季期間中(11月下旬頃 - 4月下旬頃)は、積雪により営業休止になる。
- 4月、5月、6月、7月1日 - 7月第3土曜日の前日:8時 - 20時(入場は18時まで)
- 7月第3土曜日 - 8月31日:3時 - 20時(入場は18時まで)
- 9月:8時 - 20時(入場は18時まで)
- 10月以降:8時 - 19時(入場は17時まで)
利用料金
利用料金は往復の通行料を入場時に支払い、スカイテラス駐車場(最終地点の駐車場)の駐車料金も含んだ料金。
- 自動二輪車(125cc以下の自動二輪車は、利用不可):2,160円
- 軽自動車・小型自動車・普通自動車:3,090円
- マイクロバス・路線バス:7,710円
- 大型貨物・バス: 12,340円
道路施設
地理
起点から終点のスカイテラス駐車場まで標高差は約1000 mある[3][4]。標高1000 mの上平寺越駐車場(じょうへいじごえ-ちゅうしゃじょう)付近から伊吹山が見えてくる[8]。伊吹山の東側を回り込む道路からは、東に位置する西美濃の山々の展望が良く、山頂下駐車場付近から琵琶湖を眺望する絶景には定評がある[3][4][8]。 伊吹山は日本のほぼ中央に位置し、日本海から吹く寒冷な季節風にも影響された植生が魅力で[1]、地理的・地質的・気象的に、昔から草本植物や薬草の宝庫として知られ、伊吹山だけでしか見られない特産種(固有種)も数多く存在するなど、植物研究史上貴重な山となっている。伊吹山全体では、シダ植物以上の高等植物が約1250種分布するが、その内山頂一帯のお花畑では約350種が見られるという。山頂下の駐車場から散策路を登って向かうと、8合目より上の山頂周辺には美しい広葉草原(伊吹山頂お花畑)が広がり[1]、夏の開花シーズンは多くの人を集める[8]。伊吹山ドライブウェイのホームページでは、山頂お花畑の情報を頻繁に更新している。
通過する自治体
交差する道路
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 佐々木、石野、伊藤 2015, p. 96.
- ↑ 2.0 2.1 須藤英一 2013, pp. 119.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5 3.6 小川、栗栖、田宮 2016, p. 86.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 中村純一 編 2017, p. 86.
- ↑ 5.00 5.01 5.02 5.03 5.04 5.05 5.06 5.07 5.08 5.09 5.10 5.11 5.12 “伊吹山ドライブウェイ公式ページ 道路概要”. 日本自動車道. . 2015閲覧.
- ↑ “伊吹山ドライブウェイ”. 長浜観光協会・米原観光協会・奥びわ湖観光協会・北びわこふるさと観光公社. . 2013閲覧.
- ↑ スカイテラス伊吹山のご案内 施設案内
- ↑ 8.0 8.1 8.2 須藤英一 2013, pp. 118-119.
参考文献
- 「伊吹山ドライブウェイ」『ニッポン絶景ロード100』 中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2016-04-10。ISBN 978-4-7779-3980-8。
- 「伊吹山ドライブウェイ」『日本の絶景道100選』 中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2017-04-10。ISBN 978-4-7779-4572-6。
- 『絶景ドライブ100選[新装版]』 松井謙介編、学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015-09-30。ISBN 978-4-05-610907-8。
- 須藤英一 『新・日本百名道』 大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2。