熊野川
熊野川(くまのがわ)は、奈良県、和歌山県および三重県を流れる新宮川水系の本流で一級河川。下流の熊野本宮大社と熊野速玉大社間の流域は、「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されている。
なお、1970年に一級河川の指定を受けた当初は新宮川(しんぐうがわ)であったが、地元では熊野川の呼称が定着しており、変更の要望が多かったため1998年4月9日に法定名称が熊野川と変更された。水系名は新宮川水系のままである。
地理
奈良県吉野郡天川村の大峰山脈山上ヶ岳、大普賢岳、弥山・八経ヶ岳の辺りに源を発する。天川村、五條市内では天ノ川(てんのかわ)、十津川村内では十津川(とつかわ)と呼ばれる。天川村から西へ向かい五條市大塔町で90度向きを変え南へ、十津川村などを南流し、和歌山県に入る。大台ケ原を源流とする北山川を併せ、しばらく三重県との県境に沿って流れ、紀宝町・新宮市で熊野灘に注ぐ。
本流で十津川村を縦断する「十津川水系」の他に北山村、下北山村、上北山村を流れる「北山川水系」があり、和歌山県新宮市熊野川町宮井で合流する。厳密には北山川は熊野川の支流であるが、北山川の流路延長もかなり長いのでこれを本流とする見方もある。北山川には、瀞峡・瀞八丁(国の特別名勝)と呼ばれる大峡谷が形成されている。
奈良県内では流域の大部分で急峻な所を流れるため、川全体としてダムが多い。和歌山県内に入るととたんに川幅が広くなり、流れも穏やかになる。 水の色は普通の川のように緑色ではなく青色で独特の色をしている。水に石灰が混ざって水色になっている。
河川施設
前述の通り急峻なため、ダムが多い。
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右・瀬戸ダム湖、左・旭ダム湖
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風屋貯水池
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坂本貯水池
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流域の自治体
歴史
流域は木材の生産が盛んであり、かつてはその木を筏に組んで流していた。現在でも観光用としてではあるが筏下りが行われている。
国の史跡「熊野参詣道」の一つとして指定されている。川が史跡に指定されるのは珍しい。
2004年7月7日、「紀伊山地の霊場と参詣道」の「熊野参詣道中辺路」の一部として、熊野本宮大社と熊野速玉大社間の流域がユネスコの世界遺産に登録された。現在、世界遺産で唯一の「水上の参詣道」である。
治水
河口が砂州により以前より狭くなっており、完全に塞がってしまったこともあった。その後、三重県側の一部が開いたが、再び塞がった場合 新宮市内の市田川に水が逆流する恐れがある。国土交通省紀南河川事務局は、自然現象なので様子を見守っていきたいとしているが、周辺の漁協などからは魚の遡上に悪影響を及ぼすので開削して欲しいとの要望がある。
関連項目
- 吉野熊野国立公園
- 御船島 - 河口より約2km上流に位置する無人の島。
- 十津川大水害
- 熊野 (重巡洋艦) - 帝国海軍の最上型重巡洋艦の4番艦。1937年就役。
- くまの (護衛艦) - 海上自衛隊のちくご型護衛艦の10番艦。1975年就役。
外部リンク
- 熊野川 - 国土交通省水管理・国土保全局
- 熊野川ナビ - 国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所
- 歴史の情報蔵 熊野川の呼び名 - 三重県(三重県史編さん班による解説)
- 川の古道(熊野川川舟下り)