朝鮮民主主義人民共和国の国旗
用途及び属性 | ? |
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縦横比 | 1:2 |
制定日 | 1948年9月8日 |
使用色 |
テンプレート:北朝鮮の事物 朝鮮民主主義人民共和国の国旗は、朝鮮民族の伝統色とされる青色と赤色を基調とし、白い円と2本の白線、および赤い星を配した旗である。建国に際して1948年9月8日に制定されたもので、同国では共和国旗(공화국기 / コンファグッキ)と呼ばれる。
概説
名称
朝鮮民主主義人民共和国での一般的な呼称は共和国旗(공화국기 / コンファグッキ)だが、色や意匠から藍紅色旗(람홍색기발 / ラモンセッキッパル)、あるいは紅藍五角星旗(홍람오각별기 / ホンナモガッピョルギ)と呼ばれる。
一方で南側(韓国)では、「人民共和国旗」を略して 人共旗(인공기 / インゴンギ)と呼んでいる。かつての冷戦時代には、北傀旗(북괴기 /プッケギ[1])とも呼ばれていた[2]が、朝鮮統一に向けた南北対話の流れが本格化してきた1990年代以降はあまり使われていない。
構成
国旗の構成要素は、朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法第7章第170条で規定されている。
朝鮮民主主義人民共和国国旗は、旗の中央に幅の広い赤地があり、その上下に細い白地、さらに青地があり、赤地の旗竿寄りの白い円の中に赤い5角の星がある。
旗の縦横の比は1対2である。[3]
1986年に日本で出版された書籍『朝鮮を知る事典』にて、朝鮮史の歴史学者である梶村秀樹は「赤い星は共産主義に向かう未来を、中央の赤は人民の不屈の精神と力を、上下の青は平和乃至国際連帯を、白い円と2本の線は光明・清浄を尊ぶ民族的特質を象徴している」と解説している[4]。
一方、朝鮮民主主義人民共和国の国営ポータルサイト・ネナラでは、国旗の各部が持つ意義について次のように意義付けを行っている。
オリンピックや国際連合用には縦横比2:3の修正版が使われる。また、五芒星の頂点が真上と左右対称に来るように角度を18°調節した縦長掲揚用もあり、2012年のロンドン五輪でも縦長掲揚用が併用された。
沿革
後に朝鮮民主主義人民共和国の国土となる北朝鮮(北緯38度線以北の朝鮮地域)では、1883年に李氏朝鮮が太極旗を国旗と定めてから1945年の第二次世界大戦終結後にソ連が占領統治を開始するまで、南朝鮮(北緯38度線以南の朝鮮地域)と同様に太極旗が扱われていた。
日本の降伏後、米国との取り決めでソ連占領軍は北朝鮮を軍政下に置いたが、その際に占領当局(後のソビエト民政庁)は朝鮮人民共和国の地方組織である各地の人民委員会と協力関係を築いた。そのため太極旗は、ソ連軍占領後、更には北朝鮮臨時人民委員会樹立(1946年)後も、朝鮮人民共和国からの流れで朝鮮人の組織の旗として遅くとも1948年まで使われ続けた。このことは、朝鮮の連合国軍占領時代に撮影された写真から確認することができる。一方で、共和国旗が国旗として制定される経緯に関しては、具体的な情報が朝鮮民主主義人民共和国からほとんど入っていない[7]。朝鮮民主主義人民共和国の公式ポータルサイト・ネナラでは、「国旗にまつわる話」として1948年2月初旬に完成した共和国旗の原案に対し金日成がデザインの修正を指示した逸話を紹介しているが、太極旗に替わる新国旗(共和国旗)を誕生させた理由や共和国旗の制定日、及び太極旗が使われなくなった時期については明らかにされていない[5]。
確実な事は、1948年の朝鮮民主主義人民共和国建国後は朝鮮民主主義人民共和国憲法第102条で現行の共和国旗が国旗と定められ、人民共和国政府が太極旗を北朝鮮で一切使用していない事である。憲法における国旗の規定は1972年制定の朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法に引き継がれ、その後も改憲でも修正されていない。また、人民共和国政府は1992年10月22日に国旗の製作と使用・掲揚・保管方法を定めた「国旗法」(국기법)を制定しており、以後数次の改正を行っている。
使用
人民共和国では、掲揚の他モニュメントやマスゲームの模様等などでも国旗デザインが使用される。
一方の南側では、国家保安法第7条により、掲揚が禁じられている。ただし、オリンピック等国際スポーツ大会においては、問題なく掲揚される。
- Korean Armistice Agreement.JPG
朝鮮戦争停戦協定調印場の卓上旗
- Photograph of flags of North Korea.jpg
錦繍山太陽宮殿で掲揚される共和国旗
- Gijeong-ri Flag.jpg
キジョン洞に掲揚されている共和国旗
- North Korea-Pyongyang-Arirang Mass Games-03.jpg
アリラン祭に登場した共和国旗
- DPRK election.jpg
選挙の投票所に飾られた縦長掲揚用の共和国旗
- Olympic Committee of the Democratic People's Republic of Korea logo.svg
朝鮮民主主義人民共和国オリンピック委員会の紋章。共和国旗が組み込まれている。
事件など
2012年7月25日のロンドン五輪女子サッカーの対コロンビア戦で、朝鮮民主主義人民共和国の選手発表時に国旗の部分に大韓民国の国旗が表示された。これに対して朝鮮民主主義人民共和国側はオリンピック委員会に抗議し、一時は選手が試合開始を拒否しキックオフの時間になっても選手が現れず、最終的に委員会側が謝罪したことで約1時間遅れでキックオフとなった[8]。
脚注
- ↑ 「北韓傀儡政権(北傀)の旗」という意味。北朝鮮の建国・体制維持に関わったソ連と共産中国の傀儡政権を意味する。
- ↑ 태극기(太極旗)를 북괴기(北傀旗)로...東亜日報1965年1月27日掲載記事。
- ↑ 社会主義憲法第7章(朝鮮民主主義人民共和国の公式ポータルサイト・ネナラより)
- ↑ 梶村秀樹 1986, p. 146
- ↑ 5.0 5.1 朝鮮民主主義人民共和国国旗 - (ネナラより)
- ↑ 李氏朝鮮は1893年に太極旗を公式な国旗と定めたが、デザインについては「太極図と四掛(四つの掛)の絵柄」と曖昧な表示しかしていなかったため、同じ時代で様々なバリエーションが発生していた。詳細は大韓民国の国旗#太極旗の歴史を参照のこと。
- ↑ T・マーシャル 2017, p. 202
- ↑ “五輪=サッカー北朝鮮戦で韓国国旗を誤表示、抗議で開始遅れる”. ロイター (Thomson Reuters). (2012年7月26日) . 2012閲覧.
参考文献
- ティム・マーシャル 『国旗で知る世界情勢』 原書房、2017年。第6章「エデンの東」
- 梶村秀樹執筆 「国旗」『朝鮮を知る辞典』 伊藤亜人・大村益夫・梶村秀樹・武田幸男監修、平凡社、1986年。ISBN 4-582-12603-0。
関連項目
- 国旗の一覧
- 朝鮮の旗一覧
- 朝鮮民主主義人民共和国の国章
- 大韓民国の国旗(建国後も太極旗を使用している)