コンピュータゲーム

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コンピュータゲーム: computer game)はコンピュータによって処理されるゲーム[1]のことである。ゲーム機の記事も参照。

形態によって、アーケードゲームコンシューマーゲームテレビゲーム携帯型ゲーム)、パソコンゲーム携帯電話ゲームなどの分類がある。ゲーム画面をビデオモニターに出力するためビデオゲーム等とも。また、いわゆるLSIゲームも含め電子ゲームと呼ばれる場合もある。

コンピュータ化したものという意味合いで「デジタルゲーム」などと呼び、コンピュータゲーム以外のゲームを「アナログゲーム」と呼ぶ向きもあるが、「デジタル」や「アナログ」という語の本来の意味からは離れた表現である。

なお、日本(日本語)の「コンピュータゲーム」と、英語圏(英語)の "computer game" はやや意味合いが異なる。日本の「コンピュータゲーム」に近いのは英語圏の "video game" である一方、英語圏の "computer game" は日本の「パソコンゲーム」に近い意味である。

歴史

スペースウォー!』はミニコンピュータで開発され遊ばれた。その後1970年代に誕生したマイクロプロセッサの発展につれ、マイクロプロセッサの人気ある応用のひとつとなり、やがてゲーム専用機といったものもあらわれた。なお、歴史はかならずしも1本道ではなく、マイクロプロセッサはまだ使われず、各種汎用ロジックICを多数用いて構成されていたビデオゲームなども1970年代にはあった。いずれも、最初は好事家の趣味から始まったものが、やがて一大産業にまで発展していった。

日本においては1970年代末より広まったアーケードゲームにおけるビデオゲームやLSIゲーム(電子ゲーム)が、コンピュータゲームの産業化のはしりと言え、1980年代には『スペースインベーダー』や家庭用ゲーム機代名詞となるファミリーコンピュータ社会現象となった。ゲーム産業は、テクノロジー/ビジネスモデル/コンテンツデザインによって「変質しながら成長していく巨大な森」といわれる[2]

日本においては国立国会図書館法の一部を改正する法律が2000年10月1日に施行され、コンピュータゲームソフトを含むパッケージ系の電子出版物に納本義務が課せられた。

特徴

ここでは特徴として、非電源ゲームの主としてボードゲームテーブルゲームカードゲームとの対比を述べる。以下の #ルールとプレイ人数#乱数 の節に関しては #分類 の節も参照のこと。

ルールとプレイ人数

一般にゲームというものは、何らかのルールを定める、あるいは何らかのルールが自然発生するところから始まる、と言ってよいであろう。コンピュータゲームもルールが存在するが、コンピュータがゲームを決定してルールの適用も任せることとなる。必要な要素をコンピュータがシミュレートしつつ進められるため、実在の遊具人間を必要とするとは限らない(メタ化される[3])。特にAI(人工知能)に挑む側面が強い[4]

ゲームの進行は、プレイヤーの入力に対する結果をコンピュータが演算し、その処理結果に対してさらにプレイヤーが次の入力を行うという繰り返しによってなされる。単純な形態としては数当てゲームが挙げられるが、これはコンピュータが定めた1つの数字に対してプレイヤーが値を入力し、コンピュータがその値と自らの定めた数字を比較した結果、どちらが大きいかのみを答える。このヒントに従ってプレイヤーは新たに値を入力し、再びコンピュータが判定を行った結果、ヒントを出すという過程を繰り返す。そして、正解に至るかプレイヤーが飽きてコンピュータの電源を切るまで、ゲームは続く。コンピュータゲームはいずれも多かれ少なかれ、こういった人間とのやり取りを繰り返すことで、遊びを提供する性質を持つ。

プレイヤーの行動である入力以外が、コンピュータによって処理される。主なハードウェア構成は、演算処理を行うハードウェア本体、プレイヤーの入力機器であるコントローラー、処理結果の出力機器であるモニタ画面やスピーカーから構成され、原則的にはこれ以外の補助機器の類を必要としない。また、入力機器は簡便なものが用いられ、大抵は両手のみで全ての操作が行えるようになっているが、中には体全体を使ってコントロールする入力機器も存在する。いずれもコントローラーを介して入力された操作を、ゲーム機内部のコンピュータが処理した結果として出力を行う。

乱数

テトリス』のように偶然性を用いるために乱数を利用する場合がある。コンピュータには本当の意味での乱数は生成できず、代わりに擬似乱数が使用されている。擬似乱数を使用すること自体には、実用上は何の問題もない。CR時定数回路とカウンタ等といったごく単純な方法でも、擬似乱数列の初期化のための「真の乱数」によるシードを得るには普通のゲーム用途なら十分である。これは、1970年代のマイコンでも最悪、コストにして数百円程度のハードウェアを付加する等の工夫をすればさほど困難ではない。一般に最低要求水準とされる、いわゆる「Park-Miller "minimal standard"」なら、8ビットプロセッサ程度の能力があれば数十バイトで実装可能である。

アーケード『テトリス』の場合、バッテリバックアップによって状態を保持することで、パターン化を可能にされることを防いでいた。しかし、バッテリ切れにより「電源パターン」が可能になってしまった。また、本来であれば事実上不可能なはずの永久パターンが、電源パターンによって可能になる、といった場合もある。

過去にはカルドセプト サーガ#バグ問題のように、低質な乱数によるゲームの崩壊といった現象がしばしば発生している。これは実際のところ、わざとやっている手抜き、そもそもまともな擬似乱数列生成器を使っていないか、擬似乱数列生成器のまともな使い方を理解していなかった、といったパターンがほとんどである。

シューティングゲーム等には、1980年代前半頃は乱数を利用するものも多かったが、その後はランダム要素を排除したいわゆる「覚えゲー」にデザインされる傾向が強い。シューティングゲームの場合、乱数は弾のバラマキかた等、わずかに利用される他は排除される傾向もある。

グレーゾーンな遊び

隠しコマンド裏技チートなどと呼ばれるもののうち、デバッガ等を利用して直接メモリを書き換えるような行為は別としても、コンピュータ・プログラムの常として取りきれなかったバグがゲームルールの抜け穴を作ってしまったりすることもある。これは単なる設計上の不具合である広義の不良品だったり、あるいは制作側が予期しなかった行為だったり、設計上で組み込まれたジョークだったり、と、本来の楽しみ方ではない機能である。これらは遊ぶという行為がその行為そのものに価値を見出さずゲームのエンディングを見る、無敵戦闘機、最強主人公など他の部分に価値を見出した場合に積極的に利用される。

ゲーム設計者(ゲームデザイナ)とプレイヤ間に暗黙のうちにあるルール(メタルール)として、ゲームのセーブ・ロード等のゲームルール外の操作は、ゲーム中の状態を任意に保存し、また復元することだけを行うもので、セーブ不能区間がある、強力な敵とのエンカウントの直後に強制セーブされる、といった制限などはあっても、ゲームルールには関与しない、などといった基本的なルールがある。しかし敢えてそれを破るような、セーブデータを削除するとゲームが進行する[5][6]といったものや、ゲーム中のキャラクタ(NPC)によりセーブデータが削除されるというイベントによって実際にセーブデータが削除される、1周目には「真のエンディング」に到達するルートが存在せず、2周目以降で初めてそのような分岐が現れる、といったものもある。もっと極端な例では、『Prismaticallization』のように、何周も繰り返しながら、別の周回での出来事がパズルのように複雑に絡んでいるフラグを揃えてゆくというものもある。

分類

ゲーム一般としての分類

一般のゲームと全く同様に、コンピュータゲームに関しても、理論的な「人数 / (非)ゼロ和 / (無|有)限 / (不)確定 / (不)完全情報」というような分類が応用できる。コンピュータゲームの特殊性としては、(プログラム等の提供者を信じる限りにおいて)第3者として対戦ゲームなどの信用できる判定者としてコンピュータを利用できる、(「ゲーム性」の点で疑問はあるかもしれないが)プレイヤーは眺めるだけといった「0人ゲーム」といったものが(非電源ゲームなどと比較して)割とありえる、といった点がある。以下は、よりコンピュータゲーム固有の事情や観点からの分類である。

プラットフォームによる分類

アーケードゲームビジネスはコンピュータゲーム以前から存在しており、それらのゲーム機、特にビデオゲームのコンピュータ化が、1970年代のコンピュータゲームビジネスのルーツの一つである(『Pong』はビデオゲームであるが、最初の製品の時代にはコンピュータは使っていない)。

1970年代のコンピュータゲームとしては、メインフレームミニコンピュータ上で作られ遊ばれたものもあるが、前者はデモンストレーション用といった位置付けが強い。後者は『スペースウォー!』のようにアーケードゲームに発展したものもある。しかし最も多いのは『スタートレック』のように、次に述べるマイコンゲームになったパターンであろう。1970年代後半から急速に発展したパソコン(当時の呼称はマイコン)では、当初は自作や、公開されたプログラムリストによって自由に流通するプログラムの中の1ジャンルとしてゲームは人気のある分野であったが、ビル・ゲイツの努力(en:Open Letter to Hobbyistsを参照(1976))などもありパソコン向けプログラム製品を商品とした市場ができると、パソコンゲームも商品となるようになった。

続いて、家庭用のテレビゲームがあらわれた。前述のアーケードやこれらのゲーム専用機は、1970年代のものは1機種につき1種類のゲーム、ないし多くても十数種類程度の最初から内蔵されたゲームが遊べるというものだった。1980年代にあらわれたアタリ任天堂のテレビゲーム機は、プログラム(ソフトウェア)をカートリッジに搭載のROMで供給するという形態により、ゲーム機本体をプラットフォーム化し、ゲームソフト市場を作った。後にはより小型化されディスプレイを内蔵した携帯型ゲーム機も発売された。以上の類型をまとめて「コンシューマーゲーム」(コンシューマー=民生市場向け→「家庭用」)とも呼ぶこともある。家庭用ゲーム機はその生産台数の多さから、任天堂ファミコンの場合ではリコーの各IC、セガサターンのSH2、セガドリームキャストのSH4など、集積回路産業に影響を与える存在にもなった。

アーケードのビデオゲームも高度化によりコストが高騰したこともあり、基本的な設計の流用から始まり、1990年代以降は多くの製品が何らかのプラットフォームをベースに設計されることがほとんどとなっており、カートリッジでソフトが供給されるようなプラットフォームもある。

LSIの高性能化などにより1980年代から1990年代にあらわれた電子手帳携帯情報端末でも、ゲームを遊べるものがあった。近年は携帯電話スマートフォン/スマートデバイスで遊べるゲームという形態となっている。

コンピュータの処理能力の進歩により映像表現や演出が高機能かつ多彩となっている[7]

ゲームシステムによる分類

以下に示すのは、既存のゲームジャンルを便宜的に区分して列挙したものである。既存のゲームジャンル幾つかに跨るものも存在し、それが新しいジャンルに発展したものもあるため、ジャンル分けも絶対的なものではない。テイルズ オブ シリーズのように独特のジャンル名が付けられる場合がある。

操作技能要求系はいわゆる反射神経や動体視力がものを言うゲームであるが、その幾つかでは要素の出現パターンが決まっており、それらの暗記が求められるものもある。またコントローラーの性質で、遊び易かったり遊びにくかったりするという要素も強い傾向がある。

操作技能不要系は即決的な判断よりも、熟考して判断することが重視されるゲームである。より複雑なゲームルールである傾向が強く、また遊ぶ時間も他のジャンルに比べ、長くなる傾向がある。セーブで中断に対応するものも多い。ゲームのジャンルとしては、ロールプレイングゲームウォー・シミュレーションゲームのように、コンピュータゲームが生まれる以前から遊ばれていたものや、ボードゲーム/カードゲームといった卓上ゲームをコンピュータで遊べるようにしたものも多い。

統合系は幾つかのゲームジャンルの要素を組み合わせたり、またはゲーム以外の概念を既存ゲームに組み込んだものである。登場当初は確定したジャンルが存在しなかったものも多い。RPGにアクションゲームの要素が加えられたアクションロールプレイングゲーム(ARPG)やパズルゲームにリアルタイム性を持たせたアクションパズルがある。

リアルタイムストラテジー(RTS)は、シミュレーションゲームにリアルタイム性を持たせたものである。一時停止を使用しないことでプレイに緊張感を与え、ほとんどが戦闘を扱う。少人数のオンラインゲームに分類される。シミュレーションゲームにおける分類はウォー・シミュレーションゲーム歴史シミュレーションゲームとなる。マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)と共にeスポーツとも呼ばれる。

オンライン機能の有無による分類

オンラインゲームコンピュータネットワークを利用して機能するゲームのジャンルである。古くはパソコン通信などであったが、2000年代に於いてその多くではインターネットへの対応を見せる。スタンドアローンなゲームに対して用い、狭義では常にネットワークに接続した状態で行うものを表す。インターネットの普及に伴って遠隔地にいるユーザ同士がプレイを共有するゲームソフトが登場している。ネットの多人数参加型コンピュータRPGとしてMORPG/MMORPGがある。

他のプレイヤーとの関係による分類

プレイ人数による分類よりも他のプレイヤーとの関係による分類が有意と言える。2人対戦を基本とするゲームでも、アルゴリズム人工知能)を対戦相手とした1人プレイのモードが存在する。これはコンピュータが対戦相手役を兼ねるものであり、プレイヤーが1人であってもゲーム内容は2人プレイと同質のものとなる。

複数人が同時にプレイするコンシューマーゲームにおいては家庭内でゲーム機を介して他人とコミュニケーションするという意味合いもあって、協力関係であるものと競争関係にあるものが主流となっている。複数のプレイヤーが相互に一人プレイを行う形態もレトロゲームや、ボードゲームや『モノポリー』といったパーティーゲームをコンピュータゲーム化したものに見られる。携帯型ゲーム機ではセーブデータを複数保持することで、同じロムカートリッジで(厳密には各々のプレイヤーが個別に遊べるだけではあるが)複数プレイヤーに対応するものもある。

2000年代より急速に進歩を見せたオンラインゲームのように、コンピュータネットワークインターネット)経由で他のプレイヤーと協力ないし競争するタイプのゲームも増え、こちらでは特定人数による対戦形態からMMORPGのように、ほぼ無制限なプレイヤー人数と同じ仮想世界を共有する形態も、一般化の傾向が見られる。

プレイヤー条件による分類

プレイヤーに条件が示される分類である。販売店で購入者の適格チェックが行われる場合もある。成人向けゲーム全年齢対象の老若男女に受け入れられるように配慮されておらず、未成年者には与えるべきではないと考えられる。

価値観による分類

プレイヤーに与える感覚による分類であり、ユーザー視点でもあるため、メーカーの意図しないジャンルに分類されることもある。知育玩具のような考えもあり、キッズコンピュータ・ピコに代表される教育用や教材用ソフトウェアも存在している。老人性認知症の予防、腹腔鏡を使った低侵襲手術を目的とした「シリアスゲーム」や「ゲーミフィケーション」がある。2013年からは「ナラティブ」という言葉も取り上げられてきた[8]

出版主体による分類

どのような経路で販売ないし流通しているのかによる分類だが、こういったゲームソフトの流通経路はコンピュータゲームに限らない。パッケージソフトウェアに対してダウンロードゲームがある。同人ゲーム(インディーズゲーム)は黎明期のパソコンゲームがほぼこの様式だったが同人ゲームからプロダクション化してメジャーデビューする場合もあり、セルフパブリッシング(自己出版)の場合もある。

脚注

参考文献

関連項目