住友商事
住友商事株式会社(すみともしょうじ、英: Sumitomo Corporation)は、住友グループの大手総合商社である。同社はTOPIX Large70の構成銘柄の一つでもある。
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概要
戦前の住友には独立した商事部門がなく、住友商事は、戦後発足した商事会社であることから「遅れてきた商社」と呼ばれていた時代があった。これは、住友第三代総理事鈴木馬左也によって1921年(大正10年)に言い渡された「商社設立禁止宣言」のためで、これ以降、住友では「商社の開設」は禁句となった。
しかし、第二次世界大戦の敗戦で住友本社の解体が決定的となり、住友本社職員および日本各地、外地からの引揚者のために職場を開設することが緊急課題となり、さし当たって大資本を必要とせず、大量雇用も可能な商事会社の設立案が浮上した。しかし、戦後の経済情勢で独立の商社設立が困難なため、不動産・建設会社で資産内容が良好な住友土地工務に商事部門を併設することになった(このため、住友商事の法人設立日は、住友土地工務の前身である大阪北港の設立日である)。
この商事部門の統轄責任者として田路舜哉が就任し、社名を日本建設産業と改め1945年(昭和20年)に商事活動をスタートした。ただ、戦前商事会社がなかった住友には、商事に熟達した人材がおらず、さらに住友の禁を破って設立された商事会社であることから、住友グループ内からも異端児扱いされ厳しい船出となった。このような状況下で、田路社長時代の積極拡大路線によって1957年(昭和32年)には年間売上高でベストテン入りを果たし、第四代社長植村光雄時代には、「ビッグ・スリー アンド ベスト・ワン」(売上高第三位、利益第一位)を全社ビジョンとし、1983年(昭和58年)に利益第1位となった。
住友商事は、長年に渡って大阪に本社を構えていたが、1970年(昭和45年)11月に大阪・東京の2本社制に再編し、その後2001年(平成13年)の組織再編により本社は東京のみとなった。住友グループの企業の特徴として、住友財閥が大阪(住友村)を拠点にしていたことから大阪・東京の2本社制の特徴がある。
沿革
- 1919年(大正8年)12月 - 大阪北港株式会社(資本金3500万円)として設立。
- 1944年(昭和19年)11月 - 株式会社住友ビルディングを合併して、住友土地工務株式会社と改称。
- 1945年(昭和20年)11月 - 新たに商事部門への進出を図り社名を日本建設産業株式会社と改称し、商事会社として発足する。
- 1949年(昭和24年)8月 - 大阪・東京・名古屋の各証券取引所に株式を上場。
- 1950年(昭和25年)7月 - 日建設計工務株式会社(現:日建設計)を新設。
- 1952年(昭和27年)6月 - 社名を住友商事株式会社と改称。
- 1955年(昭和30年)6月 - 福岡証券取引所に株式を上場。
- 1962年(昭和37年)12月 - 大阪・東京の営業部門を一体とし商品本部制を実施、鉄鋼・非鉄金属・電機・機械・農水産・化成品・繊維・物資燃料・不動産の9本部を設置。
- 1970年(昭和45年)11月 - 本社および東京支社の名称を廃止し、大阪本社および東京本社と改称。
- 1973年(昭和48年)11月 - フランクフルト証券取引所に株式を上場。
- 1978年(昭和53年)7月 - 英文社名としてSUMITOMO CORPORATION (SUMITOMO SHOJI KAISHA, LTD.) を採用。
- 1979年(昭和54年)6月 - 営業部門制を実施、商品本部を鉄鋼・機電・非鉄化燃・生活物資の4営業部門とする。
- 1996年(平成8年)6月 - トレーダーの非鉄金属部長の浜中泰男が銅地金の不正取引で同社に2,850億円の損害を与えたことが発覚。さらに直後の株主総会では役員退職慰労金に関する株主の質問をさえぎって議事進行を強行。そのため株主代表訴訟および総会決議取消訴訟に発展した。
- 1998年(平成10年)2月 - 経営理念・行動指針を制定。
- 2001年(平成13年)4月 - 大阪本社および東京本社の名称を廃止し、6グループのコーポレート部門と9事業部門28本部の営業部門からなる本社に再編。関西、中部および九州・沖縄地域においてブロック制を導入。
- 2001年(平成13年)5月 - 千代田区一ツ橋から中央区晴海一丁目に本社移転。
- 2007年(平成19年)10月 - ベトナム住友商事を設立。
- 2008年(平成20年)4月 - 同社と昭和シェル石油は、LPG事業の経営会社を統合し、エネサンスホールディングスとする。
- 2010年(平成22年)4月 - 営業部門に新産業・機能推進事業部門を新設する一方、金融・物流事業部門を同事業部門に統合・廃止(7事業部門・25本部体制に変更なし)。
- 2013年(平成25年)4月 - 営業部門を5事業部門22本部に再編。
- 2014年(平成26年)4月 - 国内ブロック制を廃止。
- 2015年(平成27年)4月 - 営業部門を5事業部門21本部に再編。
歴代社長
- 初代 - 田路舜哉
- 第二代 - 津田久
- 第三代 - 柴山幸雄
- 第四代 - 植村光雄
- 第五代 - 伊藤正
- 第六代 - 秋山富一
- 第七代 - 宮原賢次
- 第八代 - 岡素之
- 第九代 - 加藤進
- 第十代 - 中村邦晴
- 第十一代 ‐ 兵頭誠之
主力製品・事業
主要事業所
主要関係会社
国内グループ企業
- SCSK (東京証券取引所市場第一部)
- 住友商事マシネックス
- 住友商事北海道
- 住友商事東北
- 住友商事九州
- エネサンスホールディングス
- トモズ
- SMB建材
- サミット
- サミットエナジー
- サミットスチール株式会社
- ヌサ・テンガラ・マイニング
- 日本カタン
- 住商グローバル・ロジスティクス
- 住商アーバン開発
- 住商建物
- 住友商事ケミカル
- 住商機電貿易
- 住商鋼管
- 住商ファーマインターナショナル
- 住商メタレックス
- 住商マテリアル
- 住商モンブラン
- スミフル(旧:住商フルーツ)
- スミテックス・インターナショナル
- 住商エアロシステム
- 住商セメント
- 住友商事フィナンシャルマネジメント
- アイジー工業
- キリウ
- スミトロニクス
- 住商ブランドマネジメント
ほか多数
関係会社
- ジュピターテレコム
- ジュピターショップチャンネル
- マミーマート (ジャスダック)
- ティーガイア (東京証券取引所市場第一部)
- 日本コークス工業 (東京証券取引所市場第一部)
- 日新製糖 (東京証券取引所市場第一部)
- セブン工業 (東京証券取引所市場第二部)
- 住友三井オートサービス
- 三井住友ファイナンス&リース
- 大島造船所
ほか多数
著名な出身者
関連事項
- Jリーグ・鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーである。
- 伊藤忠商事 - 住友銀行の融資系列先であり、戦前は実質的に住友財閥の商社機能を担っていた。戦後、住友商事の成長にともない住友系列から離脱し第一銀行グループ(第一原子力グループ)の中核商社へ移行。現在はみずほフィナンシャルグループに親密。
- 安宅産業 - 1975年(昭和50年)、経営破綻。1977年(昭和52年)、伊藤忠商事に事実上の救済合併。独立商社ではあるが戦前より住友財閥と親密であり、伊藤忠商事と共に住友財閥の商社機能を担い、これが安宅産業破綻の際に伊藤忠商事と合併する遠因でもある。詳しくは当該項目を参照。
- 日経スペシャル 未来世紀ジパング - テレビ東京系列で提供されているテレビ番組。