生来の決意作戦
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生来の決意作戦 | |
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戦争: 生来の決意作戦 | |
年月日: 2014年8月〜継続中 | |
場所: イラク・シリア全土 | |
結果: 継続中 | |
交戦勢力 | |
アメリカ合衆国 | ISIL(イスラーム国)の旗ISIL |
戦力 | |
損害 | |
ヨルダン軍のF-16一機撃墜、1人ISILにより処刑。 | ISIL戦闘員少なくとも553人死亡 |
生来の決意作戦(せいらいのけついさくせん、英語: Operation Inherent Resolve)は、2014年8月に開始された、アメリカ合衆国及び有志国連合軍による過激派組織ISILに対する軍事作戦。8月当初はイラク国内に限定し、イラク軍やクルド人部隊の地上勢力支援や救援物資の搬入を目的とした限定的な作戦行動であったが、翌月以降は作戦の範囲が拡大した。20カ国以上が軍事作戦に参加している。Inherent Resolveは固有の決意、確固たる決意、不動の決意とさまざまに訳される[1]。
経緯
2014年
- 8月7日 - フランスの求めにより国連安保理の緊急会合が非公式で開催。過激派組織ISILによる攻撃で、危機に直面しているイラクを支援する呼び掛けが行われる。同日、オバマアメリカ合衆国大統領がISILに対する限定的な空爆を承認。
- 8月8日 - アメリカ中央軍がイラク国内のISILの拠点に対して空爆を開始。以後、フランス、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンも作戦参加表明。
- 8月25日 - バラク・オバマアメリカ合衆国大統領がアメリカ軍によるシリア上空での偵察飛行を承認した[2]。
- 9月19日 - 国連安保理は、全会一致でISILの壊滅に向けて対策強化を求める議長声明を採択した[3]。また、同日、フランス軍はイラク北東部のISILの補給所に対して、初の空爆を実施した[4]。
- 9月23日 - 空爆対象区域をISILの活動範囲に合わせてシリアにも拡大[5]。
- 9月25日 - ベルギーとオランダが作戦参加表明。
- 9月26日 - 有志国としてイギリス、デンマークが参加表明。ギリシアも参加の意向が伝えられる[6]。
- 9月27日 - ヨルダンが作戦参加表明。
- 10月7日 - カナダ国会が作戦参加を決議。
- 10月9日 - オーストラリアが参加。同国空軍のFA-18が初空爆。
- 10月12日 - トルコがアメリカと有志連合に対し、インジルリク空軍基地の使用を承認。
- 10月15日 - 作戦名「生来の決意作戦」を公式発表。作戦内容は軍事のみではなく外交や諜報、経済などの手段も使うことを言及[7]。
- 10月23日 - シリア国内への空爆1ヶ月間の死者数が、ISIL戦闘員を中心に553人に達する。
- 11月8日 - イラクのモスル近郊の爆撃により、ISIL指導者アブー・バクル・アル=バグダーディーが死亡または負傷したと報じられたが[8]、ISILは11月13日に音声を公開し死亡報道を打ち消した[9]。
- 12月24日 - 空爆に参加していたヨルダン軍のF-16が墜落(ISIL側は撃墜を主張)し、パイロット1人がISILに拘束された[10]。パイロット拘束の後から、ヨルダンとアラブ首長国連邦は空爆作戦への参加を停止している[11]。
2015年
- ジャスティン・トルドーは2015年カナダ総選挙で勝利した後、電話でバラク・オバマに米国主導の対ISIL空爆からの漸次撤収を伝達。カナダ空軍のジェット戦闘機CF-18 ホーネットを中東から撤収させる意向を示した[12]。具体的撤収時期を設定することは避けた。北イラクにいる約70のカナダ特殊部隊のミッションについては継続させる。トルドーは約3500万人のカナダ人の代表として、我々は戻ってきたのだというメッセージになると述べた[12]。
- 2月3日 - ISILが、拘束していたヨルダン軍パイロットを焼死させる映像を公開。ヨルダン政府では、1月3日に殺害されたことを確認しているという[13]。この映像の公開を受け、ヨルダン軍はISILに対する空爆を再開した[14]。しかし、アラブ首長国連邦は空爆をまだ停止しており、再開の条件として、新型輸送機オスプレイの作戦への投入など、米軍が態勢を強化することを提示している。
- 4月8日 - カナダ空軍のCF-18AがシリアのISIL拠点を初空爆。
- 8月28日 - トルコ軍がシリアのISIL拠点を初空爆[15]。
- 9月27日 - フランス大統領府が、フランス軍がシリアのISILの拠点に対して始めて空爆を行ったことを発表した[16]。
- 9月30日 - ロシア軍がシリア国内のISIL拠点への空爆開始。
- 10月7日 - ロシア海軍がカスピ海からシリア国内のISIL拠点への巡航ミサイル攻撃を実施。
- 11月15日 - フランス軍がシリア国内のISIL拠点への空爆再開。
- 11月27日 - ドイツが作戦参加表明。
- 12月2日 - イギリス議会はイラクで実施している空爆をシリアへ拡大するよう求める動議を賛成多数で可決し承認した[17]。翌日に空爆を始めた[17]。
- 12月3日 - イギリス軍がシリア国内のISIL拠点を初空爆。
2016年
- 偵察任務に就いているドイツ空軍のトーネードがソフトウェア・アップデートを行ったが、これにより操縦室補助照明の照度がパイロットの視力に影響を与えるほど上がり、ドイツ空軍は夜間作戦を中止している[18]。
2017年
- 6月18日、シリア北部タブカ南郊の上空でアメリカ海軍空母ジョージ・H・W・ブッシュ所属のFA-18がアサド政権軍のSu-22戦闘爆撃機を撃墜した。有志連合が支援する「シリア民主軍」の戦闘員らが展開している地域を政権軍が空爆したため、交戦規定に基づき集団的自衛権を適用した[19]。この月、有志連合はこれ以外にも8日と20日にもアサド政権側の武装無人機を撃墜している[20]。ロシアは19日、有志連合によるシリア軍機撃墜に強く反発し、シリアを飛行する有志連合の軍用機や無人機を「防空システムの標的とし、ロシア軍機を同伴飛行させる」と発表した。オーストラリアはロシアのこの措置を受け、当面の間シリア空爆を見合わせることを発表している[19]。
出典
- ↑ 【編集日誌】対「イスラム国」、作戦名に込められた思い産経新聞、2017年7月2日閲覧。
- ↑ “オバマ米大統領、シリアでの偵察飛行を承認 空爆の準備か”. CNN. (2014年8月26日) . 2014-8-27閲覧.
- ↑ 白川義和; 水野哲也 (2014年9月20日). “国連安保理、「イスラム国」壊滅へ議長声明採択”. 読売新聞 . 2014-9-20閲覧.
- ↑ NOÉMIE BISSERBE (2014年9月20日). “フランス、イスラム国に初の空爆―イラク北東部で補給所を破壊”. ウォール・ストリート・ジャーナル . 2014-9-21閲覧.
- ↑ 空爆死者、子供含む865人 対イスラム国、9月以降(産経ニュース 2014年11月12日)
- ↑ “対イスラム国空爆、英国など欧州3か国が参加承認”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年9月27日) . 2014閲覧.
- ↑ “米軍作戦名は「生来の決意」 「イスラム国」空爆”. 毎日新聞社. (2014年10月16日) . 2014閲覧.
- ↑ “有志国連合がイラク北部で空爆、バグダディ師死亡の情報も”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年11月9日) . 2014閲覧.
- ↑ “イスラム国、バグダディの音声を公開 死亡説に対する反駁”. 新華社. (2014年11月14日) . 2015閲覧.
- ↑ 【イスラム国】ヨルダン政府「ヨルダン機撃墜」と発表、パイロット1人拘束 米は否定 産経ニュース 2014年12月25日付
- ↑ UAE、対「イスラム国」空爆参加を停止 ヨルダン操縦士拘束受け AFP BB 2015年2月5日付
- ↑ 12.0 12.1 Canada to end airstrikes in Syria and Iraq, new prime minister Trudeau saysJ. Murphy, The Guardian, World, 21 Oct 2015
- ↑ ヨルダン軍パイロットの殺害映像か 「イスラム国」が投稿 ハフィントンポスト 2015年2月4日付
- ↑ 【イスラム国事件】ヨルダン軍「報復」空爆開始 UAEは中断、米主導に足並みの乱れ 産経ニュース 2015年2月5日付
- ↑ “トルコ軍、「イスラム国」を空爆 米などとの共同作戦に初参加”. 日本経済新聞. (2015年8月30日) . 2018年8月19日閲覧.
- ↑ “仏軍がシリアで「イスラム国」拠点を空爆”. 読売新聞. (2015年9月27日) . 2015年9月27日閲覧.
- ↑ 17.0 17.1 “英下院が承認、シリアを空爆…欧米の包囲網強化”. 読売新聞. (2015年10月3日) . 2015年10月4日閲覧.
- ↑ http://jp.sputniknews.com/europe/20160119/1458270.html
- ↑ 19.0 19.1 “米軍機、シリア軍機を初めて撃墜 アサド政権軍との直接衝突が激化”. 産経新聞 (2017年6月19日). . 2017閲覧.
- ↑ “シリア無人機を撃墜…政権側軍機に続き”. 毎日新聞 (2017年6月20日). . 2017閲覧.
関連項目
- クルド自治区
- ヤズィーディー
- イラク戦争 - 2011年12月14日に終結が宣言されている。
- ロシア連邦航空宇宙軍によるシリア空爆
- トルコ軍によるシリア侵攻 (シリア内戦)