モスラ3 キングギドラ来襲

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モスラ3 キングギドラ来襲
監督 本編:米田興弘
特撮:鈴木健二
脚本 末谷真澄
製作 富山省吾
出演者 小林恵
建みさと
羽野晶紀
吉澤拓真
篠崎杏兵
鈴木彩野
松田美由紀
大仁田厚
並樹史朗
上田耕一
山口紗弥加
音楽 渡辺俊幸
主題歌 Future/小林恵
撮影 関口芳則
編集 小川信夫
配給 東宝
公開 1998年12月12日
上映時間 100分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 8億5000万円[1]
(1999年度邦画7位)
前作 モスラ2 海底の大決戦
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モスラ3 キングギドラ来襲』(モスラスリー キングギドラらいしゅう)は、1998年12月12日に公開された日本映画。製作は東宝映画。配給は東宝。上映時間は100分。カラー ワイド。

概要

モスラ2 海底の大決戦』の続編であり、平成モスラ3部作の最終作。配給収入は8.5億円を記録。

本作では出現したキングギドラモスラが迎え撃つも敗北し、タイムトラベルし過去に地球へ襲来した時のキングギドラ幼体を倒すという戦い方を行った。従来のキングギドラに相当する成体(現代型)に対して、本作で初登場したキングギドラ幼体は「白亜紀型キングギドラ」と呼ばれる[注 1]。中生代のシーンではティラノサウルストリケラトプスプテラノドンアパトサウルスが登場している。

元々は火をテーマにし[4]、火の新怪獣を倒すためにモスラが江戸時代へ旅立つプロットであったが、新怪獣からラドン、更にキングギドラと既存の人気怪獣の使用へと企画が変更された。

前2作でロラを演じた山口紗弥加が、出演できず、代役に建みさとが起用された。そのこともあってか本作はモル、ベルベラの2人に焦点が当たった展開となっている。山口は本作では冒頭のナレーションを担当した。

音響面ではドルビーデジタル方式が標準使用され、東宝映画としては初めて日本国内のみでデジタル化作業が行われた[4]

特撮・エピソード

この作品ではそれまでの川北紘一に代わり、鈴木健二が特技監督として参加して、全て新たなシフトで行われた[5]。また、メインのモスラを弾着用もあわせて4体、普通の怪獣二体分の予算がかかるといわれるキングギドラを2体も新規造型した上に、恐竜と原始モスラまで製作したために、ミニチュアによるビルを造る予算がなく、都市破壊シーンは石膏板を爆破する映像に実景を合成するデジタル合成がメインであった[4]

若狭新一が造型全てを監修した。成虫モスラはそれまでの生物感の無さを改善するためにジム・ヘンソンの工房でも使われているボアを海外まで若狭自ら赴いて取り寄せ、『ゴジラvsモスラ』以降続いたぬいぐるみ的な質感のモスラから脱却した。後の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』でのモスラはこの作品のモスラと材料、造型ともほぼ同様であるという。

登場時間は長くないがティラノサウルストリケラトプスパペットで操演された[6](他の恐竜はオールCG)。

キングギドラとの空中戦が見どころの一つとなっている。ゴジラシリーズではキングギドラと戦うのはいつも幼虫であったので、今回はラドンに続く空の好敵手となった。

劇中に、主人公の祖父の肖像として田中友幸の写真が飾られている[注 2]

ストーリー

インファント島の宝物殿から黒い妖精ベルベラがエリアスのトライアングルの一つである「愛」を示すメタルを奪っていった。彼女は地球の危機を察知していたのだ。それは1億3千万年前に恐竜を滅ぼした宇宙超怪獣キングギドラの脅威であった。キングギドラは地球へ飛来し、市街地から子どもたちを青木ヶ原樹海に出現させたドームへさらってしまった。それは数万人の子供たちを一度に捕食し、自分のエネルギーにするためであった。キングギドラは地球の生態系の上位の生物を捕食し、滅ぼす魔獣であり、1億3千万年前は恐竜を、現代の地球では個体数が多い人類の子供をその餌食に定めたのだ。それを阻止するため、エリアスはモスラを呼んだ。モスラはキングギドラに戦いを挑むが、攻撃は全く効かず、恐竜エキスで強大に成長したその圧倒的な力の前に敗北してしまう。その上、エリアス姉妹の妹ロラがキングギドラにマインドコントロールされ、敵になってしまった。

この史上最大の危機に、モスラは過去の1億3千万前の恐竜のいたころに行って、まだ若い幼体のキングギドラを倒すと言うのだった。しかし、エリアス姉妹の姉モルはこの作戦に猛反対した。なぜなら一度向うに行けば、もう元の現代の世界に戻れなくなってしまうからである。必死で考えなおすよう説得するモル。しかしモスラはなにがあろうと絶対に行くという気でいたため、モルは後の事を翔太に託し、1億3千万年前の幼体のキングギドラを倒すために、モスラをタイムスリップさせるための歌で命を落とした。翔太はギドラに捕らわれた脩平と珠子を救うために、残されたフェアリーとともに地下の風穴を通ってドームに侵入するが、ギドラの手に落ちたロラが立ちふさがる。それを助けたのは、一足先に来てドームに捕らわれたベルベラであった。ベルベラはエリアス姉妹の長女であり、翔太と協力してロラを救い出す。

一方、中生代白亜紀)の地球では、幼体のキングギドラが恐竜を丸のみにして捕食しようとしていたが、そこへモスラが登場し、戦いを挑んだ。モスラの攻撃が効いているのか、もがき苦しむ現代のキングギドラ。しかし、その戦いは共倒れという結果に終わり、両方とも命を落とした。中生代でのギドラの死と引き換えにドームが消滅し、子供たちは逃走、翔太は脩平と珠子を助け出すが、歴史が変わったなら自分たちがそもそもここにいないだろうというベルベラの懸念は現実のものとなった。キングギドラは再び出現した、実はギドラ幼体は戦闘中にちぎれた尻尾から蘇生していたのである。

ロラとベルベラは再び姉妹の絆を取り戻し、アイテムはエリアス三姉妹の知恵と勇気と愛を示す剣であった、2人の姉妹は死んだ次女モルの遺志を継いでフェアリーに乗り、キングギドラに立ち向かうが苦戦する。その時、恐竜時代の地層から出現した繭から、1億年もの眠りを経て最強の鎧モスラに変化したモスラが帰還し、キングギドラとモスラの最後の戦いが始まった。

鎧モスラはキングギドラの攻線をものともせず、体格では上回るキングギドラを圧倒するパワーで押しかえし、激戦の末に必殺技のエクセル・ダッシュ・バスターをくり出して倒した。そして子供たちを解放。鎧モスラ・エターナルに変身し、モルを生き返らせた。親や先生と再会する子供たちを見守りながら、モスラはインファント島へと羽ばたき帰っていくのだった。

キャスト

  • モル:小林恵
    • シリーズの主人公。エリアス3姉妹の次女。美しい容姿を持つが、内面には勇気と決断力を併せ持つ。人間の年齢で18歳。モスラをタイムスリップさせるために自らの命を犠牲にしたが、エリアスの剣の力で息を吹き返した。衣装は1作目と同様に赤を基調としているが、装飾品が多く付いている。物語の最後にフェアリーに乗る際、初めてロラの後ろに座っている。
  • ロラ:建みさと
    • エリアス姉妹の三女。人間の年齢で16歳。優しい心を持つゆえ、キングギドラに心をのっとられ、モルの首を絞めて殺そうとし、キングギドラのドームに落下。そこで鉢合わせしたベルベラに剣で戦いを挑み、ベルベラを圧倒する。翔太の言葉を受けて正気を取り戻し、モスラを助けるべく行動に出る。
    • 前2作ではモルより精神的に幼く、甘えん坊な部分があったが、モルの死後はやや自立した行動を見せつつある。物語の最後には平和になった世界で美しく聡明に成長し、エリアス一族のリーダーになった大人のロラを描く予定だったが、山口紗弥加の降板などで企画が大幅に変わったため、実現しなかった。衣装は1作目と同様に青を基調としているが、装飾品が多く付いている。
  • 園田翔太:吉澤拓真
    • 本作での人間側の主人公。園田兄弟の長男。小学6年生だが、ある事情で不登校になっている。青木ヶ原樹海の風穴の探検が趣味で、内部の構造を熟知している。
  • 園田脩平:篠崎杏兵
    • 翔太の弟で、園田兄弟の次男。小学4年生。
  • 園田珠子:鈴木彩野
    • 翔太と脩平の妹で、園田兄弟の末っ子(長女)。小学2年生。
  • 園田雄介:大仁田厚
    • 園田三兄妹の父親。不登校の翔太に「あいつなりの考えがある」と理解を示す。
  • 園田幸江:松田美由紀
    • 園田三兄妹の母親。不登校の翔太をいつも心配している。
  • 堂ノ脇恭子
  • 岡島博徳
  • 児玉徹
  • 矢野義信
  • 武田歩
  • 礼野誠
  • 菊池謙介
  • 渡部浩美
  • 谷口真紀
  • 吉利浩美
  • 柳岡香里
  • 辻千春
  • 緑川葉子
  • 池谷美加
  • 小学校の先生:谷藤太
  • 茂木和範
  • 楠見尚己
  • 冬雁子
  • 高松克也
  • 堀越富三郎
  • 森田雅昭
  • 臼井秀雄
  • 岡戸修
  • 鈴木候絵
  • テレビを観る小学校の先生:鈴木ひろみ
  • キングギドラに連れ去られる小学生:放映プロジェクト劇団ひまわりテアトルアカデミー東京宝映テレビセントラル子供タレントセントラル子供劇団東京児童劇団日本児童
  • ナレーション:山口紗弥加
  • ニュースキャスター:並樹史朗
  • 教頭先生:上田耕一
  • ベルベラ:羽野晶紀
    • エリアス姉妹の長女。人間の年齢で21歳。今作ではモル・ロラの敵としては登場していない。キングギドラのドームに捕まり、そこでギドラに心を操られたロラと剣で対決するが、完敗して壊れたガルガルIIIの下に拘束された。ドームから解放された後は、ロラと共にキングギドラと戦う。最終的に姉妹の絆を取り戻すが、モル・ロラに「考えていることが違う」と憎まれ口を叩くも、2人に笑顔を向けてガルガルに乗って去った。
  • 園田家の写真の人物:田中友幸(ノンクレジット)

登場怪獣

モスラ

  • 作中の進行ルート:インファント島→青木ヶ原樹海→白亜紀→福井県勝山市→青木ヶ原樹海

レインボーモスラ→アクアモスラ→モスラ光速モード→鎧モスラ、原始モスラ、フェアリーが登場。

キングギドラ

  • 演 - 喜多川務
  • 作中の進行ルート:福井県勝山市→大阪府→京都府→名古屋市→青木ヶ原樹海→富士吉田市→新宿→青木ヶ原樹海

ガルガルIII

  • 体長:30㎝[8]
  • 翼長:40㎝
  • 武器[9]
    • シュビビンビーム - 口から吐かれる紫色の光線

ガルガルIIがベルベラにより更に改良され、よりロボット的な外観となっている。右目に生物などを分析するスコープが取り付けられた。性能は向上だが改造しすぎて故障する事も多く、胸部には非常用エンジンスターターも装備されている。

登場アイテム

エリアスのトライアングル
インファント島の宝物殿に眠るエリアス族の伝説の道具。ベルベラ用の紫の「勇気」、モル用のピンクの「知恵」、ロラ用の水色の「愛」の3つのメタルで構成される。それぞれの剣にはめて使うと奇跡が起こると言い伝えが残っている。

スタッフ

本編

特殊技術

特殊視察効果

主題歌

エンディングテーマ
歌:小林恵、作詞・作曲・編曲:RYUZI
挿入歌

映像ソフト化

2006年3月24日発売。オーディオ・コメンタリー(鈴木健二(特殊技術))
2013年11月8日に、<期間限定プライス版>として再発売された。
2015年8月19日に、<東宝DVD名作セレクション>として再発売された。

脚注

注釈

  1. スタッフの間では現代型が「グランドギドラ[2]」、白亜紀型が「ヤングギドラ[3]」とも呼ばれていた。
  2. 監督の米田によれば、ロケ先の民家の遺影を映画のために外すのは失礼と考え、主人公の家族を見守ってほしいという願いを込めて田中の写真を並べて飾ったとのことである[7]

出典

  1. 大高宏雄 「付録 日本映画1990-1999配収ベスト10」『日本映画逆転のシナリオ』 WAVE出版、2000-04-24。ISBN 978-4-87290-073-6。
  2. 東宝SF特撮映画シリーズ 1998, pp. 88-89.
  3. 高橋和光 & 何川渉 1999, p. 179.
  4. 4.0 4.1 4.2 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス2012年、260 - 263頁。ISBN 9784864910132 
  5. 宇宙船YB 1999, p. 90.
  6. 宇宙船YB 1999, 「BACK STAGE on MOTHRA3」.
  7. 東宝SF特撮映画シリーズ 1998, p. 39.
  8. 宇宙船YB 1999, p. 12.
  9. モスラ3 キングギドラ来襲超全集 1999, p. 18.

参考文献

  • 『モスラ3 キングギドラ来襲』 東宝〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.13〉、1998-12-12。ISBN 4-924609-74-9。
  • 『モスラ3 キングギドラ来襲 超全集小学館、199.9年。ISBN 4091014658。
  • 高橋和光 『モスラ3 キングギドラ来襲大百科』 勁文社〈ケイブンシャの大百科〉、1999-1-11。ISBN 4-7669-3116-5。
  • 『宇宙船YEAR BOOK 1999』 朝日ソノラマ宇宙船別冊〉、1999-05-01。雑誌コード:01844-05。

関連項目

外部リンク