富内線

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停車場・施設・接続路線(廃止当時)
STR
室蘭本線
HST
苫小牧
STR+l ABZgr
日高本線
LSTR BHF
0.0 沼ノ端
ABZgl STR+r
xABZgl KRZ
千歳線
exSTR STRl
室蘭本線
exBHF
4.8 北松田駅 -1943
exBHF
8.8 静川駅 -1943
exBHF
13.7 上厚真駅 -1943
exBHF
19.7 入鹿別駅 -1943
LSTR exSTR
BHF exSTR
0.0 鵡川駅
exABZg+r
日高本線
exTUNNEL2
第一和知志トンネル 90m[1]
exBHF
3.6
24.1
豊城駅
exBHF
7.8 春日駅
exBHF
13.1 芭呂沢駅 -1943
exBHF
15.8 旭岡駅
exBHF
18.8 木金似駅 -1931
exBHF
22.4 栄駅
exBHF
31.0 豊田駅
exBHF
37.3 穂別駅
exBHF
42.4 深牛駅 -1943
exBHF
45.5 富内駅
exTUNNEL1
第一日振トンネル 1059m[1]
exTUNNEL2
幌毛志トンネル 196m[1]
exBHF
55.0 幌毛志駅
exBHF
58.4 振内駅
exBHF
61.2 仁世宇駅
exBHF
68.6 岩知志駅
exBHF
73.4 日高岩内駅
exBHF
78.1 日高三岡駅
exKBHFe
82.5 日高町駅

富内線(とみうちせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線地方交通線)。北海道勇払郡鵡川町(現むかわ町胆振支庁管内)の鵡川駅日高本線から分岐し、沙流郡日高町日高支庁管内)の日高町駅までを結んでいた。

当初から根室本線金山駅と結ぶ計画があったものの、国鉄再建法の施行により1984年第2次特定地方交通線に指定され、1986年11月1日に全線が廃止された。

路線データ(廃止時)

  • 日本国有鉄道
  • 区間(営業キロ):鵡川 - 日高町 82.5km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:15(起点駅を含む)
  • 全線単線
  • 電化方式:全線非電化
  • 閉塞方式:タブレット閉塞式
    • 交換可能駅:4(旭岡、穂別、富内、振内)
  • 簡易委託駅:春日、旭岡、栄、豊田、富内

休止区間

  • 沼ノ端 - 豊城 24.1km - 1943年11月1日休止

運行形態

一部の列車を除き、日高本線を経由して苫小牧駅まで直通していた。廃止直前は、全線通しの運転が4往復程度あったほか苫小牧・鵡川 - 富内・振内間の区間列車があった。

歴史

沿線から産出されるクロム鉱や石炭、森林資源の開発のため、北海道鉱業鉄道が金山線(沼ノ端 - 邊富内)として1922年から翌年にかけて開業したもので、1924年に北海道鉄道(2代)と改称。1943年に同社の札幌線(現在の千歳線)とともに戦時買収され、富内線となった。

その際、日高本線と路線が近接していた沼ノ端 - 豊城間は不要不急線として休止(事実上の廃止)され、豊城 - 鵡川間に新線を建設して日高本線と接続させている。

富内まで完成後、富内以遠の工事は続けられていたが、戦時中の財政難や富内 - 振内間の日振トンネルの難工事(蛇紋岩由来の膨張性地質)によって完成は大きく遅れ、富内 - 振内間は1958年、全線開通は1964年となった[2]

鵡川 - 富内間は、改正鉄道敷設法別表第134号に規定する予定線「膽振國鵡川ヨリ石狩國金山ニ至ル鐵道及「ペンケオロロツプナイ」附近ヨリ分岐シテ石狩國登川ニ至ル鐵道」の一部であり、本来、根室本線金山駅に接続するはずであった。予定線の後段部分の一部は「紅葉山から占冠を経て金山に至る鉄道(紅葉山線)」に変更し、その一部が石勝線新夕張駅 - 占冠駅)として開業している。富内までは鵡川に沿って開通した区間であるが、そのまま北海道道610号占冠穂別線に沿って鵡川をさかのぼると清風山信号場で石勝線とぶつかり、ニニウを経て占冠へとたどり着く。占冠から金山へは国道237号が通じている。

富内 - 日高町間については、同法別表第142号の2に規定する予定線「十勝國御影附近ヨリ日高國右左府ヲ經テ膽振國邊富内ニ至ル鐵道」の一部として開業し、残りの区間については、「新得より占冠を経て日高町に至る鉄道(狩勝線)」に変更され、その一部が石勝線(占冠駅 - 上落合信号場)として開業している。富内線は富内から南に進路を変え、トンネルを抜けて幌毛志からは再び北東に進路を戻し、沙流川と国道237号に沿って日高町へ向かう経路をとった。なお、そのまま国道237号を進むと占冠に至る。

年表

  • 1922年(大正11年)7月24日 北海道鉱業鉄道が沼ノ端 - 生鼈(いくべつ、後の旭岡)間を金山線として開業。ニナルカ駅・上厚真駅・上鵡川駅・萠別駅・生鼈駅を新設[3]
  • 1923年(大正12年)
    • 6月12日 生鼈 - 似湾(後の栄)間を延伸開業。芭呂沢駅・似湾駅を新設[4]
    • 11月11日 似湾 - 邊富内(後の富内)間を延伸開業。杵臼駅・穂別駅・邊富内駅[5]・入鹿別駅[6]を新設。
  • 1924年(大正13年)
    • 3月3日 北海道鉱業鉄道が北海道鉄道に社名を変更。
    • 6月10日 (貨)深牛駅を新設。
  • 1925年(大正14年)7月1日 上勇払駅を新設。
  • 1926年(大正15年)5月12日 上勇払駅を北松田駅に改称。
  • 1927年(昭和2年)9月8日 木金似駅を新設。
  • 1931年(昭和6年)5月31日 木金似駅を廃止。
  • 1943年(昭和18年)
    • 8月1日 北海道鉄道を買収し国有化。沼ノ端 - 富内間 (66.0km) に線路名称を制定し、富内線とする[7]。上鵡川駅を豊城駅に、萠別駅を春日駅に、生鼈駅を旭岡駅に、似湾駅を栄駅に、杵臼駅を豊田駅に、邊富内駅を富内駅に、上勇払駅を北松田駅に、ニナルカ駅を静川駅に改称。芭呂沢駅・深牛駅を廃止。
    • 11月1日 鵡川 - 豊城間 (3.6km) の連絡線を開業。沼ノ端 - 豊城間 (24.1km) を休止し[8]富内線を鵡川 - 富内 (45.5km) と改める。北松田駅・静川駅・上厚真駅・入鹿別駅を休止。
  • 1944年(昭和19年)2月25日 省営自動車千栄線(富内-千栄間)貨物運輸営業開始[9]
  • 1958年(昭和33年)11月15日 富内 - 振内間 (12.9km) を延伸開業[10]。幌毛志駅・振内駅を新設。
  • 1964年(昭和39年)11月5日 振内 - 日高町間 (24.1km) を延伸開業し、全通。仁世宇駅・岩知志駅・日高岩内駅・日高三岡駅・日高町駅を新設。
  • 1982年(昭和57年)11月15日 全線 (82.5km) の貨物営業を廃止。
  • 1984年(昭和59年)6月22日 第2次特定地方交通線として、廃止承認。
  • 1986年(昭和61年)11月1日 全線 (82.5km) を廃止し[11]道南バスのバス路線に転換[12]

駅一覧及び接続路線

  • 全駅北海道に所在。
  • 駅・事業者・所在地などの名称は廃止時点のもの。
  • 括弧書きの駅名は、1943年8月の買収時に改称または廃止された駅の旧称
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
鵡川駅 - 0.0 日本国有鉄道日高本線 勇払郡鵡川町(現・むかわ町
豊城駅(上鵡川駅) 3.6 3.6  
春日駅(萠別駅) 4.2 7.8  
芭呂沢駅 5.3 13.1  
旭岡駅(生鼈駅) 2.7 15.8  
栄駅(似湾駅) 6.6 22.4   勇払郡穂別町(現・むかわ町)
豊田駅(杵臼駅) 8.6 31.0  
穂別駅 6.3 37.3  
(貨)深牛駅 5.1 42.4  
富内駅(邊富内駅) 3.1 45.5  
幌毛志駅 9.5 55.0   沙流郡平取町
振内駅 3.4 58.4  
仁世宇駅 2.8 61.2  
岩知志駅 7.4 68.6  
日高岩内駅 4.8 73.4   沙流郡日高町
日高三岡駅 4.7 78.1  
日高町駅 4.4 82.5  

1943年廃止区間

駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
沼ノ端駅 - 0.0 国有鉄道線(当時):室蘭本線千歳線 勇払郡苫小牧町(現・苫小牧市
北松田駅(上勇払駅) 4.8 4.8  
静川駅(ニナルカ駅) 4.0 8.8  
上厚真駅 4.9 13.7   勇払郡厚真村(現・厚真町
入鹿別駅 6.0 19.7   勇払郡鵡川村(現・むかわ町
豊城駅 4.4 24.1  

廃止後の状況

  • 廃止後は道南バスが鉄道代替路線を運行している[12]。また、穂別 - 千歳空港を結ぶ路線も転換交付金の対象となり、代替路線として開業した[12]。ただし後に峠越えとなる富内 - 幌毛志間はバスが全廃されており、元の鉄道路線の系統が分断されている。現在、振内・日高町方面への路線は幌毛志から国道237号で平取を経て日高本線の富川駅に接続している。なお、かつて富川から平取を結んでいた沙流鉄道には岩知志まで路線を延長する計画があったが、実現に至らないまま廃止されている。
    • 鵡川駅 - 穂別出張所(乗り換え) - 富内
      • 2007年10月1日より、むかわ町営バスが一律200円になったのに合わせ、距離にかかわらず1乗車の最大運賃が200円となっている。
      • 穂別出張所 - 富内間はむかわ町への予約が必要になった。
    • 苫小牧駅 - )富川 - 平取 - 振内 - 日高町(苫小牧駅直通は「特急ひだか号」の1日1往復。ただし特急ひだか号は富川駅には入らない)
  • 富内駅は駅舎や駅構内がほとんど保存されている。また振内駅も駅舎こそ残っていないものの、ホームや線路が残っており車両も置いてある。

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 トンネル一覧, (日本語), トンネル譲渡のお知らせ (鉄道建設・運輸施設整備支援機構), http://www.jrtt.go.jp/04Sale/sale-tunnelList.html#p3 . 2017閲覧. 
  2. 吉井久 『穂別高齢者の語り聞き史(昭和編)大地を踏みしめて 下  冨内駅・物流拠点としての役割』 穂別高齢者の語りを聞く会、2014年。
  3. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1922年7月28日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. 「地方鉄道停車場設置並運輸開始」『官報』1923年6月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)「…萌別生鼈間ニ芭呂沢停車場設置ヲ 又本月十一日生鼈似湾間運輸営業開始ヲ認可シタルニ孰モ本月十二日営業開始ノ旨…」とあり
  5. 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年11月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. 「地方鉄道駅設置並営業哩程変更」『官報』1923年11月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. 「鉄道省告示第204号」『官報』1943年7月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. 「鉄道省告示第299号」『官報』1943年10月6日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. 「運輸通信省告示第46号」『官報』1944年2月22日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. “日勝線の一部 富内から振内間(13キロ)18年ぶりで開通”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1958年11月16日)
  11. “31日廃止の富内、胆振線”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1986年10月31日)
  12. 12.0 12.1 12.2 鉄道ジャーナル』第21巻第2号、鉄道ジャーナル社、1987年2月、 78-81頁。

関連項目

  • 早来駅#その他 : 金山線敷設計画時は沼ノ端駅ではなく、早来駅が起点とされていた。

外部リンク