ティートーノス

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ファイル:Tithonos Eos Louvre G438 detail.jpg
ティートーノスをさらわんとするエーオース。ルーブル美術館所蔵

ティートーノス古希: Τιθωνός, Tīthōnos, ラテン語: Tithonus)は、ギリシア神話に登場する人物である。長母音を省略してティトノスとも表記される。

イーリオスラーオメドーンの子で、プリアモスラムポスクリュティオスヒケターオーンヘーシオネーキラアステュオケーと兄弟[1]。暁の女神エーオースの夫で、エーマティオーンメムノーンの父[2][3]。一説にアッサラコスと兄弟[4]

神話

女神との結婚

ティート―ノースは美男子で、エーオースから熱烈に愛されたことで有名[5]。神話によるとエーオースは彼をさらってエチオピアに連れて行き、夫とした[3]ホメーロスは、エーオースがティート―ノースと眠るベッドから、毎朝、夜明けをもたらすために起き上がると詠っている[6][7][注釈 1]。このことからティートーノースはしばしばエーオースの夫と呼ばれ[5]、エーオースもまたティート―ノースの妻と呼ばれた[9]

シケリアのディオドロスは、ティートーノースはエチオピアに遠征し、エーオースにメムノーンを生ませたと述べている[10]

悲劇的結末

ホメーロス風讃歌』によると、エーオースはゼウスに願い、ティートーノスを不死にしてもらった。ところが不老にしてもらうのを忘れたため、若々しい間は女神からの愛を享受していたが、老いが深まるとともにエーオースの足は遠のいて行った。それでも館の中で神々の飲食物で世話をしていたが、身体を動かすことが出来なくなったとき、ティート―ノースを奥深い部屋に移して扉を閉ざし、2度と近づかなかった。しかしティートーノースは今も生きていて、その声は扉の向こうから聞こえてくるという[11]。別の話によると老いさらばえたティートーノースは最後には声だけの存在となり、エーオースによってセミの姿に変えたとされる[12]

なお、子供のうちエーマティオーンはヘーラクレースに殺された[13]。またメムノーンはトロイア戦争エチオピア勢を率いて戦った英雄である[14][15]

系図

テンプレート:メムノーンの系図

その他のティート―ノース

脚注

注釈

  1. 朝の訪れを表す定型句。オウィディウスも同様の詩句を残している[8]

脚注

  1. アポロドーロス、3巻12・3。
  2. ヘーシオドス『神統記』984行-985行。
  3. 3.0 3.1 アポロドーロス、3巻12・4。
  4. オウィディウス『祭暦』4巻943。
  5. 5.0 5.1 ヒュギーヌス、270話。
  6. 『イーリアス』11巻1行。
  7. 『オデュッセイア』5巻1行-2行。
  8. 『祭暦』1巻461行)。
  9. オウィディウス『祭暦』3巻403行。
  10. シケリアのディオドロス、4巻75・4。
  11. 『ホメーロス風讃歌』第5歌「アプロディーテー讃歌」220行-238行。
  12. 『イーリアス』11巻1行への古註(カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 英雄の時代』邦訳、p.248)。
  13. アポロドーロス、2巻5・11。
  14. アポロドーロス、摘要(E)5・3。
  15. シケリアのディオドロス、2巻22・1-22・5。
  16. アポロドーロス、3巻14・3。

参考文献

関連項目