ミネベアミツミ
ミネベアミツミ株式会社は、長野県北佐久郡御代田町に本社を置くベアリング、モーターを中心とする電器部品メーカー。直径22mm以下の小径・ミニチュアサイズのボールベアリングでは、である。略称はNMB(Nippon Miniature Bearing)。生産の6割をタイ王国で行うほか、中華人民共和国などにも工場を持つ。
高橋高見が会長・社長時代、多角化を目指し、M&Aを積極的に行い規模が拡大し、一時はミネベア航空という自社専用の貨物航空会社まで持つ程であった。しかし、収益力の低下と下諏訪町にある三協精機製作所(現日本電産サンキョー)の買収に失敗し本業回帰に転換している。(三協精機は2003年に日本電産が買収)
新中央工業を合併後、警察や自衛隊向けの拳銃や機関拳銃も開発・製造している。日経225銘柄の一社である。
Contents
沿革
- 1951年(昭和26年)7月 - 日本ミネチュアベアリング株式会社として設立。
- 1961年(昭和36年)7月 - 東京証券取引所店頭売買銘柄へ公開。
- 1961年(昭和36年)10月 - 東京証券取引所2部上場。
- 1965年(昭和40年)7月 - 本社を現所在地に移転。
- 1968年 (昭和43年)9月 - アメリカに、現地法人 Nippon Miniature Bearing Corporation設立。(現NMB Technologies Corp.)
- 1970年(昭和45年)10月 - 東京証券取引所1部指定替え。
- 1971年(昭和46年)4月 - イギリスに、NMB (UK) Ltd.設立
- 1971年(昭和46年)5月 - 大阪証券取引所、名古屋証券取引所各1部上場。
- 1971年(昭和46年)9月 - SKF社のリード工場を買収、アメリカでのベアリング生産を開始。
- 1972年(昭和47年)2月 - シンガポールに、現地法人 NMB Singapore Ltd.設立。
- 1974年(昭和49年)9月 - 新興通信工業(株)を買収。
- 1975年(昭和50年)1月 - アメリカの IMC Magnetics Corp.を買収。
- 1975年(昭和50年)7月 - (株)東京螺子製作所、新中央工業(株)を買収。
- 1975年(昭和50年)9月 - 大阪車輪製造(株)、アメリカのHansen Manufacturing Co,Incを買収。
- 1977年(昭和52年)10月 - ドイツに、現地法人 Nippon Miniature Bearing GmbHを設立。
- 1978年(昭和53年)8月 - 北斗音響(株)、(株)ハタ通信機製作所を買収。
- 1979年(昭和54年)8月 - 帝国ダイカスト工業(株)を買収。
- 1980年(昭和55年)1月 - 中華民国に、現地法人 台湾美蓓亜電子股份有限公司を設立。
- 1980年(昭和55年)3月 - 光洋精工(株)のシンガポール工場を買収、シンガポールでのベアリング生産を開始。
- 1980年(昭和55年)8月 - タイに、現地法人 NMB Thai Ltd.を設立。
- 1981年(昭和56年)10月 - ミネベア株式会社に商号変更。
- 1983年(昭和58年)3月 - (株)コンドーを買収。
- 1983年(昭和58年)10月 - ソニー(株)の子会社、(株)オーディオリサーチを買収。
- 1985年(昭和60年)3月 - アメリカの New Hampshire Ball Bearings, Inc.を買収。
- 1988年(昭和63年)2月 - イギリスの Rose Bearings Ltd.を買収。
- 1989年(平成元年)6月 - 中華民国の環中企業股份有限公司を買収。
- 1990年(平成2年)8月 - アメリカの Power Systems, Inc.を買収。
- 1990年(平成2年)10月 - ドイツに、ドイツのパプスト社との合弁会社、PAPST-MINEBEA-DISC-MOTOR Gmbhを設立。
- 1992年(平成4年)2月 - イギリスの Sorensen社を買収。
- 1994年(平成6年)4月 - 中華人民共和国に、現地法人 上海美蓓亜精密机電有限公司を設立。
- 1994年(平成6年)12月 - ミネベア信販の信販事業をゲートファイナンス(現新生フィナンシャル)に売却。
- 2004年(平成16年)4月 - 松下電器産業(株)モータ社との合弁会社 ミネベア・松下モータ(株)設立(後のミネベアモータ(株))。
- 2009年(平成21年)1月 - FDK(株)のステッピングモータ事業を譲受[1]。
- 2010年(平成22年)4月 - ミネベアモータ(株)がパナソニック(株)の情報モータ事業を譲受[2]。
- 2011年(平成23年)12月 - カンボジアのプノンペン経済特区内に、ミネベアカンボジアの自社工場を設立。
- 2012年(平成24年)6月 - 松井田工場に防衛・航空宇宙向け専用工場を建設決定。それに伴って2014年に大森工場を閉鎖。
- 2013年(平成25年)2月 - ミネベアモータ(株)のパナソニック(株)との合弁を解消。完全子会社化。
- 2013年(平成25年)4月 - ミネベアモータ(株)を吸収合併。
- 2014年(平成26年)6月 - アメリカのHansen Corporationの全株式を売却。
- 2015年(平成27年)2月 - 日本政策投資銀行と共同で、ドイツの計測機器大手Sartorius Mechatronics T&H GmbHを買収、子会社化。
- 2017年(平成29年)1月27日 - ミツミ電機(株)を株式交換により完全子会社化し経営統合。ミネベアミツミ株式会社に商号変更[3][4]。
国内工場
(かつての工場)
- 京都工場
- 一関工場
- 甲府工場
- 飯田工場
- 大森工場
海外工場
- アメリカ
- New Hampshire Ball Bearings, Inc. チャッツワース工場
- New Hampshire Ball Bearings, Inc. ピーターボロー工場
- New Hampshire Ball Bearings, Inc. ラコーニア工場
- タイ
- アユタヤ工場 (NMB-Minebea Thai Ltd.)
- バンパイン工場 (NMB-Minebea Thai Ltd.)
- ロッブリ工場 (NMB-Minebea Thai Ltd.)
- ロジャナ工場 (NMB-Minebea Thai Ltd.)
- ナワナコン工場 (NMB-Minebea Thai Ltd.)
- [[ファイル:テンプレート:Country flag alias PHL|border|25x20px|テンプレート:Country alias PHLの旗]] フィリピン
- MINEBEA PHILIPPINES, INC.
- [[ファイル:テンプレート:Country flag alias KHM|border|25x20px|テンプレート:Country alias KHMの旗]] カンボジア
- Minebea (Cambodia) Co., Ltd.
主な製品
軸受(ベアリング・ロッドエンド)
創業以来の事業であり、外径30ミリ以下のミニチュアベアリングに強い。現在では比較的大型のベアリングも製造している。 特にミニチュアベアリングの世界シェアは60%を超えている。そのボールの表面粗度はRa0.00001mm、内外輪溝の真円に対する誤差は±0.00001mmという超高精度である。特に精度が求められるHDD用の真円度は0.05μmm以下であり、この数値は人間の毛髪のおよそ1600分の1以下に当たる。ボールの真球度は0.02μmm以下であり、これは地球の直径約12,800,000mに対して、わずか25.6m以下の誤差ということになる。その高い超精密加工技術を生かし、2009年1月に世界最小の外径1.5mmボールベアリングをリリースした。 現在HDDの軸受けとして主流の流体軸受も手がけている。一般的には目にすることがない部品であるが、ホビー用ではサスペンション、釣り具、電動ガン、ミニ四駆などのアップグレードや補修用として人気であり、ネット商社やオークションなどで入手可能である。
回転機器
70年代にモータ事業へ参入し、主力事業のひとつに成長した。2004年に松下電器産業モータ社とファンモーター、ステッピングモーター、振動モーター、ブラシ付DCモーターについて提携した。HDDや携帯電話、デジタルカメラ用などの小型モータから、ブロワモーター、ターボ分子ポンプ用モーター、転轍機用モーターなど大型なものまで多種取り扱っている。鉄道用転轍機、遮断機モーターは日本国内シェアの半数を握っている。
ピボットアッセンブリー
HDDの構成部品の一つ。磁気ヘッドを取り付けたアームを動かす支点となる部品でベアリングを内蔵している。世界の65%以上のシェアを持つ。[5]
レゾルバ・車載機器
ベアリングや回転機器(巻き線)のノウハウを生かしてレゾルバや電磁クラッチの応用機器を開発・生産している。 トルクセンサとしてEPS(電動パワーステアリング)にレゾルバが用いられている。近年のワゴン、ミニバン等では電動スライドドア機構に電磁クラッチが使用されている。日産・リーフの走行モータ向けVRレゾルバも生産している。
スピーカー
北斗音響を前身とするスピーカー事業部は、オーディオメーカーに各種スピーカーをOEM供給している。
計測機器
ひずみゲージ、フォースセンサなどの小型機器からロードセル、圧力計、トルクメータ、指示計、ひずみ測定器、大型の引張圧縮材料試験機など幅広く生産を行っている。任天堂の『バランスWiiボード』には、ミネベア製ストレインゲージ式フォースセンサ(ひずみゲージ)が用いられている。
エレクトロデバイス
液晶パネル用バックライトやインバータを生産し、液晶テレビなどに採用されている。特にiPhone用バックライトモジュールを供給し、飛躍的に事業拡大しているが、対抗馬として有機ELが台頭しつつあり今後の動向に注目が集まる。
キーボード
現在ではDELLやlogicoolなど大手メーカーのOEM生産が中心だが、かつては高品質なメンブレンキーボードを自社ブランドで製造しており、2006年頃までは秋葉原のPCショップでも取り扱っていた。2013年には自社のセンサー技術を応用したタッチセンサーキーボード「COOL LEAF」を開発している。主に代理店(ユーエーシー株式会社など)を通じ医療現場やクリーンルーム用として販売されているが、ネットショップなどでは一般向けに販売されている。
防衛関連機器
戦前や戦時中に多くの銃器を生産した南部麒次郎が所長を務めていた、東京工廠製造所を前身としている新中央工業を合併し、ミネベア大森工場とした(後に松井田工場に機能移管)。ニューナンブM60、M360J SAKURA、9mm自動拳銃、9mm機関けん銃などの軍事向け製品を生産している。
ギネス記録
世界最小の量産可能なボールベアリング
2015年8月28日、世界最小の量産可能なボールベアリングとしてギネス世界記録に認定された。
外径1.5mmのスチール製ボールベアリングであり、日本の最高峰機械式腕時計の中に搭載されているトゥールビヨン機構に採用されている。
スイスにおける独立時計師達の間でも話題になり、使用用途の拡大が期待されている。
ギネスワールドレコーズジャパン 『匠ニッポン』第1号に認定
ギネスワールドレコーズ日本支社の新規プロジェクト、「匠ニッポンプロジェクト」において、第1号としてボールベアリングが認定された。
ギネス世界記録™世界最長回転記録を達成!
関連会社
- ミツミ電機株式会社
- 第一精密産業株式会社
- エヌ・エム・ビー販売株式会社
- MIK Smart Lighting Network株式会社[8]
- JAPAN 3D DEVICES株式会社
- 塩野プレシジョン(株)
- NMB (USA) Inc.
- New Hampshire Ball Bearings, Inc.
- NMB-Minebea UK Ltd.
- Precision Motors Deutsche Minebea GmbH
- NMB-Minebea-GmbH
- NMB Italia S.r.L.
- NMB Minebea Slovakia s.r.o.
- APB myonic GmbH
- Paradox Engineering SA
- NMB-Minebea Thai Ltd.
- NMB Singapore Ltd.
- NMB Korea Co., Ltd.
- Minebea (Cambodia) Co., Ltd.
- NMB-Minebea India Private Limited
- Moatech Co., Ltd.
- Minebea (Hong Kong) Ltd.
- Minebea Electronics & Hi-Tech Components (Shanghai) Ltd.
- Minebea Electronics Motor (Zhuhai) Co.,Ltd.
- Minebea Trading (Shanghai) Ltd.
- Minebea Electronic Devices (Suzhou) Ltd.
- Minebea (Shenzhen) Ltd.
- Minebea Technologies Taiwan Co., Ltd. Taipei Branch
- Dongguan Chengqu Daiichi Precision Mold Co., Ltd.
- Minebea Electronics Motor (Malaysia) Sdn.Bhd.
- New Hampshire Ball Bearings, Inc.
脚注
- ↑ FDK(株)のステッピングモータ事業のミネベア(株)への譲渡に関する基本合意のお知らせ
- ↑ ミネベア株式会社とパナソニック株式会社との情報モーター事業譲渡に関する基本合意のお知らせ
- ↑ ミネベア株式会社とミツミ電機株式会社との経営統合に関する経営統合契約及び株式交換契約の締結のお知らせ
- ↑ ミネベア株式会社とミツミ電機株式会社との経営統合に関する株式交換の効力発生日変更のお知らせ
- ↑ ピボットアッセンブリー
- ↑ ミネベアミツミと三菱プレシジョン共同開発ハンドスピナー「Real Spin Ms'」 ギネス世界記録™世界最長回転記録を達成!
- ↑ ハンドスピナー回転時間でギネス認定 ミネベアミツミ・三菱プレシジョン共同開発
- ↑ 長野県北佐久郡の「MIK Smart Lighting Network株式会社」が解散 ミネベア・岩崎電気・コイズミ照明の合弁会社