「2の冪」の版間の差分
ja>GKO098 (→数量的な性質: 全ての自然数は、高々13個の2の累乗数の和で表せる事実はない。具体的には、2^n-1はn-1個の和でしか表せない。) |
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2の冪(にのべき)は、適当な自然数 n を選べば、2 の n 乗 2n の形に表せる自然数の総称である。平たく言うと2の累乗数(にのるいじょうすう)である。
Contents
概説
小さい順に並べると
- 1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512,
- 1024, 2048, 4096, 8192, 16384, 32768, 65536, 131072, 262144, 524288,
- 1048576, 2097152, 4194304, 8388608, 16777216, 33554432, 67108864, 134217728, 268435456, 536870912,
- 1073741824, 2147483648, 4294967296, 8589934592 …(オンライン整数列大辞典の数列 A79)
となる。
2倍を繰り返したり、1 + 1 から始めて答えを2つずつ加え合わせることによって得られる数である。いずれもごく基本的な数量操作であり、様々な場面で用いられる。
指数に負の整数を許すならば、2の冪乗(この場合、それらは自然数ではなく有理数である)の中には「半分」の概念も含まれてくる。実際、1 (20), 1/2 (2−1), 1/4 (2−2), 1/8 (2−3), 1/16 (2−4) … というようなものも、2の冪乗として表すことができる有理数である。
トーナメント制のスポーツ大会で、試合の回戦が進むごとにチーム数が単純に半減していくように試合を組むとすれば、出場チーム数を2の累乗数にしておかなければならない。但し、実際にはシードや敗者復活などのルールを利用して試合を組むので、2の累乗数に近ければ支障が無い。
大きな数の話
当初の増え方から見ると、とても想像できないような大きな数を導き出すことができる点から、古くから様々な話に登場する。
例えば、「新聞紙を26回2つ折りにすると、富士山より高くなる」という話がある。計算上は 226 = 67108864 であるから、厚さ0.1mmの紙を26回折り曲げると約6710mとなり、富士山の標高(約3776m)を超える。当然ながら、実際には8回ほど折り曲げたところで限界となるため、紙を何度も折り曲げるのは物理的に実行不可能であるが、「新聞紙を2等分に切り、それを重ねる」を繰り返すことはある程度可能である。
別の例に、「将棋盤問題」というものがある。古代のインドのセーラムという王の家来、セッサ・イブン・ダヘルがチャトランガ(将棋やチェスの原型となったとされるゲーム)を発明した時、王はこれを喜び、望むだけの褒美を取らせる、と言った。この時の彼の希望は、「盤の最初の升目に一粒の小麦を置き、二升目には二粒、三升目には四粒と増やしていって、最後の升目の分だけを頂きたい」というものであった。この数は、2の63乗であるが、実際の小麦として計算すると、世界の小麦生産高の2500年分を越えるという。日本においては曽呂利新左衛門(初代)が豊臣秀吉から褒美を何にするか問われ、今日は米1粒、翌日には倍の2粒、その翌日には更に倍の4粒と、日ごとに倍の量の米を100日間もらう事を希望したという逸話がある。また、漫画『ドラえもん』に登場する「バイバイン」は、栗饅頭を2の累乗数に増やす架空の薬品の話である。このバイバインに対する考察を山本弘が行っており、エッセイ集『宇宙はくりまんじゅうで滅びるか?』(2007年、河出書房新社、ISBN 978-4309018294)を上梓している。
倍増を繰り返す変化を扱ったものには「1秒毎に倍増する微生物」の話がある。これは「1秒毎に倍増する微生物を箱に1つ入れると、ちょうど30分後に箱がいっぱいになった。箱の半分になっていたのは、いつのことか?」というような問いかけの形で提示される。1秒で倍になるのだから、箱いっぱいになった時刻(開始30分後)の1秒前である「開始29分59秒後」には箱いっぱいの半分(要するに箱の半分)になっていたということで、これが正解なのだが、対数的思考に不慣れな人は、15分や20分といった答えを想像し、29分59秒という正解に驚くのである。
コンピュータにおける2の冪
コンピュータの演算には二進法が使われる。そのため、コンピュータに絡む数値に2の累乗数(ただし、桁を十進数に直す)が見られる。例えば、1 キビバイトは 1024 バイト(=210 バイト)であり、家庭用ゲーム機のNINTENDO64やパソコン用CPUブランドのAthlon 64の「64」は、64 ビット(=26 ビット)に因んだ名称である。近年のパソコンの普及によって、2の累乗数が家庭内にまで見かけられるようになった。
2進接頭辞も参照のこと。
数量的な性質
1を2の累乗数で割って行くと、小数には、位取り記数法の基数の半分の数が、累乗数として現れる。
例えば、十進法の位取り(十進数)では、1 を2の累乗数で割っていくと、小数には5の累乗数が現れる。〔1 ÷ 2 = 0.5(51) 、1 ÷ 4 = 0.25(52) 、1 ÷ 8 = 0.125(53)、1 ÷ 16 = 0.0625(54)〕 これらは
- [math] 2^{-n} \times 5^{-n} = 10^{-n} [/math]
より
- [math] 2^{-n} = 5^n \times 10^{-n} [/math]
であることから導かれる。
同じく、十二進数では6の累乗数が、二十進数では十の累乗数が現れる。〔十二進数: 1 ÷ 2 = 0.6(61) 、1 ÷ 4 = 0.30(62=三十六)、1 ÷ 8 = 0.160(63=二百十六)、1 ÷ 14(十六)= 0.0900(64=千二百九十六)〕
1以外の2の冪を十進法で表したとき、一の位は 2,4,6,8 のいずれかである。また、1以外の2の冪 2n を二進法で表したとき、一番上の位は 1 であとに 0 が n 個続く数になる。