クリス・デービス (内野手)
クリストファー・リン・デービス(Christopher Lyn Davis, 1986年3月17日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ロングビュー出身のプロ野球選手(一塁手)。右投左打。MLBのボルチモア・オリオールズ所属。
ニックネームはCrush(クラッシュ)[1]。
Contents
経歴
プロ入り前
2004年のMLBドラフトでニューヨーク・ヤンキースから50巡目で指名されたが、契約には至らなかった。
2005年のMLBドラフトでロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムから35巡目で指名を受けたが、契約には至らなかった。
プロ入りとレンジャーズ時代
2006年のMLBドラフト5巡目(全体148位)でテキサス・レンジャーズに入団[2]。
2007年にA+級ベーカーズフィールド・ブレイズとAA級フリスコ・ラフライダーズで150三振ながら打率.297、36本塁打、118打点を記録。オフに「ベースボール・アメリカ」誌からレンジャーズでエルビス・アンドラスに次ぐ2位、全体では65位の有望株に選ばれた[3]。
2008年6月26日のヒューストン・アストロズ戦でメジャーデビュー。シーズン終了までに80試合に出場して打率.285、17本塁打、55打点、OPS.880の成績だった。
2009年はMLB史上最速の219打数目でシーズン100三振に到達[4]。最終的に113試合に出場し21本塁打を放った。
2010年は、ジャスティン・スモーク、ミッチ・モアランドらの台頭などにより、出番は減少した。
2011年はAAA級ラウンドロック・エクスプレスで48試合に出場し、打率.368、24本塁打という成績を残した。
オリオールズ時代
2011年7月30日に上原浩治とのトレードで、トミー・ハンターと共にボルチモア・オリオールズへ移籍した[5]。
2012年5月6日のボストン・レッドソックス戦では延長戦が長引いたことで両チーム共に控え投手がいなくなったため、レッドソックスは外野手のダーネル・マクドナルド、オリオールズは短大時代にリリーフ投手の経験があるデービスが緊急登板。92mphの速球やチェンジアップを駆使し、強打者のエイドリアン・ゴンザレスやジャロッド・サルタラマッキアから三振を奪うなど2イニングを無失点に抑え、勝利投手となった[6][7]。スコアは9-6。
2013年は、開幕から好調で前半戦だけで37本塁打を記録した。また、オールスターゲームにも最多投票で選出された。[8]本人の希望とロビンソン・カノの指名もあり本塁打競争にも出場した。結局53本塁打、138打点でアメリカン・リーグの本塁打王、打点王の二冠のタイトルを獲得した。同一シーズンでの40二塁打・50本塁打達成はベーブ・ルース、アルバート・ベル以来史上3人目の快挙だった[9]。
2014年1月17日にオリオールズと1035万ドルの1年契約に合意した[10][11]。9月12日に薬物検査の際、アンフェタミンに陽性反応を示したため、25試合の出場停止処分を受けた[12]。この出場停止処分がありながら規定打席に到達したが、打率.196(規定打席到達者としてリーグワースト[13])、26本塁打、72打点と打撃3部門で前年から大きく数字を落とした。
2015年8月10日の対シアトル・マリナーズ戦でセンター後方に30号本塁打を打ち込み、2シーズンぶりに30本塁打に到達した[14]。その後も本塁打を量産し、10月4日のレギュラーシーズン最終戦では2本塁打を記録[15]。この2本で47本塁打とし、2位のネルソン・クルーズ (マリナーズ) との差を3本に伸ばして、自身2度目となるア・リーグ本塁打王のタイトルを獲得した。また、これは2015年のMLBでは最多の本数でもあったにも関わらずホームランを5本もキャッチされた。一方で、前回本塁打王を獲得した2013年と同様、三振の数も本塁打と比例して増大し、史上5人目の200三振となるメジャーワーストの208三振を喫した。同年にFA資格を得たため、11月2日にFAとなった[16]。
2016年1月21日にオリオールズと7年総額1億6100万ドルで契約を結んだ[17]。本塁打王になった翌年は不振になるという前回のジンクス同様、この年もシーズン通じて打率が上がらずに、最終打率は.221に留まった。また、マーク・レイノルズ以来となる2年連続200超かつ自己ワーストを更新する、アメリカンリーグ歴代2位、MLB歴代ワースト3位[18]の219三振を喫した。ホームランこそ38本放ったものの、打点も100に届かなかった。
2017年は故障による1ヶ月の欠場があり、打撃三部門で前年よりも成績を落とした。
2018年は開幕から成績が低迷し、7月頃にはロブ・ディアー(1991年)とダン・アグラ(2013年)が保持していたシーズン最低打率.179を更新するのではないかと心配されるようになった[19]。9月5日には記録更新を回避できる打率.180まで持ち直していたものの[20]、そこから37打数1安打、20三振と不振を極め[20]、シーズン残り4試合となった時点で監督のバック・ショーウォルターは今季これ以上デービスを起用しないと発表した[20]。結局、規定打席到達者としてのメジャー史上最低年間打率を更新する.168でシーズンを終えた[21][注 1]。
選手としての特徴
マイナーリーグのAAA級ではトップクラスの成績を記録するが、メジャーリーグに昇格すると結果を出せない典型的な「AAAA級選手」であった。選球眼に欠け、低出塁率と三振の多さという致命的な欠点を解消できずにいた[25]。しかし2012年はメジャーに定着して33本塁打を放ち、2013年には本塁打王と打点王を獲得した。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2008 | TEX | 80 | 317 | 295 | 51 | 84 | 23 | 2 | 17 | 162 | 55 | 1 | 2 | 0 | 1 | 20 | 1 | 1 | 88 | 5 | .285 | .331 | .549 | .880 |
2009 | 113 | 419 | 391 | 48 | 93 | 15 | 1 | 21 | 173 | 59 | 0 | 0 | 0 | 2 | 24 | 2 | 2 | 150 | 6 | .238 | .284 | .442 | .726 | |
2010 | 45 | 136 | 120 | 7 | 23 | 9 | 0 | 1 | 35 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 15 | 3 | 0 | 40 | 3 | .192 | .279 | .292 | .571 | |
2011 | 28 | 81 | 76 | 9 | 19 | 3 | 0 | 3 | 31 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 24 | 2 | .250 | .296 | .408 | .704 | |
BAL | 31 | 129 | 123 | 16 | 34 | 9 | 0 | 2 | 49 | 13 | 1 | 0 | 0 | 0 | 6 | 1 | 0 | 39 | 2 | .276 | .310 | .398 | .708 | |
'11計 | 59 | 210 | 199 | 25 | 53 | 12 | 0 | 5 | 80 | 19 | 1 | 0 | 0 | 0 | 11 | 1 | 0 | 63 | 4 | .266 | .305 | .402 | .707 | |
2012 | 139 | 562 | 515 | 75 | 139 | 20 | 0 | 33 | 258 | 85 | 2 | 3 | 0 | 3 | 37 | 6 | 7 | 169 | 8 | .270 | .326 | .501 | .827 | |
2013 | 160 | 673 | 584 | 103 | 167 | 42 | 1 | 53 | 370 | 138 | 4 | 1 | 0 | 7 | 72 | 12 | 10 | 199 | 4 | .286 | .370 | .634 | 1.004 | |
2014 | 127 | 525 | 450 | 65 | 88 | 16 | 0 | 26 | 182 | 72 | 2 | 1 | 1 | 5 | 60 | 9 | 9 | 173 | 2 | .196 | .300 | .404 | .704 | |
2015 | 160 | 670 | 573 | 100 | 150 | 31 | 0 | 47 | 322 | 117 | 2 | 3 | 0 | 5 | 84 | 6 | 8 | 208 | 6 | .262 | .361 | .562 | .923 | |
2016 | 157 | 665 | 566 | 99 | 125 | 21 | 0 | 38 | 260 | 84 | 1 | 0 | 0 | 3 | 88 | 3 | 8 | 219 | 6 | .221 | .332 | .459 | .792 | |
2017 | 128 | 524 | 456 | 65 | 98 | 15 | 1 | 26 | 193 | 61 | 1 | 1 | 0 | 4 | 61 | 4 | 3 | 195 | 7 | .215 | .309 | .423 | .732 | |
2018 | 128 | 522 | 470 | 40 | 79 | 12 | 0 | 16 | 139 | 49 | 2 | 0 | 0 | 4 | 41 | 2 | 7 | 192 | 5 | .168 | .243 | .296 | .539 | |
MLB:11年 | 1296 | 5223 | 4619 | 678 | 1099 | 216 | 5 | 283 | 2174 | 743 | 19 | 11 | 1 | 35 | 513 | 49 | 55 | 1696 | 56 | .238 | .319 | .471 | .790 |
- 2018年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別投手成績
2012 | BAL | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 8 | 2.0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00 | 1.50 |
MLB:1年 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 8 | 2.0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.00 | 1.50 |
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- 2018年度シーズン終了時
タイトル
表彰
- シルバースラッガー賞(一塁手) 1回:2013年
- ルーキー・オブ・ザ・マンス 1回:2008年7月
- プレイヤー・オブ・ザ・マンス 1回:2013年4月
背番号
- 62 (2008年)
- 19 (2008年 - )
脚注
注釈
出典
- ↑ Orioles Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月5日閲覧
- ↑ 2006 Draft Picks for Round #5. The Baseball Cube(英語). 2012年1月28日閲覧
- ↑ Top 100 Prospects: No. 61-80. BaseballAmerica.com(英語). 2012年1月28日閲覧
- ↑ T.R. Sullivan (2009年6月21日). “Davis on record strikeout pace” (英語). MLB.com. . 2016閲覧.
- ↑ T.R. Sullivan (2011年7月30日). “Rangers add Uehara to 'pen for Davis, Hunter” (英語). MLB.com. . 2016閲覧.
- ↑ “延長17回で87年ぶり珍事 投手のコマ尽きる 両軍とも野手がマウンドへ”. スポニチアネックス (スポーツニッポン). (2012年5月7日) . 2016閲覧.
- ↑ Todd Wills (2012年5月8日). “MLB: Chris Davis pitches first game since Navarro College”. Corsicana Daily Sun. . 2016閲覧.
- ↑ Paul Casella (2013年7月15日). “With three All-Star starters, O's a formidable presence” (英語). MLB.com. . 2016閲覧.
- ↑ “オリオールズ デービスが50号 40二塁打と史上3人目の快挙”. スポーツニッポン (2013年9月15日). . 2016閲覧.
- ↑ (英語) (プレスリリース), MLB.com (Baltimore Orioles), (2014年1月17日), http://m.mlb.com/news/article/66803730 agree to terms with Davis, Hunter, Matusz, Norris and Patton . 2016閲覧.
- ↑ Andrew Simon (2014年1月17日). “Davis' breakout season nets massive pay raise” (英語). MLB.com. . 2016閲覧.
- ↑ “オリオールズのデービスが薬物違反で出場停止 昨季の本塁打王”. スポニチアネックス (スポーツニッポン). (2014年9月13日) . 2016閲覧.
- ↑ 検索結果(2014年のアメリカンリーグ打率、規定打席到達者限定、昇順)、FanGraphs、2018年10月2日閲覧。
- ↑ August 10, 2015 BAL VS SEA - Baseball-Reference.com (英語) . 2015年8月16日閲覧。
- ↑ October 4, 2015 NYY VS BAL - Baseball-Reference.com (英語) . 2015年10月5日閲覧。
- ↑ “Transactions | orioles.com”. MLB.com. . 2015閲覧.
- ↑ Brittany Ghiroli (2016年1月21日). “O's boy! Davis' club-record $161M deal official” (英語). MLB.com. . 2016閲覧.
- ↑ Single-Season Leaders & Records for Strikeouts - Baseball-Reference.com (英語) . 2016年10月8日閲覧。
- ↑ Matt Snyder (2018年7月12日). “Orioles slugger Chris Davis is in the midst of a historically bad season”. CBS Sports . 2018-10-2閲覧.
- ↑ 20.0 20.1 20.2 David Ginsburg (2018年9月28日). “Orioles Davis calls it a season with record-low .168 average”. Associated Press . 2018-10-2閲覧.
- ↑ “183億円強打者が不名誉な記録 規定打席歴代ワーストの打率「.168」でシーズン終える”. THE ANSWER. 株式会社Creative2 (2018年10月1日). . 2018-10-2閲覧.
- ↑ Lynn Zinser (2011年8月3日). “Bill Bergen's Awesome Record of Baseball Futility”. The New York Times . 2018-10-6閲覧.
- ↑ Joe Dittmar. “Bill Bergen”. SABR.org. SABR(アメリカ野球学会). . 2018-10-6閲覧.
- ↑ “Leaderboard Glossary: What are the minimum requirements to lead a Rate Stat?”. Baseball-Reference.com. Sports Reference. . 2018-10-6閲覧.
- ↑ Connolly, Dan(2011-07-30). Emotional Koji talks about being traded. The Baltimore Sun(英語). 2012年1月28日閲覧
関連項目
外部リンク
- Chris Davis stats MiLB.com (英語)
業績 |
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