眠狂四郎
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眠狂四郎(ねむり きょうしろう)は、柴田錬三郎の小説に登場する剣客。1956年5月から『週刊新潮』に連載された「眠狂四郎無頼控」で初登場した。
『大菩薩峠』(中里介山著)の主人公机竜之助に端を発するニヒル剣士の系譜と、柴錬の作風を貫くダンディズムが融合した複雑な造形がなされているキャラクターである。
転びバテレンと日本人の混血という出自を持ち、平然と人を斬り捨てる残虐性を持つ。その生い立ちを背負い、虚無感を持ちつつ豊臣秀頼佩刀と伝わる「無想正宗」を帯び「円月殺法」という剣術を用いて無敵の活躍をし、以後剣豪ブームを巻き起こした。映画評論家の佐藤忠男が指摘するように歌舞伎の伝統では恋愛するのは二枚目で、立役は恋愛しないことになっているのが、西洋の騎士道と違うところで、このシリーズは明らかに伝統を破っている。
毎週読み切りという形での連載で、初期の週刊誌ブームを支えた。新潮文庫で重刷されていたが、近年長編全点が改版され、後半3作品は1巻本だったが上下巻で再刊された。集英社文庫で一部再刊されている。
Contents
小説
長編
- 眠狂四郎無頼控(全6巻) ※第6巻は元は「続眠狂四郎無頼控」で独立した作品。
- 眠狂四郎独歩行(上下巻)
- 眠狂四郎殺法帖(上下巻)
- 眠狂四郎孤剣五十三次(上下巻)
- 眠狂四郎虚無日誌(上下巻)
- 眠狂四郎無情控(上下巻)
- 眠狂四郎異端状
短編
- 贋者助太刀・眠狂四郎市井譚の内
- 義理人情記・眠狂四郎市井譚の内
- 眠狂四郎京洛勝負帖
- 消えた兇器
- 花嫁首
- 悪女仇討
- 狐と僧と浪人
- のぞきからくり
- ※『新篇眠狂四郎京洛勝負帖』(集英社文庫、2006年)再刊
映像化作品
映画
鶴田浩二版
鶴田浩二主演のシリーズ(1956年 - 1958年):東宝京都製作。全3作。
- 眠狂四郎無頼控(1956年公開)
- 眠狂四郎無頼控 第二話 円月殺法(1957年公開)
- 監督:日高繁明、脚本:小国英雄、日高繁明
- 眠狂四郎無頼控 魔剣地獄(1958年公開)
- 監督:川西正純、脚本:川西正純、木村武
市川雷蔵版
市川雷蔵主演のシリーズ(1963年 - 1969年):大映京都製作。全12作。映画化作品としては最も有名で、雷蔵の当たり役となった。
- 眠狂四郎殺法帖(1963年11月2日公開)
- 眠狂四郎勝負(1964年1月9日公開)
- 眠狂四郎円月斬り(1964年5月23日公開)
- 眠狂四郎女妖剣(1964年10月17日公開) - 本作における狂四郎の円月殺法のシーンで初めてストロボ撮影が用いられ、以後象徴的に採り入れられた。
- 眠狂四郎炎情剣(1965年1月13日公開)
- 眠狂四郎魔性剣(1965年5月1日公開)
- 眠狂四郎多情剣(1966年3月12日公開)
- 眠狂四郎無頼剣(1966年11月9日公開)
- 眠狂四郎無頼控 魔性の肌(1967年7月15日公開)
- 眠狂四郎女地獄(1968年1月13日公開)
- 眠狂四郎人肌蜘蛛(1968年5月1日公開)[1]
- 眠狂四郎悪女狩り(1969年1月11日公開)
ムック
松方弘樹版
松方弘樹主演の作品(1969年):大映京都製作。全2作。雷蔵死後、東映から松方をレンタル移籍させ、シリーズ継続を図ったがヒットには至らなかった。
テレビドラマ
- 眠狂四郎無頼控(1957年)
- 眠狂四郎(1961年)
- 日本テレビ製作。江見渉(江見俊太郎)主演。
- 眠狂四郎(1967年)
- 眠狂四郎(1972年 - 1973年)
- 眠狂四郎円月殺法(1982年 - 1983年)
- 眠狂四郎無頼控(1983年)
- テレビ東京・歌舞伎座テレビ製作。全22話。片岡孝夫(現・片岡仁左衛門)主演。
- 眠狂四郎 The Final(2018年)
- フジテレビ・東映製作。田村正和主演。
- テレビ朝日製作のスペシャル版第4作以来20年ぶりの映像化。但し、フジテレビ系列での放送としては45年ぶり。
パチンコ
漫画
- 眠狂四郎
- からふね 眠狂四郎異聞
- 漫画(およびシナリオ)は崗田屋愉一。集英社の隔月誌『グランドジャンプPREMIUM』に2017年3月号から連載中。株式会社LDHの映画企画とのタイアップとして開始された。企画が頓挫した後の3話以降、それまでの「原案 柴田錬三郎」からクレジットが「原作 柴田錬三郎」に変更されている。
舞台
- 『眠狂四郎無頼控(NEMURI×GACKT PROJECT)』 2010年5月から、GACKT主演。
脚注
- ↑ cf.「市川雷蔵のすごさを見よ!」『するめ映画館』(吉本由美)所収(文藝春秋 2010年10月30日)