味噌カツ
味噌カツ(みそかつ)は愛知県名古屋市か三重県津市発祥の料理で、「名古屋めし」と呼ばれるものの一つ。中京圏で供する飲食店が多い。
八丁味噌などの豆味噌のベースに店によって鰹出汁、砂糖など様々なものを加えた独自のタレを豚カツにかけたもの。一つの惣菜として並ぶこともあれば、カツ丼やカツサンドの形で用いられることもある。味噌ダレは東海地方を中心に市販され、味噌カツだけでなくおでんにも用いられる。
歴史
昭和42年(1967年)に刊行されたガイドブックに、中区錦三丁目にあった「和食レストラン なごや」が、八丁味噌をベースにしたソースを豚カツにかけて提供している旨の記述があり[1]、またその後1970年代に刊行された他の書籍[2][3]などでも、名古屋市内や尾張地方周辺の店舗で広く提供されている旨の記述がなされている。起源に関しては、平皿の上に豚カツを載せ、その上から味噌ベースのソースをかけた形態の味噌カツは三重県津市の「カインドコックの家 カトレア」が1965年(昭和40年)に考案したものであると店主自ら名乗りを上げており、これを味噌カツの発祥とする説があり[4][5]、いくつかの書籍がこの説を紹介している[6][7][注釈 1]。同時にカトレアの味噌カツはいわゆる「名古屋めし」における味噌カツの発祥には当たらないという考え方も存在する[8][4]が、かかっている味噌ダレが津市と名古屋市で違うことから、三重県民の間で、同名の別物であるとする受け止め方があるという記述のある文献もある[6][7]。なお、カトレアの味噌ダレがカツオなどのきいた甘くゆるめのものなのに対し、名古屋の味噌ダレは、赤味噌の色を濃く残した、こってりとしたものが多い[5][6][7]。
調合味噌
中京圏では、味噌カツに合う味に調整した味噌加工品が味噌製造会社から販売されており、家庭ではこれらを豚カツにかけて食べることも一般的である。味噌の他、砂糖、食塩、鰹節エキス、酢、増粘剤などが配合され、甘辛い味になっているものが多い。容器も、業務用のものもあれば、家庭用に適したものもあり、ナカモの「つけてみそかけてみそ」はマヨネーズに似たチューブ入りで、イチビキの「献立いろいろみそ」はゼリー飲料のパウチ容器に似たようなチューブに入っている製品がある。
脚注
注釈
出典
- ↑ むさし書房編集部 編(1967):28 - 29ページ
- ↑ 創元社編集部 編、『名古屋味覚地図 1973年版』、創元社、1972年
- ↑ 鈴木修 編、『名古屋の味(カラーブックス 377)』、保育社 、1976年
- ↑ 4.0 4.1 “味噌かつ|食べる・飲む”. 津市観光協会公式サイト レッ津ゴー旅ガイド. 津市観光協会. . 2015閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 岡田(2015):60 - 61ページ
- ↑ 6.0 6.1 6.2 金木(2014):58ページ
- ↑ 7.0 7.1 7.2 三重県地位向上委員会 編(2015):125 - 126ページ
- ↑ 店舗による公式な表明がないため、この件が最も公的な形で記述されているのは津市観光協会サイトの「レッ津ゴ〜旅ガイド」ページとなる
参考文献
- むさし書房編集部 編『名古屋うまいもの 味覚あんない』、むさし書房、1967年11月
- 岡田登『意外と知らない三重県の歴史を読み解く! 三重「地理・地名・地図」の謎』じっぴコンパクト新書251、実業之日本社、2015年3月19日、191p. ISBN 978-4-408-45546-4
- 金木有香『三重あるある』TOブックス、2014年10月31日、159p. ISBN 978-4-86472-300-8
- 三重県地位向上委員会 編『三重のおきて ミエを楽しむための48のおきて』アース・スター エンターテイメント、2015年1月25日、174p. ISBN 978-4-8030-0657-5