ICE
ICE(Intercity-Express)は、ドイツを中心に運行されているヨーロッパの高速列車である。また、ドイツ鉄道の旅客列車における最上位の列車種別であり、インターシティの上位にあたる。
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歴史
1991年6月2日、ハノーファー - ヴュルツブルク、マンハイム - シュトゥットガルトのNBS(高速新線)本格開通と時を同じくして、ハンブルク - ハノーファー - フランクフルト - シュトゥットガルト - ミュンヘンの路線(ICE6号線:ICE Linie 6)で運行を開始。最高速度は250km/hとなり、ドイツにおいては1968年の200km/h運転開始以来の営業運転速度向上となった。ICE 1の13両編成による運行で、全線通しの列車が1時間間隔で12往復設定されたほか、朝夕はハノーファー、カッセル、フランクフルト、シュトゥットガルト発着の列車も運転された。また一部列車がヴィースバーデン、ハイデルベルクに乗り入れた。
ICEは好評を持って迎えられ、車両が落成次第順次運行区間を拡大して行き、1992年にはスイスのバーゼル・チューリッヒに乗り入れを開始、1993年には統一ドイツの首府ベルリンまで運行区間を延ばした。1996年にはICE 2が加わり、ルール地方への乗り入れも開始。1998年にはオーストリアのウィーンへ運行区間を延ばした。
1998年9月27日、ハノーファー - ベルリンにNBSが開通し、ベルリンへの所要時間が大幅に短縮された。1999年より振り子式車両ICE Tの投入が始まり、線形の良くない区間、特に旧東ドイツ地域へのICE網拡大が本格化する。
2000年にはICE 3によりオランダのアムステルダムまでの運行を開始。2001年には気動車方式のICE TDが登場、ついにICEは非電化区間にもそのネットワークを広げた。2002年8月1日ケルン - フランクフルトのNBS開通にあわせ、同区間にシャトル列車の運行を開始、最高速度は300km/hまで向上した。同年12月に本格開業を迎え、ベルギーのブリュッセルへ乗り入れた。
2007年6月10日のフランスLGV東ヨーロッパ線開通により、既存のユーロシティを置き換える形で1日3往復のICEがパリまで乗り入れた(パリ - ザールブリュッケン間2往復・パリ - フランクフルト間1往復)。ICEが、高速鉄道のライバルであるフランスに進出することになった。
2007年12月9日からは、ICE TDによるデンマークのコペンハーゲンへの乗り入れや、ICE Tによるオーストリア方面への直通運転拡大も行われている。
車両
試作車も含めた多数のバリエーションがある。TGVとは異なり、客車を連接構造とはしていない。座席の間隔が広く、オーディオ設備を備え、食堂車も連結されていて、居住性が高いのが特徴。
ICE / ICE V
ICE 1の量産に先立って製造された試作車(Versuchszug = 試験車)。当初ICE (Inter City Experimental) と呼ばれ、1985年に300km/hの試験走行に成功、1988年5月1日にはフルダ (Fulda) - ヴュルツブルクで行われた試運転で406.9km/hの世界記録(当時)を達成。
ICE 1の登場を前にICE Vに改名され、ICE 2の自動解結装置の試験などにも使用された。老朽化のため2000年に廃車。
ICE 1
1991年6月のICE運行開始に合わせて投入された第一世代車両。編成の両端に動力車を配した動力集中方式を採用しており、中間に12両の客車を組み込んだ14両編成を基本としている。動力車の形式は401形。ドイツ国内の主要都市間での運用に加えて、スイスやオーストリアへの乗り入れも実施されている。
ICE 2
ICEの路線網を需要の少ない線区にも拡大するため、短編成と分割併合運転に対応した第二世代車両。ICE1と同様の動力集中方式であるが、先頭車の一端を動力車、もう一端を制御客車としたプッシュプル方式である。動力車の形式は402形。基本編成は8両で、2編成を併結した16両編成での運用も行われる。
ICE S
ICE 3など動力分散式車両の開発のために、ICE2予備動力車を利用して製造された試験車両(Schnellfahrten steht、高速運転のS)。現在は計測車両に改造されている。形式は410.1形。2001年8月13日にハノーファー・ベルリン間の高速新線(ハノーファー-ベルリン高速線)での試験走行でドイツ鉄道とJR東日本の試験台車を使用した編成が393km/hの最高速度を記録している[1]。インターシティエクスペリメンタル (ICE V)を置き換える予定である。
ICE S はドイツ鉄道が試験中の高速鉄道である。"S"はドイツ語で高速鉄道をあらわすSchnellfahrtzugを意味する。インターシティエクスペリメンタル (ICE V)を置き換える予定である。
歴史
列車は、元は1990年代半ばにICE 3で開発中に構成要素の試験のために使用された。動力車は小規模の改良を加えた、量産型のICE 2である。3輌の中間車の中の2両は、それぞれの車軸に500 kWの電動機を備え、編成の総出力は13,600 kWである。試験完了後、両方の動力客車は引退した。
ICE Vの引退後、ICE Sは高速鉄道線の保線用のための試験車両になった。軌道の状態を調べるために多数のセンサーとカメラを搭載してそれぞれの路線を年に3回走行した。高速新線の受領試験中にICE 3はいつも設計速度で最初に走行した。
2001年7月13日に、DBとJRのための台車の試験中、列車はドイツの鉄道上で1988年のインターシティエクスペリメンタルによる、鉄道での最高速度記録以来の393 km/hに到達した。[2]
ICE T
曲線の多い在来線区間の高速化に対応するため、車体傾斜装置を搭載した動力分散方式の電車として開発された。「T」は"Tilt-technology"(傾斜機構)を表す。車体傾斜装置はペンドリーノで実績のあるイタリア・フィアット社製を採用している。形式は7両編成が411形、5両編成が415形。高速新線の少ない旧東ドイツ地域や、山岳地帯の南ドイツ、オーストリアを中心に運用されている。
ICE 3
ケルン - フランクフルト間の高速新線の急勾配に対応するため、動力分散方式を採用した第三世代車両。基本的なコンセプトは先に登場したICE Tと同一である。2000年のハノーファー万博開催に合わせて運行を開始した。形式はドイツ国内用が403形、国際列車用が406形(ICE 3M)。
シーメンスはこのICE 3をベースとした高速鉄道車両のヴェラロを開発しており、スペインや中国、ロシア等に輸出している。また、ICE3のデザインの意匠を受けた列車が日本で製造されている。
ICE TD
ICEの路線網を非電化区間にも拡大するため、ICE Tをベースに開発された電気式気動車である。車体傾斜装置はICE Tと異なり、シーメンス製を搭載している。形式は605形。2001年よりニュルンベルク - ドレスデン間の運用に投入されたが、トラブルの頻発により定期運用を離脱。2007年より営業運転に復帰し、ハンブルクとデンマークのコペンハーゲンを結ぶ渡り鳥コースの国際列車として運用されている。
ICE 4
形式はBR412(412型)でこれまでのICE 3が高速化に重点が置かれていたのに対して、ICE 4では最高速度はやや控えめで経済性に重点が置かれている[3]。2015年1月に量産先行車が落成して2015年3月に10両から12両編成に注文を変更して2015年12月にICxからICE4に再命名され[4]、2016年の秋から14ヶ月の試運転を開始して2017年12月から運用開始の予定[4]。12両編成のICE4は全長346m、最高速度は250km/h、座席は全部で830席(1等205席、2等625席)[5]。
車両整備
車両の整備概念は7つのステップに分かれている。
走行距離4,000kmにつき1時間半かけて検査が行われる。汚水タンクから水が抜かれ、給水タンクに新しい水が補充される。ドアの故障など重大な故障は修理される。さらに安全のため、試験が行われている。これにはパンタグラフなど集電装置類の点検が含まれ、絶縁部や変圧器の検査、亀裂やパンタグラフ圧の確認、クリーニングなどが行われている。台車の検査もこの時点で行われている。
走行距離20,000kmにつき2時間半の検査が行われ、これはNachschauと呼ばれている。この段階では、LZB(ドイツの高速鉄道路線上で使われている保安装置)やブレーキ系統のシステムがチェックされる。
走行距離が80,000kmに達すると、Inspektionsstufe 1 (Inspection 1) と呼ばれる段階に入り、2つの単位でそれぞれ8時間かけて、ブレーキ系統の精密検査や同じようにエア・コンディショナーや供食設備、座席や旅客案内装置の検査が行われる。
走行距離が240,000kmに達すると、Inspektionsstufe 2 (Inspection 2) と呼ばれる段階になり電動機、軸受や駆動軸、ボギー台車や連結器の検査が命じられる。この検査は通常二つの単位で、それぞれ8時間かけて行われる。
年に1回、約480,000kmに走行距離が達した時Inspektionsstufe 3 (Inspection 3) の段階に入る。この検査段階には気密装置や変圧器の冷却装置の整備、客室内の整備も含まれている。
最初の全般検査は走行距離が120万kmに達した時点で行われる。これは新幹線車両と同じである。車両のすべての構成部分で完全な検査が、5日区分を2回取り実施される。2回目の全般検査は240万kmに走行距離が達した時に実施され、ボギー台車は新しい物に交換され、多くの部分は分解され詳しく検査される。最初の全般検査同様、5日区分を2回取り実施されている。
ICEの整備はICE専用の整備工場で実施されている。ICEの整備工場はそれぞれ、スイスのバーゼル、ドイツ国内はベルリン、ドルトムント、フランクフルト・アム・マイン、ハンブルク、ミュンヘンなど運行の拠点となる地に立地している。ライプツィヒにも将来的に新設が予定されている。故障の報告はあらかじめ、車載コンピュータシステムによって工場に送られ、整備時間を最小限に抑えている。
リコール
2008年7月9日、ICE-Tがケルンで低速走行中に脱線事故を起こしたが、原因は車軸の亀裂によるものであった。これをうけてドイツ鉄道は、シーメンス・ボンバルディア各メーカーに対するリコールを決定した。台車問題が解決するまで当面の間、ICE-TとICE3の各編成の検査周期を短くすることにしたが、検査入場頻度の増加に伴い車両が不足するため、各地の主要ターミナル駅で列車遅延や混雑が発生している。なおドイツ鉄道の公式発表では、2008年10月23日に発生したハンブルク駅構内での脱線事故は人為的なミスによるもので本件とは無関係とされている [6][7]。
編成名
2002年から、ICEの編成の一部には都市の名前がつけられており、車両の外部に市名と紋章が描かれている[8][9]。
ダイヤ
それまでのインターシティ (IC) の基本方針、すなわち2時間間隔の運転、1等車・2等車・食堂車の連結、主要駅での同一ホーム接続などを受け継ぎつつ、更なるスピードアップを追求した。
運行路線は高速新線 (NBS) の有無に関係なく、またNBSはICE専用の線路ではない。また従来のインターシティ (IC) /ユーロシティ (EC) も引き続き運行されており、ICEはこれらを完全に置き換えるものではない。このような点において新幹線やTGVなどとは異なる。
毎時a分、b分発というパターンダイヤで、日本でかつて運行されていたエル特急と似たような運行形態である。各系統とも1 - 2時間に1本程度の運行。主要区間では複数の系統が合わさって、最大で毎時3-4本程度になる。ドイツでは全国に都市が分散しているので、直通列車だけだと本数が少なくなってしまうが、ターミナルでの乗り換え時間を短くするダイヤの工夫により、乗り換える場合も含めれば国内の中都市同士で毎時1 - 2本の乗車チャンスができるよう配慮されている。原則的に追い抜きはなく、各列車の停車駅の数やスピードに大きな差はないが、朝夕のビジネス客向けに、停車駅を絞り、全席指定、追加料金が必要な"ICE Sprinter"という速達列車が一部路線で運転されている。また、表定速度の遅い夜行ICEもある。
最高速度は、高速新線NBSではジークブルク/ボン - フランクフルト空港遠距離駅(ケルン - フランクフルト空港)で300km/h, ヴュルツブルク - ハノーファー、 マンハイム-シュトゥットガルト、ヴォルフスブルク - ベルリン、バーデンバーデン - オッフェンブルクで250km/h。在来線を改良したABSでは、ケルン - Düren で250km/h、ハンブルク - ベルリンで230km/h、その他の路線では160-200km/h程度。
フランクフルト空港駅を発着する一部のICEに対しては、ルフトハンザドイツ航空の便名を付け、座席の一部を航空便として提供することで、航空と鉄道との連携輸送を行っている。以前は「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」という専用の列車で提供されていたものであるが、現在は"AirRail"というサービス名で、定期のICEの一部の座席を買い上げる形に変更されている。
ICEスプリンター
ICEスプリンターとは、ドイツの大都市間を移動するビジネスユーザをターゲットとして、停車駅を最小限に絞込み、通常のICEよりも所要時間を短縮した列車である。
ビジネスユーザをターゲットとしていたため、基本的には平日の朝と夕方に設定され、土曜・休日は運休となった。また、一般のICEと異なり、乗車には予約が必須であったほか、運賃・料金のほかに追加料金(1等16ユーロ・2等11ユーロ)が必要で、1等旅客には無料の食事サービスが提供された。しかし、2015年12月13日ダイヤ改正から運行区間を大幅に拡大し、土曜・休日も運行・予約必ずしも不要・追加料金不要と、停車駅以外は一般のICEと同じになっている[10]。
1992年5月に「イーザル・スプリンター」 (Isar Sprinter) の名称で、フランクフルト・アム・マインとミュンヘンの間を、途中マンハイムのみの停車で運転を開始した。
2008年12月時点で、ケルン - ハンブルク間に1往復、ベルリン - フランクフルト・アム・マイン間に2往復が設定されていた。
2015年12月現在、次の10区間に設定されている[11]。
- フランクフルト - ベルリン
- フランクフルト - ハノーバー
- フランクフルト - ハンブルク
- フランクフルト - ケルン
- フランクフルト - デュッセルドルフ
- フランクフルト - シュツットガルト
- ケルン - ハンブルク
- デュッセルドルフ - ハンブルク
- デュースブルク - ハンブルク
- エッセン - ハンブルク
国際列車
国際列車としては、オランダのアムステルダム、ベルギーのブリュッセル、フランスのパリ、スイスのチューリッヒ・インターラーケン、オーストリアのウィーンまで直通する。直通先のいずれの国においても"ICE"の種別名で運転される。過去にはオーストリアのインスブルック、デンマークのコペンハーゲン・オーフスへの直通もあった。
スイス
1992年9月より、ハンブルクとフランクフルト・アム・マインを結ぶ系統の一部を、バーゼル経由でチューリッヒまで延長したのが最初で、これはICEとしては最初のドイツ国外への進出となった。スイス直通に際しては、ICE1の19編成に対して、集電装置や保安装置などをスイス国内対応とする改造が行われている。
また、1999年5月より、シュトゥットガルトとチューリッヒを結ぶ系統にも投入された。こちらは振子式ICE-T(415形・5両編成)が投入されたが、スイス直通対応用として5編成が用意されている。この系統はのちに、7両編成のICE-T(411形)に置き換えられている。411系の投入に際しては、415系の先頭車(スイス直通対応)と、411形の先頭車(スイス直通非対応)を、それぞれ交換する手法が採られている。その後、この系統はICに格下げされた。
これとは別に、振り子式気動車であるICE-TD(605形・4両編成)が、2001年6月より、ミュンヘンとチューリッヒを結ぶ系統(アレガウ線)に投入されたが、不具合が頻発したため、2003年12月に運用を終了した。
2017年12月現在、ドイツ国内からバーゼルを経由してチューリッヒまでを結ぶ系統が1日6往復、ドイツ国内からバーゼル・ベルンを経由してインターラーケンまでを結ぶ系統が1日3往復、それぞれ設定されている。
オーストリア
1998年5月より、ハンブルクとウィーンを結ぶ系統にICE1が投入された。オーストリア直通に際しては、10編成のICE1が、保安装置などの対応改造を行った。
2006年より、ドイツ鉄道所有のICE-T(411形)3編成がオーストリア連邦鉄道に譲渡されて同社の4011形となった。この3編成と、ドイツ鉄道のICE-T(411形)8編成を使用して、2007年12月より、フランクフルト・アム・マインとウィーンを結ぶ系統に、2時間間隔で投入されている。
2017年12月現在、ドイツ国内からパッサウを経由してウィーンまでを結ぶ系統が1日6往復設定されている。
ミュンヘンとウィーンを結ぶ系統はrailjetに置き換えられている。
オランダ
2000年11月より、ケルンからアムステルダムまでを結ぶ系統に、"ICE International"の名称で、オランダ・ベルギー直通対応のICE3M(406形)が投入された。13編成はドイツ鉄道の所有であるが、3編成はオランダ鉄道の所有となっている。
2017年12月現在、ドイツ国内からケルンを経由してアムステルダムまでを結ぶ系統が1日7往復設定されている。
ベルギー
2002年12月より、フランクフルトからブリュッセルまでを結ぶ系統に、"ICE International"の名称で、オランダ・ベルギー直通対応のICE3M(406形)が投入された。当時、既にベルギー国内の高速新線(ブリュッセル-リェージュ間)は開業していたが、当初、ICE3Mは高速新線の走行が許可されず、在来線経由での運転となった。2004年12月よりこの規制は撤廃され、ベルギー国内も高速新線経由となった。2009年6月には、リェージュからドイツ国境までを結ぶ高速新線が開業した。
2017年12月現在、ドイツ国内からケルンを経由してブリュッセルまでを結ぶ系統が1日7往復設定されている。なお、ケルンからブリュッセルまではタリスが同一ルートを走行する。
フランス
2007年6月のLGV東線開業に伴い、フランス直通対応のICE3MF(406形)が、フランクフルト・アム・マインからザールブリュッケンを経由してパリまで直通するようになった。TGVが同一ルートを走行する。
2017年12月現在、ドイツ国内からザールブリュッケンを経由してパリまでを結ぶ系統が3往復(他にTGVが1往復)、ドイツ国内からカールスルーエを経由してパリまでを結ぶ系統が3往復(他にTGVが4往復)、それぞれ設定されている。
デンマーク
車両不具合のため定期運用から離脱していたICE-TD(605形)を使用し、2007年12月より、ハンブルクとコペンハーゲンを結ぶ系統と、ハンブルクとオーフスを結ぶ系統で、それぞれ直通を開始した。前者は「渡り鳥コース」と呼ばれるルートで、途中、鉄道連絡船による航送が行われていた。その後、IC/ECへの格下げにより消滅している。
事故
エシェデ鉄道事故
1998年6月3日、ドイツのニーダーザクセン州エシェデ付近を時速200kmで走行していたICEが脱線、道路橋に衝突し大破する事故が発生した。原因は弾性車輪の金属疲労による破損。この事故で101人が死亡し、ドイツの鉄道事故としては第二次大戦後最悪の惨事となった。
ドイツ国外への展開
韓国の高速鉄道KTXではフランスとの入札競争で健闘したが敗れた。
台湾高速鉄道ではフランスとともに「ヨーロッパ連合」を組み、ICEの動力車とTGV(二階建て車両の「Duplex」)で組成した「ユーロトレイン」によってプレゼンテーションを行ったが、「日本連合」に敗れた。最終的にはインフラ整備をヨーロッパ連合、車両と技術は日本連合が担当する玉虫色の決着を見たが、これに対してヨーロッパ連合は台湾高速鉄道に対し違約金を請求している。
スペインでは、高速新線AVE:マドリード - バルセロナ線でICE3ベースの車両、ヴェラロE(Velaro E, ICE350の名称もあった)が投入され、最高速度350km/hでの営業運転が予定されている。
中国の京滬高速鉄道では当初ICE方式によるドイツの参入が有力視されていた。
2005年11月、胡錦濤主席の訪独にあわせ、最高速度300km/hの高速鉄道用と最高速度200km/hの在来線高速化用の計100編成について、うち60編成について、ICE 3ベースの車両を現地企業との合弁で納入することが決定。3編成はドイツ純正、残りは中国への技術移転による生産となる。なお、中国におけるこの電車の形式名はCRH3である。車体幅はICE 3と比べて若干広い。
アメリカのアムトラック北東回廊への高速列車の導入に際しては、アムトラックのロゴを付けて輸出し、スウェーデンのX2000とともに試験的に走らせたが、最終的にはTGVの技術を応用した「アセラ・エクスプレス」が導入された。
2006年5月、ロシアのモスクワ - サンクトペテルブルク間を結ぶ高速鉄道にシーメンス社とロシア鉄道との間でICE 3をベースとした新型車両の納入契約が交わされ、2010年に「サプサン」として運用を開始した。車体幅はICE 3よりも広い。
関連項目
脚注
- ↑ http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_1/33-37.pdf
- ↑ “15 Jahre Hochgeschwindigkeitsverkehr” (ドイツ語). Deutsche Bahn AG. 2007年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2007閲覧.
- ↑ 世界の高速列車のトレンドに発生した"異変" 鉄道見本市「イノトランス」速報レポート2016年9月20日,東洋経済オンライン
- ↑ 4.0 4.1 (英語)ICx becomes ICE 42015年12月7日,レールウェイ・ガゼット・インターナショナル
- ↑ (英語)DB unveils ICE4 inter-city train ‘for the gigabit society’2016年9月14日,[レールウェイ・ガゼット・インターナショナル]]
- ↑ “Deutsche Bahn to Recall Part of High-Speed Train Fleet”. Deutsche Welle (2008年10月24日). . 2008閲覧.
- ↑ “Deutsche Bahn to recall part of ICE train fleet”. The Local - Germany's news in English (2008年10月24日). . 2008閲覧.
- ↑ Koschinski 2008, p. 82
- ↑ Dirk Übbing. “Nach Städten benannte ICE der Deutschen Bahn AG”. Lok Report. . 2002閲覧.
- ↑ "European Rail Timetable" January 2016 p.3。
- ↑ “ICE Sprinter”. ドイツ鉄道. . 2016閲覧.
参考文献
- * Koschinski, Konrad (2008) (ドイツ語), ICE (Eisenbahn Journal Sonder-Ausgabe 2/2008), Fürstenfeldbruck, Germany: Eisenbahn JOURNAL, ISBN 978-3-89610-193-8