幸福の黄色いハンカチ
幸福の黄色いハンカチ | |
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監督 | 山田洋次 |
脚本 |
山田洋次 朝間義隆 |
製作 | 名島徹 |
出演者 |
高倉健 倍賞千恵子 桃井かおり 武田鉄矢 渥美清 |
音楽 | 佐藤勝 |
撮影 | 高羽哲夫 |
編集 | 石井巌 |
製作会社 | 松竹 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1977年10月1日 |
上映時間 | 108分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『幸福の黄色いハンカチ』(しあわせのきいろいハンカチ)は、1977年(昭和52年)10月1日に公開された、山田洋次監督による日本映画。
Contents
解説
1971年に『ニューヨーク・ポスト』紙に掲載されたピート・ハミルのコラム『Going Home』をベースに、北海道を舞台に撮影された日本のロードムービーの代表作である。
高倉健・倍賞千恵子といったベテラン俳優から、映画初出演となる武田鉄矢、その共演に桃井かおり、さらには脇役に渥美清を据えるなど、これ以上ない布陣で臨んだ同作品は、俳優陣の演技はもちろんのこと、シンプルながら観衆の心情に深く訴えかけるストーリーが高い評価を得た。第1回日本アカデミー賞や第51回キネマ旬報賞、第32回毎日映画コンクール、第20回ブルーリボン賞や第2回報知映画賞など、国内における同年の映画賞を総なめにしている。
後にキャスティングを変え、テレビドラマ化や日本国外でも映画化された。
ストーリー
恋人の伸子と失恋してヤケになった花田欽也(武田鉄矢)は、勤めていた工場を突然退職。その退職金で真っ赤なファミリア(4代目のFRファミリア)を購入し、失恋の傷を癒すため、一人フェリーに乗り北海道を目指す。釧路から網走にやって来た欽也は、駅前で片っ端に女性に声を掛け始める。
一方、網走刑務所からは、刑期を終えた元炭鉱夫の島勇作(高倉健)が出所して来る[1]。その後、食堂に寄ってビールを飲みながら醤油ラーメンとカツ丼を注文する。ちょうど網走にいた欽也は同じく、職場で恋人を同僚に取られ東京から一人、傷心旅行に来た女性、朱美(桃井かおり)をナンパして一緒に食事する。食事を済ませ郵便局に寄った勇作は、ハガキを一枚書いて出していく。
そして欽也は朱美とウキウキとドライブを始める。海岸にやって来た2人は、同じくそこに立ち寄っていた勇作に写真を撮ってもらう。2人はその縁で彼を車に乗せ、3人旅を始めることになる。
その晩、阿寒湖温泉の宿で、まんまと朱美と同室になった欽也は朱美を口説き始め、「キスだけ」と言いながらも朱美にのしかかっていく。抵抗していた朱美は急に動かなくなり、泣き始める。隣室に泊まっている勇作はその騒ぎを聞き、欽也を一喝する。
3人は何かと崩れそうになりながらも旅を続けてゆく。ある日、陸別蟹を食べながら雑談していたところ勇作と欽也が同じ福岡県出身ということが判明する。その後、運転途中で腹痛を覚えて路上に車を置いたままトイレに駆け込んだ欽也に代わり、対向車のトラクターを通すため「これでも仮免まで行った」という朱美がハンドルを握るが、車を脱輪させてしまった上に農地を暴走し、干し草の俵に車を突っ込ませてしまい、欽也と朱美はそのことで口論になり、朱美は泣き出してしまう。勇作の交渉の結果、その農家に泊まることになる。欽也と同室になった勇作は、今までの欽也の朱美に対する不節操な態度に対し「お前、それでも九州の人間か」「そう言うのを草野球のキャッチャーってんだ、ミットもないってことだ」と叱責する。そして、車中の会話から、勇作はかつて暮らした夕張に向かっていることが明らかになる。
帯広の駐車場では、欽也が邪魔なリンカーン・コンチネンタルを無人と思い込み蹴り飛ばす。その結果、乗っていたヤクザ風の男(たこ八郎)に殴りつけられるが、勇作の反撃で難を逃れる。しかし、そのまま勇作が車を運転していったことで、物語は大きく展開していく。彼らの車は強盗事件の一斉検問に引っ掛かり、勇作が無免許運転であったことが判明。無免許の理由を問われ、一昨日までの6年間、殺人罪で刑務所に入っていたことを話す。最寄の新得の警察署に連行されるが、そこには、かつて勇作の事件を担当した渡辺係長(渥美清)が偶然勤務しており、彼の温情で事無きを得る。刑務所帰りがばれた勇作は汽車で行くと言うが、結局3人旅は続いて行く。
車や旅館の部屋の中で、勇作は徐々に自分の過去を語る。スーパーのレジ係だった妻・光枝(倍賞千恵子)との出会い、結婚、そして幸せな新婚生活。その後、光枝が妊娠したらしいということで喜ぶ勇作。父親が戦死したため親を知らずに育ってきたので余計うれしかったのだ。医者に行くという光枝に早く知りたいと言い、「もし妊娠していたら、竿の先に黄色いハンカチを揚げておく」という光枝の言葉に、勇んで仕事に出て行く。仕事帰りに、竿の先にはためく1枚の黄色いハンカチを見つけた勇作は、天にも昇る気持ちだった。しかし数日後、「無理をするな」と言ったのに、力仕事をした光枝は流産してしまう。病院で勇作は光枝の過去を知ることになる。それは5年前の流産。それに立腹してヤケ酒をあおりながら、「俺は隠し事をする女は嫌いだ」と言った。光枝が「流産の話を聞かなかったから」というのに、絶望した勇作はヤケになり、夜の繁華街に繰り出し、偶然肩が当たったチンピラ(赤塚真人)と喧嘩を始めてしまい、遂には相手を死なせてしまう。
逮捕され、刑務所に入った勇作は離婚を決意する。面会に訪れた光枝に勇作は「今ならお前はまだ若いし、その気なら良い男もいるかも知れん、幸せになれ」と諭す。「あんたって、勝手な人だねぇ、会った時もそうだったけど」と光枝は泣いてしまうが、これが不器用な生き方しかできない、彼流の男の愛情表現だった。しばらくすると、刑務所に判を押した離婚届が届いた。責める朱実に「俺があいつにしてやれることはそれだけだ」「どうしてこんなヤクザに生まれついたのかな」と嘆く。「明日は札幌でお別れだな」「仕事なかったら東京へ行くかも」ともいう。欽也は涙にくれる。
小広場で「銀座カンカン娘」を歌っている人々(統一劇場)の傍を通るが、勇作は空にはためく鯉のぼりを見て感慨深げ。勇作は1人で夕張に向かうという。理由を尋ねると、出所直後の網走で光枝宛てに葉書を出していたことを告白する。葉書には「もし、まだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら…鯉のぼりの竿に黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ。それが目印だ。もしそれが下がってなかったら、俺はそのまま引き返して、2度と夕張には現れない」と書かれていたという。それを聞いた欽也と朱美は、迷わず一緒に夕張に行くことを決心する。
「やっぱり引き返そう」「どう考えたってあいつが一人でいるはずがない」「誰かと一緒になっているよ」と揺れる男の気持ちと、それを励ます2人。「あいつが俺を待っているはずはない」と臆病になる勇作は、引き返すことを要求し1度はそうするが、朱美の「万一ということがあるでしょ、万一待っていたらどうするの?」という言葉で再び夕張に向かう。車は夕張の町に入って行く。もう外を見ていられない勇作に、朱美が景色を逐一説明し、勇作はそれに答える。「踏切越えたわよ」の声に勇作は道を説明する。子どもたちの「背くらべ」の歌が聞こえてくる。欽也は「もしかしたら引越してしまっているかもしれないな」と万が一のことを考える。やがて車は止まり、欽也と朱美は外へ出て辺りを見回す。
見つからずに「今、風呂屋の前にいるんだけど」と欽也が言うと彼の視線にある物が映っていた。朱実が欽也に声をかけると「ほらー、あれ!」と叫ぶ。視線の先には、なんと何十枚もの黄色いハンカチが風にたなびいていた。力強く勇作の背中を押し出す2人。2人の再会に、言葉は要らなかった。2人は見つめ合い、そして仲良く家の中に消えて行く。
それを見届けた欽也と朱美は、車中で自然に手を握り合い、強く抱き合い、キスをする。夕張の街を背景にこいのぼりの竿に掲げた幸福の黄色いハンカチがたなびく。
スタッフ
- 製作 : 名島徹
- 原作 : ピート・ハミル 「黄色いリボン」(『ニューヨーク・スケッチブック』所収、高見浩訳、河出書房新社)
- 監督 : 山田洋次
- 脚本 : 山田洋次、朝間義隆
- 撮影 : 高羽哲夫
- 音楽 : 佐藤勝
- 美術 : 出川三男
- 録音 : 中村寛
- 調音 : 松本隆司
- 照明 : 青木好文
- 編集 : 石井巌
- スチル : 長谷川宗平
- 監督助手 : 五十嵐敬司
- 装置 : 小島勝男
- 装飾 : 町田武
- 衣裳 : 松竹衣裳
- 現像 : 東洋現像所
- 進行 : 玉生久宗
- 協力 : 東洋工業(マツダグループ)
- 製作主任 : 峰順一
出演
- 島勇作:高倉健
- 島光枝:倍賞千恵子
- 小川朱美:桃井かおり
- 花田欽也:武田鉄矢
- 旅館の親父:太宰久雄
- チンピラ:赤塚真人
- ラーメン屋の女の子:岡本茉利
- 警官:梅津栄
- 警察の渡辺係長:渥美清
- 警察署で泣く女:三崎千恵子
- 検問の警官:笠井一彦
- 医者:里木左甫良
- 農夫:小野泰次郎
- 農夫: 河原裕昌
- 帯広のヤクザ風:たこ八郎
- 旅館の仲居:谷よしの
受賞
- 第1回日本アカデミー賞
- 最優秀作品賞
- 最優秀監督賞:山田洋次
- 最優秀脚本賞:山田洋次・朝間義隆
- 最優秀主演男優賞:高倉健
- 最優秀助演男優賞:武田鉄矢
- 最優秀助演女優賞:桃井かおり
- 優秀主演女優賞:倍賞千恵子
- 優秀音楽賞:佐藤勝
- 第51回キネマ旬報賞
- 日本映画ベスト・テン第1位
- 監督賞:山田洋次
- 脚本賞:山田洋次・朝間義隆
- 主演男優賞:高倉健
- 助演男優賞:武田鉄矢
- 助演女優賞:桃井かおり
- 読者選出日本映画第1位
- 読者選出日本映画監督賞:山田洋次
- 第32回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞
- 監督賞:山田洋次
- 脚本賞:山田洋次・朝間義隆
- 男優演技賞:高倉健
- 音楽賞:佐藤勝
- 録音賞:中村寛
- 第20回ブルーリボン賞
- 作品賞
- 監督賞:山田洋次
- 主演男優賞:高倉健
- 助演女優賞:桃井かおり
- 第2回報知映画賞
- 作品賞
- 主演男優賞:高倉健
エピソード
- 倍賞千恵子がこの話を知ったのは、渡辺貞夫の家を訪問し親しい娘に、原作とは別にこの話を元にしたドーンの歌「幸せの黄色いリボン」を聴かせてもらい、英語歌詞を日本語に訳して紹介され倍賞が感動した事に始まる[2]。山田洋次が原作を知ったのは、「男はつらいよ」撮影中の合間に、倍賞が、歌「幸せの黄色いリボン」を口ずさんでいて、それを聞いて質問して教えてもらったのがきっかけ[3][注釈 1]。歌詞の意味を聞いた山田は「樫の木に黄色いリボンが花のように咲く」イメージが浮かび、勇作が出所した網走から光枝の待つ夕張までは絶対に黄色いものを撮らないことに決めたという[4]。
- 山田は製作にあたりピート・ハミル側と交渉したが、代理人によるとハミルは日本の電気製品がアメリカ市場を荒らしているとして日本に好意を持っておらず、作品の上映は日本国内限定で海外に出すことは絶対に認めないとの厳しい条件つきで承認を得た。封切り後、高い評価を得ていくつかの賞を受賞したことから配給の松竹は海外への輸出を考え、ハミルに認めてもらうため山田がニューヨークに出向いて映写会を開いた。字幕もなく通訳が要点を説明するだけだったが、鑑賞したハミルは「ビューティフル」と称賛し喜んで輸出に賛成したという[5]。
- 夕張市日吉地区の炭鉱住宅はほとんどが撤去されたが、ラストシーンの背景となった五軒長屋は夕張市が「幸福を希うやかた」の名で記念資料館として一般開放し、幟に結びつけられた黄色いハンカチと赤いファミリアが保存されている[6]。2014年11月10日に高倉健が死去したことを受けて、ロケ現場を再現した観光施設「幸福の黄色いハンカチ想い出広場」が11月19日から11月30日まで臨時開館され、訪れたファンが献花した[7]。ドラマ版の焼尻島でも、黄色いハンカチが保存されている。
- 武田が、この映画以降、役者としても新境地を開拓して行った作品でもある。歌手としてのキャリアしかなかった当時の武田は、監督の山田から相当厳しく演技を教え込まれたようで、撮影前の食事はほとんど喉を通らなかったという。が、撮影を終えると色々な話を聞かせてもらったといい、その時の話を、後に海援隊で「幸福の黄色いハンカチ」という曲(朗読詩)として披露している(1983年発表の海援隊のライブアルバム「ラストライブ」に収録)。
- この映画で役者として抜擢されるまで、演技実績がほとんどない上に歌手としても人気低迷期にあった武田に、何故山田からオファーがあったのかは、武田自身も未だにはっきりとは判らず、「売れてない歌手をからかいにでも来たのか」と思ったとのこと。[8]DVD映像特典の監督インタビューによれば、登場させる若者の男女のうち、都会出身の女性は桃井かおりにすんなり決まったものの、これと対置する地方出身の男のキャスティングが難航していた時に、プロデューサーが山田に紹介したことから決まったとある。
- 撮影当時、武田は運転免許証を取得しておらず、運転するシーンはトレーラーで牽引しながら撮影された。ロングで撮る場合などは、背格好などが似た小道具スタッフが運転した。なお、DVD映像特典の監督インタビューによれば、武田は1996年8月種子島の教習所で取得した。[9]撮影当時仮免許は持っていたが、運転は下手だったという。
- この映画に出演依頼が来る直前、武田の妻は長女を身ごもっていた。1976年当時の武田は「母に捧げるバラード」の “一発屋” として鳴かず飛ばずの状態で、妻と一緒に飲み屋で皿洗いなどのアルバイトで生計を立てていた。アルバイトを終えて深夜の東京の街を妻と歩いて帰宅する途中、妻は「今がどん底だから、もうこれから先は下はない。これから良いことがやってくるわよ」と言う。その直後に、この映画出演の話が舞い込んだ。
- 勇作と光枝の再会シーンについて、山田監督はずっとロングで撮影してロケを終えた。ところが、編集担当者の「やはり、ここで観客が一番観たいのは、ずっと待っていた妻の顔なのでは」という意見を聞き入れ、倍賞千恵子のアップのワンカットのためだけに、倍賞と少数の撮影スタッフだけで夕張での追加ロケを行った。
- 欽也と勇作が最後に別れるシーンの撮影時、武田は台本通りになかなか泣けなかった。この時、武田の元に高倉が寄って来て、長期間の撮影に感謝する旨を述べると、武田は感激してぼろぼろと涙を零したという。この瞬間に、別れのシーンが撮影された。
- 高倉としても、長年続いた仁俠映画から久々の人情ドラマであり、また役者として再起を図るために参加しており、転換点となった作品である。それを連想させる台詞も劇中に存在する。
- 刑務所から出てきたばかりの勇作が、食堂でビールを飲み干し、ラーメンをむさぼるように食べる場面(カツ丼も注文しているが、実際に食べているのはラーメンのみ)では、高倉は実際に2日間何も食べずに、この撮影に臨んだという。
- 映画の中盤、ファミリアの中で流れる『なごり雪』は、武田の推薦で決まった。監督に「最近の若い人ではどんな曲が流行っているの?」と訊かれ、自分の曲である「あんたが大将」を押したかったが『なごり雪』を薦め、人生で初めて人に譲った体験だと語っている[10]。
- 桃井が、駅で「まだ2時間もあるわ」という台詞は、「“わ” は上がりましょう」と山田洋次監督にイントネーションの変更を要求されて、50数テイクを要したという[11]。
- 地上波におけるテレビでの放送は、ほぼ日本テレビが放送を行っている。2011年4月14日には、初めてテレビ東京で放送された。
- 2014年11月10日、主演の高倉健が逝去。これを受けて同月28日、日本テレビ系列の金曜ロードSHOW!において、追悼企画としてデジタルリマスター版が放送された[12][13]。
テレビドラマ
TBSドラマ版
1982年(昭和57年)、TBSで菅原文太主演で連続ドラマ化された。映画を監督した山田洋次は、当初からテレビドラマ化を考えており、自ら設定や脚本の手直しをするなど、全面的に協力している。また、誠の運転する車は三菱・デリカスターワゴンである。
放送日時
挿入歌
スタッフ
- 製作 : 三船プロダクション、TBS
- プロデューサー : 元村武、石坂久美男、山本典助、石橋晋也、竹内一夫
- 原作 : ピート・ハミル 「黄色いリボン」(『ニューヨーク・スケッチブック』所収、高見浩訳、河出書房新社
- 脚本 : 高橋正圀、朝間義隆、黒土三男
- 撮影 : 石垣力、高田裕
- 音楽 : 佐藤勝
- 美術 : 沢井義雄
- 音声 : 渡辺敏博
- 照明 : 上島忠宣
- 編集 : 一戸鮎美
- 装置、装飾 : にっかつ美術
- 制作 : 河井正一、中島智之、宮下博
- 監督 : 栗山富夫
- 助監督 : 森清和夫
出演
TBS系 日曜20時枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
幸福の黄色いハンカチ
(テレビドラマ版) |
||
TBS系 日曜20:54 - 20:55枠 | ||
刑事ヨロシク
※20:00 - 20:55 |
幸福の黄色いハンカチ
(テレビドラマ版) |
日本テレビドラマ版
日本テレビ系列で、2011年10月10日の21:00 - 23:18(JST)に放送[14][15]。副音声では音声多重放送(解説放送)を実施、そのアイパートナーは石丸博也が務めた。東日本大震災をきっかけに、物語の背景を2011年に変更、ロードムービーであった映画版に対し、舞台を北海道北西部の苫前郡羽幌町内に固定し、一行の目的地を同町に属する焼尻島に変更した。島勇作を演じるのは阿部寛で、小川朱美役は堀北真希、島光枝役は夏川結衣がそれぞれ演じる。なお、映画版で花田欽也役の武田鉄矢が渡辺署長役で、光枝役の倍賞千恵子が房江役でそれぞれ出演する。また、堀北真希扮する朱美が運転する車はスバル・プレオの初代モデルである。視聴率11.6%。
出演
- 島勇作:阿部寛
- 小川朱美:堀北真希
- 花田欽也:濱田岳
- 島光枝:夏川結衣
- 小川早苗:荻野目慶子
- 山倉:遠藤憲一
- 洋介:水上剣星
- 田所:でんでん
- 照代:草笛光子
- 行商のおばさん:中村玉緒
- 房江:倍賞千恵子
- 渡辺署長:武田鉄矢
- ほか
スタッフ
- 企画制作:日テレ
- 脚本・監修:山田洋次
- 脚本:尾崎将也
- 演出:岩本仁志(日テレ)
- 音楽:池頼広
- 音響効果:帆苅幸雄
- 技術協力:ビデオスタッフ、NiTRo
- 編集・MA:松竹映像センター
- 美術協力:東京美工、大泉美術
- スタジオ:東映東京撮影所
- ロケ協力:羽幌町、羽幌沿海フェリー、沿岸バス ほか
- チーフプロデューサー:田中芳樹
- プロデューサー:西牟田知夫(日テレ)、佐々木淳一(松竹)
- 制作協力:札幌テレビ[15]
- プロダクション協力:松竹撮影所東京スタジオ
- 制作著作:松竹
映画との相違点
- 勇作が網走刑務所を出所するシーンから開始される。
- 欽也は自動車に乗っておらず、北海道へは高速バスで向かっている。
- 欽也が北海道へ行った目的がバイトの面接のために向かったという設定に変更。
- 朱美が自動車を運転しており、映画での「仮免を持っていた」という設定はなくなった。
- 朱美がレストランの娘に変更。また、映画に登場しなかった母親が登場している。
- 勇作の職業が漁師に変更。
- 光枝の職業が大衆食堂の店員に変更。
- 勇作に殺されたチンピラの死因が壁を打ち付けられたという設定に変更。
日本国外でのリメイク
1981年、タイで『もしあなたがまだ私を愛しているなら』(チャートリーチャルーム・ユコン監督)としてリメイク。ユコン監督はタイ王族の一人で、日本版がタイに輸入公開されないのに業を煮やし、自分で撮影してしまったという作品である。
2008年、アメリカで『イエロー・ハンカチーフ(The Yellow Handkerchief )』としてリメイク。高倉健、倍賞千恵子が演じた役を、ウィリアム・ハート、マリア・ベロが演じている。2007年、米国版のプロデューサーのアーサー・コーンが来日し、山田洋次監督と会談した。製作発表は、2007年2月12日におこなわれた。2007年3月下旬に撮影開始、5月に撮影終了。日本公開は2008年春の予定であったが、延期になり2010年6月26日に公開。監督は、インド系イギリス人のウダヤン・プラサッド。桃井かおりが、モーテルの女主人役で特別出演した。
その他
- 2004年、イラクに派遣される自衛隊員の安全を願って、この映画をヒントに黄色のハンカチを目立つ所に掲げる「黄色いハンカチ運動」が広がっていることについて、映画を監督した山田は「映画のハンカチは夫婦愛の証し。戦争に行く兵士の無事を願うこととは本質的に違う」「戦争のにおいがする話では全くない」と強い違和感を示し、「イラクに派遣される自衛隊員と、その家族の不安はよく理解できる」としながらも、「こじれた愛情を回復するという映画が、憲法の大問題にかかわる話に使われるのは妙な感じ」と述べている。またアメリカで定着している、最愛の人が戦場から無事帰還することを願って黄色いリボンを自宅などに飾る習慣を真似することは「イラク派兵を認めてしまうことになる。(日本の黄色いハンカチ運動は)大味なことをしていると感じられる」と語っている[16][17]。
- 日本テレビが放送している『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』にて、出演者が着用しているTシャツのメイン色が黄色であるのは、この映画の影響である。
- 2015年放送のテレビドラマ『不便な便利屋』に「幸せの黄色いネッカチーフ」という居酒屋が登場している。
- CS放送のチャンネルNECOでは、映画版に加え、菅原版と阿部版のドラマ版も随時再放送されている。
- 公開40年を記念し、地元がフランチャイズであるプロ野球球団北海道日本ハムファイターズが2017年限定ユニフォームに同作を元にしたユニフォーム「ハッピーイエロー」を着用、出演者の一人である倍賞千恵子が始球式を勤める[18][19]。
脚注
注釈
出典
- ↑ 制作年は前後するが、1980年の山田洋次映画『遥かなる山の呼び声』は網走に入る前の生活を彷彿させるようにできている。
- ↑ 2.0 2.1 倍賞千恵子 『倍賞千恵子の現場』PHP新書 2017年 「『幸せの黄色いハンカチ』のきっかけ」 pp.112-113
- ↑ 「山田洋次・名作映画DVDマガジン」Vol.1「幸せの黄色いハンカチ」所収「山田監督ロングインタビュー1」講談社刊 2013年1月
- ↑ 都築政昭 『寅さんの風景 山田洋次の世界』 近代文芸社、1997年、306-309頁。
- ↑ 山田洋次 『山田洋次作品集4』 立風書房、1985年、「ビューティフル」節。
- ↑ 「北の映像ミュージアム」推進協議会編 『北海道シネマの風景』 北海道新聞社、2009年、72頁。
- ↑ 健さん追悼で臨時開館 北海道・夕張「黄色いハンカチ」広場に献花の列北海道新聞 2014年11月19日
- ↑ 東京新聞芸能欄 2011年10月9日
- ↑ その模様は関西テレビ「花王ファミリースペシャル武田鉄矢 絶対取るぞ運転免許」で放送された。
- ↑ 『ウチくる!?』フジテレビ、2012年2月5日
- ↑ 山田洋次&桃井かおり、『幸福の黄色いハンカチ』の思い出話に花が咲く
- ↑ 金曜ロードSHOW!作品ラインナップ
- ↑ 当日に放送が予定されていた『謝罪の王様』は放送延期となった。
- ↑ 「幸福の黄色いハンカチ」阿部寛でリメーク
- ↑ 15.0 15.1 札幌テレビ内の公式サイト
- ↑ https://archive.fo/20150721023532/http://www.47news.jp/CN/200402/CN2004022101001321.html 幸福か?黄色いハンカチ 山田監督、運動に違和感]共同通信 2004年2月21日 archive.isに差し替え2017年10月2日
- ↑ 毎日新聞 2004年2月21日
- ↑ 北海道日本ハムファイターズHP「北海道シリーズ2017『WE LOVE HOKKAIDO』開催概要発表!」 2017年4月3日閲覧
- ↑ 2017年3月28日日刊スポーツ「日本ハム、倍賞千恵子が幸福の黄色い限定ユニで登場」 2017年4月3日閲覧
関連項目
- 幸せの黄色いリボン(ドーンの曲)(Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree) by Tony Orlando & Dawn 1973) - この作品の原作「Going Home」を元にしたとして作者のピート・ハミルが提訴したが、この話は口頭伝承で広く流布し他に文書化されていて、後に取り下げた。
- 1977年の映画
外部リンク
- 日本テレビドラマ版公式サイト
- 幸福の黄色いハンカチ - allcinema
- 幸福の黄色いハンカチ - KINENOTE
- 幸福の黄色いハンカチ - AllMovie(英語)
- | sub | s=0000000076935 | -7 }}/ 幸福の黄色いハンカチ - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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