エーオース
エーオース(古代ギリシア語イオニア方言:Ἠώς, Ēōs)またはヘオース(アッティカ方言:Ἑώς, Heōs)は、ギリシア神話に登場する暁の女神である。その名は古典ギリシア語で「暁」を意味し、暁の神格化である。ティーターンの系譜に属し、様々な恋の物語が彼女をめぐって存在する。聖鳥、聖虫は雄鶏、蝉。日本語では長母音を省略してエオスとも呼ぶ。
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概説
エーオースはその名の通り、暁の女神である。ティーターンであるヒュペリーオーンとテイアー女神のあいだに生まれた。兄弟には、同じく自然現象や天体の神格化と言える、ヘーリオス(太陽)とセレーネー(月)がいる[1]。また、同じくティーターンの系譜にあるアストライオスとの間で、三柱のアネモイ(風)、すなわちゼピュロス(西風・春風)、ボレアース(北風)、ノトス(南風)、そしてすべての星々を生んだとされる[2]。
ローマ神話での対応と別名
アッティカ方言では、ヘオースというが、これも「暁」の意である。叙事詩での定型修飾称号に、「薔薇色の指持つ(Ἀρχαία ἑλληνικὴ: ῥοδοδάκτυλος, ラテン文字転写: rhododaktylos)」や「黄金の腕持つ」あるいは「黄金の御座にまします(Ἀρχαία ἑλληνικὴ: χρυσόθρονος, ラテン文字転写: khrysothronos)」などがある。ἠριγένεια Ἠώς(エーリゲネイア・エーオース)とは「早きに生まれた暁」の意味である。ホメーロスは«ῥοδοδάκτυλος Ἠώς»すなわち「薔薇色の指もてる暁が」と述べる。こうして、ホメーロスなどの叙事詩では、一日の記述が「ばら色の指をした暁の女神エーオース」などの表現ではじまる。
物語
ティートーノスとの恋と定め
エーオースはイーリオス王ラーオメドーンの子ティートーノスとの間に、英雄メムノーンとエーマティオーンをもうけた。エーマティオーンはヘーラクレースに討たれた。メムノーンは、父ティートーノスがイーリオス王プリアモスの兄弟だったため、エチオピア勢を率いてトロイア戦争に参加した。
脚注
参考書籍
- ヘシオドス 『神統記』 岩波書店
- アポロドーロス 『ギリシア神話』 岩波書店
- 呉茂一 『ギリシア神話』 新潮社
関連項目