租税法

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租税法(そぜいほう、英語:tax law)とは、日本においてはシャウプ勧告をうけて1950年代以降に大学の法学部で本格的な研究と教育が始まり、発展した法学の一分野。租税法の体系は、租税法学者である金子宏の講学上の分類に従えば、租税実体法、租税手続法、租税争訟法及び租税処罰法から成る[1]。2000年代の制度改革によって司法試験の選択科目とされ[2]公認会計士試験(論文式試験)の必修科目とされた[3]

歴史

ドイツアメリカなどでは第一次世界大戦後、日本では第二次世界大戦後、解決を要する法律問題の増大を背景として展開した。これは、福祉国家の名のもとに財政需要が拡大し、大衆課税が浸透した結果、租税を巡って国家と国民との間の緊張関係が高まり、争訟が急増したためである。とりわけ1990年代以降には大型訴訟が相次ぎ[4]、社会的需要の大きさが認知された。今日では私的取引との相互関係をより重視する機能的な体系や、公共経済学ファイナンス理論の知見を活かした見方を前面に押し出すものが登場している。

主な法源

日本アメリカの法典構成を比較すると、アメリカの連邦税(国税に相当)については、日本の所得税法法人税法消費税法などのように独立した法律となっておらず、内国歳入法典に一本化されている[5]。連邦制の下で、州税(日本の地方税に相当)については、州法が規律する。日本の租税法の主な法源は次のとおりである。

  • 通達 - これは法源ではないが、実務においてひんぱんに参照される。国税庁長官が下級官庁たる国税局長等宛てに発遣した解釈通達が、公表されている[6]


租税法律関係の性質

租税法律関係を、国家と私人の間における権力関係と理解するか、それとも私人間の債権債務関係と同質のものと理解するかで、見解の対立が存在した。更正・決定等、手続法の側面からは権力関係的性質が読み取れるものの、現在では、これを債権債務関係と理解する立場が通説となっており、国税通則法15条も租税債権の成立と確定の区別を前提としている。

租税法律関係は、以下の性質を有する。

  • 租税債務の非任意性(法定債務)
租税債務は国民財産権を侵害するものであるから、それを根拠づける明文の法律の根拠が必要となる(租税法律主義)。このため、租税債務の内容は法律に基づいて定まるのであって、当事者の合意によって租税債務を創設したり変更したりすることはできない。
  • 租税債務の争訟手続の特異性
租税債務は公法上の法律関係であることから、これをめぐる争訟は行政事件訴訟法の適用を受ける。また、租税債務の経済への影響度および租税債務者間の平等の実現等の観点から、租税債務の徴収に当たっては公平性、効率性および専門性を考慮する必要が生ずる。以上より、例えば、租税法律主義の下での法定債務である租税債務について、裁判上の和解、すなわち、税務訴訟において和解をすることは認められない、などの結論が導かれる。

著名な租税法学者


脚注 

  1. 金子宏『租税法』(第17版,2012年,弘文堂)
  2. 法務省のホームページ
  3. 「出題範囲」公認会計士・監査審査会ウェブサイト
  4. 興銀訴訟
  5. コーネル大学の法典リンクInternal Revenue Code
  6. 国税庁のホームページ

関連項目


外部リンク