イーロン・マスク
イーロン・リーヴ・マスク(Elon Reeve Musk, 1971年6月28日 - )は、南アフリカ共和国・プレトリア出身のアメリカの実業家、投資家[1]、エンジニアである。スペースX社の共同設立者およびCEO、テスラの共同設立者およびCEO、テスラの子会社であるソーラーシティの会長を務める。2016年12月、フォーブスの世界で最も影響力のある人物ランキング21位に選出された。[2] PayPal社の前身であるX.com社を1999年に設立した人物でもある。
来歴
イギリス人とアメリカ人(ペンシルベニアダッチやミネソタ州出身の白人)をルーツに持つ南アフリカ人の技術者の父親とカナダ人の母親との間に南アフリカで生まれる。母親はプレトリアなどで栄養士やモデルとして働いた経歴を持つ[3]。
10歳のときにコンピュータを買い、プログラミングを独学した。12歳のときに最初の商業ソフトウェアであるBlasterを販売する。17歳になった1988年、Pretoria Boys高校で大学入学資格を得た後、父親の援助なしに家から独立したが、理由のひとつには南アフリカの徴兵があった。彼は「兵役につくことは、それ自体私には問題はないが、南アフリカ軍で黒人を抑圧することに時間を費やすのは、あまりよい方法のようには思えなかった」と述べている。彼はアメリカへの移住を希望した。彼は「アメリカは、すごいことを可能にする国だ」と述べている。
母親はカナダのサスカチュワン州レジャイナの生まれで[3]、多くの親戚がカナダ西部に住んでいた。そこでカナダ国籍を持つマスクは1989年6月にカナダに移住し、サスカチュワンのスウィフトカレントにあるいとこの小麦農場で働き、穀物貯蔵所の清掃をしたり野菜畑で働いた。また、ブリティッシュコロンビアの製材所でのボイラーの清掃やチェーンソーで丸木を切る仕事などもしていた。その後、トロントへ引っ越して、クイーンズ大学に入学するまでの間、夏に銀行のコンピューター部門で働いたりもした。
その後アメリカ合衆国のペンシルベニア大学ウォートン・スクールへ進むための奨学金を受け、同校で学位を取得する。彼の後の言葉によると、当時、彼は人類の進歩に貢献する分野は「インターネット」「クリーン・エネルギー」「宇宙」だと考えていた[4]。
起業
1995年に高エネルギー物理学を学ぶためスタンフォード大学の大学院へ進むが、2日在籍しただけで退学し、弟のキンバル・マスクとともに、オンラインコンテンツ出版ソフトを提供するZip2社を起業する。この会社はのちにコンパック社のAltaVista部門に$307Mで買収され、イーロンは2200万ドルを手にした。。
1999年にはオンライン金融サービスと電子メールによる支払いサービスを行うX.com社の共同設立者となる。X.com社は1年後にコンフィニティ社と合併し、これが2001年にPayPal社となる。
2002年に3つ目の会社として、宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発するスペースX社を起業し、CEOならびにCTOに就任している。また電気自動車会社であるテスラ社に投資し、同社の最初のモデル「0001」を自ら所有する。2008年10月には同社の会長兼CEOに就任した。
2006年には太陽光発電会社ソーラーシティを従兄弟であるリンドン・リーブと共同で立ち上げ同社の会長に就任した。2013年には時速約800マイル(約1287キロ)の輸送機関ハイパーループ構想を明らかにした。
2014年9月に訪日し安倍晋三首相と会談した[5]。来日した際にラーメン二郎新宿歌舞伎町店に立ち寄った事がTwitterで話題になった[6]。
2017年にドナルド・トランプ大統領のもとで、大統領戦略政策フォーラムのメンバーだったが、トランプがパリ協定離脱を表明したため、6月に辞任した[7][8]。中国の清華大学経済管理学院顧問委員の一人にもなっている[9]。
アメリカの人気アニメ、シンプソンズのシーズン26の第12話 アイデアの宝庫(The Musk Who Fell to Earth)に本人役で出演した。
私生活
趣味は子供と遊ぶことと映画鑑賞[10]。2007年までマクラーレン・F1のオーナーだった。
資産は、2005年時点において3億2,800万ドルとされていたが[11]、2018年2月時点では204億ドルとされている[12]。
最初の妻はクィーンズ大学の同窓生で作家のジャスティン・マスクと2000年に結婚し、双子と三つ子の男児をもうけ、合計5人の子宝に恵まれたが、2008年に離婚している[13]。 2番目の妻は女優のタルラ・ライリーで2010年に結婚したが、2012年に離婚した[14]。しかし翌年の2013年に復縁したが2016年3月に再度離婚した。 2016年7月に俳優のジョニー・デップと離婚申請中のアンバー・ハードと交際が噂された。(二人は翌月に正式離婚した) 2017年4月には二人はオーストラリアのパーティー会場にツーショットで堂々と登場し、アンバーと彼女の父親はイーロンとの交際を認めた。
ソーシャルメディア上の発言がしばしば舌禍となり、テスラなどの株価を急落させることがある。2018年4月1日のエイプリルフールには、「テスラ社が破綻した。」とのツイートを行い株価を最大8%下落させた[15]。また、同年6月、タイで少年らが増水した洞窟に閉じ込められた事故の際には、小型潜水艇の提供を申し出て賞賛を浴びたが、直後に救出に貢献したイギリス人ダイバーを小児愛好者呼ばわりして非難を受けることとなった(その後、謝罪を発表)[16]。
脚注
- ↑ Curtis, Sophie (2014年11月10日). “Elon Musk 'to launch fleet of internet satellites'”. The Daily Telegraph (London) . June 23, 2015閲覧.. ""Elon Musk, inventor and business magnate""
- ↑ “The World's Most Powerful People”. Forbes. (2016年12月) . December 14, 2016閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 Laura M. Holson (2016年4月30日). “At 68, Maye Musk, the Mother of Elon, Is Reclaiming the Spotlight” (English). New York Times . 2016閲覧.
- ↑ “イーロン・マスク インタビュー「常に批判の声に耳を傾けよ」 - ログミー”. . 2016閲覧.
- ↑ “【首相の一日】9月9日(火)”. 東京新聞. (2014年9月10日). オリジナルの2014年9月10日時点によるアーカイブ。 . 2014-9-11閲覧.
- ↑ https://twitter.com/elonmusk/status/508617476804866048/photo/1
- ↑ テスラCEO、トランプ政権の助言役退く パリ協定離脱受けCNN 2017年6月2日
- ↑ 『イーロン・マスクは大統領諮問委員会を辞任する』 2017年6月2日 Onebox News
- ↑ “清华大学经济管理学院-顾问委员会名单”. 清華大学経済管理学院. . 2017閲覧.
- ↑ イーロン・マスク|ヒューマン|WEB GOETHE
- ↑ "Hondas in Space", FastCompany.com, Issue 91, February 2005, Page 74
- ↑ The World's Billionaires #126 Elon Musk
- ↑ http://media.looops.net/btrax/2013/08/13/elon/ 米国テスラCEOの元妻が語る”私は彼のβバージョンだった” – 起業家イーロン・マスクの素顔【btrax】
- ↑ http://forbesjapan.com/summary/2015-02/post_1542.html“現代の魔法使い”イーロン・マスクの私生活
- ↑ “テスラ、エイプリルフールの冗談にならず?株価急落 週間2000台は本物か”. 財経新聞 (2018年4月5日). . 2018閲覧.
- ↑ “マスク氏、英洞窟ダイバーに謝罪 「小児愛男」発言を撤回”. AFP (2018年7月18日). . 2018閲覧.>