ホワイトノイズ
ホワイトノイズ (White noise)[1]とは、ノイズの分類で、パワースペクトルで見ると対象となるそれなりに広い範囲[2]で同程度の強度となっているノイズを指す。「ホワイト」とは、可視領域の広い範囲をまんべんなく含んだ光が白色であることから来ている形容である[3]。派生語のようなものにピンクノイズがあり、周波数成分が右肩下がりの光がピンク色であることによる。よく聞くノイズの例で擬音語で表現するなら、「ザー」という音に聞こえる雑音がピンクノイズで、「シャー」と聞こえる音がホワイトノイズである。
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特徴
ホワイトノイズは全ての周波数で同じ強度となるノイズである。これはWiener-Khintchineの定理から、自己相関関数がデルタ関数となることと同じである。統計学の言葉で言うと、定常独立であることを意味していて、簡単にいえば非常に不規則なノイズということである。
なお厳密には自己相関関数にデルタ関数といった無限を含むものは実在し得ないので、理想的なホワイトノイズは実在しない。しかし、実用上には有限値の十分理想ホワイトノイズに近いものをホワイトノイズとして扱う。また、近年のオーディオ機器のそれなど、パルス符号変調(PCM)が途中に入っている場合は、0付近〜ナイキスト周波数まで同じ強度となる。
ホワイトノイズならばガウスノイズ(正規分布のノイズ)であるとしばしば誤解されるが、白色という概念とガウス性という概念は異なるものである。しかし、系のモデルで白色とガウス性の2つを同時に仮定することは多い。ホワイトガウスノイズ(白色ガウス雑音)は実世界のノイズとしてよい近似であるからである(中心極限定理)。これらのモデルは加法性ホワイトガウスノイズ (AWGN、additive white Gaussian noise) と呼ばれる。
定義
以下の2つの条件を満たすようなw(t) をホワイトノイズと定義する。
- [math]\mu = E[w(t)] = 0[/math]
- [math]R(t_{1}, t_{2}) = E[w(t_{1}) w(t_{2})] = \sigma^{2}\delta(t_{1} - t_{2})[/math]
ただし、σ2 は w の分散で、δ はディラックのデルタ関数である。1つ目の式は平均ゼロを表している。そして2つ目の式は自己相関は σ2 であり相互相関はゼロであることを表している。
自己相関をフーリエ変換するとホワイトノイズのパワースペクトルが得られる:
- [math]|W(\omega)|^{2} = \sigma^{2}[/math]
パワースペクトルの値はωに依存しないので、全ての周波数で一定の値(白色と呼ぶ)になっている。
また離散化された列としてのホワイトノイズの定義は、同様にベクトルwに対して以下のように定義される。
- [math]\mu = E[\boldsymbol{w}] = 0[/math]
- [math]\boldsymbol{R} = E[\boldsymbol{w} \boldsymbol{w}^{T}] = \sigma^{2}\boldsymbol{I}[/math]
ただしTは転置を、Iは単位行列である。1つ目の式は平均ゼロを表している。2つ目の式は相互相関行列が、対角成分がσ²でそれ以外はゼロということを表している。
なお、ここではホワイトノイズを実数として考えたが、複素数に対しても定義できる。相関演算の定義に複素共役の演算が入るため、ホワイトノイズの定義もこれに応じてやや変化する。
生成方法
実際上は正規乱数をホワイトノイズとして利用する。なおこのときガウス性も満たすので、ホワイトガウスノイズとなる。
Excelの分析ツールを用いて、正規乱数を作成することができる。
注
関連項目
外部リンク
- SimplyNoise.com (英語)
- whitenoisemagic.com (英語)