リー・ヴァン・クリーフ

提供: miniwiki
2018/8/31/ (金) 23:45時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
移動先:案内検索

クラレンス・リーロイ・“リー”・ヴァン・クリーフ・ジュニアClarence Leroy "Lee" Van Cleef, Jr.1925年1月9日 - 1989年12月16日)は多くの西部劇とアクション映画に出演したアメリカ合衆国出身の俳優。生まれ付いてのその鋭い目を活かし、『真昼の決闘』や『リバティ・バランスを射った男』、『続・夕陽のガンマン』などで悪役を演じた。

生い立ち

本名「クラレンス・リーロイ・ヴァン・クリーフ・ジュニア」としてニュージャージー州サマービルに生まれた。第二次世界大戦が始まるとアメリカ海軍に入隊し、カリブ海で任務に就いた。終戦後は会計士として働いた。1950年、そのルックスから家族や友人に俳優になることを勧められ、俳優活動を始めた。

キャリア

ブロードウェイでの舞台『ミスタア・ロバーツ』のわき役で初めて演技をした。初めて出演した映画は古典的西部劇『真昼の決闘』だった。彼はこの映画で悪役を演じた。また、同じころ『原子怪獣現わる』にも出演した。1956年にはB級SF映画金星人地球を征服』でピーター・グレイブスと共演した。

西部劇、SFに加えて、彼の初期の活動を代表する3つのノワール映画がある。1952年の『アリバイなき男』と1953年の『目撃者は語らず』、1955年の『暴力団』である。彼は1950年代のノワール映画への出演によって地位を確立していった。また、彼は脇役、悪役を演じて観客に強い印象を残した。

1959年、飲酒運転による自動車事故を起こして膝を痛め、医師からは2度と西部劇で馬には乗れないだろうと言われる。この事故は彼を悩ませ、回復するまでに長い時間がかかった。ヴァン・クリーフは俳優業を半ば引退し、妻のジョアンとインテリアの事業を始める。また、海や風景画も描き始めた。また、彼はグラナダの家屋建築現場で誤って右手中指の先端を切断してしまう。だがこれは後に彼のトレードマークとして認知されるようになった。

1965年、彼の人生にとって最も大きな転機が訪れる。イタリアの若手監督セルジオ・レオーネがヴァン・クリーフに出演依頼をしたのがきっかけだった。その映画は『夕陽のガンマン』であり、主演のクリント・イーストウッドと並ぶもう1人の主人公の役だった。さらにレオーネは『続・夕陽のガンマン』でもヴァン・クリーフとイーストウッドを起用した。レオーネの映画に出演したことによって彼はマカロニ・ウェスタンの大スターとなった。その後は『新・夕陽のガンマン/復讐の旅』や『怒りの荒野』、『復讐のガンマン』、「サバタ三部作」の2作品(『西部悪人伝』、『大西部無頼列伝』、『西部決闘史』のうちの『~悪人伝』と『~決闘史』)でメインキャラクターを演じた。またジョン・カーペンター監督のカルト映画ニューヨーク1997』に出演し、1984年にはNBCの『忍者ジョン&マックス』で忍者を演じた。しかし『忍者ジョン&マックス』は13話で打ち切りになった。最終的に、リーは38年間の間に90作の映画と109作のテレビドラマに出演したことになる。

私生活

ヴァン・クリーフは生涯で3度結婚している。最初は、1943年12月10日に高校時代の交際相手だったパッシー・ルース・カールと結婚、3人の子、アラン、デボラ、デイヴィッドを儲けた。しかし1960年に離婚。その後、同年4月9日にジョアン・ドレーンと二度目の結婚をする。1974年に彼女と離婚し、その2年後1976年7月13日にバーバラ・ハヴローンと三度目の結婚をした。1989年にヴァン・クリーフがこの世を去るまで2人は別れることはなかった。

死去

1989年12月14日に64歳で生涯を閉じる。自宅にいる時に心筋梗塞に襲われ、妻のバーバラが救急隊員を呼んだが間に合わなかった。彼は多くのハリウッドスターが眠っていることで知られるカリフォルニア州ロサンゼルスにあるフォレスト・ローン記念公園へ埋葬された。墓碑銘は 『リー・ヴァン・クリーフ 1925年1月9日 - 1989年12月16日 「最良の悪役」 愛と光を』 (原文:"Lee Van Cleef January 9, 1925 - December 16, 1989 'Best of the Bad' Love and Light.")である。

エピソード

  • 映画中での役柄同様、私生活でも気骨溢れる人柄で知られた。『真昼の決闘』のプロデューサーであるスタンリー・クレイマーと初めて面会した時、彼に鼻を整形する様にと言われたヴァン・クリーフは「黙れ」と一喝、クレイマーを激怒させたという逸話が伝わる。更に監督のフレッド・ジンネマンから映画中で掛け声を出すよう指示されたときも、ヴァン・クリーフが「演じるキャラクターに似つかわしくない」としてこれを拒否、結果的にジンネマンを納得させた[1]
  • 1985年に日本でサントリーオールドのCMに出演した。
  • テレビゲーム『メタルギアシリーズ』に登場するキャラクターの一人、リボルバー・オセロットは彼がモデルである。

出演作品

公開年 邦題
原題
役名 備考
1952 真昼の決闘
High Noon
ジャック・コルビー
アリバイなき男
Kansas City Confidential
トニー・ロマノ
1953 コルシカの嵐
The Bandits of Corsica
Nerva
決斗!一対三
The Lawless Breed
ダーク・ハンレイ
原子怪獣現わる
The Beast from 20,000 Fathoms
ストーン
ロデオの英雄
Arena
スミッティ
目撃者は語らず
Vice Squad
ピート・モンティ
コロラドの決闘
Jack Slade
ボルト・マッケイ
早撃ち無宿
Tumbleweed
マーヴ
1954 縄張りを荒らすな
Rails Into Laramie
エース・ウィントン
赤い谷
Arrow In The Dust
Tillotson Henchman
イエロー・トマホーク
The Yellow Tomahawk
ファイアー・ナイフ
1955 十人のならず者
Ten Wanted Men
アル・ドラッカー
暴力団
The Big Combo
ファンテ
デンヴァーの狼
The Road To Denver
ペコス・ラリー
硝煙のユタ荒野
The Vanishing American
ジェイ・ロード
白昼の対決
A Man Alone
クラントン
1956 征服者
The Conqueror
Chepei
悪人への貢物
Tribute To A Bad Man
ファット・ジョーンズ
金星人地球を征服
It Conquered the World
トム・アンダーソン
底抜け西部へ行く
Pardners
ガス
1957 西部の顔役
The Quiet Gun
ダグ・サドラー
偽保安官
The Badge of Marshal Brennan
シャド・ドナフィン
OK牧場の決斗
Gunfight at the O.K. Corral
エド・ベイリー
最後の駅馬車
The Last Stagecoach West
スティーヴ
胸に輝く星
The Tin Star
エド・マクガフィー
西部の裏切り者
Gun Battle of Monterey
キルビー
略奪者の群
Raiders of Old California
デイモン・パーディー
1958 若き獅子たち
The Young Lions
リケット
無頼の群
The Bravados
アルフォンソ・パラル
1961 四人の無頼漢
Posse From Hell
レオ
1962 リバティ・バランスを射った男
The Man Who Shot Liberty Valance
リース
西部開拓史
How the West Was Won
河の略奪者 クレジットなし
1965 夕陽のガンマン
Per qualche dollaro in più
ダグラス・モーティマー大佐
1966 復讐のガンマン
La resa dei conti
ジョナサン・コーベット
続・夕陽のガンマン
Il buono, il brutto, il cattivo
セテンサ/エンジェル・アイズ 英語音声のない部分の吹替の追加収録はサイモン・プレスコットが担当
1967 新・夕陽のガンマン/復讐の旅
Da uomo a uomo
ライアン
怒りの荒野
I giorni dell'ira
フランク・タルビー
風の無法者
Al di là della legge
ビリー・ジョー・カドリップ
1968 地獄の戦場コマンドス
Commandos
サリヴァン
1969 西部悪人伝
Ehi amico... c'è Sabata, hai chiuso!
サバタ
1970 エル・コンドル
El Condor
ジャロ
鷲と鷹
Barquero
トラヴィス
1971 西部決闘史
È tornato Sabata... hai chiuso un'altra volta
サバタ
地獄のアパッチ
Captain Apache
アパッチ
無頼プロフェッショナル
El hombre de Río Malo
ロイ・キング
1972 荒野の七人・真昼の決闘
The Magnificent Seven Ride
クリス・アダムス
怒りのガンマン/銀山の大虐殺
Il Grande duello
クレイトン保安官
1974 真・西部ドラゴン伝
El kárate, el Colt y el impostor
ダコタ
1975 ワイルドトレイル
Take a Hard Ride
キーファー
1977 ラスト・トリガー/孤独の殺人者
Quel pomeriggio maledetto
ハリー・チャップマン
1978 New Yorkスクイズ・ゲーム
The Squeeze
クリス/レイ・スローン
1979 ハイパー・ウェポン/最終狙撃者
The Hard Way
マクニール テレビ映画
1980 オクタゴン
The Octagon
マッカーン
1981 ニューヨーク1997
Escape from New York
ボブ・ホーク
1984 狼どもの戦場
Geheimcode: Wildgänse
アーチー・トラヴァース
1985 ジャングル・レイダース/黄金のレジェンド
La leggenda del rubino malese
ウォレン
1986 地獄の武装都市/復讐のターミネーター
Armed Response
バート・ロス
1989 ロマンシング・トレジャー/遺産相続・40億の罠
Thieves of Fortune
Sergio Danielo Christophero
キャノンボール3 新しき挑戦者たち
Speed Zone!
Rock-Skipping Grandfather

脚注

  1. Christopher Frayling (2005). SERGIO LEONE ONCE UPON A TIME IN ITALY. London: Thames & Hudson Ltd. ISBN 9780500512289.

外部リンク