奥茶臼山
奥茶臼山(おくちゃうすやま)は、長野県飯田市と下伊那郡大鹿村にまたがる赤石山脈(南アルプス)の標高2,474 mの山[1]。山頂には二等三角点が設置されていて[2]、山頂部は大鹿村に位置する[3]。
Contents
概要
山域がシラビソ、コメツガなどの亜高山帯針葉樹林の国有林[4]となっている。山域は南アルプス国立公園の指定区域外である[5]。日本山岳会により日本三百名山の一つに選定されている[4]。別称が、上沢山、中山日向[6]。江戸時代には、キダル前山と呼ばれていた[6]。北麓の釜沢では東斜面に朝日が当らず、昼ごろに日が当たるころから「お昼山」と呼ばれている[6]。1343年(興国4年)から約30年後醍醐天皇の宗良親王が北山麓の大河原城に滞在した[4]。麓から林道が頂上近くまで延びるにつれて、国有林の伐採が進み、ニホンジカなどが生息している[6]。伊勢湾台風により倒木の被害を受けたが、天然更新が進み、樹林下ではオサバグサ、マイヅルソウ、コケ類などが自生している[6]。
登山
二つのルートの登山道が開設されている。山頂は樹林に囲まれ展望はきかないが、北側斜面を少し下った辺りは、伐採されているため、南アルプス、中央アルプスを望むことができる。従来は、青木林道入口のゲートから、長い林道歩きをするルートしかなかったが、2006年に飯田市がしらびそ峠から尾根伝いの登山道を開設したため、時間短縮できるようになった。この登山道は途中の尾高山までは道があったが[4][7][8] 、尾高山から奥茶臼山までを新たに整備したものである。付近に山小屋はないが、しらびそ峠登山口の南にハイランドしらびそがある。
青木林道からのルート
登山経路は、青木林道ゲート - 林道終点 - 奥茶臼山(標高2,474 m)[4]。前茶臼山と奥茶臼山の間には木材を伐採した跡地からは、南アルプス北部、北アルプス、中央アルプス、塩見岳、赤石岳などを望むことができる[4]。
しらびそ峠からのルート
登山経路は、しらびそ峠(標高1,833 m) - 前尾高山(標高2,089 m) - 尾高山(標高2,212 m) - 奥尾高山(標高2,266 m) - 岩本山(標高2,269 m) - 奥茶臼山(標高2,474 m)。前尾高山周辺ではコバイケイソウの小群落が見られ、シラビソ、トウヒ、コメツガなどの針葉樹林の床下には、ゴゼンタチバナ、ヤブレガサ、コケ類が見られる[7][9]。尾高山は、ヤブレガサを代表する花として、田中澄江により新・花の百名山の一つに選定されている[9]。
地理
山頂の北東3.6 kmの小渋川右岸の山麓に、小渋温泉がある。
周辺の山
赤石山脈の主稜線の大沢岳から西北西に延びる支尾根上にあり、その最高峰である。北北西2.0 kmには、前茶臼山(標高2,331 m)があり[1][4]、青田山(標高1,707 m)を経て北西山麓の大河原へ茶臼山塊が延びる[6]。山頂から南西へは尾高山、しらびそ峠、御池山などを経て長い尾高尾根[6]。西側には天竜川を挟んで伊那山地が対峙している。
山容 | 山名 | 標高 (m)[2][10] |
三角点等級 基準点名[2] |
奥茶臼山からの 方角と距離 (km) |
備考 |
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烏帽子岳から望む塩見岳(1996年10月20日) | 塩見岳 | 3,047.28 | 二等 「塩見山」 |
北東 14.3 | 日本百名山 |
前小河内岳から望む小河内岳(2000年10月22日) | 小河内岳 | 2,802.01 | 二等 「小河内」 |
北東 9.6 | |
鬼面山 | 1,889.79 | 一等 「鬼面山」 |
30px西 7.2 | 伊那山地 | |
聖岳から望む奥茶臼山、右奥に前茶臼山(2014年7月26日) | 奥茶臼山 | 2,474.42 | 二等 「奥茶臼山」 |
30px 0 | 日本三百名山 |
聖岳から望む兎岳その右奥に尾高山、最奥に伊那山地(2014年7月26日) | 尾高山 | 2,212.87 | 三等 「尾高沢」 |
30px南西 4.1 | 新・花の百名山 |
聖岳から望む、中盛丸山(左奥に奥茶臼山)、大沢山、その背後に中央アルプスと北アルプス(2014年7月26日) | 大沢岳 | 2,819.84 | 三等 「大沢岳」 |
30px東南東 6.1 |
周辺の峠
- 唐松峠 - 唐松山と大沢岳との鞍部、標高約2,030 m、山頂の4.9 km南東に位置する。
- しらびそ峠 - 尾高山と御池山との鞍部、標高1,833 m、山頂の6.3 km南西に位置する。南アルプスの山並みを望む展望台となっている。南南西0.5 kmの高台には、ハイランドしらびそがある。
- 三伏峠 - 三伏山と烏帽子岳との鞍部、標高2,560 m[11]、山頂の10.3 km北東に位置する。
源流の河川
天竜川水系の以下の河川の源流となる山で、太平洋へと流れる[3]。
交通・アクセス
西山麓の青木川沿いには国道152号が通り、そこから青木川上流部の北俣上流部に林道が敷設されている。また北麓の大河原からは前茶臼山上部まで林道が敷設されている。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 コンサイス日本山名辞典 (1992)、163頁
- ↑ 2.0 2.1 2.2 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「kijyun
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 3.0 3.1 塩見・赤石・聖岳 (2014)
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 日本三百名山 (1997)、144頁
- ↑ “南アルプス国立公園の区域図 (PDF)”. 環境省自然環境局. . 2014閲覧.
- ↑ 6.0 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 6.6 菊池 (2005)、1062-1063頁
- ↑ 7.0 7.1 伊部 (2006)、294-295頁
- ↑ “キャンプ合宿・登山(尾高山ミニ登山コース)”. 上村振興公社. . 2014閲覧.
- ↑ 9.0 9.1 田中 (1997)、218-220頁
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「kokudo
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ コンサイス日本山名辞典 (1992)、236頁
参考文献
- 伊部高夫 『長野県中信・南信日帰りの山 - 120山/188コース』 章文館、2006年9月。ISBN 4901742051。
- 『コンサイス日本山名辞典』 徳久球雄(編集)、三省堂、1992-10、修訂版。ISBN 4-385-15403-1。
- 『塩見・赤石・聖岳』 昭文社〈山と高原地図2014年版〉、2014-03-18。ISBN 978-4398759702。
- 『新日本山岳誌』 日本山岳会、ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 田中澄江 『新・花の百名山』 文藝春秋、1995年6月。ISBN 4-16-731304-9。
- 『日本三百名山』 毎日新聞社、1997-03。ISBN 4620605247。