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ULTRAMAN | |
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監督 | 小中和哉 |
脚本 | 長谷川圭一 |
製作 | 鈴木清 |
出演者 |
別所哲也 遠山景織子 大澄賢也 裕木奈江 広田亮平 永澤俊矢 隆大介 草刈正雄 角田英介 佐藤夕美子 エド山口 清水一哉 市村直樹 駒田健吾 木之元亮 田中秀幸 小西克幸 |
音楽 | 小澤正澄、池田大介、鎌田真吾 |
主題歌 | TMG「NEVER GOOD-BYE」 |
撮影 | 大岡新一 |
編集 | 松木朗 |
公開 | 2004年12月18日 |
上映時間 | 97分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス THE FINAL BATTLE |
次作 | ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 |
『ULTRAMAN』(ウルトラマン)は、2004年12月18日から全国松竹系映画館にて公開されたウルトラシリーズの映画作品であり、ULTRA N PROJECTの一つ。東京国際映画祭・特別招待作品。
キャッチコピーは「銀色の流星…舞い降りる」、「高度3万フィート! 6.5G! 極限の一戦!!」
Contents
概要
テレビシリーズ『ウルトラマン』第1話での出来事が、現代社会において現実に起こった場合を想定する形でリメイクされた作品[1]。また、今作の公開時に放映されていたテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』と同じ世界観を持ち、テレビシリーズの前日談に当たる。
特徴
それまでのイメージから大きく外れたデザインや、映像表現の難しい10メートル級の身長など、ウルトラマン自体の表現にも数多くの意欲的な試みがなされた。
スタッフには、小中和哉や長谷川圭一など平成ウルトラシリーズメインスタッフから、菊地雄一や板野一郎、松本孝弘など、それまでウルトラシリーズには馴染みの薄かった人物までが幅広く参加している。CGが多く取り入れており、クライマックスの空中戦シーン(板野サーカス)が大きな見所となった。この技術は、後年の作品にも大きく取り入れられている。また、防衛庁の全面協力を受けており、F-15の離陸シーンなどは全て実物である。
本作や、後年の『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』などといった映画作品は、ウルトラシリーズ中でも空中戦をメインにしている部分が多い。アニメーションによる空中戦で高い評価を持つ板野一郎がフライングシーケンスディレクター(空中戦担当)を担当することで、CGを中心とした空中戦を最大限に引き出した。CGIには、板野が特技監督を担当したOVA『マクロス ゼロ』のCGIチームが参加している[2]。ウルトラマン・ザ・ネクスト(ジュネッス)とザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)の戦闘シーンは今までのウルトラシリーズには無い映像であり、板野の空中戦シーンは同時進行であったテレビシリーズの『ネクサス』や、翌年の『ウルトラマンマックス』と、翌々年の『ウルトラマンメビウス』での戦闘機の動きやミサイル発射、ウルトラマンの飛行戦闘などにも用いられている。
本作はテレビシリーズ『ウルトラマン』第1話「ウルトラ作戦第一号」のリメイクとなっているため、真木舜一の搭乗しているF-15が赤い発光体(ネクスト)に接触するのは、ハヤタの搭乗したビートルがウルトラマンに衝突するオマージュで、ザ・ワン(特にレプティリア)のデザインは、(青い怪光の演出も含め)同話に登場の怪獣ベムラーを意識したものになっている。また、『ネクサス』最終話でのノアVSザギの最終決戦の舞台も映画同様新宿であるため、『ULTRA N PROJECT』の一連の決戦は新宿で始まり、新宿で終わるという形になった。
未公開シーンが幾つか存在し、後に発売されたDVDの映像特典で視聴できる。
スタッフによるトークやコメンタリーでは、『ウルトラマン』との区別のため、「横文字ウルトラマン」などと称されている。
製作経緯
元々は『YELLOW EYES』というシリアスかつダークな作風の「力を手にした青年が戦いの中で正義に目覚めていく」物語の予定だったが、9.11を見たスタッフらによって方向転換され、現在のような「ウルトラマンとなった父親」が主人公の家族向け映画として作られた。そのため、リアルな怪獣災害という側面を持ちながら、父親が子供のために戦うストーリーなど、暗くならない配慮がなされている。また、随所に『ウルトラマン』や『ウルトラQ』など過去作品へのオマージュも込められている。初期タイトル『Yellow Eyes』はウルトラマンの目と、危険信号としての黄色のダブルミーニングである。
『ULTRA N PROJECT』の企画は本映画を最初として立てられており(詳細は『ULTRA N PROJECT』の項目を参照)、本来は『ネクサス』の放映前に公開される予定であった[1]。
制作当初の題名は『ULTRAMAN THE NEXT』(ウルトラマン・ザ・ネクスト)であった[3]が、途中で題名が変更された。この名前は本作のウルトラマンの名前や、漫画版のタイトルとして使われている。
制作の背景には『バットマン』や『スパイダーマン』が大人も楽しめる映画として成功を収めたことがあり、その日本版を狙って制作された。
評価・影響
ウルトラシリーズの劇場版としては宣伝や上映館数が少なかったことも影響してか[注釈 1]、興行収入はと振るわなかった。
続編『ULTRAMAN2 requiem』(ウルトラマン2 レクイエム)の制作も予定され、公開時には本編後に「2005年冬 公開」を知らせる特報も流されたが、その後は公式な告知も行われないまま立ち消えた[注釈 2]。当時の円谷プロダクション社長であった円谷英明は、総製作費2億円ですでに製作に着手していた映画を『ネクサス』の評価を踏まえて同作の放送短縮とともに中止にしたと、自著の中で述べている[5]。監督の小中和哉も2016年の上映イベントで『ULTRAMAN2』がクランクインしていたことを明かしている[6]。中止にあたっては円谷英明と当時の会長であった円谷一夫が製作現場に赴いて中止の説明を行ったが、その後に円谷一夫は撤退は本意ではなかったと周囲に漏らすようになり、後の社長交代の一因になったとされる[5]。
2016年に行われた日本映画監督協会上映会にて小中氏は断片的に本作の内容について触れている。 「怪獣の殺人者ウルトラマンへの疑問提示を行い、戦い以外で決着をつける」という趣旨だったとのこと。 準備稿ではウルトラマンノアやスペースビーストなどNプロジェクトの根幹をなす存在は全く登場せず、「主人公は4人の少年少女」「怪獣は“〜エレメント”という名称」「怪獣はミミズや犬や人間の変異体」などと記載されていたという証言が多数残っている。このため『2』と銘打ってはいるが世界観は全く別物のストーリーだった模様。 また、阪神淡路大震災がテーマの一つとなっており、脚本上でも震災という単語が登場している。
ストーリー
海上自衛隊所属の有働貴文は未確認飛行物体の調査中、突如出現した青い発光体「BLUE」に激突し、凶悪な「ビースト・ザ・ワン」に変化してしまう。
その3か月後、航空自衛隊からの除隊を控えたイーグル・ドライバーの真木舜一は謎の飛行物体の調査へ緊急発進した際、その飛行物体である発光体「RED」に激突してしまう。奇跡的に無傷で生還した真木を「ザ・ワン」の事例から危険と見た対バイオテロ研究機関「BCST」は彼に付きまとい、真木は強制的に監視される身となってしまう。
ある日、監視され続ける真木を、有働が変貌した「ザ・ワン」が襲撃する。自衛隊員たちは迎撃するが、進化した「ザ・ワン」にはまったく効き目が無い。そして真木も「ザ・ワン」の熾烈な攻撃を浴びて倒れるが、彼の肉体にも変化が現れる。真木もまた、謎の発光体との激突で肉体が「ザ・ネクスト」と呼ばれる未知の存在へ変化していたのだ。こうして「ウルトラマン・ザ・ネクスト」へ変身した真木は、「ザ・ワン」と対峙する。
主な登場人物
真木 舜一 ()- 本編の主人公で34歳。少年期に田舎のいとこと釣りに行く途中にはぐれ、航空自衛隊の戦闘機を見上げてから空に憧れ、航空自衛隊・百里基地第3航空団・第204飛行隊のF-15J要撃戦闘機のパイロット(二尉)に就職[7]。イーグルドライバーであるが、病弱な息子・継夢のため、退官を予定している。スクランブル発進により、「赤い発光体」と衝突するも奇跡の生還を果たすが、ビースト・ザ・ワン撃退のため、防衛庁の特務機関BCSTの監視を受ける。こうして、偶然ながら第1のデュナミストとなった。宣伝コピーにある「銀色の流星」とは、少年時に目撃して憧れたマルヨンの機影のことである。愛する家族たちを守るため、運命を狂わせた者を倒すためにザ・ネクストとして戦う決意をする。
水原 沙羅 ()- 対バイオテロ研究機関BCSTの監察官の28歳。防衛研究所・技術研究本部に所属する専任化学担当官でもある[8]。真木の監視の手段として様々な強圧的な手段を取るが、そうなった裏には恋人・有働貴文がザ・ワンの犠牲となった過去がある。一見冷徹に見えるが、本人自身は目的のために手段を選ばない程非情になりきれてはいないようである。ザ・ワンの細胞を分析して生みだした様々な毒薬や化学兵器に、最終的な真木の協力で、ザ・ワンの暴走を止めようとする。
有働 貴文 ()- 海上自衛官二尉の35歳[9]。水原沙羅の恋人であり、婚約者だったが、深海作業艇にて「青い発光体」ザ・ワン探索に携わったことから、ザ・ワンに身体と記憶を乗っ取られ、肉体が遺伝子レベルで変質してしまう。完全に支配される前に沙羅に自分を殺す様に懇願していたが、ザ・ワンは有働の全てを支配した後も、沙羅の動揺を誘うために、彼の人格を参照に精神攻撃を行った。
真木 蓉子 ()- 真木舜一の妻で29歳。病弱な息子と、危険と隣り合わせの世界で仕事をする夫を案じている。
真木 継夢 ()- 真木舜一の6歳の息子。先天的疾患のため、余命一年と宣告された病弱体質ながらも、それ以上に父親の身を案じるあまりに倒れてしまう。父親のようにいつかF15パイロットとなって空を飛ぶことが夢。
- 部屋にブースカのぬいぐるみを飾っている。
倉島 剛 ()- 航空自衛隊パイロット一尉の37歳。イーグルドライバーであり、真木舜一の同僚で親友。BCSTの依頼で真木の妻子の監視役をさせられるが、真木の置かれた状況を察し、水原沙羅を脅し妻子との再会を実現させる。ザ・ネクストとザ・ワンの空中戦においては、F-15戦闘機隊の隊長として、ザ・ネクストとして戦う真木を、それと知った上で援護した。
曽我部 ()- 対バイオテロ研究機関BCSTの責任者。階級は陸上自衛隊一等陸佐。45歳。沙羅のように、ザ・ワンとザ・ネクストが根本的に違う存在であるとの認識はなく、真木舜一を「いずれは怪物と化す危険な存在」と考えている。
万城目 ()- 航空自衛隊を退官した真木舜一の再就職先、星川航空の社長。46歳。社員の一平や由利子と共に、真木の身を案じる蓉子を励まし続ける。
- 以前発生した強盗事件で、空から犯人を追跡し、逮捕へと繋がった事で会社の事務所に警察から贈られた感謝状が額縁に飾ってある。
一平 ()- 星川航空の整備員。25歳。社長や由利子と共に、真木とその家族の身を案じていた。
由利子 ()- 星川航空の整備士。社長や一平と同じく、真木とその家族を気遣っている。
矢代 ()- 対バイオテロ研究機関BCSTの特殊部隊長(三佐)。沙羅と共にザ・ワンから逃げ出そうとするが、ザ・ワンの尻尾で叩き潰されるも生存し、「お前の作戦ミスで 俺は多くの部下を失った」と沙羅に銃を向けたが、ザ・ワンとの交戦に向かう真木と沙羅を見送った。
ウルトラマン・ザ・ネクスト
- 年齢:35万歳以上
青い発光体(ビースト・ザ・ワン)を追って地球を訪れた赤い発光体が、航空自衛隊のパイロット真木舜一と融合することによって出現した銀色の巨人。日本へ2番目に飛来した地球外生命体として「ザ・ネクスト」のコードネームを与えられた。ザ・ワンとの戦いで人々を守り抜いたことから、子供たちをはじめとした人々から憧れを込めて「ウルトラマン」と呼ばれるようになる。変身道具は存在せず、真木がピンチになった際に自動的に変身する。
ウルトラマン・ザ・ネクストという名は作品としての『ウルトラマン』の、次世代のウルトラマンとしてのダブルミーニングでもある。
- デザイン・造型
- デザインは丸山浩が担当した[10][11]。監督の小中和哉はウルトラマンの赤い部分を筋肉や血管のイメージに置き換えたミュータント的なものと要望していたが、丸山は溶岩のイメージを取り入れ、アンファンスは溶岩が冷え固まったような暗色、ジュネッスは燃え盛る赤とした[10]。
- アンファンスは、マスクの凸凹が初代ウルトラマンのAタイプをモチーフとしている[12]。
- 国内のウルトラマンでは初の試みとして、粘土原型が造られた[13]。
- ボディはウレタン製、マスクはFRP製であるが、着ぐるみにはウルトラシリーズの定番となっていたウェットスーツは使用されていない[14]。
アンファンス
最初に出現したザ・ネクストの不完全体(幼体)。身体の各部が未発達で本来の能力は発揮できない。また、真木の意志が強いために腕の刃や光刃による攻撃は使えても威力が低く、ほとんどは強化された身体能力を駆使した肉弾戦や力技のみという戦い方である。
従来のデザインで銀と並んで配色の多い赤い部位は、胸のエナジーコアと頭の剃り込み部分のみであり、ジュネッス時に赤くなる筋繊維状の部分は黒くなっている。また、後頭部にある襟足の部分も短く、より初代ウルトラマンに近いデザインとなっている。
ジュネッス
ザ・ワンとの最終決戦時に出現したザ・ネクストの完全体。身長も40メートルと巨大になり、超音速飛行も可能である。アンファンスでは黒かった筋繊維状の部位は赤くなり、配色はよりウルトラマンのイメージに近くなっている。また、後頭部の襟足に突起物(あるいは肉厚なヒレ状の部位)が生まれ、ウルトラマンネクサスのそれに近くなっているほか、全身に血流をイメージした赤いラインが入っている。腕は鋭い武器となって飛行時の安定に役立つうえ、光線発射時の源ともなるエルボーカッター「ストラトスエッジ」が出現する。また、背中や脹脛(ふくらはぎ)に姿勢制御用のヒレ(フィン)が存在する。アンファンスよりも体つきはよく、よりパワフルによりスピーディーに動くことが可能。
必殺技
- エルボーカッター
- アンファンス時に使用。肘にあるエルボーエッジが意識を集中させることで黄色く発光し、あらゆるものを切断する。首に巻きついたザ・ワン・レプティリアの尻尾を切り落とした。三日月状のエネルギー波を放つことも可能で、ザ・ワンを撃退している。
- パンチ
- フックやアッパーなどボクシングの技のようなパンチを放った。
- キック
- 人間の比ではないパワーから生み出すキック。勢いをつけ、連続でビースト・ザ・ワンに見舞ってひるませた。また、敵に背を向け、しゃがんだ状態で体の前方に両手をつき、揃えた両足を跳ね上げて放つキックも披露し、ザ・ワン・レプティリアにダメージを与えた。
- ヘッドロック
- 両腕でザ・ワン・レプティリアの首を締めつけ、動きを封じた。同時にひざ蹴りを繰り出すことで、さらなるダメージを与えた。
- ラムダ・スラッシャー
- ストラトスエッジから三日月状のカッター光線を発射する。ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)との空中戦では両腕のストラトスエッジの力を集中して大型のスラッシャーを発射したうえ、両手から2つ同時に発射してザ・ワンの翼を切り落とした。後のネクサスでもこうした光刃技が数多く登場している。
- エボルレイ・シュトローム
- 強力なエネルギーを両腕に生み出し、さらに両手を十字に組んで凄まじい光エネルギーの奔流を放射する、ザ・ネクストの最終究極光線。ザ・ワンを分子レベルで消滅させた(ただし、細胞を完全に消滅させることはできなかったため、後にスペースビーストが生まれる要因となっている)[19]。従来の光線と違い、光の流れ方にムラがある。
真木との融合
作中で「ザ・ネクストはどこからやってきたのか」や「何者なのか」が説明されることはほとんどなく、ザ・ワンとザ・ネクストが敵対関係にあること、ザ・ネクストはザ・ワンの殲滅を目的に訪れたことが、わずかに説明される程度である。ザ・ワンが海上自衛官・有働貴文の記憶・能力を我が物にしたことをはじめ、融合する地球の生物の能力・生命力を無制限に吸収していく一方、ザ・ネクストはザ・ワンと同じく融合が可能であるにもかかわらず、真木瞬一の人格・自立性を尊重する、モラルや理性を持った存在として描かれている。また、人間形態でESP(超感覚的知覚)を発現させたが、これは真木の病弱な息子・継夢を案じる気持ちからである。
作中ではアンファンスもジュネッスも長期戦になると胸部エナジーコアが点滅し、危険信号を発していた。それは真木と完全な融合を果たしていないがための代償であることが、ザ・ワンに言及されている。それでも、ザ・ワンとの決戦で真木はザ・ネクストから生命の危機を警告されても自身の意志で戦いを続行し、最終的には空中戦でザ・ワンを圧倒したところに自衛隊の支援も受け、ザ・ワンを地上へ引きずり下ろして殲滅を果たしている。
『ウルトラマンネクサス』での登場
映画と同一の世界観であるテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』第33話「忘却 -A.D.2004-」では、防衛組織TLT(ティルト)内の回想シーン(本作の映像)に加えて本編に水原沙羅も登場し、本作が『ネクサス』の5年前の物語であることが明かされた。
TLTの設立によって、スペースビーストへの記憶消去装置である来訪者のレーテが使用された結果、TLT設立のメンバーを除いた全ての一般大衆の記憶から新宿での戦いの事実は消され、ザ・ワンだけではなくザ・ネクストの存在も忘れ去られてしまった。しかし、最終話「絆 -ネクサス-」では、レーテが消滅すると同時に人々から5年前の記憶と共にウルトラマンも蘇り、ダークザギと戦うネクサスを応援した。なお、レーテからの脱出時にはネクスト アンファンスらしき姿が確認される。
ビースト・ザ・ワン
他の生物に寄生・吸収することで成長・進化できる謎の生命体。青い発光体の状態で地球に飛来し、調査に来た海上自衛官・有働貴文と融合した。「ザ・ワン」とは、日本で初めて確認された地球外生物であることから名付けられたコードネームである。ベルゼブア形態以降は、吸収した生物の頭を模した首が肩に現れる。
その正体は後に『ウルトラマンネクサス』に登場するスペースビーストの第1号であり、ザ・ワン自体は本作でウルトラマン・ザ・ネクストに倒されるが、その破片は後に多数のビーストに成長する。スペースビーストのうちガルベロス、ノスフェル、リザリアスは、『週刊 ウルトラマンオフィシャルデータファイル』ではザ・ワンの要素を受け継ぐ上級ビーストとされている(ノスフェル・リザリアスは取り込んだ生物がモデルに、ガルベロスはザ・ワンの核に当たるものが犬を取り込んでおり、そのフォルムなどに特徴を色濃く残している)。
真木の人格と生命を尊重したザ・ネクストとは対照的に、ザ・ワンは有働を完全に取り込んで支配し、彼の生命も人格も全て奪い去るという、非常に狡猾で残忍な性格の邪悪な生命体である。取り込んだ生物は、吸収されても短時間のうちならば分離・解放することが可能な模様。
- ザ・ワン(イドロビア)
- 有働と融合したザ・ワンが成長した姿。素早い動きで壁や天井を自由に駆け回る[22]。形態は人間に近い面が多いほか、口元などは筋繊維を皮膚が覆っていないなど、未完成な印象を与える姿をしている。また、その身体能力の高さと天井などに張り付くことのできる特性以外は、怪獣というほどすさまじいものではない。本作の映像特典では、監督に花束を贈った。
- ザ・ワン(レプティリア)
- 自衛隊の攻撃を受けたイドロビアが、周囲にいたトカゲやヤモリを吸収して成長した姿。大幅に成長を遂げてより怪獣らしい姿となっているほか、尻尾による攻撃を可能としたことでより幅広く高い戦闘力を身につけている[24]。
- デザインは監督の小中和哉からの要望によりベムラーを意識しており、体表の青い部分は青い球のイメージで取り入れられた[20]。
- ザ・ワン(ベルゼブア)
- 新宿の地下でザ・ネクストと対峙したレプティリアが、周囲にいたドブネズミを吸収して巨大化した姿。最も怪獣らしい姿をしているが、全体的に骨がそのまま装甲化したような部位も見られ、グロテスクさにかけては拍車をかけている。また、首元には吸収したネズミの首が2本生えており、肩の顔も無くなっている[26]。口から青色破壊火炎弾[注釈 3]を放つようになったほか、強力な咆哮で周囲を振動させて生物を苦しめることが可能。下記のベルゼブア・コローネの翼を破壊された際には、本形態に戻っている。
- ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)
- ジュネッス形態になり飛行能力を得たザ・ネクストに対抗するため、大量のカラスを取り込んだ姿。首の付け根にある小さな頭部2つの口からは、鳥類のような頭部が新たに生えている。全長の約5倍の巨大な翼を広げて飛行する姿は、水原や真木に「悪魔」と称されている。ザ・ネクストと渡り合えるほどの飛行能力を持つほか、超絶火炎弾[17]に加えてザ・ネクストからエネルギーを吸収する能力も発揮する。
- 激しい空中戦の末、ラムダ・スラッシャーで翼を切断され、切れた翼は吸収されていたカラスたちへ復元し、離散する。ザ・ワン自体はベルゼブア形態に戻って新宿に落下し、最後はエボルレイ・シュトロームによって分解されて消滅した[19]。
『ウルトラマンF』に登場するビースト・ザ・ワン
小説『ウルトラマンF』(著・小林泰三)に登場。
ゼットンに倒されたウルトラマンが去ってから1年後の地球に、超次元微小経路と呼ばれる空間を介して別宇宙から微小な細胞片として流れ着き、ベルゼブア・コローネ形態まで急成長し新宿を壊滅させる。ウルトラアーマーを纏った巨人兵と戦いエネルギー切れ寸前まで追い詰めるが、科学特捜隊によって無重力弾を撃ち込まれて爆散した。
登場兵器・メカニック
- F-15J戦闘機
- F-104J戦闘機
- F-86F戦闘機(地上展示)
- T-33A練習機(地上展示)
- UH-60J救難ヘリコプター
- UH-1H多用途ヘリコプター
- U-125A救難捜索機
- 化学防護車
- 73式大型トラック
- 73式小型トラック
- 1/4tトラック
- 特大型トラック(6×4)
- 業務車3号
- 場外救難車1型
- 牽引車(航空機用3t)
- 64式7.62mm小銃
- M10機関拳銃
- 9mm拳銃
- 深海作業艇(架空)
- 特殊拳銃
- 特殊薬液弾
- 改造ライフル
- 強化特殊弾
- セスナ 172
キャスト
- 真木舜一 - 別所哲也
- 水原沙羅 - 遠山景織子
- 有働貴文 / ビースト・ザ・ワン(声) - 大澄賢也
- 真木蓉子 - 裕木奈江
- 真木継夢 - 広田亮平
- 一平 - 角田英介
- 由利子 - 佐藤夕美子
- 航空自衛隊オペレーター基地指揮官 - エド山口
- 矢代 - 清水一哉
- 飲食店経営者 - 岡村洋一
- 店の女房・幸恵[29] - 安室満樹子
- ミク - 遠藤真宙
- ミクの母 - 小野日路美
- ミクの父 - 小中和哉 ※カメオ出演
- 少年時代の真木舜一 - 濱川歩
- 修理工 - 山崎崇史
- 陸上自衛隊通信兵 - 市村直樹
- アナウンサー - 駒田健吾(TBS)
- 特殊部隊隊員 - 矢部敬三、中村博亮
- グルメリポーター - 木之元亮 ※ノンクレジット
- 街頭テレビを観る男 - 菊地雄一 ※カメオ出演
- 曽我部一佐 - 隆大介
- 倉島剛 - 永澤俊矢
- 万城目社長 - 草刈正雄
声の出演
スーツアクター
スタッフ
- 監修 - 円谷一夫
- 製作 - 円谷英明、久松猛朗、竹内淳、川城和実、近藤邦勝、島本雄二、鈴木暁、原裕二郎
- チーフプロデューサー - 鈴木清
- プロデューサー - 吉田剛、渡辺伸吾、久保聡、大岡大介、種村達也、横山真二郎、小松賢志、岡﨑剛之
- 音楽プロデューサー - 玉川静
- 音楽監督 - 田靡秀樹
- 音楽 - 小澤正澄、池田大介、鎌田真吾
- 脚本 - 長谷川圭一
- 撮影・VFXスーパーバイザー - 大岡新一
- 美術監督 - 大澤哲三
- 本編美術デザイナー - 稲付正人
- 特殊美術デザイナー - 高橋勲
- 照明 - 和泉正克
- 録音 - 弦巻裕、鶴巻仁
- 整音 - 浦田和治
- 音響効果 - 岡瀬晶彦、伊藤瑞樹
- 操演 - 根岸泉
- 助監督 - 棚橋邦夫
- 殺陣 - 車邦秀
- 撮影補 - 高橋創
- 編集 - 松木朗
- スクリプター - 山内薫
- 製作担当 - 中井光夫
- 製作協力プロデューサー - 渋谷浩康、小山信行
- 企画協力 - 江藤直行、北越基紀、小林敬宜、飯塚寿雄、佐藤大樹、加藤直次
- スペシャルサンクス - 円谷昌弘、千野毅彦、横倉源太、古屋文明
- 特殊部隊アドバイザー - 越康広
- CGプロデューサー&スーパーバイザー - 渡部健司
- VFXコーディネーター - 松野美茂
- キャラクターデザイン - 丸山浩、酉澤安施
- イメージボード - 奥山潔、とりさわやすし
- タイトル - 熊谷幸雄
- 配給 - 北川淳一
- キャスティング - 小島文夫
- ロケ地協力 - 防衛庁(長官官房広報課、陸上幕僚監部広報室、海上幕僚監部広報室、航空幕僚監部広報室、東部方面隊 (陸上自衛隊)、陸上自衛隊広報センター、第7航空団、百里救難隊、百里管制隊、航空自衛隊幹部学校)
- 空撮協力 - スウィッシュ・ジャパン、朝日航洋、新中央航空
- 製作 - ULTRAMAN製作委員会(円谷プロダクション、バンダイ、バンダイビジュアル、TBS、中部日本放送、日本出版販売、電通、松竹)
- 音楽監修 - 松本孝弘 (B'z)
- フライングシーケンスディレクター - 板野一郎
- 特技監督 - 菊地雄一
- 監督 - 小中和哉
主題歌
- 主題歌「NEVER GOOD-BYE」
- テーマ曲「Theme from ULTRAMAN」[32]
-
- 作曲 - 松本孝弘 / 編曲 - 松本孝弘・徳永暁人
他媒体展開
漫画版
『ウルトラマン THE NEXT』のタイトルで『特撮エース』に連載(作画:沢樹隆広)。基本的には映画版と同一の内容だが、最終話で『ウルトラマンネクサス』へと繋がる描写が追加されている。
角川書店から発売された単行本(全1巻)は途中までの収録となっていたが、2008年にウェッジホールディングスより最終話まで収録した完全版(全1巻)が発売された。
ゲーム
プレイステーション2ゲームソフト『ウルトラマンネクサス』では、ウルトラマン・ザ・ネクスト(ジュネッス)とビースト・ザ・ワン(ベルゼブア・コローネ)も登場し、ゲームで条件を満たせばvsモード等で操作可能になる。
映像ソフト化
2005年7月25日にDVDが発売された。
関連作品
- ULTRA N PROJECT
- 本作はこれに含まれる。
- ウルトラマンネクサス
- 本作はこの作品の過去の設定である。
- ウルトラマンノア
- 本作に登場するウルトラマン・ザ・ネクストはこのウルトラマンと同一の存在である。
- ウルトラマン
- 本作はこの作品の第1話をベースに作られている。
- ウルトラマンX
- ウルトラマンネクサスが登場する第20話では、本作品での新宿上空の空撮素材を使用している[33]。
脚注
注釈
出典
- ↑ 1.0 1.1 ウルトラマン全史 2013, p. 75.
- ↑ 「メビウス世界の匠たち CHAPTER2 CGI」『ウルトラマンメビウス アーカイブ・ドキュメント』 宇宙船編集部 編、円谷プロダクション 監修、朝日ソノラマ〈ファンタスティックコレクションNo.∞〉、2007-06-30、82-83。ISBN 978-4-257-03745-3。
- ↑ DVDのメイキングより。
- ↑ 「巻末とじこみ付録 宇宙船 DATA BOOK 2005」、『宇宙船』Vol.118(2005年5月号)、朝日ソノラマ、2005年5月1日、 144頁、 雑誌コード:01843-05。
- ↑ 5.0 5.1 円谷英明 2013, p. 176.
- ↑ 「日本映画監督協会劇場EVENT REPORT」、『宇宙船』vol.152(SPRING 2016.春)、ホビージャパン、2016年4月1日、 114頁、 ISBN 978-4-7986-1218-8。
- ↑ ネクサス&マックス 2006, p. 6.
- ↑ ネクサス&マックス 2006, p. 7.
- ↑ 9.00 9.01 9.02 9.03 9.04 9.05 9.06 9.07 9.08 9.09 9.10 ネクサス&マックス 2006, 「BEAST」
- ↑ 10.0 10.1 STYLE 2005, 「STAFF INTERVIEW キャラクターデザイン 丸山浩」
- ↑ 11.0 11.1 11.2 ピクトリアル 2005, p. 42-45.
- ↑ STYLE 2005, 「STAFF INTERVIEW 特技監督 菊地雄一」.
- ↑ 丸山浩2016年1月25日ツイート
- ↑ ネクサス&マックス 2006, p. 39.
- ↑ 15.0 15.1 STYLE 2005, pp. 26、86.
- ↑ 16.0 16.1 16.2 16.3 ネクサス&マックス 2006, 「ULTRAMAN THE NEXT」
- ↑ 17.00 17.01 17.02 17.03 17.04 17.05 17.06 17.07 17.08 17.09 17.10 17.11 17.12 17.13 17.14 17.15 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, 「ULTRAMAN」
- ↑ 18.0 18.1 STYLE 2005, pp. 28、87.
- ↑ 19.0 19.1 ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE 64 2010, 「ボディスペック」
- ↑ 20.0 20.1 20.2 20.3 20.4 20.5 20.6 20.7 STYLE 2005, 「STAFF INTERVIEW キャラクターデザイン 酉澤安施」
- ↑ 21.0 21.1 STYLE 2005, pp. 30、88.
- ↑ ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE 30 2010, 「ボディスペック」
- ↑ 23.0 23.1 STYLE 2005, pp. 32、89.
- ↑ ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE 59 2010, 「プロフィール」
- ↑ 25.0 25.1 STYLE 2005, pp. 34、90.
- ↑ ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE 45 2010, 「ボディスペック」
- ↑ ピクトリアル 2005, p. 38.
- ↑ 28.0 28.1 28.2 STYLE 2005, pp. 36、91.
- ↑ 役名および表記はDVDの日本語字幕による。
- ↑ 後のゾフィーの声優である
- ↑ 31.0 31.1 31.2 ピクトリアル 2005, p. 30.
- ↑ ところどころ初代ウルトラマンのアレンジが流れる所がある
- ↑ 「監督インタビューアベユーイチ」『ウルトラマンX超全集』 構成・間宮尚彦 執筆・大石真司、小学館〈てれびくんデラックス 愛蔵版〉、2016-03-16。ISBN 978-4-09-105153-0。
参考文献
- 『ULTRAMAN STYLE』 監修 円谷プロダクション、英知出版〈EICHI MOOK〉、2005-01-20。ISBN 4-7542-5486-4。
- 『ULTRAMAN ヒーロー ピクトリアル』 小学館(てれびくんデラックス愛蔵版)、2005-01-20。ISBN 4-09-105101-5。
- 『ウルトラマンネクサス&ウルトラマンマックス』 講談社〈テレビマガジン特別編集〉、2006-09-26。ISBN 4061784331。
- 円谷英明 『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』 講談社〈講談社現代新書〉、2013年。ISBN 978-4-06-288215-6。
- 『円谷ヒーロー ウルトラマン全史』 講談社 編、講談社〈講談社MOOK〉、2013。ISBN 978-4-06-389762-3。
- 大石真司・江口水基・島崎淳・間宮尚彦 『円谷プロ全怪獣図鑑』 円谷プロダクション監修、小学館、2013-03-11。ISBN 9784096820742。
- 『週刊 ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』デアゴスティーニ・ジャパン
- 「怪獣図鑑 ULTRAMAN」、『週刊 ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』30号、2010年1月5日、 SERIES EX10、 JAN 4910215210100。
- 「怪獣図鑑 ULTRAMAN」、『週刊 ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』45号、2010年4月20日、 SERIES EX10、 JAN 4910215230405。
- 「怪獣図鑑 ULTRAMAN」、『週刊 ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』59号、2010年7月27日、 SERIES EX10、 JAN 4910278040706。
- 「怪獣図鑑 ULTRAMAN」、『週刊 ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』64号、2010年8月31日、 SERIES EX10、 JAN 4910278050804。