監査基準委員会報告書
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監査基準委員会報告書 (かんさきじゅんいいんかいほうこくしょ)は、公認会計士・監査法人による財務諸表監査の実務指針のことである。日本公認会計士協会が発表している。略称は監基報。
Contents
概要
日本において会計監査人が遵守するべきとされる監査基準(企業会計審議会公表)は、あくまで原則的な規定を定めたものである。そして、「監査基準を具体化した実務的・詳細な規定は日本公認会計士協会の指針(監査実務指針)に委ね」[1]るとされている。監査基準委員会報告書は、監査実務指針の中核となるものである[2]。なお、監査実務指針には他にも「品質管理基準委員会報告書」などが存在する。
現在の監査基準委員会報告書は、平成23年に新起草方針に基づいて全面改訂されたもの(「クラリティ版」)である[3]。
体系
複数の報告書で構成されており、あわせて400ページ強におよぶ。各報告書には、国際監査基準(ISA)のの体系に従った報告書番号が付けられている[4]。
- 序 - 監査基準委員会報告書の体型及び用語
監査全般にわたる基本的事項と責任 (200 - 299)
- 200 - 財務諸表監査における総括的な目的
- 210 - 監査業務の契約条件の合意
- 220 - 監査業務における品質管理
- 230 - 監査調書
- 240 - 財務諸表監査における不正
- 250 - 財務諸表監査における法令の検討
- 260 - 監査役等とのコミュニケーション
- 265 - 内部統制の不備に関するコミュニケーション
リスク評価及び評価したリスクへの対応 (300 - 499)
- 300 - 監査計画
- 315 - 企業及び企業環境の理解を通じた重要な虚偽表示リスクの識別と評価
- 320 - 監査の計画及び実施における重要性
- 330 - 評価したリスクに対応する監査人の手続
- 402 - 業務を委託している企業の監査上の考慮事項
- 450 - 監査の過程で識別した虚偽表示の評価
監査証拠 (500 ‒ 599)
- 500 - 監査証拠
- 501 - 特定項目の監査証拠
- 505 - 確認
- 510 - 初年度監査の期首残高
- 520 - 分析的手続
- 530 - 監査サンプリング
- 540 - 会計上の見積りの監査
- 550 - 関連当事者
- 560 - 後発事象
- 570 - 継続企業
- 580 - 経営者確認書
他者の作業の利用 (600 ‒ 699)
- 600 グループ監査
- 610 内部監査の利用
- 620 専門家の業務の利用
監査の結論及び報告 (700 - 799)
- 700 - 財務諸表に対する意見の形成と監査報告
- 705 - 独立監査人の監査報告書における除外事項付意見
- 706 - 独立監査人の監査報告書における強調事項区分とその他の事項区分
- 710 - 過年度の比較情報-対応数値と比較財務諸表
- 720 - 監査した財務諸表が含まれる開示書類におけるその他の記載内容に関連する監査人の責任
特殊な監査業務 (800 - 899)
- 800 - 特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された財務諸表に対する監査 (今後検討作業を進める予定)
- 805 - 単独の財務諸表、財務諸表の特定の構成要素、勘定又は項目に対する監査
- 810 - 要約財務諸表に関する報告業務
その他 (900 - 999)
- 900 - 監査人の交代
- 910 - 中間監査
参考文献
- 日本公認会計士協会編『監査実務指針集 改訂版』日本公認会計士協会出版局、2013年
- 盛田良久・蟹江章・長吉眞一編著『スタンダードテキスト監査論 第3版』中央経済社、2013年
- 南成人・中里拓哉・高橋和則『財務諸表監査の実務 クラリティ版対応』中央経済社、2015年
関連項目
脚注
- ↑ 平成22年3月26日改訂監査基準の前文「監査基準の改訂について」二1
- ↑ 「監査基準委員会報告書の体型及び用語」(『監査基準委員会報告書』 (序)、平成25年6月17日発表)第2項。
- ↑ 国際監査基準 (「ISA」)と国際品質管理基準 (「ISQC」)が参考とされている。新起草方針に基づく品質管理基準委員会報告書及び監査基準委員会報告書並びに監査・保証実務委員会実務指針の最終報告書の公表について (日本公認会計士協会、2016年2月2日閲覧)。
- ↑ 「監査基準委員会報告書の体型及び用語」(『監査基準委員会報告書』 (序)、平成25年6月17日発表)第4項。