国道384号
国道384号(こくどう384ごう)は、長崎県五島市から長崎県佐世保市に至る一般国道である。
Contents
概要
五島列島の主要な島である福江島と中通島の幹線道路であり、航路を経て九州本土の佐世保市に連絡する。佐世保市内の距離は483 mに過ぎない。起点の五島市富江町から時計回りに福江島をほぼ一周して福江港に到り、中通島(新上五島町)では奈良尾港から有川港まで島を縦断するルートを走る。五島の主要産業である農林水産業や観光を支える循環道路として重要な路線に位置づけられている[1]。福江島の国道384号区間(五島市玉之浦町荒川 - 三井楽町貝津:8 km)は、旧建設省と「道の日」実行委員会により制定された、日本の道100選にも選定されている[1][2]。
かつて佐世保市内において、主要地方道長崎県道11号佐世保日野松浦線との交差点では双方向とも交通量が多いのも関わらず信号機がなく、しかもすぐそばに、松浦鉄道西九州線の踏切があり大変危険な状況であった。現在は、松浦鉄道の線路が高架化され信号機も設置されている。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点 : 長崎県南松浦郡富江町[注釈 2](五島市富江町富江)
- 終点 : 佐世保市(戸尾町=国道35号交点)
- 重要な経過地 : 長崎県南松浦郡玉之浦町[注釈 2]・福江市[注釈 2]・同郡奈良尾町[注釈 3]・同郡有川町[注釈 3]
- 総延長 : 202.5 km(海上区間を含む。)[4][注釈 4]
- 重用延長 : なし[4][注釈 4]
- 未供用延長 : 105.3 km[4][注釈 4]
- 実延長 : 97.2 km[4][注釈 4]
- 指定区間 : なし[5][注釈 5]
歴史
五島列島は、山が海岸まで迫る地形のため交通路の発達は阻害され、西端に位置する福江島を周回する国道384号は、かつて島の西海岸に一部不通区間があり、海上交通を頼る地域であった[6]。1964年(昭和39年)から西海岸の玉之浦町荒川 - 三井楽町高浜間に5つのトンネルが掘削されるなど、離島振興によって全線に渡って周辺環境に配慮した道路改良が行われたことにより、国道384号が福江島を周回するようになった[1]。道路改良以前は島の地形に阻害されてきたため、島内の各集落は孤立と自給自足の社会となっていて主要産業である農林水産業も大きく遅れていたが、道路改良後は地域住民の生活環境が自給的生産から商業生産へと変化している[1]。
- 1975年(昭和50年)4月1日 - 一般国道384号(長崎県南松浦郡玉之浦町 - 長崎県佐世保市)として指定。
- 1993年(平成5年)4月1日 - 南松浦郡富江町 - 南松浦郡玉之浦町[注釈 2]を編入し、長崎県南松浦郡富江町 - 長崎県佐世保市に区間変更。
路線状況
バイパス
海上区間
長崎県五島列島の主要な島々である福江島と中通島を経て九州の佐世保に至るため、2カ所の海上区間がある。それぞれの海上区間は、九州商船のフェリーによる航路で結ばれる[2]。一般的な海上国道は、起点・終点の端点が他の一般国道の路線と交わるが、国道384号では、起点孤立の端点となっている数少ない路線のひとつである[注釈 6]。
道路施設
道の駅
- 遣唐使ふるさと館(五島市三井楽町)
交通量
2005年度(平成17年度道路交通センサスより)
平日24時間交通量(台)
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地理
五島列島の地形は、沈降海岸として特徴的で複雑な海岸線と瀬戸を形成しており、西海国立公園に指定される美しい景観に恵まれた地である[6]。山が海の近くまで迫っているため、道路は海岸線の狭い低地をへばりつくように走る[6]。福江島の西海岸沿いの道は夕日の絶景スポットでも知られ、日本最西端の温泉地である荒川温泉や、東シナ海に面する高浜海水浴場、屯泊海水浴場がある[1]。
通過する自治体
交差する道路
交差する道路 | 交差する場所 | |
---|---|---|
長崎県道31号富江岐宿線 | 五島市 | |
長崎県道50号玉之浦大宝線 | 玉之浦町大宝 | |
長崎県道164号玉之浦岐宿線 | 玉之浦町中須 | |
長崎県道27号福江荒川線 | 玉之浦町荒川 | |
長崎県道233号貝津岳浜ノ畔線 | 三井楽町貝津 | |
長崎県道233号貝津岳浜ノ畔線 | 三井楽町浜ノ畔 | |
長崎県道31号富江岐宿線 | 岐宿町岐宿 | |
長崎県道162号河務福江線 | 岐宿町河務 | |
長崎県道27号福江荒川線 | 吉久木町 | |
長崎県道49号福江富江線 | 三尾野町 | |
長崎県道63号福江空港線 | ||
長崎県道165号大浜福江線 | ||
海上区間 | ||
長崎県道203号佐尾港線 | 新上五島町 | 長崎奈良尾郷 |
長崎県道22号有川奈良尾線 | 奈良尾郷 | |
長崎県道46号若松白魚線 | 宿ノ浦郷 | |
長崎県道170号青方港魚目線 | 青方郷 | |
長崎県道32号有川新魚目線 | 浦桑郷 | |
長崎県道22号有川奈良尾線 | ||
長崎県道62号上五島空港線 | 有川郷 | |
海上区間 | ||
国道35号 | 佐世保市 | 戸尾町 |
脚注
注釈
- ↑ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2004年8月1日に、福江市・南松浦郡富江町・同郡玉之浦町・同郡三井楽町、同郡岐宿町、同郡奈留町が合併して、五島市発足。
- ↑ 3.0 3.1 2004年8月1日に、南松浦郡有川町・同郡上五島町・同郡若松町・同郡新魚目町・同郡奈良尾町が合併して、南松浦郡新上五島町発足。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 4.7 2015年4月1日現在
- ↑ 重複区間を除く
- ↑ 国道384号のように端点が孤立する海上国道は、国道382号、国道390号、国道485号の計4路線だけである[2]。
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 「日本の道100選」研究会 2002, p. 203.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 松波成行 2008, p. 88.
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2014閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 4.7 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 21. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2014閲覧.
- ↑ 6.0 6.1 6.2 「日本の道100選」研究会 2002, p. 202.
- ↑ “一般国道384号(跡次トンネル)の開通式について (PDF)”. 長崎県 (2018年1月12日). . 2018閲覧.
参考文献
- 「日本の道100選」研究会 『日本の道100選〈新版〉』 国土交通省道路局(監修)、ぎょうせい、2002-06-20、202-203。ISBN 4-324-06810-0。
- 松波成行「国道384号」、『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 88頁、 ISBN 978-4-86320-025-8。