「青函トンネル」の版間の差分

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|caption=青函トンネルの位置<ref group="注釈">海峡線のうち、青函トンネル以外の区間は描かれていない。また、既に廃止されているJR北海道[[松前線]]、[[江差線]]([[木古内駅]] - [[江差駅]]間)、[[下北交通]][[下北交通大畑線|大畑線]]、[[南部縦貫|南部縦貫鉄道]][[南部縦貫鉄道線]]、[[十和田観光電鉄線]]なども描かれている。</ref>
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{{座標一覧}}
 
{{座標一覧}}
[[ファイル:Seikan_tonneru_aomori.JPG|270px|thumb|青函トンネル入口広場より撮影した本州側入口部分([[青森県]][[今別町]])]]
 
[[ファイル:Seikan Tunnel Entrance Honshu side.jpg|270px|thumb|789系電車使用特急「スーパー白鳥」先頭車両展望窓より撮影した本州側入口部分<ref group="注釈">[[2010年]](平成22年)[[1月29日]]に[[函館本線]] [[深川駅|深川]] - [[妹背牛駅|妹背牛]]間で発生した[[日本の鉄道事故 (2000年以降)#函館本線踏切事故|踏切傷害事故]]を受けて、同年JR北海道が特急形車両の先頭車運転台側の貫通路への立ち入りを禁止したため、以後はこのアングルでの撮影は不可能となっている。</ref>]]
 
[[ファイル:Seikan Tunnel 3d cross section 1a.svg|270px|thumb|海底部標準断面図<br />1.本坑 2.作業坑 3.先進導坑 4.連絡誘導路]]
 
[[ファイル:Seikan Tunnel profile diagram.svg|270px|thumb|縦断図]]
 
[[ファイル:JR Hokkaido Tappi-kaitei station nameplate.jpg|270px|thumb|かつてはトンネルの内部、海底よりも深い地下に駅があった([[竜飛定点|竜飛海底駅]])]]
 
'''青函トンネル'''(せいかんトンネル)、又は'''青函隧道'''(せいかんずいどう)<ref>出入口の[[#扁額|扁額]]。</ref>{{Refnest|group="注釈"|「隧」が[[常用漢字]]外であるため、'''青函ずい道'''と表記されていたこともある<ref>“新幹線鉄道建設に関する整備計画”. [[運輸省]]. (1973年11月13日)</ref>。}}は、[[本州]]の[[青森県]][[東津軽郡]][[今別町]]浜名と[[北海道]]([[渡島総合振興局]])[[上磯郡]][[知内町]]湯の里を結ぶ[[北海道旅客鉄道]](JR北海道)の鉄道[[トンネル]]である。
 
  
== 概要 ==
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'''青函トンネル'''(せいかんトンネル)
[[津軽海峡]]の海底下約100[[メートル|m]]の地中を穿って設けられたトンネルで、全長53.85 kmは交通機関用のトンネルとしては[[鉄道に関する日本一の一覧|日本一]]および東洋一である<ref name="日本の鉄道ナンバーワン&オンリーワン 18" />。全長は約53.9kmであることから'''ゾーン539'''の愛称があった。
 
 
 
交通機関用トンネルとしては世界2位の長さであり、[[水底トンネル|海底トンネル]]および[[狭軌]]のトンネルとしては世界一の長さと深さを持つ交通機関用トンネルである。海底部の総距離では[[英仏海峡トンネル]]が世界一の長さを持つ。 [[1988年]][[3月13日]]に開通してから[[2016年]]6月1日に[[スイス]]の[[ゴッタルドベーストンネル]]が開通するまでは、[[鉄道に関する世界一の一覧|世界一]]の長さを持つ交通機関用トンネルでもあった<ref group="新聞" name="jp.reuters-20160601-article/gotthard-idJPKCN0YN3FI" /><ref group="注釈" name="海峡間の水底トンネル" />。
 
 
 
青函トンネルの[[木古内駅]]方には、非常に短い[[シェルター]]で覆われた'''コモナイ川橋梁'''、さらに長さ約1.2kmの'''第1湯の里トンネル'''が続き青函トンネルに一体化しており、これらを含めたトンネル状構造物の総延長は約55kmになる。なお、トンネルの最深地点には青色と緑色の蛍光灯による目印があったが、北海道新幹線の開業前に撤去された。
 
 
 
青函トンネルを含む区間は当初在来線の「[[海峡線]]」として開業したが、当初より[[新幹線鉄道規格新線|新幹線規格]]で建設されており、2016年3月26日から[[三線軌条]]を[[北海道新幹線]]が走行している。
 
 
 
また、青函トンネルは通信の大動脈でもある。青函トンネルの中には開通当時の[[日本テレコム]](のち[[ソフトバンクテレコム]]、ソフトバンクモバイルを経て、現在の[[ソフトバンク]])と、KDDIが[[光ファイバー]]ケーブルを敷設しており、北海道と本州を結ぶ電信・電話の重要な管路となっている。
 
 
 
[[日本鉄道建設公団]]により建設工事が行われ、公団を引き継いだ[[独立行政法人]][[鉄道建設・運輸施設整備支援機構]]がトンネルを所有している。トンネルを走行する列車を運行しているJR北海道は、機構に対してトンネルの使用料を払っている。その額は租税および管理費程度とされており、年額4億円である。また、トンネル内の鉄道敷設部分についてはJR北海道所有として整備されており、この部分の維持管理費は年間約8億円となっている。[[1999年]]度から改修事業が行われており、事業費のうち3分の2を国の補助金でまかない、3分の1をJR北海道が負担している<ref name="jrtt.go/organization/invester/data/kikousai_22_2" /><ref name="homepage1.nifty/JR-RENGO/k-seisaku/seisakunews/sn37" />。海底にあるため施設の老朽化が早く、線区を管轄するJR北海道にとって、青函トンネルの保守管理は大きな問題になっている<ref name="homepage1.nifty/JR-RENGO/k-seisaku/seisakunews/sn37" /><ref group="新聞">{{Cite news|url=http://www.nikkenko.com/feature/kikaku/page/020110_shinnen_1.htm|title=「青函トンネルのフタ閉め」論争|newspaper=日刊建設工業新聞(北海道版)|publisher= |date=2002-01-10|accessdate=2002-01-10|archiveurl=http://web.archive.org/web/20020704120527/http://www.nikkenko.com/feature/kikaku/page/020110_shinnen_1.htm|archivedate=2002-07-04}}</ref>。
 
 
 
また、開業当初は、乗車券のみで乗れた[[青函連絡船]]の代替という意味もあり、主たる輸送が[[快速列車|快速]]「[[海峡 (列車)|海峡]]」にて行われ、[[特別急行列車|特急]]「[[はつかり (列車)|はつかり]]」は一部速達性を要する時間帯のみであったが、[[2002年]]12月1日の[[東北新幹線]][[八戸駅|八戸]]開業に伴い列車体系が大幅に変更され、特急・[[急行列車]]のみとなった<ref group="報道" name="jrhokkaido20020920">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2002/1412daiya.html|title=平成14年12月ダイヤ改正について|publisher=[[北海道旅客鉄道]]|date=2002-09-20|accessdate=2014-06-19|archiveurl=http://web.archive.org/web/20021010072608/www.jrhokkaido.co.jp/press/2002/1412daiya.html|archivedate=2002年10月10日}}</ref>。[[2016年]]3月26日の北海道新幹線開業以降は、定期旅客列車は北海道新幹線のみとなっている。
 
 
 
ちなみに、青函トンネルの中央部は、[[公海]]下の建造物ということで、開業前にその帰属および[[固定資産税]]の課税の可否が問題となったが、トンネル内には[[領域 (国家)|領土]]と同様に[[日本]]の[[主権]]が及ぶものと判断された。それに伴い各自治体へ編入され、固定資産税もそれに応じて課税されることとなった<ref group="注釈">1988年(昭和63年)3月13日に事務次官会議において自治体境界を定め、公海下部分のうち、約4.7kmを青森県[[東津軽郡]][[三厩村]](現:同郡[[外ヶ浜町]])、約5kmを北海道[[松前郡]][[福島町]]に編入することとなり、同月16日の政府[[閣議]]で決定し、同月24日に告示された。</ref>。
 
 
 
全工程においての殉職者は34名。[[竜飛崎]]に殉職者の碑が建っている。
 
 
 
=== 防災設備 ===
 
青函トンネルは「日本最長の海底トンネル」<ref group="注釈">他のトンネルに比べ長大であり、トンネル中央部に向けて下り勾配が長く続いていることが大きな特徴である。</ref>という特殊条件であることから、万が一の事故・災害防止のために厳重な安全対策が施されており、トンネル内は終日禁煙・火気使用厳禁となっている。トンネル内には一般建物用より高感度の煙・熱感知器が多数設置されているので、微量な煙を感知しただけでも列車の運行が止まってしまう。なお、開業初日には3か所の火災検知器が誤作動を起こし、快速「海峡」などが最大39分遅れるトラブルが発生している。<!---動画投稿サイト「YOUTUBE」に寄せられた開業当日のNHKニュースから--->
 
 
 
なお、2015年4月に発生した特急列車の発煙トラブル(後述)を踏まえ、JR北海道は青函トンネルにおける乗客の避難方法や避難所設備などを改善していく考えを示している<ref group="新聞">{{Cite news|url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0141106.html|title=青函トンネルの避難方法改善へ 参院委でJR北海道社長|newspaper=[[北海道新聞]](どうしんウェブ)|publisher=[[北海道新聞社]]|date=2015-06-03|accessdate=2015-06-03|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150603033748/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0141106.html|archivedate=2015-06-03}}</ref>。定点など陸底部にある施設を拡充し、定点のケーブルカー(定員15名)の荷台に座席を取り付け、定員を増やすほか、待避所のベンチやトイレなども増設する。また、トンネルの陸底部に4つある資材運搬用の斜坑を新たに避難路として活用する<ref group="新聞">{{Cite news|url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0026948.html|title=社説 青函トンネル 新幹線の避難、大丈夫か|newspaper=北海道新聞(どうしんウェブ)|publisher=北海道新聞社|date=2015-06-18|accessdate=2015-06-27|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150627162508/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0026948.html|archivedate=2015-06-27}}</ref>。
 
 
 
; 斜坑・作業坑・先進導坑<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150408-1.pdf|format=PDF|title=青函トンネルにおける防災設備、お客様避難に関する考え方及び現段階での車両調査について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2015-04-08|accessdate=2015-04-08|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150410033323/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150408-1.pdf|archivedate=2015年4月10日}}</ref>
 
: 作業坑・先進導坑には、連絡誘導路が約600mおきに設置されている。陸底部には算用師(さんようし)、袰内(ほろない)、白符(しらふ)、三岳(みたけ)の4つの斜坑があり、階段の他、自動車の通行が可能な斜路が設置されている。
 
: 青函トンネル内を移動する事態となった場合、[[障害者]]・体調不良の人を、トンネル内にある保守作業用自動車等に乗車させることも検討している。
 
; 定点<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" />
 
: {{see also|竜飛定点|吉岡定点}}
 
: 万一、列車火災事故などが発生した場合に列車を停止させ、乗客の避難誘導及び消火作業を行うため、青森県東津軽郡外ヶ浜町竜飛({{ウィキ座標|41|15|26|N|140|20|52.6|E|region:JP|地図|name=竜飛海底駅}})および北海道松前郡福島町館崎({{ウィキ座標|41|26|31.7|N|140|14|21.6|E|region:JP|地図|name=吉岡海底駅}})の陸底部2箇所(海岸直下から僅かに海底寄り)に設置された施設。[[1972年]](昭和47年)[[11月6日]]に[[日本国有鉄道]](国鉄)[[北陸本線]]の[[北陸トンネル]]内で発生した[[北陸トンネル火災事故|列車火災事故]]を教訓にしたもので、これによりトンネルは3分割され、防災上からみればトンネルの長さは従来の最長の鉄道トンネルと同程度のトンネルが間をおかず、連続していると考えることができる。
 
: 開業後はこの定点をトンネル施設の見学ルートとしても利用する事になり、それぞれ「'''竜飛海底駅'''」、「'''吉岡海底駅'''」と命名された。この2つの駅は、見学を行う一部の列車の乗客に限り乗降できる特殊な駅であったが、吉岡海底駅は2006年([[平成]]18年)8月28日に長期休止となった<ref group="報道" name="jrhokkaido20051222">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2005/051222.pdf|format=PDF|title=平成18年3月ダイヤ改正について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2005-12-22|accessdate=2010-07-23|archiveurl=http://web.archive.org/web/20051230090557/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2005/051222.pdf|archivedate=2005年12月30日}}</ref><ref group="報道" name="jrhokkaido20060614">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2006/060614-3.pdf|format=PDF|title=吉岡海底駅「ドラえもん海底ワールド」は8月27日でファイナルを迎えます!|publisher=北海道旅客鉄道|date=2006-06-14|accessdate=2014-06-18|archiveurl=http://web.archive.org/web/20060706190916/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2006/060614-3.pdf|archivedate=2006年7月6日}}</ref>ほか、竜飛海底駅も2013年(平成25年)11月10日をもって休止となった<ref group="報道" name="jrhokkaido20130913">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130913-1.pdf|format=PDF|title=駅の営業終了について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2013-09-13|accessdate=2014-06-18|archiveurl=http://web.archive.org/web/20130927095752/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/130913-1.pdf|archivedate=2013年9月27日}}</ref>。なお、これらの海底駅は2014年3月15日に、[[鉄道駅]]としては廃止され<ref group="報道" name="jrhokkaido20131220">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/131220-1.pdf|format=PDF|title=平成26年3月ダイヤ改正について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2013-12-20|accessdate=2014-06-18|archiveurl=http://web.archive.org/web/20131224105741/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2013/131220-1.pdf|archivedate=2013年12月24日}}</ref>、現在は「'''竜飛定点'''」、「'''吉岡定点'''」となっている。
 
: ホーム、消火栓及び乗客を一時避難させる避難所(ベンチ、トイレ設備)が設置され、指令所から遠隔操作する一斉照明設備(100ルクス程度)、[[消防用設備]](水噴霧設備、[[監視カメラ]]及び非常放送設備等)を備えている。また非常発電機が備えてあり、72時間稼働できる様に備えている。
 
: また、竜飛・吉岡定点はそれぞれ竜飛・吉岡斜坑を通じて地上に脱出できるようになっており、これらの斜坑には[[ケーブルカー]]の他、階段(段数1,317段)が設置されている<ref group="注釈">竜飛斜坑は外ヶ浜町の[[道の駅みんまや]](青函トンネル記念館)、吉岡斜坑は福島町吉岡地区のトンネルメモリアルパーク付近が出口となっている。なお、竜飛斜坑のケーブルカーは[[青函トンネル竜飛斜坑線]]として営業運転を行っている。</ref>。健脚の場合、階段の歩行時間は25分程度である。
 
; 列車火災対策<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" />
 
:; 火災検知設備
 
::; 赤外線温度式火災検知器
 
::: [[赤外線カメラ]]を利用して、両側から列車表面の温度を測定することにより火災を検知する設備であり、トンネルの前後および内部の上下線4箇所ずつ、合計8箇所に設置されている。車軸検知器と連動させてデータ処理を行うことにより、火災発生位置(両数、部位)も検知できる。
 
::; 煙検知器
 
::: 赤外線温度式火災検知器では、熱が車両表面に現れずに煙の発生する、いわゆる煙火災に対応することができないため、補完設備としてトンネル内に煙検知器を5箇所設置した。
 
:; 火災時の列車制御設備
 
::; 火災列車停止装置
 
::: 火災を検知すると、ブレーキ開始表示灯と停止位置目標灯を点灯させ、それを目標に運転士がマニュアルブレーキで停車する。なお、北海道新幹線開業後は、ATC信号により自動的に減速し、最後の停止位置合わせのみ運転士がマニュアルブレーキを操作する。
 
::; 支障列車停止装置
 
::: 列車火災が発生したときに、他列車への波及を食い止めるため、火災検知器と連動して自動的に設定したブロック単位に送信し、後続列車及び対向列車を停めるべき地点の軌道回路に停止信号を現示する。
 
:; 消火設備
 
:: 列車火災が発見された場合、その列車は最寄りの定点かトンネル前後の停車場まで走行して、そこで消火救援活動を行うことを基本としており、定点及び停車場に消火設備を設けている。
 
:; 換気設備
 
:: 列車からの発熱の蓄積による坑内温度の上昇の抑制、及び保守用車からの排気ガスの排出のため、縦流式の換気方法としている。これは斜坑口付近に送風機を設けて空気を送り込み、先進導坑を通って海底中央部の連絡横坑から本坑に入り、各々の坑口に向かって換気する方式である。
 
:; 排煙設備
 
:: 列車火災が発生し、列車が定点に停止したときに、避難する乗客が煙にまかれることのないような排煙方式としている。列車停止位置に応じて指令が排煙装置を遠隔制御で調整し、斜坑から定点への短絡ルートにある風門を開くことにより、換気流を斜坑から直接定点に送り込むと同時に、立坑口に設けた排煙機を運転して煙を立坑から吸い出すものである。これにより本坑の風向きが調整され、作業坑、先進導坑へ本坑の煙が流入しないようしている。
 
:; 避難誘導設備
 
:: 火災列車が定点に停止した場合、一時旅客を避難させ避難所から坑外に脱出させる必要がある場合に、安全に誘導するためにITVカメラ、非常放送などの避難誘導設備を設置している。
 
:; 情報連絡設備
 
:: 列車火災時には旅客の避難誘導、関係列車の抑止、消火栓、排煙、換気等の手配を緊急に行う必要があるため、トンネル内乗務員と函館指令センターの指令員との情報連絡が、迅速かつ効率よく又確実に行われる体制にしておく必要がある。情報連絡設備として、できるだけ多くの通信手段を設けることにより[[冗長化]]を図り、トンネル内と指令センター等との連絡を密にするため列車無線、乗務員無線等を設置している。
 
; 地震対策<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" />
 
: 列車抑止の方式は地震計からの警報によってATCで列車を停止させる方式を採用した。120ガル以上の場合、一旦停止後に徐行でトンネル外まで運転する。
 
: なお、青函トンネル部は、十分な耐震構造になっているが、長大でかつ海底トンネルという特殊性から、地震が発生して列車が停止した後の応急的な運転再開については、長時間を要する徒歩巡回点検方式はとらず、警報地震計(トンネルの前後および内部に合計8箇所)とモニタリングシステム(地震早期検知システム、トンネル覆工歪計(トンネル内に4箇所)、湧水量検知装置)による迅速な情報処理判断を活用している。
 
; 異常出水対策<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" />
 
: トンネル内に湧水量検知装置を27箇所設置し、地震時の異常はもちろんのこと経年によるトンネル及びトンネル周辺地山の劣化を監視して函館指令センターでその状況に応じて応急処置がとれるよう万全を期している。
 
: くみ上げポンプ用非常発電設備が設置されており、ポンプの排水能力を超えた場合、本坑下部にある先進導坑に貯水する仕組みになっている。
 
; 防災監視体制<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" />
 
: 青函トンネルにおいて災害が発生した場合に迅速に対処するため、トンネル内の各種防災情報を函館指令センターに表示して、常時監視できる設備になっている。また、異常時には各種防災機器を、函館指令センターから遠隔制御により直接操作できる。
 
: このように、青函トンネルにおいては、万一、災害が発生した場合でも、迅速に対応するために、情報を函館指令センターに表示して指令員が常時監視するとともに、異常時には各種防止機器を遠隔制御により、直接操作するよう総合システムを構成している。
 
 
 
=== 送電線設備 ===
 
青函トンネルを利用し本州と北海道を結ぶ[[北海道・本州間連系設備|送電線]]の建設が進められている。[[2019年]]3月の稼働開始を予定し、30万kW分の送電を行える[[直流送電|直流送電線]]の建設が行われている。従来北海道と本州を結ぶ送電線は[[海底ケーブル]]によってまかなわれていたが、船舶のいかりが引っかかって損傷するなどのトラブルが起こっており、青函トンネルを利用すれば安全性が確保され、敷設費用も抑えられる利点もあるとされ、従来の海底ケーブルでのルートと合わせて90万kW相当の電力の送電が可能となる<ref>{{PDFlink|[http://www.hepco.co.jp/info/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/07/31/130731_2.pdf 北海道本州間連系設備増強の概要]}} 北海道電力 2013年7月31日。[http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/2012setsuden_winter/179064.html <4>北本連系はどんな設備? 本州と60万キロワット送受電-北海道新聞] 北海道新聞 2012年11月9日 閲覧2014年1月16日{{リンク切れ|date=2017年10月}}</ref>。
 
 
 
== 経緯 ==
 
かつて[[青森駅]]と[[函館駅]]を結ぶ[[鉄道連絡船]]として、[[日本国有鉄道]](国鉄)により'''[[青函航路]]([[青函連絡船]])'''が運航されていた。しかし、[[1950年代]]には、[[朝鮮戦争]]によるものと見られる浮流[[機雷]]がしばしば津軽海峡に流入、また[[1954年]](昭和29年)[[9月26日]]、[[台風]]接近下に誤った気象判断によって出航し、暴風雨の中、函館港外で遭難した[[洞爺丸]]他4隻の事故('''[[洞爺丸事故]]''')など、航路の安全が脅かされる事態が相次いで発生した。
 
 
 
これらを受けて、[[太平洋戦争]]前からあった本州と北海道をトンネルで結ぶ構想が一気に具体化し、船舶輸送の代替手段として、長期間の工期と巨額の工費を費やして建設されることとなった。
 
 
 
[[青森県]][[東津軽郡]][[三厩村]](現在の[[外ヶ浜町]])と[[北海道]][[松前郡]][[福島町]]を結ぶ西ルート、青森県[[下北郡]][[大間町]]と北海道[[亀田郡]][[戸井町]](現在の[[函館市]])を結ぶ東ルートが検討され、当初は距離が短い東ルートが有力視されたが、東ルートは西ルートよりも水深が深い上、海底の地質調査で掘削に適さない部分が多いと判定されたため、西ルートでの建設と決定した。なお、もし東ルートに決定していれば、かつて青函連絡船代替航路として建設されていた[[未成線]]([[大間線]]と[[戸井線]])の建設が再開され、開通していたとも言われている。
 
 
 
当初は[[在来線]]規格での設計であったが、[[整備新幹線]]計画に合わせて[[新幹線]]規格に変更され建設された。整備新幹線計画が凍結された後、暫定的に在来線として開業することになったものの、[[軌間]]や架線電圧の違いを除けば、[[自動列車制御装置|保安装置(ATC-L型)]]も含めて新幹線規格を踏襲しており、のちに考案される[[新幹線鉄道規格新線|スーパー特急方式]]の原型となった。
 
 
 
トンネルは在来工法(一部[[TBM工法]]・[[新オーストリアトンネル工法]])により建設された。トンネル本体の建設費は計画段階で5,384億円であったが、実際には7,455億円を要している<ref group="新聞">{{Cite news|url=http://www.nikkenko.com/feature/kikaku/page/020110_shinnen_3.htm|title=青函トンネルの費用便益帰着表|newspaper=日刊建設工業新聞(北海道版)|publisher= |date=2002-01-10|accessdate=2002-01-10|archiveurl=http://web.archive.org/web/20020818042548/http://www.nikkenko.com/feature/kikaku/page/020110_shinnen_3.htm|archivedate=2002-08-18}}</ref>。取り付け線を含めた[[海峡線]]としての建設費は計画段階で6,890億円、実際には9,000億円に上る。
 
 
 
しかし、完成時には北海道新幹線の建設が凍結になっており、また関東以西と北海道が鉄道と青函航路で結ばれていた着工当時と打って変わり[[関東地方|関東]]から北海道への旅客輸送は既に[[航空機]]が9割を占めており、さらに完成後も大量の湧水を汲み上げる必要があるなど維持コストも大きいことから、巨額な投資といえども[[埋没費用]]とみなし放棄した方が経済的であるとされた。そのため「[[昭和三大馬鹿査定]]」発言において言及され、「無用の長物」、「泥沼トンネル」などと揶揄されたこともあった。
 
 
 
トンネルの有効活用としては「道路用に転用すべきだ」「[[キノコ]]の栽培をすべきだ」「[[石油]]の貯蔵庫にすべきだ」などのアイデアも報じられたが、結局は在来線で暫定使用を行うことになった。なおこの時、「'''青函トンネルカートレイン構想'''」として[[カートレイン]]の運行を行うことも定められていたが、実現には至っていない。
 
 
 
しかし開通後は、北海道と[[本州]]の[[日本貨物鉄道|JR貨物]]による[[貨物]]輸送に重要な役割を果たしており、一日に21往復(定期列車。臨時列車も含めると上下合わせて約50本)もの[[貨物列車]]が設定されている。天候に影響されない安定した安全輸送が可能となったことの効果は大きい。特に北海道の基幹産業である農産物の輸送量が飛躍的に増加した。
 
 
 
また[[首都圏 (日本)|首都圏]]で印刷された、雑誌類の北海道での発売日のタイムラグが短縮されるなど、JR北海道にとっては赤字事業であるものの、[[外部効果]]は高い。平成22年度では年間貨物輸送は450万トンでシェアは42%に達しており、[[フェリー]]輸送とほぼ同等となった。対照的に、[[旅客]]は[[旅客機]]輸送の多頻度化・[[格安航空会社]]の登場による価格破壊などから、旅客利用減少が進んでいる。
 
 
 
[[2007年]](平成19年)[[9月1日]]には、青森・函館間を1時間45分で結ぶ高速船[[ナッチャンRera]]が、[[2008年]](平成20年)[[5月2日]]には[[ナッチャンWorld]]が就航し、青函トンネル旅客輸送における新たな競合相手となっていたが、これらは2008年(平成20年)[[11月1日]]で運航休止となった<ref group="注釈">ナッチャンWorldについては、[[道南自動車フェリー]]が[[2009年]](平成21年)[[7月]]から[[9月]]にかけて期間限定で運航している。</ref>。このような状況ではあるが、今後は北海道新幹線開業による輸送量増加が期待される。
 
{{-}}
 
 
 
== 歴史 ==
 
=== 着工から完成 ===
 
* [[1923年]]([[大正]]12年):[[阿部覺治]]が「大函館論」の中で、青函トンネルの構想を記す<ref name="town sotogahama">{{Cite web|url=http://www.town.sotogahama.lg.jp/%E5%B9%B3%E6%88%9020%E5%B9%B43%E6%9C%88%E5%8F%B71-24.pdf|format=PDF|title=広報そとがはま 平成20年3月号 (No.36)|publisher=外ヶ浜町|page=7頁|date=2008-03|accessdate=2014-10-11|archiveurl=http://web.archive.org/web/20130412234059/http://www.town.sotogahama.lg.jp/%E5%B9%B3%E6%88%9020%E5%B9%B43%E6%9C%88%E5%8F%B71-24.pdf|archivedate=2013-04-12}}</ref>。
 
* [[1939年]]([[昭和]]14年) - [[1940年]](昭和15年):[[桑原弥寿雄]]により、青函トンネルの構想が計画される<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1946年]](昭和21年)4月:「津軽海峡連絡ずい道調査委員会」設置。地上部の地質調査開始<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前">{{Cite web|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/seikan/03_01.html|title=青函トンネルのあゆみ(完成前)|publisher=北海道旅客鉄道|date= |accessdate=2014-10-31|archiveurl= |archivedate= }}</ref>。
 
* [[1953年]](昭和28年):漁船を使用した海底部の地質調査開始<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1954年]](昭和29年)[[9月26日]]:[[青函航路]]([[青函連絡船]])[[洞爺丸事故]]が発生。青函トンネル建設計画が本格的に浮上<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1961年]](昭和36年)
 
** [[3月23日]]:建設開始。
 
** 月日不明:[[深海探査艇]]「[[福島町青函トンネル記念館|くろしおII号]]」による海底調査を実施<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1963年]](昭和38年)
 
** [[2月11日]]:北海道側の期成会により、[[北海道]][[松前郡]][[福島町]]吉岡で着工式を実施<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[10月18日]]:北海道側で試掘調査準備工事に着手<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1964年]](昭和39年)
 
** [[1月26日]]:北海道側の請負により、斜坑口掘削開始<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[3月23日]]:[[日本鉄道建設公団]]発足。
 
** [[4月22日]]:北海道側で調査工事起工式を実施<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[5月8日]]:北海道側の吉岡斜坑(全長:12.3[[メートル|m]])掘削開始(直轄)<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
** [[8月20日]]:本州側の期成会で鍬入式を実施<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[10月26日]]:本州側で試掘調査準備に着手<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[10月28日]]:本州側で工事用道路改修工事に着手<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[11月20日]]:日本鉄道建設公団が青函建設局竜飛鉄道建設所を設置<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1965年]](昭和40年)
 
** [[1月7日]]:北海道側で先進ボーリング開始(334m)<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[3月15日]]:本州側で坑口切取とその他工事に着手<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[5月17日]]:北海道側で海岸線直下415m地点に到達<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[8月9日]]:工事実施計画認可(調査)<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[8月19日]]:本州側の請負により、斜坑口掘削開始<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1966年]](昭和41年)
 
** [[2月20日]]:本州側で掘削51m、覆工30m、りょう盤45m 終了する<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[3月21日]]:本州側の竜飛斜坑(全長:51m)掘削開始(直轄)<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
** [[12月9日]]:本州側で先進ボーリング開始(443m)<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1967年]](昭和42年)
 
** [[2月23日]]:北海道側でトンネル掘進機の試験掘削終了<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[3月4日]]:北海道側で斜坑底に到達(1,210m)。先進導坑(北海道側)掘削開始<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
** [[9月27日]]:本州側で海岸線直下815m地点に到達<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1968年]](昭和43年)12月:北海道側の吉岡作業坑掘削開始<ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1969年]](昭和44年)[[2月13日]]:本州側の調査坑1,223m地点で異常出水(最大湧水量:11トン/分)<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1970年]](昭和45年)
 
** [[1月17日]]:本州側で斜坑底に到達(1,315m)。先進導坑(本州側)掘削開始<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
** [[7月13日]]:本州側の竜飛作業坑着手および掘削開始<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1971年]](昭和46年)
 
** [[9月28日]]:本工事着手<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
** [[11月14日]]:北海道側・本州側で本工事の起工式を実施<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1974年]](昭和49年)
 
** [[1月8日]]:吉岡作業坑3,509m付近で異常出水(最大湧水量:16トン/分)<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[4月17日]]:三岳工区の斜坑底に到達<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[5月10日]]:袰内工区の斜坑底に到達<ref name="town sotogahama"/>。
 
** [[12月5日]]:竜飛作業坑3,692m付近で異常出水(最大湧水量:6トン/分)<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1975年]](昭和50年)[[12月22日]]:算用師工区の斜坑底に到達<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1976年]](昭和51年)[[5月6日]]:吉岡作業坑4,588m付近で異常出水(最大湧水量:85トン/分)<ref>青函トンネル記念館のパネル</ref>。
 
**[[5月6日]]:2時30分、切羽付近の湧水が急増。3時30分、湧水量が排水能力を超える。8時、切羽後方100mの固定ポンプ座の貯水槽が完全に水没。湧水量4トンから30トンと増加。16時、3つめのバルクヘッドが破られる。出水ピーク毎分85トンを記録。
 
**[[5月7日]]:1時30分、防水扉破られる。
 
**[[5月9日]]:応急排水システム完了。
 
**[[5月14日]]:毎分68トンの排水能力を確保。本坑の排水を完了。
 
**[[6月24日]]:毎分16トンだった湧水が60トンまで増大。作業抗は出水切羽から76.5メートルの地点で閉塞することを決定。
 
**[[7月12日]]:排水作業完了。
 
**[[7月20日]]:作業抗を右へ迂回し、掘削開始。
 
**[[10月15日]]:出水切羽と同じ距離まで到達。(出水から162日目)
 
* [[1978年]](昭和53年)[[10月4日]]:北海道側の陸上部(白符工区、三岳工区)が全て貫通<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1979年]](昭和54年)9月:竜飛作業坑完成<ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1980年]](昭和55年)3月:吉岡作業坑完成<ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1981年]](昭和56年)[[7月3日]]:本州側の陸上部(算用師工区、袰内工区)が全て貫通<ref name="town sotogahama"/>。
 
* [[1983年]](昭和58年)[[1月27日]]:先進導坑貫通<ref group="注釈">発破ボタンの押下は、[[中曽根康弘]](当時・[[内閣総理大臣]])が[[総理大臣官邸|総理官邸]]から電話回線を使用して行った。</ref><ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1985年]](昭和60年)[[3月10日]]:本坑全貫通<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
* [[1987年]](昭和62年)
 
** [[4月1日]]:[[国鉄分割民営化]]に伴い、青函トンネル内の鉄道敷設部分を[[北海道旅客鉄道]](JR北海道)が所有。
 
** [[9月28日]]:[[国鉄DD51形ディーゼル機関車|DD51形ディーゼル機関車]]の牽引で、[[建築限界測定車]]の[[国鉄オヤ31形客車|オヤ31形]]を含む7両編成の試験列車が青函トンネルを初めて走行<ref name="RJ254">{{Cite journal|和書 |date = 1987-12 |journal = [[鉄道ジャーナル]] |volume = 21 |issue = 14 |page = 111 |publisher = 鉄道ジャーナル社 }}</ref>。
 
** [[10月21日]]:試運転電車が青函トンネルを初めて走行<ref name="town sotogahama"/><ref name="RJ254"/>。
 
** 11月:青函トンネル完成<ref name="あゆみ 完成前"/>。
 
 
 
=== 供用開始後 ===
 
* [[1988年]](昭和63年)[[3月13日]]:[[海峡線]] [[中小国駅|中小国]] - [[木古内駅|木古内]]間の開業とともに供用開始<ref group="注釈">下り一番列車「海峡1号」の機関車には、[[石原慎太郎]](当時・運輸大臣)が添乗した。</ref>。[[吉岡定点|吉岡海底駅]]、[[竜飛定点|竜飛海底駅]]が開業。青函連絡船廃止<ref name="town sotogahama"/><ref name="あゆみ 完成後">{{Cite web|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/seikan/03_02.html|title=青函トンネルのあゆみ(完成後)|publisher=北海道旅客鉄道|date= |accessdate=2014-10-31|archiveurl= |archivedate= }}</ref>。
 
* [[1990年]]([[平成]]2年)7月:[[明仁|今上天皇]]及び[[皇后美智子|皇后]]が、竜飛海底駅を視察<ref name="あゆみ 完成後"/>。
 
* [[2003年]](平成15年)[[10月1日]]:日本鉄道建設公団が[[運輸施設整備事業団]]と統合し、[[鉄道建設・運輸施設整備支援機構]]設立。
 
* [[2006年]](平成18年)[[8月28日]]:北海道新幹線の工事のため、吉岡海底駅が長期休止駅となる<ref group="報道" name="jrhokkaido20051222" /><ref group="報道" name="jrhokkaido20060614" />。
 
* [[2013年]](平成25年)[[11月11日]]:竜飛海底駅休止<ref name="あゆみ 完成後"/><ref group="報道" name="jrhokkaido20130913" />。
 
* [[2014年]](平成26年)
 
** [[3月15日]]:吉岡海底駅、竜飛海底駅廃止<ref name="あゆみ 完成後"/><ref group="報道" name="jrhokkaido20131220" />。それぞれ吉岡定点、竜飛定点となる。
 
** [[12月7日]]:[[12月1日|同月1日]]に開始した[[北海道新幹線]] [[奥津軽いまべつ駅]] - [[新函館北斗駅]]間の走行試験に伴い<ref group="報道" name="jrh20140910">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140910-2.pdf|format=PDF|title=北海道新幹線の開業準備に関する今後の取り組みについて|publisher=北海道旅客鉄道|date=2014-09-10|accessdate=2014-09-10|archiveurl=http://web.archive.org/web/20140911002027/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140910-2.pdf|archivedate=2014年9月11日}}</ref><ref group="報道" name="jrtt20141001">{{Cite press release|url=http://www.jrtt.go.jp/08-2Press/pdf/H26/pressh261001.pdf|format=PDF|title=北海道新幹線(奥津軽いまべつ・新函館北斗間)の平成26年度列車走行試験について|publisher=鉄道建設・運輸施設整備支援機構|date=2014-10-01|accessdate=2014-10-01|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141002115033/http://www.jrtt.go.jp/08-2Press/pdf/H26/pressh261001.pdf|archivedate=2014年10月2日}}</ref><ref group="新聞" name="hokkaido-np-2014-10-16">{{Cite news|url=http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/bullet_train_special/246375.html|title=北海道新幹線特集 道新幹線、歴史の始発 H5系車両、函館初上陸|newspaper=北海道新聞(どうしんウェブ)|publisher=北海道新聞社|date=2014-10-16|accessdate=2014-10-21|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150118143152/http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/bullet_train_special/246375.html|archivedate=2015-01-18}}</ref>、新幹線車両([[新幹線E5系電車|H5系電車]])が初通過<ref group="新聞">{{Cite news|url=http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/578735.html|title=北海道新幹線、海峡を抜け青森に 青函トンネルで走行試験|newspaper=北海道新聞(どうしんウェブ)|publisher=北海道新聞社|date=2014-12-07|accessdate=2014-12-07|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141209092725/http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/578735.html|archivedate=2014-12-09}}</ref><ref group="新聞">{{Cite news|url=http://www.yomiuri.co.jp/national/20141207-OYT1T50067.html?from=yartcl_blist|title=北海道新幹線の車両、初めて青函トンネルを通過|newspaper=[[読売新聞]]([[YOMIURI ONLINE]])|publisher=[[読売新聞社]]|date=2014-12-07|accessdate=2014-12-07|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141209065323/http://www.yomiuri.co.jp/national/20141207-OYT1T50067.html?from=yartcl_blist|archivedate=2014-12-09}}</ref><ref group="新聞">{{Cite news|url=http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141207/k10013782741000.html|title=北海道新幹線 青函トンネルで試験走行|newspaper=[[NHKオンライン]]|publisher=[[日本放送協会]]|date=2014-12-07|accessdate=2014-12-07|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141211010528/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141207/k10013782741000.html|archivedate=2014-12-11}}</ref>。
 
* [[2015年]](平成27年)
 
** [[4月3日]]:青函トンネル内を走行していた特急「スーパー白鳥34号」の車両下で発煙する事故が発生し、青函トンネル開業後初めて、乗客・乗員が竜飛定点を経由して地上へ避難する事態になった<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" /><ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150404-1">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150404-1.pdf|format=PDF|title=特急スーパー白鳥34号車両から白煙が出た事象について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2015-04-04|accessdate=2015-04-04|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150404154323/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150404-1.pdf|archivedate=2015年4月4日}}</ref><ref group="新聞" name="hokkaido-np20150403">{{Cite news|url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0119424.html|title=青函トンネルで特急から煙 乗客120人、2人搬送|newspaper=北海道新聞(どうしんウェブ)|publisher=北海道新聞社|date=2015-04-03|accessdate=2015-04-03|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150403165602/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0119424.html|archivedate=2015-04-03}}</ref><ref group="新聞" name="asahi20150405-ASH44536PH44IIPE00W">{{Cite news|url=http://www.asahi.com/articles/ASH44536PH44IIPE00W.html|title=北海道)新幹線の安全に課題 青函トンネル事故|newspaper=[[朝日新聞]]([[朝日新聞デジタル]])|publisher=[[朝日新聞社]]|date=2015-04-05|accessdate=2015-04-07|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150406144244/http://www.asahi.com/articles/ASH44536PH44IIPE00W.html|archivedate=2015-04-06}}</ref>。
 
** [[4月5日]]:[[江差線]]の[[札苅駅|札苅]] - 木古内間で、「き電線」の吊り下げ絶縁碍子が老朽化や塩害での腐食からの破損したために送電トラブルが起き、青函トンネル内で停電が発生し、特急「スーパー白鳥」など4本が運休し、6本に最大で4時間15分の遅れが発生した<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150407-1">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150407-1.pdf|format=PDF|title=江差線 札苅駅・木古内駅間での停電による輸送障害の原因について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2015-04-07|accessdate=2015-04-07|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150409025715/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150407-1.pdf|archivedate=2015年4月9日}}</ref><ref group="新聞" name="asahi20150405-ASH457H5TH45IIPE029">{{Cite news|url=http://www.asahi.com/articles/ASH457H5TH45IIPE029.html|title=青函トンネルの一部停電 JR江差線で送電トラブル|newspaper=朝日新聞(朝日新聞デジタル)|publisher=朝日新聞社|date=2015-04-05|accessdate=2015-04-07|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150406143621/http://www.asahi.com/articles/ASH457H5TH45IIPE029.html|archivedate=2015-04-06}}</ref><ref group="新聞" name="mynavi20150410">{{Cite news|url=http://news.mynavi.jp/news/2015/04/10/229/|title=JR北海道、江差線停電の理由を説明 - 老朽化と塩害による碍子の破損が原因|newspaper=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]|date=2015-04-10|accessdate=2015-04-09|archiveurl=http://web.archive.org/web/20150427065228/http://news.mynavi.jp/news/2015/04/10/229/|archivedate=2015-04-27}}</ref>。
 
** [[8月21日]]:[[札幌貨物ターミナル駅]]行きの貨物列車を牽引していた[[JR貨物EH800形電気機関車|EH800形電気機関車]]において故障が発生。[[知内町]]側の出口まで約5km地点のトンネル内で緊急停車し、電圧の変換装置を電流停止の応急処置後に運転再開して、[[木古内駅]]へ到着後にJR貨物社員が故障を確認した。この故障の障害の影響により特急列車4本が最大53分遅延した<ref group="新聞" name="hokkaido-np20151121">{{Cite news |author=どうしんウェブ |date=2015-11-21 |url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0204421.html |title=青函トンネル内で故障 8月にJR貨物の新型機関車 過電流 |publisher=北海道新聞社 |newspaper=[[北海道新聞]] |accessdate=2015-11-23|archiveurl=https://web.archive.org/web/20151122183329/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0204421.html |archivedate=2015-11-22}}</ref>。
 
** [[12月31日]]:北海道新幹線開業に向けた「地上設備最終切替」の「事前確認」実施のため、同日の深夜から2016年[[1月2日]]の早朝にかけて青函トンネルを通る全ての列車が運休<ref>[http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150717-3.pdf 北海道新幹線開業に向けた「地上設備最終切替」の「事前確認」に伴う元日にかけての津軽海峡線の全面運休について] - JR北海道 2015年7月17日</ref>。
 
* [[2016年]](平成28年)
 
** 2月9日:[[竜飛定点]]において合同非常訓練中に停電事故が発生<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20160210-3">{{Cite press release |title=竜飛定点での合同異常時訓練中の停電の発生について |publisher=北海道旅客鉄道 |date=2016-2-10 |url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160210-3.pdf |format=PDF |language=日本語 |accessdate=2016-2-13 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160210105026/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160210-3.pdf |archivedate=2016-2-10}}</ref>。
 
** 2月19日:[[NTTドコモ]]により竜飛定点と[[吉岡定点]]において、災害時の非常連絡手段として携帯電話を開通および提供開始させる<ref group="報道">{{Cite press release |title=青函トンネル 旧竜飛海底駅(竜飛定点)および旧吉岡海底駅(吉岡定点)における携帯電話サービスの提供開始について |publisher=北海道旅客鉄道 |date=2016-2-12 |url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160212-1.pdf |format=PDF |language=日本語 |accessdate=2016-2-13 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160213112825/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160212-1.pdf |archivedate=2016-2-13}}</ref><ref group="報道">{{Cite press release |title=青函トンネル 旧竜飛海底駅(竜飛定点)および旧吉岡海底駅(吉岡定点)における携帯電話サービスの提供開始について |publisher=NTTドコモ |date=2016-2-12 |url=https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/tohoku/page/2015/160212_01.html |language=日本語 |accessdate=2016-2-13 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160213114452/https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/tohoku/page/2015/160212_01.html |archivedate=2016-2-13}}</ref>。
 
** [[3月22日]]未明 - [[3月25日]]:北海道新幹線開業に向けて「地上設備最終切替」実施のため、青函トンネルを通る全ての旅客列車が運休<ref>[http://www.jrhokkaido.co.jp/unkyuuinfo/pdf/info04.pdf 北海道新幹線設備切替に伴う 列車運休等のお知らせ] JR北海道</ref>。
 
** [[3月26日]]:北海道新幹線 [[新青森駅|新青森]] - 新函館北斗間開業に伴い、海峡線と北海道新幹線共用開始<ref group="報道">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150916-3.pdf|format=PDF|title=北海道新幹線 新青森〜新函館北斗間開業に伴う運行計画の概要について|publisher=北海道旅客鉄道・東日本旅客鉄道|date=2015-09-16|accessdate=2015-09-16|archiveurl=|archivedate=}}</ref>。
 
** 6月1日:[[スイス]]の[[ゴッタルドベーストンネル]]が開通。これにより世界一の長さの鉄道用トンネルの座を失う<ref group="新聞" name="jp.reuters-20160601-article/gotthard-idJPKCN0YN3FI" /><ref group="注釈" name="海峡間の水底トンネル">ただし、ゴッタルドベーストンネル開通後も[[アルプス山脈]]を突貫する[[トンネル#山岳トンネル|山岳トンネル]]であるために、海峡間の[[水底トンネル]]としては世界一の長さとなる。</ref>。
 
 
 
== 技術 ==
 
=== 先進導坑 ===
 
当初はTBM([[トンネルボーリングマシン]])を使用して掘削していけば、ほぼ計画通りの工期で完成すると考えていたが、実際には軟弱な地層に進むにつれ多発した異常出水や、機械の自重で坑道の下へ沈み込み前進も後退もできなくなり、やむなくTBMの前方まで迂回坑道を掘って前から押し出さざるを得なくなるなどあまり役に立たず、早々にTBMでの掘削を諦めた。そこで、本坑に先駆けて先進ボーリングで先進導坑を掘り進み、それにより先の地質や湧水の状況を調査しながら本坑が後を追うという方式で掘り進むことになった。しかし、先進ボーリングは水平方向でボーリング調査を行うため水平を維持するのが難しく、ボーリングした孔内の圧力を維持できずに孔壁が崩れたり湧水が噴出したりしたため、最初の頃は月に100mも進まなかった。そこで、従来はボーリングのロッド管内から送った水を先端のビットから管外に出してビットを冷却しつつ、その水で孔を開く際に出る粘土や泥をロッド管と孔壁の間から取り除いていたのに対して、ロッド管と孔壁の間から送った水で孔を開く際に出る粘土や泥をロッド管内に回収する「リバース工法」を考案した。これにより、ボーリングの掘進速度は月に数100mに向上した<ref name="JR Hokkaido">{{Cite journal|和書 |date = 2016-3 |journal = THE JR Hokkaido  |volume = 337 |issue = |page = 7 |publisher = 北海道ジェイ・アール・エージェンシー }}</ref>。
 
 
 
海底にさしかかるに従い次第に地質が軟弱になり、出水も増えてきた。そのため青函トンネルで培われた技術が、新オーストリアトンネル工法による「注入」と「吹付コンクリート」と呼ばれるものである。注入とは、セメントミルクと[[水ガラス]]の[[混合物]]である注入材を注入用高圧ポンプを用いて超高圧で岩盤へ注入し、注入材が固まった後そこを掘っていく工法であり、坑道の太さ以上にセメントで硬い岩盤をあらかじめ作っておき、そこを掘り進む理屈である。しかし、注入材は強度を上げようすると流動性を保つ時間が短くなり注入できなくなる問題があった。そこで、竜飛岬にある試験場において、最適な水ガラスの種類や配合物を解明するとともに、流動性を保つ時間帯をストップウォッチを使用して計測した。吹付コンクリートとは、掘削直後にコンクリートを岩盤に吹き付けて緩みや崩落を防ぐ工法であり、1950年代にヨーロッパで開発されていたのだが、吹き付け圧による跳ね上がり・剥落・管詰まりなどのトラブルが多かったため、トンネル内に模擬トンネルを造って試行錯誤の繰り返し行い、急結剤の改良や耐圧ホース・吹き付け用自動アームなどを開発した。それでもなお大量の出水を防ぐ事ができず、坑道の途中で進む事を断念し坑口を塞いだうえでその坑道を避けて掘った箇所が先進導坑に数カ所存在する<ref name="JR Hokkaido"></ref>。
 
 
 
掘削が終わり、鉄道が開通した後も湧水(塩水)が常に出続けている。そのため竜飛側と吉岡側のそれぞれ先進導坑最下部にポンプが備えられており(竜飛側はさらにもう1か所)、常時ポンプで湧水を汲み出すことでトンネルが維持されている<ref group="注釈">その影響で坑内は常に湿度100%であり、通過車両や施設には塩害対策が欠かせない。</ref>。
 
 
 
=== 本坑 ===
 
全長53.85kmの本坑は9つの工区に分けて掘削が行われた。そのうち、本州寄りの4つの工区と北海道寄りの3つの工区は陸上部の地下を掘り進めるもの、残る2つの工区が津軽海峡の海底下を掘り進めるものであった。各工区の長さ及び施工業者を以下に示す<ref>“青函トンネル建設の組織論的研究”. 小島廣光. (1984年3月)</ref>。
 
 
 
{|class="wikitable" border="1" cellpadding="10"
 
|-align=center
 
!bgcolor=#cccccc|工区名
 
!地域
 
!陸海の別
 
!長さ
 
!施工業者
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|浜名
 
|rowspan="5"|本州側
 
|rowspan="4"|陸上部
 
|1470m
 
|[[フジタ|フジタ工業]]
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|増川
 
|438m
 
|[[錢高組]]
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|算用師
 
|5492m
 
|[[飛島建設]]・[[三井建設]][[共同企業体|JV]]
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|袰内
 
|3500m
 
|[[佐藤工業]]
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|竜飛
 
|rowspan="2"|海底部
 
|13000m
 
|[[鹿島建設]]・[[熊谷組]]・[[鉄建建設]]JV
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|吉岡
 
|rowspan="4"|北海道側
 
|14700m
 
|[[大成建設]]・[[間組]]・[[前田建設工業]]JV
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|白符
 
|rowspan="3"|陸上部
 
|3900m
 
|[[奥村組]]・[[五洋建設]]JV
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|三岳
 
|6400m
 
|[[大林組]]・[[清水建設]]JV
 
|-
 
|bgcolor=#cccccc|千軒
 
|4950m
 
|[[西松建設]]・[[青木建設]]JV
 
|}
 
 
 
=== 北海道新幹線 ===
 
[[2005年]](平成17年)に[[北海道新幹線]]の[[新青森駅|新青森]] - [[新函館北斗駅|新函館北斗]]間が着工され、青函トンネルについては貨物・夜行列車なども引き続き通れるように[[三線軌条]]とし、上下線の間に遮風壁を設ける事、トンネル両側の[[奥津軽いまべつ駅]]<ref group="注釈">新幹線開業前は津軽今別駅。</ref>と[[湯の里知内信号場]]<ref group="注釈">旧・知内駅。2014年(平成26年)3月14日営業終了。新幹線開業前は知内信号場。</ref><ref group="新聞" name="hokkaido-nl hakodate 20141117">{{Cite news|url=http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=23051|title=列車火災想定、青函トンネルで防災訓練【福島】|newspaper=[[函館新聞]](北海道ニュースリンク)|publisher=函館新聞社|date=2014-11-17|accessdate=2014-11-19|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141129054151/http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=23051|archivedate=2014-11-29}}</ref>に待避施設を建設する事になっている。[[2007年]](平成19年)には保安装置の動作確認などの試験目的で、上下線6kmの三線軌条化工事が行われた。また、これらの工事のために[[吉岡定点|吉岡海底駅]]は休止されていた。
 
 
 
また、速度が大きく異なる貨物列車と新幹線を同時に走らせることによる[[ダイヤグラム|ダイヤ]]への負荷などを解消すべく、[[狭軌]]用の貨物列車を列車ごと[[標準軌]]用列車に乗せ、新幹線用レール上を高速で走行させる[[トレイン・オン・トレイン]]技術がJR北海道によって研究されている。
 
 
 
これとは別に、当初の予定通り青森側・北海道側にそれぞれターミナルを建設して[[カートレイン]]を運行させようという構想もあるが、実現の目処は立っていない。
 
 
 
[[2014年]](平成26年)3月15日に[[北海道新幹線]]の開業工事に伴い、2つの海底駅([[竜飛定点|竜飛海底駅]]・[[吉岡定点|吉岡海底駅]])が廃止された<ref group="注釈">駅機能はなくなったが定点となり、2015年(平成27年)4月3日の事故の様に避難口として利用される事もある。</ref>。
 
 
 
== 走行車両 ==
 
[[ファイル:Kaikyou oha50-5009 information-panel.jpg|270px|thumb|50系客車に設置されていた列車位置表示装置]]
 
青函トンネルは海底の長大トンネルであるため、走行する車両には[[運輸省]](現在の[[国土交通省]])が[[鉄道に関する技術上の基準を定める省令|省令]]で定めた防災基準を満たす構造であることが要求されている。なお明示された条件ではないが、本トンネルは海底を通ることから[[湿度]]が常に100%であるため、これに耐えうる構造であることも重要である。
 
 
 
火災事故防止のため、トンネルを通行する営業用列車が[[電車]]または[[電気機関車]]牽引の[[客車]]・[[貨車]]のみに制限されており、内燃機関を用いる車両([[気動車]]・[[ディーゼル機関車]])は救援目的のディーゼル機関車を除き、当線内は自走・牽引は出来ない。さらに青函トンネルを通る冷凍[[コンテナ]]は、熱感知機の反応で列車が足止めされないよう、機関車の運転席からの遠隔操作によりコンプレッサーの動力となる[[ディーゼルエンジン]]を切るための専用回路を搭載したタイプに限られている<ref group="注釈">[[東海道本線|東海道]]・[[山陽本線]]系統の貨物列車に積まれる冷凍コンテナの一部には、この回路が非搭載のタイプがあり、「青函トンネル通過禁止」と書かれている。</ref>。
 
 
 
本州と北海道間で車両を輸送する際は、内燃機関を停止した上で基本的に電気機関車の牽引により[[車両輸送|甲種輸送]]される<ref group="注釈">21世紀初頭に青函トンネル経由で行われた[[車両輸送|甲種輸送]]は、[[2008年]](平成20年)[[11月]]の[[ミャンマー]]譲渡車両、[[2009年]](平成21年)[[3月24日]]の[[JR貨物DF200形ディーゼル機関車|DF200形]]ディーゼル機関車などがある。</ref>。
 
 
 
なお、[[1988年]](昭和63年)10月には[[オリエント・エクスプレス '88|オリエント急行]]の車両が本トンネルを通行している<ref name="rj505-105">{{Cite journal|和書|author=床下の仕掛人|authorlink= |coauthors= |year=2008|month=11|title=電車まんだら 21.オリエント急行来日のはなし|journal=[[鉄道ジャーナル]]|issue=505|pages=105|publisher=鉄道ジャーナル社([[成美堂出版]])|ref= }}</ref>が、オリエント急行に使用される車両は内装に木材を使用している<ref name="rj505-105"/>上、食堂車では石炭レンジを使用しており<ref name="rj505-105"/>、火災対策上通行が認められない車両であった<ref name="rj505-105"/>。しかし、この時には各車両に車内放送装置と火災報知器を設置した上<ref name="rj505-105"/>、防火専任の保安要員を乗務させるという条件<ref name="rj505-105"/>で特別に通行が認められている<ref name="rj505-105"/>。
 
 
 
北海道新幹線開業時に、青函トンネルを含む海峡線の架線電圧を新幹線にあわせて25,000V (50Hz)に昇圧し<ref>{{Cite web|url=http://www.mlit.go.jp/common/000193032.pdf|format=PDF|title=JR貨物 整備新幹線小委員会ヒアリング資料|publisher=国土交通省|date=2012-02-27|accessdate=2016-1-2|archiveurl=http://web.archive.org/web/20130326024825/http://www.mlit.go.jp/common/000193032.pdf|archivedate=2013-03-26}}</ref>、保安装置もそれ以前の[[自動列車制御装置#ATC-L型|ATC-L]]から[[自動列車制御装置#DS-ATC|DS-ATC]]に変更された<ref>{{Cite web |url=http://hokkaido-shinkansen.com/outline/approach/ |title=開業に向けた取り組み(北海道新幹線スペシャルサイト) |publisher=[[北海道旅客鉄道]] |accessdate=2016-1-2}}</ref>。<!--現状では、蟹田 − 木古内間には駅間につき一本しか列車が入れないよう設定されているが、貨物列車を減らさずに新幹線列車を走行させるためには続行運転を行わなければならず、[[デッドセクション]]によって対応することはできない{{要出典|date=2014年12月}}。-->
 
 
 
=== 現在運用中の車両 ===
 
* 電気機関車
 
** [[JR貨物EH800形電気機関車|EH800形]]:貨物列車を牽引。青函専用機。
 
**: 20,000V・25,000V双方の電圧に対応した[[複電圧車|複電圧]]電気機関車。北海道新幹線開業後、青函トンネルを含む海峡線を通過する電気機関車は本系列に統一。
 
* [[新幹線車両]]
 
** [[新幹線E5系・H5系電車|E5系・H5系]]:[[東京駅]]・[[仙台駅]] - [[新函館北斗駅]]間を直通運転する列車は「[[はやぶさ (新幹線)|はやぶさ]]」、[[盛岡駅]]・[[新青森駅]] - 新函館北斗駅間を運転する列車は「[[はやて (列車)|はやて]]」として運用<ref group="報道" name="jrh press 20141120-1">{{Cite press release|url=http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/141120-1.pdf|format=PDF|title=北海道新幹線の列車名決定について|publisher=北海道旅客鉄道|date=2014-11-20|accessdate=2014-11-20|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141126175309/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/141120-1.pdf|archivedate=2014年11月26日}}</ref><ref group="報道" name="jreast press 20141120">{{Cite press release|url=http://www.jreast.co.jp/press/2014/20141113.pdf|format=PDF|title=北海道新幹線の列車名決定について|publisher=[[東日本旅客鉄道]]|date=2014-11-20|accessdate=2014-11-20|archiveurl=http://web.archive.org/web/20141129040630/http://www.jreast.co.jp/press/2014/20141113.pdf|archivedate=2014年11月29日}}</ref>。
 
** [[ドクターイエロー#E926形|E926形]]([[East i]])
 
* クルーズトレイン
 
** E001形([[TRAIN SUITE 四季島]])
 
* 事業用車両
 
** [[JR東日本キヤE193系気動車|キヤE193系]]:総合軌道試験車両。2009年[[6月]]にED79形牽引の甲種輸送列車として初めて通過している。JR東日本[[秋田車両センター]]からJR北海道に貸し出され、管内の路線を検測している。
 
 
 
=== 過去の車両 ===
 
; 電車
 
:* [[国鉄485系電車|485系]]:[[特別急行列車|特急]]「[[スーパー白鳥|白鳥]]」。かつては特急「[[はつかり_(列車)|はつかり]]」として運転されていた。
 
:* [[国鉄781系電車|781系]]:臨時特急「[[スーパー白鳥#ドラえもん海底列車|ドラえもん海底列車]]」仕様。
 
:* [[JR北海道789系電車|789系]](基本番台):特急「[[スーパー白鳥]]」。
 
:* [[JR北海道785系電車|785系]](300番台):特急「スーパー白鳥」。増結用のため、単独での運転は不可能である。
 
:* [[JR北海道721系電車|721系]]:試験走行のための運転で、営業運転は実績なし。
 
 
 
; 気動車
 
:* [[国鉄キハ183系気動車|キハ183系]]:6000番台の[[くつろぎ (鉄道車両)#キハ183系6000番台|お座敷車両]]と[[ノースレインボーエクスプレス]]のみだったが昇圧の関係で運用は道内のみになる予定。
 
; 電気機関車
 
:* [[国鉄ED76形電気機関車|ED76形]](550番台)
 
:* [[国鉄ED79形電気機関車|ED79形]]:客車列車・貨物列車を牽引。青函専用機。
 
:* [[JR貨物EH500形電気機関車|EH500形]]:貨物専用機。
 
; ディーゼル機関車
 
:* [[国鉄DE10形ディーゼル機関車|DE10形]]:救援用にそれぞれ2両が常時待機していた。
 
; 客車 
 
:* [[国鉄マヤ34形客車|マヤ34形]]:軌道検測車。「はまなす」に連結されて走行し、レールを検測していた。
 
:* [[国鉄12系客車|12系]]:急行「八甲田」の間合い運用として臨時快速「海峡」として運行。※折戸ドアのため冬季以外で使用されていた。
 
:* [[国鉄50系客車|50系]](5000番台):快速「海峡」。2002年以降は救援用として残存している。
 
:* [[国鉄14系客車|14系]]:[[急行列車|急行]]「[[はまなす (列車)|はまなす]]」。[[緩急車|緩急]][[電源車]]は消火装置等の対策済みのものが限定使用されていた。かつては「はまなす」の間合い運用として[[快速列車|快速]]「[[海峡 (列車)|海峡]]」にも充当されたほか、[[ノースレインボーエクスプレス]]も入線していた。
 
:* [[国鉄24系客車|24系]]:[[寝台特急]]「[[北斗星 (列車)|北斗星]]」「[[日本海 (列車)|日本海]]」「[[トワイライトエクスプレス]]」および急行「はまなす」。電源車は消火装置等の対策済みのものが限定使用される。客車も耐寒耐雪構造を強化した車両に限られていた。「日本海」の函館乗り入れ中止を皮切りに2015年3月に「トワイライトエクスプレス」、8月に「北斗星」が廃止され、残る「はまなす」も2016年3月をもって廃止となった。
 
:* [[JR東日本E26系客車|E26系]]:寝台特急「[[カシオペア (列車)|カシオペア]]」および[[団体専用列車]]「カシオペアクルーズ」・「カシオペア紀行」。定期列車としては2016年3月まで運転。「カシオペアクルーズ」および「カシオペア紀行」は2016年6月から2017年2月までの期間限定で運行され、以降は「TRAIN SUITE 四季島」と入れ替わる形で運用を終了した。今後は本州(JR東日本管内)のみで運用。
 
 
 
== 新幹線開業直前1年間の青函トンネル内での関連事故・トラブル ==
 
北海道新幹線の新青森駅 - 新函館北斗駅間開業を1年後に控えた[[2015年]][[4月3日]]には、青函トンネル内を走行していた特急「スーパー白鳥34号」の車両下で発煙する事故が発生し、青函トンネル開業後初めて乗客・乗員が竜飛定点を経由して地上へ避難する事態になった<ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150404-1" /><ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" /><ref group="新聞" name="hokkaido-np20150403" />ほか、2日後の[[4月5日]]には[[江差線]]の[[札苅駅|札苅]] - [[木古内駅|木古内]]間の「き電線」の吊り下げ絶縁碍子が、老朽化や塩害での腐食が原因で破損したために送電トラブルが起き、青函トンネル内で停電が発生した。これにより特急「スーパー白鳥」など4本が運休し、6本に最大で4時間15分の遅れが発生した<ref group="新聞" name="asahi20150405-ASH457H5TH45IIPE029" /><ref group="新聞" name="mynavi20150410" />。北海道新幹線が経由予定である青函トンネルにおいて管理面での事故が1週間以内に連続して発生し、北海道新幹線の安全性に疑問の声が上がった<ref group="新聞" name="asahi20150405-ASH44536PH44IIPE00W" />。それに対し、JR北海道は4月7日から8日にかけて、江差線の停電に対する説明および青函トンネルに関する防災設備・避難に関する説明と車両状況の報告を行った<ref group="報道" name="江差線201504停電">{{Cite press release|url = http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150407-1.pdf|format = PDF|language = 日本語|title = 江差線札苅駅・木古内駅間での停電による輸送障害の原因について|publisher = 北海道旅客鉄道|date = 2015-04-07|accessdate = 2015-04-09|archiveurl = |archivedate = }}</ref><ref group="報道" name="jrhokkaido press/20150408-1" />。また、[[4月10日]]には記者会見で避難誘導マニュアルの改定を実施する旨と、[[4月7日]]に社内委員会を設置したことを発表した<ref group="新聞">{{cite news2|url=http://www.yomiuri.co.jp/otona/news/rnews/hokkaido/20150409-OYT8T50108.html|title=青函トンネル、避難誘導マニュアル改定へ|newspaper=読売新聞(YOMIURI ONLINE)|publisher=読売新聞社|date=2015-04-10|accessdate=2015-04-24|archiveurl=http://archive.is/2015.04.23-221717/http://www.yomiuri.co.jp/otona/news/rnews/hokkaido/20150409-OYT8T50108.html|archivedate=2015-04-23}}</ref>。
 
 
 
その一方、JR貨物側にも問題が起きた。青函トンネルで貨物列車を牽引する[[JR貨物EH800形電気機関車|EH800形電気機関車]]の故障が2015年8月21日に起きていたことが判明した。[[大阪貨物ターミナル駅]]発[[札幌貨物ターミナル駅]]行きの貨物列車(20両編成)牽引時において、8月21日17時半頃に運転士が故障告知ランプが点灯を確認したため、[[知内町]]側の出口まで約5kmのトンネル内に緊急停車し、電圧変換装置に電流が流れないよう応急処置の後に運転再開。[[木古内駅]]に到着後に社員が故障を確認した。電気系統の異常によるもので、電圧変換装置のボルトの締め付け不足が原因で過大な電流が流れ絶縁体の樹脂が溶結したという経緯で故障に至った。この障害を国土交通省北海道運輸局に報告したものの、「単なる車両故障と認識し、発表する内容ではないと考えた」(広報室)として公表していなかった。JR北海道の発表では、この障害の影響で特急列車4本が最大53分遅延した<ref group="新聞" name="hokkaido-np20151121" />。
 
 
 
2016年2月9日にも[[竜飛定点]]での合同異常時訓練中に停電が発生し、救援列車が緊急停止するトラブルがあった<ref group="新聞">{{cite news2 |date=2016-02-09 |url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H4P_Z00C16A2CC0000/ |title=北海道新幹線、訓練中に緊急停車 送電の手順にミス |publisher=日本経済新聞社 |newspaper=[[日本経済新聞]] |accessdate=2016-02-14}}</ref><ref group="報道" name="jrhokkaido press/20160210-3" />。
 
 
 
== 扁額 ==
 
[[ファイル:Seikan tunnel nameplate.JPG|thumb|250px|本州側扁額]]
 
[[扁額]]の[[揮毫]]は、本州側が[[中曽根康弘]]、北海道側(正確には第1湯の里トンネル)が[[橋本龍太郎]]である。扁額には「青函トンネル」ではなく「青函隧道」と書かれている。
 
 
 
中曽根は1985年3月のトンネル貫通および1987年4月の[[国鉄分割民営化]]当時の[[内閣総理大臣]]、橋本は1987年4月当時の[[運輸大臣]]であった。
 
 
 
{{-}}
 
 
 
== 記念発行物 ==
 
* [[記念切手]] - 60円が1988年3月11日に発行された。図柄は寝台特急「[[日本海 (列車)|日本海]]」のヘッドマークを付けた[[国鉄ED79形電気機関車|ED79形電気機関車]]である。
 
* [[記念貨幣]] - 500円白銅貨が1988年8月29日に発行された。
 
 
 
== 映画 ==
 
* [[海峡 (映画)|海峡]]([[1982年]])
 
 
 
== テレビ番組 ==
 
開業当日は[[民間放送|民放]]各局が開業式典から[[生放送]]した。その中継は[[函館駅]]・[[青森駅]]<ref group="注釈">この日放送のTBSテレビ「[[サンデーモーニング]]」では、「はつかり10号」が停車した蟹田駅からも中継を行った。</ref>だけではなく[[吉岡定点|吉岡海底駅]]・[[竜飛定点|竜飛海底駅]]からも行われた。さらには旅客一番列車<ref group="注釈">営業運転最初の列車は貨物列車であった。</ref>の函館発[[盛岡駅|盛岡]]行き特急「[[はつかり (列車)|はつかり]]」10号がトンネルに入った様子を車内からも生放送した。
 
 
 
列車内からの中継は[[日本放送協会|NHK]]が代表取材し、その映像を運転席に設置した[[FPU (放送)|FPU]]から地上に送信し、地上ではその電波を受信し再度中継した。開業一番列車の写真を見ると運転席に「NHK」と書かれたパラボラアンテナが映っているのはそのためである。民放各局はこのNHKの映像を受信し再送信したため、なんの前振りもなく突然NHK[[アナウンサー]]の[[木原秋好]]が民放の画面に現れた。
 
 
 
また、海底駅からの中継には当時やっと実用化され始めていた放送中継用の[[光ファイバー]]伝送装置が使用された。
 
 
 
本中継の番組ではないが、NHKで開通前の[[1970年]](昭和45年)[[3月23日]]に[[新日本紀行]]「青函トンネル」<!---「歳月 あおもりふれあいの五十年」(NHK青森放送局開局50年記念史)より--->を、[[1983年]](昭和58年)[[1月21日]]に[[NHKスペシャル|NHK特集]]「検証・青函トンネル」を、[[2000年]](平成12年)[[4月11日]]<!---2011年にNHK青森で放送された「開局70周年記念 NHKが伝えた青森」から--->に『[[プロジェクトX〜挑戦者たち〜]]』で「友の死を越えて〜青函トンネル・24年の大工事〜」を、それぞれ放送。[[2016年]](平成28年)[[2月28日]]には北海道新幹線開業を前に、この後者2番組を再編集した[[NHKアーカイブス]]「北海道新幹線 開業へ〜青函トンネルに懸けた情熱〜」が放送された<ref>{{Cite news|url=http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-archives/|title=NHKアーカイブス|publisher=[[日本放送協会]]|accessdate=2016-02-28|archiveurl=http://web.archive.org/web/20160228053301/http://www.nhk.or.jp/archives/nhk-archives/|archivedate=2016-02-28}}</ref>。また、[[青森放送]]でも1988年(昭和63年)に『[[親の目・子の目|竜飛の二人]]』という青函トンネルをテーマにしたドキュメンタリー番組も制作、放送した。
 
 
 
開通直後の1988年(昭和63年)[[4月4日]]には[[テレビ東京月曜9時枠の連続ドラマ|月曜・女のサスペンス]]初回拡大スペシャル「青函特急から消えた男」([[夏樹静子]]原作のトラベルサスペンス)が[[テレビ東京]][[TXN|系列]]で放送されている。
 
 
 
==青函第二トンネル構想==
 
2014年7月9日付河北新報によれば、青森県議会議長は同年6月30日の定例記者会見にて、国土交通省事務次官に対し非公式ながら「もう1本掘ってください」と伝えていたことを明らかにしている<ref group="新聞">{{Cite news |author= |date=2014年07月09日 |url=http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140709_25001.html |title=「第2青函トンネル」建設を 青森県内で待望論 |publisher=[[河北新報社]] |newspaper=[[河北新報]]ONLINE NEWS |accessdate=2017年1月6日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140814060854/http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140709_25001.html |archivedate=2014年8月14日}}</ref><!--<ref>[http://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/188144.html?p=2 予算5000億円以上...「第2青函トンネル」、本当に必要なの?]J-タウンネット東京都-地方コラム(2014年7月10日)2016年1月2日閲覧</ref>-->。
 
 
 
2014年-2015年頃、複数の[[ゼネコン]]、コンサルタント会社により「鉄道路線強化検討会」が発足。2016年、青函トンネルの西側に、貨物専用の第2青函トンネルを建設する構想を取りまとめている。工費は約3,900億円、工期は約15年を想定した<ref group="新聞">{{Cite news |date=2017年1月1日 |url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0353789.html |title=青函に「第2トンネル」専門家ら構想-貨物線で新幹線高速化 |publisher=[[北海道新聞社]] |newspaper=[[北海道新聞]](どうしんウェブ)|accessdate=2017年1月2日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20170102171554/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0353789.html |archivedate=2017年1月2日}}</ref>。第一の背景として、2004年に国土交通省が「平成16年度の整備新幹線建設推進高度化等事業」における「青函トンネルにおいて貨物列車が新幹線上を走行する場合の安全性の検討などを行う」調査を実施し、それを受けて2012年7月には国土交通省内で「青函共用走行区間技術検討WG(ワーキンググループ)」も設置され、その議事録で「北海道新幹線札幌延伸の10年後には現在の青函トンネルも大改修が必要となり、そのときに減速しながらの作業となってしまっては意味がない」も意見もあった事や、2016年12月の豪雪の際に航空便が欠航した際も札幌-新函館北斗間の特急列車が大混雑となった事や貨物列車の増発に現状の青函トンネルでは容量不足であるという需要の必要性が挙げられる<!--また、沈埋工法は熊谷組が開発した「大水深構造物沈設システム」と言う技術の進歩によるものもある。--><ref group="新聞">{{Cite news |author=杉山淳一 |url=http://news.mynavi.jp/series/railwaynews/051/ |title="初夢"に終わらせたくない「第2青函トンネル構想」 |newspaper=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]|date=2017年1月5日 |acessdate=2017年1月6日 <!--|archiveurl=https://web.archive.org/web/20170105230040/http://news.mynavi.jp/series/railwaynews/051/  |archivedate=2017年1月5日-->}}</ref>。
 
 
 
2017年2月14日付の北海道新聞によれば、[[日本プロジェクト産業協議会]]は同年2月13日、貨物列車用と自動車用の2本のトンネルを新たに建設し、トンネル内に送電線やガスパイプラインを敷設することで、既存の青函トンネルを北海道新幹線専用とする構想を発表した。事業費は約7,500億円、工期は約20年間を想定し、地上から海に向かって掘り進む際の傾斜を急にすることで延長を約30 kmに短縮するとしている<ref group="新聞" name="dd.hokkaido-np/2017-02-14/news/economy/economy/1-0368398" />。
 
  
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本州と北海道を結ぶ海底トンネル。 1954年津軽海峡連絡隧道技術調査委員会が発足,諸調査の結果,湧水や軟弱部に遭遇する困難はあるが,トンネル掘削は可能と結論。これを引継ぎ,日本鉄道建設公団青函建設局で 64年から調査坑の掘削に着手し,71年に調査を終了,本州側の青森県東津軽郡今別町浜名と北海道側の上磯郡知内町湯里間を結ぶ全長 53.85km (海底部 23.3km) の本トンネルは,71年 11月 14日 (北海道側) ,15日 (本州側) 起工式が行われ,本格的な掘削が進められた。海底部の施工は,水平ボーリングによって前方の地質状態を確認しながら,先進導坑と作業坑を先進させ,作業坑のあとを追って本坑を掘進する。海峡の水深は最も深いところで 140mあるが,トンネルはこの海底から,さらに 100mの地下を通る。 88年3月 13日開業。世界最長。
 
== 脚注 ==
 
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=== 注釈 ===
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== 外部リンク ==
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{{海底トンネル}}
 
 
=== 出典 ===
 
{{Reflist|refs=
 
<ref name="日本の鉄道ナンバーワン&オンリーワン 18">[[#日本の鉄道ナンバーワン&オンリーワン|『日本の鉄道ナンバーワン&オンリーワン』 18頁]]</ref>
 
<ref name="jrtt.go/organization/invester/data/kikousai_22_2">{{Cite web|author= |url=http://www.jrtt.go.jp/organization/invester/data/kikousai_22_2.pdf|format=PDF|language=日本語|title=鉄道建設・運輸施設整備支援機構債券内容説明書|pages=19頁|work= |publisher=[[鉄道建設・運輸施設整備支援機構]]|date=2009-01-05|accessdate=2010-05-15|archiveurl= |archivedate=}}{{リンク切れ|date=2014年10月}}</ref>
 
<ref name="homepage1.nifty/JR-RENGO/k-seisaku/seisakunews/sn37">{{Cite web|author= |url=http://homepage1.nifty.com/JR-RENGO/k-seisaku/seisakunews/sn37.htm|language=日本語|title=JR連合 政策News 第37号|work= |publisher=[[日本鉄道労働組合連合会]](JR連合)|date=2005-06-28|accessdate=2010-05-15|archiveurl=http://web.archive.org/web/20090608084417/http://homepage1.nifty.com/JR-RENGO/k-seisaku/seisakunews/sn37.htm|archivedate=2009-06-08}}</ref>
 
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=== 報道発表資料 ===
 
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}}
 
=== 新聞記事 ===
 
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<ref group="新聞" name="jp.reuters-20160601-article/gotthard-idJPKCN0YN3FI">{{Cite news|url=http://jp.reuters.com/article/gotthard-idJPKCN0YN3FI|title=アルプス縦貫の「ゴッタルド鉄道トンネル」開通、世界最長57キロ|date=2016-06-01|accessdate=2016-06-02|newspaper=[[ロイター]]|publisher=[[トムソン・ロイター]]|archiveurl=http://web.archive.org/web/20160602053122/http://jp.reuters.com/article/gotthard-idJPKCN0YN3FI|archivedate=2016-06-02}}</ref>
 
<ref group="新聞" name="dd.hokkaido-np/2017-02-14/news/economy/economy/1-0368398">{{Cite news|author= |url=http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0368398.html|language=日本語|title=青函に新たなトンネル構想 貨物と自動車用2本 経済団体発表|newspaper=[[北海道新聞]]|agency=どうしんウェブ/電子版(経済)|publisher=[[北海道新聞社]]|date=2017-02-14|accessdate=2017-02-14|archiveurl=http://web.archive.org/web/20170214082930/http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0368398.html|archivedate=2017-02-14}}</ref>
 
}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
=== 書籍 ===
 
* {{Cite book|和書|author=[[伊藤博康]]|title=日本の鉄道ナンバーワン&オンリーワン ―日本一の鉄道をたずねる旅|date=2014-12-15|publisher=[[創元社]]|pages=18|isbn=978-4-422-24069-5|ref=日本の鉄道ナンバーワン&オンリーワン}}
 
=== 雑誌 ===
 
 
 
== 関連項目 ==
 
[[File:Inside seikan tunnel.JPG|thumb|200px|トンネル内部にある竜飛海底駅に列車が接近する様子。]]
 
* [[一本列島]]
 
* [[青函トンネル開通記念博覧会]]
 
* [[青函トンネル記念館]]
 
** 財団法人青函トンネル記念館 - [[青森県]][[東津軽郡]][[外ヶ浜町]]。[[道の駅みんまや]]に併設。
 
** [[福島町青函トンネル記念館]] - [[北海道]][[松前郡]][[福島町]]
 
* [[津軽海峡大橋]] - 本州 - 北海道間に道路単独[[吊り橋]]を架設する構想。世界最長の吊り橋「[[明石海峡大橋]]」を大きく上回るため、建設や維持管理が非常に高コストになることから実現の目処が立っていない。
 
* [[キャッツキルアケダクト]] - [[アメリカ合衆国]]・[[ニューヨーク州]]の水道水の40%を供給する水道トンネル。全長147.2kmで土木構造物としてのトンネルでは世界最長。
 
* [[海峡 (映画)]]
 
* [[英仏海峡トンネル]] - 海峡部分は世界最長だが、トンネル自体は海底トンネル中2位の長さ。
 
* [[延長別トンネルの一覧]]
 
* [[延長別日本の交通用トンネルの一覧]]
 
* [[北海道新幹線]]
 
* [[ブラキストン線]] - 本州北部と北海道の生態系を分けている境界線。動物が青函トンネルを通ることで、生態系の変化が懸念されている。
 
  
== 外部リンク ==
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{{commonscat|Seikan Tunnel}}
 
* [http://www.jrhokkaido.co.jp/seikan/index.html 青函トンネル〜吉岡海底駅・竜飛海底駅よ、永遠に。〜] - [[北海道旅客鉄道]]
 
* [http://jr.hakodate.jp/train/tunnel/default.htm 青函トンネル] - [[北海道旅客鉄道函館支社]]
 
* [http://seikan-tunnel-museum.com/ 青函トンネル記念館(青森県外ヶ浜町)] - 公式ホームページ
 
* [http://www.town.fukushima.hokkaido.jp/div/kankou/spot/shisetsu/tonnerukinenkan/tonnerukinenkan.html 青函トンネル記念館(北海道福島町)] - [[北海道]][[福島町]]観光協会
 
* [http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030221_00000 NHKアーカイブス  青函トンネル・瀬戸大橋開業(1988年)] - 日本放送協会(NHK)
 
  
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2018/9/7/ (金) 00:04時点における最新版

Seikantunnel - Tsugaru street detail.png
青函トンネル
概要
路線 北海道新幹線海峡線
位置 津軽海峡
現況 供用中
起点 青森県東津軽郡今別町浜名(地図
終点 北海道渡島総合振興局上磯郡知内町湯の里(地図
運用
建設開始 1961年昭和36年)3月23日
開通 1988年(昭和63年)3月13日
所有 鉄道建設・運輸施設整備支援機構
管理 北海道旅客鉄道(JR北海道)
用途 鉄道トンネル
技術情報
軌道長 53.85 km(全長)
23.30 km(海底部)
軌間 海峡線:1,067 mm狭軌
北海道新幹線:1,435 mm(標準軌
三線式スラブ軌道
電化の有無 有(交流25,000 V・50 Hz
設計速度 最高140 km/h
高さ -240 m
勾配 12
最小曲線半径 6,500 m
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青函トンネル(せいかんトンネル)

本州と北海道を結ぶ海底トンネル。 1954年津軽海峡連絡隧道技術調査委員会が発足,諸調査の結果,湧水や軟弱部に遭遇する困難はあるが,トンネル掘削は可能と結論。これを引継ぎ,日本鉄道建設公団青函建設局で 64年から調査坑の掘削に着手し,71年に調査を終了,本州側の青森県東津軽郡今別町浜名と北海道側の上磯郡知内町湯里間を結ぶ全長 53.85km (海底部 23.3km) の本トンネルは,71年 11月 14日 (北海道側) ,15日 (本州側) 起工式が行われ,本格的な掘削が進められた。海底部の施工は,水平ボーリングによって前方の地質状態を確認しながら,先進導坑と作業坑を先進させ,作業坑のあとを追って本坑を掘進する。海峡の水深は最も深いところで 140mあるが,トンネルはこの海底から,さらに 100mの地下を通る。 88年3月 13日開業。世界最長。

脚注

外部リンク



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