平方数
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平方数(へいほうすう、square number)とは、自然数の自乗(二乗)で表される整数のことである。正方形の形に点を並べたときにそこに並ぶ点の総数に等しいので、四角数(しかくすう)ともいい、多角数の一種である。最小の平方数として、定義に 02 = 0 を加えることができる。平方数は無数にあり、その列は次のようになる。
- 0, 1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100, 121, 144, 169, 196, 225, 256, 289, 324, 361, 400, 441, 484, 529, 576, 625, 676, 729, 784, 841, 900, 961, …(オンライン整数列大辞典の数列 A290)
平方数の列の隣接二項間についての漸化式を考えると、1 から連続する正の奇数の総和は平方数に等しい:[math]\sum_{k=1}^n (2k-1)=n^2[/math]
1 | 4 | 9 | 16 | |||
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* | ** ** |
*** *** *** |
**** **** **** **** |
性質
- 0, 1 以外の平方数は合成数である。
- 正の約数の個数が奇数である自然数は平方数に限る。特に正の約数の個数が3個である自然数は素数の2乗で表せる。
- 1 から 2n − 1 までの n 個の奇数の総和は n2 に等しい:[math]\sum_{k=1}^n (2k-1)= n^2[/math]
- n 番目の平方数 n2 までの総和は [math]\sum_{k=1}^n k^2 =\frac{1}{6} n(n+1)(2n+1)[/math] であり、これは n 番目の四角錐数に等しい。また組合せ記号を用いて n+1C3 + nC3 とも表現できる。
- 0 を除く平方数の逆数和は [math]\frac{\pi^2}{6}[/math] に収束する:[math]\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k^2} =\frac {\pi^2}{6}[/math](→ゼータ関数、バーゼル問題)
- 連続する平方数 n2 と (n + 1)2 の間に必ず素数があるかは、証明されていない(ルジャンドル予想)。だが、素数であるか2個の素数の積である数が存在することは、1975年に陳景潤によって証明されている。
- 平方数の列の階差数列は公差 2 の等差数列であり、したがって第二階差数列は定数列 2である。
- 平方数は連続する2つの三角数の和で表せる。
- 奇数の平方数の差は8の倍数となる。
- 奇数の完全数は存在したとしても正の約数の個数が偶数であることが知られている。これより、平方数は完全数にはなりえないと分かる。
- フィボナッチ数である平方数は 0, 1, 144 のみである。
- 三角数である平方数を平方三角数という。その数列は 0, 1, 36, 1225, …(オンライン整数列大辞典の数列 A001110)
- 五角数である平方数は 0, 1, 9801, 94109401, …(オンライン整数列大辞典の数列 A036353)
- ハーシャッド数である平方数は 1, 4, 9, 36, 81, 100, 144, 225, 324, 400, 441, 576, …(オンライン整数列大辞典の数列 A118547)
- 立方数でもある平方数は6乗数 n6 である。0, 1, 64, 729, 4096, …(オンライン整数列大辞典の数列 A001014)。約数を7個持つ数は素数を6乗した数のみ。
- 十の位が奇数の平方数は、一の位が必ず 6 になる。16, 36, 196, 256, 576, 676 など。
- 下2桁が 25 の平方数は、百の位が必ず 0, 2, 6 のいずれかになる。25, 225, 625, 1225, …
- 144 と 441、169 と 196 と 961、256 と 625、1024 と 2401 のように、数字を並べ替えただけで、別の平方数になるものがある。(オンライン整数列大辞典の数列 A034289)
- 百、1万、1億、1兆などの数は底が 10(102n = (10n)2 の形)の平方数である。
- 十進法において、平方数の数字根は 1, 4, 7, 9 のどれかにしかならない。これにより、三進法では三の位が 0 の場合は一の位は 0 または 1 であり、三の位が 1, 2 の場合は一の位が 1 としかならない。
- 十進法において、平方数の下二桁は 00, 01, 04, 09, 16, 21, 24, 25, 29, 36, 41, 44, 49, 56, 61, 64, 69, 76, 81, 84, 89, 96 の22通りのうちどれかにしかならない。これにより、5 で割った余りも 0, 1, 4 のどれかにしかならないし 10 で割った余りも 0, 1, 4, 5, 6, 9 のどれかにしかならない。
- 平方数の下桁の数が自分自身と同じになる数については自己同形数を参照。
- 平方数を二進法表示したとき、二の位は必ず 0 となる。二進法では下2桁は 00, 01, 10, 11 の4通りであり、それぞれ平方すると 002 = 00, 012 = 01, 102 = 100, 112 = 1001 と二の位がいずれも 0 であるため。
- n進法表示にしても、121 = 112 (n ≥ 3), 144 = 122, 441 = 212 (n ≥ 5) は成り立つ。
- 平方数を 3 で割った余りは 0 または 1 である。
平方数による表現
- 全ての自然数は、高々4個の平方数の和で表される。(→四平方定理)
- 全ての自然数は、平方数と偶数の平方数と三角数との和で表される。(→多角数定理)
- 全ての自然数は、平方数と2個の三角数との和で表される。(→多角数定理)
- 4k + 1 の形の素数は2個の平方数の和で表される。(→二個の平方数の和)
- 8k + 1, 8k + 3 の形の素数は x2 + 2y2 で表される。(→二個の平方数の和#重みつき平方数の和)
- 12k + 1, 12k + 7 の形の素数は x2 + 3y2 で表される。(→二個の平方数の和#重みつき平方数の和)
- 8k + 1, 6k + 2, 8k + 3, 8k + 5, 8k + 6 の形の自然数は高々3個の平方数の和で表される。(→三個の平方数の和)
- 31個の数を除くすべての自然数は異なる平方数の和で表される。(オンライン整数列大辞典の数列 A001422)
一般化
有理数の平方として表される有理数を平方数ということもある。さらに一般には、可換体 K の乗法群 K* の部分集合 {x2 | x ∈ K} (直積集合と紛れるおそれのないときにはこれを (K*)2 などと表す)の元を平方数や平方元と呼ぶことがある。主に (K*)2 ≠ K* のときに意味を持つ。
参考文献
- Chen, J. R. "On the Distribution of Almost Primes in an Interval." Sci. Sinica 18, 611-627, 1975.
関連項目
外部リンク
- Weisstein, Eric W. “Square Number”. MathWorld(英語). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。