ガッツポーズ
ガッツポーズ(英語:fist pump)とは、喜びのポーズの1つ。拳を握り、両手もしくは片手を掲げることで表現され、スポーツなどで勝利したときや、良い成績を残したときによく見られる。なお「ガッツポーズ」という言葉は和製英語である。
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解説
ポーズ自体は昔からあったが、「ガッツポーズ」という言葉が初めて使用されたのは、1972年11月30日に発行されたボウリング雑誌「週刊ガッツボウル」がストライクを取ったときのポーズを「ガッツポーズ」と命名したときとされる。1960年代に米軍基地内のボウリング場で、ストライクのときなどに「ナイスガッツ」と言っていたのが由来ともいわれる[1][2]。
また、1974年4月11日、東京の日大講堂にて、プロボクサーガッツ石松がボクシングWBC世界ライト級王座を奪取したとき(王者ロドルフォ・ゴンザレスに8ラウンドKO勝利)、両手を挙げて勝利の喜びを表した姿を、柏英樹(当時・スポーツ報知)記者が「ガッツポーズ」と表現して、ガッツポーズが広く知られるようになった。このことから、4月11日は「ガッツポーズの日」と呼ばれている。1997年に放映された日本テレビ系クイズ番組『第17回全国高等学校クイズ選手権』準決勝のYES・NOクイズで「"ガッツポーズ"とは元プロボクサーガッツ石松が勝ったときのポーズから生まれた言葉である?」という問題が出題されているが、正解は「YES」とこちらの説を採っている。
21世紀初頭の薀蓄、都市伝説ブームによって「ガッツポーズの起源はガッツ石松である」ということが一般化した。但し、前述のボウリング雑誌の件が検証されているので、この件は誤りとする説もある。しかしボウリング雑誌の件は、現在、一般的に浸透しているガッツポーズという言葉との因果関係までが立証されているわけではないので、このボウリング雑誌説が正しいとは言い切れない。
大福戦争を戦っていた大平正芳(当時幹事長)は、1978年の自民党総裁選挙の際、初めて開催される予備選挙を見越して全国を遊説していた。派手な振る舞いの苦手な大平は、話を終えて一礼すると素っ気なく立ち去ろうとする。これではまずいと感じた党本部幹事長室長が「幹事長、何かポーズを」をささやいた。大平は振り返ると咄嗟にガッツポーズ。「あー、うー」の大平がいきなりこんなポーズを取ったものだから会場はどよめき大喝采となった[3]。
ガッツポーズに関する規則・不文律
なお、一部の武道、スポーツではガッツポーズが問題視されることがある。
- 剣道
- 一本を取った後でガッツポーズをした場合、全日本剣道連盟の試合審判細則第24条で不適切な行為と規定している「打突後、必要以上の余勢や有効を誇示」と判断されて、同細則第27条により一本が取り消されることもある。2004年8月11日に放送されたテレビ番組『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』(フジテレビ)では、ガッツポーズをしたために一本が取り消しになった実際の剣道の試合が紹介された。残心が終わり、競技が終了した後はこの限りではない。
- 柔道
- 2013年に不祥事根絶を掲げて全日本柔道連盟会長に就任した宗岡正二の就任インタビューが2014年8月16日の毎日新聞に掲載されたが、そこで「各種大会のあいさつでは、敗者への配慮としてガッツポーズを控えることを求めてきた」と紹介された。宗岡は、「フランスなど欧州で日本柔道が高く評価されるのは、教育的側面にある。格闘技として、ただ強ければいいのではなく、礼儀作法や品位、知力が備わるから、子供を道場に通わせたいと思われる」と説明している。
- 相撲
- 2009年1月場所千秋楽の優勝決定戦で、白鵬に勝利して復活優勝を遂げた横綱の朝青龍が勝利直後に土俵上でガッツポーズをした際には、横綱審議委員会などから問題視され、後日に日本相撲協会から所属部屋の高砂親方を通じて厳重注意を受けた。
- 野球
- ホームランを打った後などに、派手なガッツポーズを行ってはいけないとされている(野球の不文律を参照)。日本高等学校野球連盟は高校野球は教育の一環との考えから、球児に対してガッツポーズを慎むように指導している。
- 卓球
- 試合中に相手の目を見てガッツポーズをした際には、マナー違反として審判からイエローカードが出されることがある。