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アラン・ジェームズ・バーネット(Allan James Burnett, 1977年1月3日 - )は、アメリカ合衆国アーカンソー州リトルロック出身の元プロ野球選手(投手)。右投右打。
Contents
経歴
プロ入りとメッツ傘下時代
1995年のMLBドラフト8巡目(全体217位)でニューヨーク・メッツから指名を受け、プロ入り。
マーリンズ時代
1998年2月にアル・ライターとトレードで、フロリダ・マーリンズへ移籍。
1999年8月17日にロサンゼルス・ドジャース戦でメジャーデビューを果たし、初勝利を記録した。
2001年5月12日のサンディエゴ・パドレス戦でノーヒットノーランを達成。球団タイ記録となる9四死球を出しながらのノーヒッターとなった[1]。この時、バーネットは129球を投じたが、ストライクは半分の65球しかなかった[2]。この年初めて規定投球回を上回り、2桁勝利を達成した。
2002年は8月19日から9月13日までの間故障者リスト入りとなったが、12勝9敗・203奪三振(リーグ6位)・5完封(リーグ1位)の成績を残し、ホーム戦では全5完封を記録し、被安打率.190(リーグ3位)の好成績を残した[3]。
2003年に4月29日の登板の後、トミー・ジョン手術を受け、その後全休。チームは球団史上6年ぶり2回目のワールドチャンピオンとなったが、バーネットはその一員になれなかった。
2004年6月3日の登板でメジャー復帰を果たし、7勝6敗・防御率3.68の成績を残した。
2005年は、12勝12敗、防御率3.44という成績で終えた。5月31日のピッツバーグで行なわれたピッツバーグ・パイレーツ戦で先発した際、PNCパークのスピードガンが時速104mph(約167km/h)を記録[4]。これまで世界最速であった、サンフランシスコ・ジャイアンツの元守護神ロブ・ネンやニューヨーク・ヤンキースのランディ・ジョンソンの持つ時速102マイル(約164km/h)を更新したのか、と騒がれた。しかし、球場関係者がスピードガンを調整したところ、時速99マイル(約159km/h)程度に落ち着いたことや、バーネットが前回の先発予定試合を右ヒジの炎症で回避したことから、疑問の声が多く、世界最速新記録には認定されていない。一方で対戦打者のフレディ・サンチェスは「ホントにあのボールの速さはこれまで体験したことのないすごいものだった。みんなは彼のスピードに懐疑的だったけど、僕はあの時、本当に104マイル出ていたと信じているよ」と語っている[5]。
ブルージェイズ時代
2006年、5年総額5500万ドルという契約でトロント・ブルージェイズに移籍[6]。開幕を故障者リスト入りで迎え、4月15日に故障者リストから復帰を果たし、同日のシカゴ・ホワイトソックス戦で先発した[7]。シーズン2試合目の登板となった4月21日のボストン・レッドソックス戦で右肩痛により長期離脱を余儀なくされる(ただし、MRIや医師の診断によると、肩の異常は認められていない)。2006年後半から復帰し10勝を挙げた。
2007年はDL入りを2回としたものの10勝し、マーリンズ時代から数えて3年連続2桁勝利。奪三振数は投球回数を初めて上回る176を記録した。
7年連続で故障者リスト入りをしていたが、2008年はリスト入りすることなくリーグ最多の34試合に先発。防御率は前年より悪化したが、自己最多の18勝を挙げ、231奪三振で最多奪三振を獲得。バーネットの5年契約には3年目終了時に契約を破棄してFAとなる権利があるため、シーズン途中にシカゴ・カブスやフィラデルフィア・フィリーズへ移籍の噂もあったが、J・P・リッチアーディGMが移籍を否定[8]。結局、移籍せずシーズンを終えた。
11月4日、契約に含まれていた破棄条項を行使し、フリーエージェントになることが決まった[6]。
ヤンキース時代
FAとなったバーネットを巡っては、アトランタ・ブレーブスが4年総額6,000万から6,500万ドル(5年目のオプションを含めると8,000万ドル)の金額を提示したが、ヤンキースがそれを上回る金額を提示[9]。そして、バーネットは12月18日に5年8250万ドルでヤンキースと合意[10]。
ヤンキース1年目は、一度も先発を飛ばすことなく33試合に先発し、207イニングを投げて13勝、防御率4.04を記録。6月20日のマーリンズ戦の3回に、メジャー史上39人目となる「1イニング9球で3奪三振」(immaculate inning)を達成。正捕手ホルヘ・ポサダと相性が悪く、バッテリーを組むことを拒否した[11]。ポストシーズンでは5試合に登板、好不調の波が大きかったが、フィリーズとのワールドシリーズ第2戦で好投するなど、9年ぶりの優勝に貢献した。
2010年は10勝15敗、防御率5.26とフルに稼働したシーズンでは自己最悪の成績となった。9月には右目の周りに大きな痣を作って球場に現れ、様々な憶測を呼んだ[12]。
シーズンの不調から地区シリーズでは先発を外れたが、テキサス・レンジャーズとのリーグ優勝決定戦の第4戦に登板、しかし6回5失点で負け投手となった。
2011年も先発ローテーションを守ったが、11勝11敗・防御率5.15と成績を伸ばすことはできなかった。地区シリーズの第4戦のデトロイト・タイガース戦では他の先発陣が軒並み乱調の中、6回途中1失点と勝利に貢献したが、結局チームは2勝3敗でシリーズを敗退した。
ヤンキースでの3年間は99試合に登板(うち98試合に先発)して34勝35敗、防御率4.79。3年間先発としてフル回転した点で、前後してヤンキースに所属しながら登板することすらままならなかったカール・パバーノや井川慶とは異なるが、後述のように結局年俸負担付きで放出に至ったこともあり、高額な契約には見合わないとの見方が強く、彼らと同様、近年のヤンキースが締結したFA契約の中では代表的な失敗例として挙げられることも多い[13]。
パイレーツ時代
ヤンキースとの契約期間は2年残っていたものの、チームはトレードによる放出を検討。ロサンゼルス・エンゼルスのボビー・アブレイユとのトレードは東海岸への居住を望む家族の意向でバーネットが拒否したが、2012年2月19日、残りの契約2年3,300万ドルのうち2,000万ドルをヤンキース側が負担する条件のもと、マイナー2選手とのトレードで、パイレーツに移籍した。
2012年3月1日、打撃練習中にバントの自打球を頬に当てて骨折[14]。開幕を故障者リストで迎え、4月21日に復帰した。5月2日のセントルイス・カージナルス戦では2回2/3を12失点と大炎上してしまったものの[15]、それ以外はエース格としてフル回転し、2008年に次いで2番目に多い16勝を挙げた。
2013年4月17日のカージナルス戦で史上68人目、現役では4人目となる通算2,000奪三振を達成。7月に故障者リスト入りしたものの30試合に先発し、防御率は自己最高の3.30、奪三振率(K/9)はリーグ1位の9.85を記録。チームの21年ぶりの勝ち越し・ポストシーズン進出に貢献した。
10月31日にFAとなった。
フィリーズ時代
2014年2月12日にフィリーズと1600万ドルの1年契約(2015年のオプション1,275万ドル・トレード拒否権付き)で合意したことが報道され[16]、2月16日に球団が発表した[17]。2014年5月20日、マーリンズ戦に勝利し、メジャー全30球団勝利を達成した。しかし、全体的に成績を落とし、負け数は、ナショナルリーグのワースト1位だった。オフに2015年の契約オプションを破棄し、FAとなった。
パイレーツ復帰
2014年11月14日にパイレーツと850万ドルの1年契約を結んだ[18][19]。前述のように、フィリーズとの間ではより高額の契約オプション権を持っていたが、あえて年俸減で古巣を選んだ形になった。
2015年2月19日、2015年シーズン限りで現役を引退する意向を表明した[20]。同年7月6日、自身初のオールスターゲームに選出された[21]。
投球スタイル
最多奪三振(2008年)、最高奪三振率[K/9](2008年、2013年)、最多与四球(2009年)、最多暴投(2009年、2011年)、最多与死球(2010年)を相次いで記録していることが示すように、制球難の課題を抱えつつも、空振りを奪える威力のある球種を投げ分ける。軸となる91-94マイルの速球(4シーム、高速シンカー)の他、ナックルカーブ、チェンジアップが主な持ち球である。スライダーのように大きく変化するカーブは44%と高い空振り率を誇り、チェンジアップで多くのゴロを奪っている[22]。
詳細情報
年度別投手成績
1999 | FLA | 7 | 7 | 0 | 0 | 0 | 4 | 2 | 0 | 0 | .667 | 182 | 41.1 | 37 | 3 | 25 | 2 | 0 | 33 | 0 | 0 | 23 | 16 | 3.48 | 1.50 |
2000 | 13 | 13 | 0 | 0 | 0 | 3 | 7 | 0 | 0 | .300 | 364 | 82.2 | 80 | 8 | 44 | 3 | 2 | 57 | 2 | 0 | 46 | 44 | 4.79 | 1.50 | |
2001 | 27 | 27 | 2 | 1 | 0 | 11 | 12 | 0 | 0 | .478 | 733 | 173.1 | 145 | 20 | 83 | 3 | 7 | 128 | 7 | 1 | 82 | 78 | 4.05 | 1.32 | |
2002 | 31 | 29 | 7 | 5 | 0 | 12 | 9 | 0 | 0 | .571 | 844 | 204.1 | 153 | 12 | 90 | 5 | 9 | 203 | 14 | 0 | 84 | 75 | 3.30 | 1.19 | |
2003 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | .000 | 106 | 23.0 | 18 | 2 | 18 | 2 | 2 | 21 | 2 | 0 | 13 | 12 | 4.70 | 1.57 | |
2004 | 20 | 19 | 1 | 0 | 0 | 7 | 6 | 0 | 0 | .538 | 490 | 120.0 | 102 | 9 | 38 | 0 | 4 | 113 | 7 | 0 | 50 | 49 | 3.68 | 1.17 | |
2005 | 32 | 32 | 4 | 2 | 1 | 12 | 12 | 0 | 0 | .500 | 873 | 209.0 | 184 | 12 | 79 | 1 | 7 | 198 | 12 | 0 | 97 | 80 | 3.44 | 1.26 | |
2006 | TOR | 21 | 21 | 2 | 1 | 1 | 10 | 8 | 0 | 0 | .556 | 577 | 135.2 | 138 | 14 | 39 | 3 | 8 | 118 | 6 | 1 | 67 | 60 | 3.98 | 1.31 |
2007 | 25 | 25 | 2 | 0 | 0 | 10 | 8 | 0 | 0 | .556 | 691 | 165.2 | 131 | 23 | 66 | 2 | 12 | 176 | 5 | 0 | 74 | 69 | 3.75 | 1.19 | |
2008 | 35 | 34 | 1 | 0 | 0 | 18 | 10 | 0 | 0 | .643 | 957 | 221.1 | 211 | 19 | 86 | 2 | 9 | 231 | 11 | 2 | 109 | 100 | 4.07 | 1.34 | |
2009 | NYY | 33 | 33 | 1 | 0 | 0 | 13 | 9 | 0 | 0 | .591 | 896 | 207.0 | 193 | 25 | 97 | 0 | 10 | 195 | 17 | 1 | 99 | 93 | 4.04 | 1.40 |
2010 | 33 | 33 | 1 | 0 | 0 | 10 | 15 | 0 | 0 | .400 | 829 | 186.2 | 204 | 25 | 78 | 2 | 19 | 145 | 16 | 0 | 118 | 109 | 5.26 | 1.51 | |
2011 | 33 | 32 | 0 | 0 | 0 | 11 | 11 | 0 | 0 | .500 | 837 | 190.1 | 190 | 31 | 83 | 2 | 9 | 173 | 25 | 0 | 115 | 109 | 5.15 | 1.43 | |
2012 | PIT | 31 | 31 | 1 | 1 | 0 | 16 | 10 | 0 | 0 | .615 | 851 | 202.1 | 189 | 18 | 62 | 1 | 9 | 180 | 10 | 0 | 86 | 79 | 3.51 | 1.24 |
2013 | 30 | 30 | 1 | 0 | 0 | 10 | 11 | 0 | 0 | .476 | 801 | 191.0 | 165 | 11 | 67 | 3 | 9 | 209 | 12 | 0 | 79 | 70 | 3.30 | 1.21 | |
2014 | PHI | 34 | 34 | 1 | 0 | 0 | 8 | 18 | 0 | 0 | .308 | 935 | 213.2 | 205 | 20 | 96 | 2 | 16 | 190 | 9 | 0 | 122 | 109 | 4.59 | 1.41 |
2015 | PIT | 26 | 26 | 0 | 0 | 0 | 9 | 7 | 0 | 0 | .563 | 699 | 164.0 | 174 | 11 | 49 | 2 | 11 | 143 | 6 | 1 | 64 | 58 | 3.18 | 1.36 |
MLB:17年 | 435 | 430 | 24 | 10 | 2 | 164 | 157 | 0 | 0 | .511 | 11665 | 2731.1 | 2519 | 263 | 1100 | 35 | 143 | 2519 | 161 | 6 | 1328 | 1210 | 3.99 | 1.32 |
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- 各年度の太字はリーグ最高
タイトル
記録
背番号
- 43 (1999年 - 2001年)
- 34 (2002年 - 2015年)
脚注
- ↑ “A.J. Burnett 2001 Career Highlights” (英語). . 2008年5月4日閲覧.
- ↑ “May 12, 2001 Florida Marlins at San Diego Padres Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com” (英語). . 2008年5月4日閲覧.
- ↑ “A.J. Burnett 2002 Career Highlights” (英語). . 2008年5月4日閲覧.
- ↑ 世界最速投球167キロの謎鉄矢多美子『Field of Dreams』、2005年08月16日。
- ↑ 首位打者は無名戦士鉄矢多美子『Field of Dreams』、2006年06月30日。
- ↑ 6.0 6.1 Bastian, Jordan (2008年11月4日). “Burnett plans to opt out of Jays deal” (英語). MLB.com. . 2010年1月9日閲覧.
- ↑ Bastian, Jordan (2006年4月15日). “Burnett comes up short in Jays debut” (英語). MLB.com. . 2010年1月9日閲覧.
- ↑ 岡田弘太郎「MLB30球団レポート&全選手個人成績 トロント・ブルージェイズ/TOR この夏こそ一番の売り時だったという声も」『スラッガー』2008年10月号、日本スポーツ企画出版社、2008年、雑誌15509-7、76頁
- ↑ Crasnick, Jerry (2008年12月12日). “Source: Yanks offer Burnett 5-year deal” (英語). ESPN.com. . 2010年1月9日閲覧.
- ↑ Hoch, Bryan (2008年12月18日). “Burnett ready for Big Apple circus” (英語). MLB.com. . 2010年1月9日閲覧.
- ↑ 村上雅則監修 友成那智編著 『メジャー・リーグ完全データ選手名鑑2010』廣済堂出版、2010年、34ページ。
- ↑ Wallace Matthews(2010-09-18), A-Rod backs up black-eyed Burnett, ESPN New York(英語), 2010年12月17日閲覧
- ↑ (2012-02-18)A.J. Burnett and 10 of the Worst New York Yankee Free-Agent Signings,International Business Times,2012年8月15日閲覧
- ↑ A.J. Burnett’s fractured face would still be OK if National League used a DH | Big League Stew Yahoo! Sports
- ↑ Pittsburgh Pirates vs. St. Louis Cardinals - Recap - May 02, 2012 ESPN
- ↑ Todd Zolecki (2014年2月12日). “Source: Burnett agrees to one-year deal with Phils”. MLB.com. . February 13, 2014閲覧.
- ↑ “Phillies Sign Burnett”. MLB.com Phillies Press Release (2014年2月16日). . February 17, 2014閲覧.
- ↑ “Pirates and A.J. Burnett agree on one-year deal”. MLB.com Pirates Press Release (2014年11月14日). . December 23, 2014閲覧.
- ↑ Tom Singer (2014年11月14日). “Burnett returns to Pirates on one-year contract”. MLB.com. 2014年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。. December 23, 2014閲覧.
- ↑ Rosenthal, Ken (2015年2月19日). “Burnett returns to Pittsburgh for one final season”. FOX Sports. . Oct 9, 2015閲覧.
- ↑ “2015 MLB All-Sar team reserves announcedl”. ESPN.com (2015年7月6日). . Oct 9, 2015閲覧.
- ↑ “Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Player Card: A.J. Burnett”. Brooks Baseball. . 15 August 2012閲覧.
- ↑ Baseball Prospectus | Overthinking It: Why Nobody Gets Caught Stealing
関連項目
外部リンク
- A.J. Burnett stats MiLB.com (英語)
テンプレート:2009 ニューヨーク・ヤンキース テンプレート:アメリカンリーグ最多奪三振 テンプレート:ピッツバーグ・パイレーツ開幕投手