パフォーム・グループ
パフォーム・グループ (Perform Group) は、イギリスを拠点としてデジタルプラットフォームを展開している国際スポーツメディア企業。
歴史
2007年9月、インターネットプロバイダーとスポーツ部門でのモバイルソリューションを展開していた「プレミアムTV」とスポーツのデジタル部門の権利を扱う「インフォーム・グループ」の合併により誕生した。2008年1月に執行役員のサイモン・デンヤー (Simon Denyer) と旧共同CEOのオリバー・スリッパー (Oliver Slipper) の主導により、「PERFORM」へのリブランドが行われた [1]。
2011年2月にはサッカーを中心としたメディア「Goal.com」を買収[1]。スポーツデータを扱う企業である「RunningBall」[2]と「Optaスポーツ」[3]も2011年、2013年にそれぞれ買収を行っている。
2013年、アメリカでの事業とウェブメディアの「スポーティングニュース(Sporting News)」を合併し、「スポーティングニュース・メディア(Sporting News Media)」を設立。PERFORMが株の65%を保有し、「スポーティングニュース」の元々の運営元だった「アメリカン・シティ・ビジネス・ジャーナルズ(American City Business Journals)」は株の35%を保持した[4]。
2014年にワーナー・ミュージック・グループなどを傘下に持つ投資会社であるアクセス・インダストリーズが主要株主となり、11月にはアクセス・インダストリーズの持株比率が42.5%から77%に上昇したことを受けて、ロンドン証券取引所において上場廃止となっている[5]。
2016年には、モータースポーツ、サッカー、バレーボール、ラグビー、格闘技など130以上のコンテンツを配信するインターネット動画配信(OTT=Over The Top)サービス「DAZN」(ダ・ゾーン)の運営をドイツとスイス、オーストリア、日本で開始した(後述)。
事業
パフォーム・グループは複数のデジタルメディア企業の持株会社。コンテンツの流通、加入、広告、スポンサーシップ、技術やプロダクション部門などが存在する。[6]。これらの事業に加え、世界最大級のサッカーサイト「GOAL.com」、NBA日本公式サイト「NBA.co.jp」、全米プロゴルフツアーの日本公式サイト「PGATOUR.COM」を展開。記事と映像の通信社サービス「OMNISPORT」などを運営している。
2014年12月には女子テニス協会(WTA)と10年間総額5億ドルのメディアエージェント契約を締結した。これは、WTA及び女性スポーツ界において最高金額の放映権契約となった。これに伴い、WTAと合弁会社「WTAメディア」を設立している。女子テニスのメディアへの露出を増加させることを目的としている[7]。
DAZN
URL | https://www.dazn.com/ |
---|---|
企業形態 | 株式会社 |
使用言語 | 日本語、ドイツ語、英語等 |
タイプ | インターネットテレビ |
ジャンル | スポーツ |
運営者 | パフォーム・グループ |
収益 | 月額使用料 |
スローガン | DAZNをオン - どこでもライブ&オンデマンド |
アレクサ ランキング | dazn.com (全世界 19875) |
広告 | なし |
営利性 | 営利 |
登録 | ユーザー登録などが必要 |
設立日 | 2016年8月23日 |
現状 | 日本、ドイツ、スイス、オーストリア、カナダで配信中 |
DAZN(ダ・ゾーン)は、パフォーム・グループが2016年夏に立ち上げたスポーツ専門のOTTサービス。ドイツ、スイス、オーストリアでサービスを始め、8月からは日本でもサービスを開始した。今後は、配信対象国を拡大すると発表されている。
概要
アメリカンフットボール、サッカー、野球、モータースポーツ、格闘技、バレーボール、バスケットボール、ラグビーをはじめとする世界各国の様々なスポーツの全試合もしくは一部試合と関連番組を同時配信し、見逃し動画や予選、ダイジェスト番組も配信している。なお、配信権の関係で同じ競技でもライブ配信を行っている国といない国がある[注 1]。例えばパフォーム・グループはNBA日本公式サイト「NBA.co.jp」の運営を行っているが、日本国内でのNBAの配信はRakuten TVが独占で行っているため、DAZNでの配信は行っていない(サービス開始当初は、DAZNでも放送されていた)。
下記は配信される競技の一部。
- モータースポーツ - フォーミュラ1(F1)・フォーミュラ2(F2)・GP3・ヴァージン・オーストラリア・スーパーカー・チャンピオンシップ・ポルシェ・スーパーカップ・レッドブル・エアレース・ワールドシリーズ
- サッカー - UEFAチャンピオンズリーグ・ヨーロッパリーグ(2018-19より)・Jリーグ(J1、J2、J3)・カンピオナート・ブラジレイロ・プレミアリーグ・ラ・リーガ
- 野球 - MLB・NPB(読売ジャイアンツ主催の全試合及び中日ドラゴンズ主催の一部試合を除く。[9]なお、阪神戦は、約5分程度の遅れ配信となっている)
- アメリカンフットボール - NFL
- ラグビーユニオン - ワールドラグビーセブンズシリーズ・トップリーグ・プレミアシップ(一部試合は録画配信)・欧州チャンピオンズカップ・欧州チャレンジカップ
- 馬術 - FEIワールドカップ障害飛越
- 水泳 - FINA競泳ワールドカップ、FINA水球ワールドリーグ、FINAダイビングワールドシリーズ
- バスケットボール - FIBAバスケットボール・ワールドカップ予選等
- バレーボール - V・プレミアリーグ・V・チャレンジリーグ
- 格闘技 - WWE・UFC(ファイトナイトのみ)・グローリー・マッチルーム・ボクシング
- テニス - ATPワールドツアー・250シリーズ
- ダーツ - PDC
- 自転車競技 - UCIワールドツアー・ジロ・デ・イタリア・UCIヨーロッパツアー(一部は録画配信)
日本での配信権については、2016年6月29日に日本バレーボールリーグ機構(Vリーグ機構)との間でV・プレミアリーグ全試合、V・チャレンジリーグの一部試合の動画配信について5年間のパートナー契約に合意[10]、同年7月20日には日本プロサッカーリーグとの間でJリーグの動画配信を含む有料放送放映権について、2017年のJリーグより10年間総額2,100億円強の大型契約を締結した[11][12]。
2017年4月10日にWWEとの契約締結を発表、WWEの看板番組「RAW」と「SMACKDOWN」のライブ配信が4月11日より開始された。「WWE Experience」と「WWE Bottomline」、「WWE This Week」の配信も予定している。
2018年2月8日、同年5月31日でサービス終了するスポナビライブ(ソフトバンク)のコンテンツの大半をDAZNが引き継ぐことが発表された[13]。同日以降、スポナビライブが独占配信していたジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ (B.LEAGUE) のライブ配信(ただし1部リーグであるB1の試合のみ)が始まっているほか、一部試合の配信にとどまっていたプレミアリーグとラ・リーガの全試合配信を開始、さらにはプロ野球についても、2016年8月23日から放送していた横浜DeNAベイスターズと広島東洋カープの主催試合に加えて読売ジャイアンツ以外の9球団の公式戦主催全試合(中日ドラゴンズ主催試合は一部が放送対象外)を放送することを発表した[9]。なお、広島戦(カープ主催試合)中継に関しては、従前より放映権の関係上「広島県内及び一部地域ではライブ配信を視聴できない」旨の断り書きがある[14]。
Jリーグ視聴不具合
2017年2月26日、DAZNが配信していたJ1リーグ「ガンバ大阪対ヴァンフォーレ甲府戦」とJ2リーグ「愛媛FC対ツエーゲン金沢」の2試合が視聴できなくなる不具合が発生[15]。J2リーグ全試合の見逃し配信も視聴できない状態になった。これによりDAZNは説明会を開き、CEOのジェームズ・ラシュトンと開発部長のウォーレン・レーが謝罪した。
視聴デバイス
PC(パソコン)やスマートフォン、タブレットなどの各種モバイル機器を介した視聴だけでなく、テレビの視聴も可能で、パナソニックやソニー、Android TVなどのスマートテレビを使用するか、Amazon Fire TVやChromecastなどのデジタルデバイス、あるいはインターネット接続したゲーム機(Xbox Oneなど)をテレビに接続することで視聴可能である。
価格
視聴分野別の会員区別はなく、会員はすべてのコンテンツを一律に視聴可能。視聴開始から30日目以降は月額課金が発生し、ヨーロッパでは月額9.99ユーロで、日本では1,750円(「DAZN for docomo」で申し込んだNTTドコモ契約者は980円、以上全て税抜価格)である。課金は直接申し込みの場合、視聴開始日を基準とした月間単位で、「DAZN for docomo」は、視聴開始日に関係なく毎月1日を基準とした月単位で計算される。
脚注
注記
出典
- ↑ “Perform buys RunningBall for €120m”. Financial Times. . 26 February 2015閲覧.
- ↑ “Perform Group buys sports data company Opta”. Reuters. . 26 February 2015閲覧.
- ↑ “Perform Group To Combine U.S. Sports Assets With Sporting News Brand”. sportsbusinessdaily.com. . 26 February 2015閲覧.
- ↑ Ted Menmuir. “Perform Group to de-list as Access Industries takes over”. SBC News. . 26 February 2015閲覧.
- ↑ “Perform Group Given Average Rating of "Hold" by Analysts (NYSE:PER) - WKRB News”. WKRB News. . 26 February 2015閲覧.
- ↑ “WTA & Perform agree long-term media deal”. sportindustry.biz. . 26 February 2015閲覧.
- ↑ 宇都宮徹壱 (2017年4月27日). “画質の向上は? 電話でのサポートは? プレステは? DAZNの「中の人」にじっくり話を聞いてきた!<2/2>”. 宇都宮徹壱ウェブマガジン. . 2017閲覧.
- ↑ 9.0 9.1 “プロ野球11球団の主催試合配信へ~DAZN新コンテンツ発表会”. デイリースポーツ. (2018年2月16日) . 2018閲覧.
- ↑ “「Vリーグ」×「DAZN」 パートナーシップ決定のお知らせ ~DAZNの放映コンテンツとしてV・プレミアリーグ全試合を配信~” (プレスリリース), 日本バレーボールリーグ機構, (2016年6月29日) . 2016閲覧.
- ↑ “JリーグとDAZNが10年間の放映権契約を締結 ~2017年からライブストリーミングサービス「DAZN」で明治安田生命J1、J2、J3を全試合生中継~” (プレスリリース), (2016年7月20日) . 2016閲覧.
- ↑ “格安中継、スマホが主役 Jリーグ放映権2100億円で契約”. 日本経済新聞. (2016年7月20日) . 2016閲覧.
- ↑ “「DAZN」で「スポナビライブ」のコンテンツが視聴可能に” (プレスリリース), パフォーム・グループ, (2018年2月8日) . 2018閲覧.
- ↑ “権利上、特定の地域でご覧いただけないコンテンツ”. DAZN. . 2018閲覧.
- ↑ “AZN、Jリーグ視聴不具合を受けCEOらが会見--原因解明、2節以降は万全の体制で”. . 2017閲覧.
関連項目
- dTV - NTTドコモが運営する動画配信サービス。
- スポナビライブ - ソフトバンクグループが提供していたスポーツ専門動画配信サービスで、配信コンテンツをDAZNに移行した上で、2018年5月末をもってコンテンツ配信を終了した。
外部リンク
- Perform Group
- Goal.com
- DAZN
- DAZN for docomo