オリヴァー・リード
オリヴァー・リード(Robert Oliver Reed, 1938年2月13日 - 1999年5月2日)は、イギリスの俳優。
略歴
イギリス・サウスロンドンのウィンブルドンで生まれる。 父方の叔父に映画監督のキャロル・リード、母方の祖父に演劇マネージャーのハーバート・ビーボン・トゥリーという、2人のサーの称号を持つ人物を持つ。 父ピーターと母マーシャが離婚した少年時代は手に負えない暴れん坊で、13回も転校した。セイント・ジョージ・カレッジ時代はクロスカントリーの代表選手、プロボクサーなどをしていた。卒業後はストリップクラブの用心棒や、軍隊に入りマレーシア駐屯も経験している。
1958年叔父キャロルのすすめで俳優に転進。野性的で無愛想な風貌と雰囲気が買われて、怪奇ホラー映画で有名なハマー・フィルムの低予算作品に次々と起用される。1961年主演の『吸血狼男』が好評で一躍注目を浴びる。
以後、ホラー映画のカルトスターとしてキャリアを全うするかと思われたが、激動の1960年代の荒波が英国演劇界の異端児である彼を一躍メインストリームに押し上げる。マイケル・ウィナー監督と組んだ1968年のアクション作品『脱走山脈』がヒット。奇才ケン・ラッセルにも起用され、1969年『恋する女たち』、1971年『肉体の悪魔』、1975年『トミー』といった話題作に出演。リチャード・レスター監督の1973年『三銃士』、1974年『四銃士』で演じたアトス役は当たり役となる。1970年代にはそのパワフルかつ野生的な魅力で全盛期を迎える。
しかし1980年代以降は、逆に彼の異様な個性が仇となり、低予算のアクション、ホラー映画への出演に戻ってしまう。
1999年リドリー・スコット監督の『グラディエーター』という久々の大作出演が決定。しかし1999年5月2日、あと3週間分の撮影を残したまま、心不全で急死してしまった[1]。ロケ先のマルタ島の港町バレッタの酒場でラム酒3本を空にし、水夫相手の腕相撲で5人を打ち負かしたあげくの心臓発作という、映画の中で彼が演じた役柄のような死に様だったという。
主な出演作品
- 狂っちゃいねえぜ Beat Girl (1959年)
- 上と下 Upstairs and Downstairs (1959年)
- 紳士同盟 The League of Gentlemen (1960年)
- ジキル博士の二つの顔 The Two Faces of Dr. Jekyll (1960年)
- シャーウッドの剣 Sword of Sherwood Forest (1960年)
- 吸血狼男 The Curse of the Werewolf (1961年)
- 幽霊島 Night Creatures (原題:"Captain Clegg"、1962年)
- 呪われた者たち The Damned (1963年)
- ジョーカー野郎 The Jokers (1967年)
- 明日に賭ける I'll Never Forget What's'is Name (1967年)
- 脱走山脈 Hannibal Brooks (1968年)
- オリバー! Oliver! (1968年)
- 恋する女たち Women in Love (1969年)
- 世界殺人公社 The Assassination Bureau (1969年)
- 肉体の悪魔 The Devils (1971年)
- さらば荒野 The Hunting Party (1971年)
- 赤ちゃんよ永遠に Z.P.G. (Zero Population Growth) (1972年)
- 電撃脱走 地獄のターゲット Sitting Target (1972年)
- 非情の標的 Revolver / La Poursuite implacable (1973年)
- 三銃士 The Three Musketeers (1973年)
- 四銃士 The Four Musketeers (1974年)
- そして誰もいなくなった And Then There Were None (1974年)
- トミー Tommy (1975年)
- ローヤル・フラッシュ Royal Flash (1975年)
- 暗殺者を撃て The Sellout (1975年)
- グレート・サム サギ師と令嬢 The Great Scout and Cathouse Thursday (1976年)
- 家 Burnt Offerings (1976年)
- 王子と乞食 Crossed Swords (1978年)
- 明日なき銃弾 Tomoorow Never Comes (1978年)
- 大いなる眠り The Big Sleep (1978年)
- ザ・ブルード 怒りのメタファー The Brood (1979年)
- 恐るべき訪問者 Venom (1981年)
- 砂漠のライオン Lion of the Desert (1981年)
- セカンド・チャンス Two of a Kind (1983年)
- スティング2 The Sting II (1983年)
- 第27囚人戦車隊 The Misfit Brigade / Wheels Of Terror (1986年)
- 漂流者 2人だけの島 Castaway (1986年)
- バロン The Adventures of Baron Munchausen (1988年)
- 新・三銃士 華麗なる勇者の冒険 The Return of the Musketeers (1989年)
- 地獄の女囚コマンド Hired to Kill (1990年)
- ペンデュラム 悪魔のふりこ The Pit and the Pendulum (1990年)
- 逆転無罪 Prisoners of Honor (1991年)
- ファニー・ボーン 骨まで笑って Funny Bones (1995年)
- グラディエーター Gladiator (2000年) キネマ旬報ベストテン第8位
脚注
- ↑ “Oliver Reed, Diverse Actor For Film and TV, Dies at 61”. The New York Times. (1999年5月3日) . 2016閲覧.